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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 Z42
管理番号 1088430 
審判番号 不服2001-16003 
総通号数 49 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2004-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-09-07 
確定日 2003-12-09 
事件の表示 商願2000- 18186拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、「中房温泉」の文字を標準文字を用いて横書きしてなり、商品及び役務の区分第42類に属する願書に記載の役務を指定役務として、平成12年2月29日に登録出願され、その後、願書記載の指定役務については、同13年5月28日付手続補正書により「温泉入浴施設を伴う宿泊施設の提供,温泉入浴施設を伴う飲食物の提供,温泉入浴施設の提供」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原審において、「本願商標は、長野県南安曇郡穂高町に所在する「中房温泉」を標準文字で書したものであるから、これをその指定役務に使用しても、単に役務の提供の場所を表示するにすぎないものと認める。なお、該文字は、三省堂発行「コンサイス日本地名辞典」871頁に温泉地の名称として記載され、また昭文社発行「マックスマップル1全日本道路地図」57 I-6にも温泉地として記載されており、出願人の提出した手続補足書甲第1号証4枚目の「中房温泉」の説明にも「温泉地」の記載があることから、該文字は地名として使用され、単に役務の提供場所を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨を認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり「中房温泉」の文字を普通に用いられる方法で書してなるものであるところ、その構成中前半の「中房」の文字部分は、原審説示の長野県南安曇郡穂高町にある地名であり、他方、後半の「温泉」の文字部分は、「1 地熱のために平均気温以上に熱せられて湧き出る泉。多少の鉱物質を含み、浴用または飲用として医療効果を示す。・・・2 1を利用した浴場。(広辞苑第5版 (株)岩波書店刊)」を指称する語であって、「温泉」の名称又は当該温泉が湧出する場所即ち「温泉場(温泉地)」の名称中等に、他の文字(多くは地名)に付して普通に使用されているものであるから、これらの語を結合してなる本願商標は、これに接する者をして「長野県南安曇郡穂高町中房にある温泉」の意味合いを表現したものと容易に理解し、認識せしむるものである。
そうとすれば、これをその指定役務について使用しても、単にその役務の提供場所を表示するにすぎないものと認められ、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
しかしながら、請求人は、本願商標が、商標法第3条第2項の要件を具備するものであると主張し、証拠方法として甲第1号証ないし同第3号証及び資料1ないし同17を提出している。
そこで、請求人の前記甲各号証について検討するに、以下のことが認められる。
(ア)請求人がその指定役務に使用している商標
甲各号証によれば、請求人が、役務「温泉入浴施設を伴う宿泊施設の提供,温泉入浴施設を伴う飲食物の提供,温泉入浴施設の提供」に使用している商標は、媒体の表記の方法により縦書きと横書きといった違いはあるが、本願商標と社会通念上同一の商標といい得るものである。
(イ)使用開始時期及び使用期間
甲第1号証ないし同第3号証によれば、請求人は、長野県南安曇郡穂高町にて宿泊施設、飲食物及び温泉入浴施設の提供を行う会社であり、「文政4年(1821年)頃より、当地で明礬の採掘を任された百瀬茂八郎が開湯し(温泉入浴施設及び宿泊施設の提供を始めた)と伝えられ・・・(甲第1号証5枚目)」ているが、徳川時代に作成された絵図に「中房温泉」の文字が認められ(甲第1号証6枚目)、甲第2号証によれば、大正14年には百瀬彦一郎氏が、甲第3号証及び資料1ないし6によれば、昭和7年7月以降は請求人が、この温泉に「中房温泉」の文字を付して上記役務の提供を行っており、現在も継続して使用していることが認められる。
(ウ)宣伝広告等
甲1号証及び資料1ないし6、同8、同10、同16によれば、本願商標は、雑誌「温泉」9月号(甲第1号証)、インターネット上のホームページ(資料1ないし6)、TV番組(資料8)及び「読売年鑑」(資料18)等、各種のメディア及び請求人のパンフレット等に宣伝広告又は役務を紹介する記事が掲載されていることが認められる。
(エ)使用役務の販売数量
資料17によれば、請求人の売上高は、平成8年度から平成13年度まで平均して約2億5千万円以上であり、この種の商品の販売数量としては多い数と認められる。
(オ)他者による本願商標の使用の有無
甲第3号証、資料1ないし6によれば、長野県南安曇郡穂高町における指定役務に関する各種施設を営業しているのは請求人一社(一軒宿)であり、役務の提供者を示す標識として「中房温泉」の文字を使用しているのは請求人のみであることが認められる。
以上、(ア)ないし(オ)の事実を総合すれば、本願商標は、請求人によって、少なくとも昭和7年以降継続して役務「温泉入浴施設を伴う宿泊施設の提供,温泉入浴施設を伴う飲食物の提供,温泉入浴施設の提供」に使用された結果、「中房温泉」の文字よりなる本願商標は、請求人の業務に係る商標として、取引者、需要者に広く認識されるに至ったものと認められる。
してみれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、請求人によってその指定役務について永年使用された結果、需要者が請求人の業務に係る役務であることを認識することができるものと認められることから、同法第3条第2項に規定する要件を満たすものであるというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項により、これを登録すべきものとする。
その他、本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2003-11-27 
出願番号 商願2000-18186(T2000-18186) 
審決分類 T 1 8・ 13- WY (Z42)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大森 友子 
特許庁審判長 小林 薫
特許庁審判官 薩摩 純一
岩崎 良子
商標の称呼 ナカブサオンセン、チューボーオンセン、ナカブサ、チューボー 
代理人 横沢 志郎 

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