• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Z42
審判 全部申立て  登録を維持 Z42
管理番号 1087028 
異議申立番号 異議2003-68004 
総通号数 48 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2003-12-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-02-26 
確定日 2003-09-01 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第766874号商標の商標登録に対する登録異議の申立について、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第766874号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件国際登録第766874号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示すとおり、顕著に表示してなる「FARMACIA」の欧文字とそれに比べて若干小さく表示してなる「URBAN HEALING」の欧文字とを二段に横書きし、かつ、該文字の右上の少し離れた位置に薄青色を施してなる四角形(その左上隅には十字形が白抜きされている。)を配した構成よりなるものであり、2000(平成12)年3月21日付けでUnited Kingdomにおいてした商標登録に基づいて、2001(平成13)年5月23日を国際登録の日とし、2002(平成14)年9月20日付けの限定により、第42類「Pharmacy advice;medical clinics and surgeries.」をその指定役務として、平成14年12月6日に設定登録がされたものである。
2 引用商標
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第1400517号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ファルマシア」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和48年1月17日に登録出願、第1類「薬剤、その他本類に属する商品」を指定商品として、同54年11月30日に設定登録、その後、平成1年10月23日及び同11年11月9日の二度に亘る商標権存続期間の更新登録がされているものである。
同じく、国際登録第778919号商標(以下「引用商標2」という。)は、「PHARMACIA」の欧文字を横書きしてなり、2002(平成14)年1月14日付けでUnited Kingdomにおいてした商標出願に基づいて、2002(平成14)年2月20日を国際登録の日とし、2003(平成15)年4月22日付けの限定により、別掲(2)に示すとおりの「商品及び役務の区分」に属する商品及び役務を指定して我が国を事後指定国とするものである。
3 登録異議申立の理由の要点
(1)申立人は、本件商標が引用商標1及び2と称呼において類似し、かつ、本件商標の指定役務「Pharmacy advice;medical clinics and surgeries.」(薬局における助言、医業及び手術)と引用商標1の指定商品中「薬剤」及び引用商標2の指定商品中第5類「Pharmaceutical,veterinary and sanitary preparations;dietetic substances adapted for medical use,food for babies;plasters,materials for dressings;material for stopping teeth,dental wax;disinfectants;preparations for destroying vermin;fungicides,herbicides.」(薬剤・獣医科用剤及び衛生剤,食餌療法剤,乳児用食品,膏薬,包帯類,歯科用充てん材料,歯科用ワックス,消毒剤,有害動物駆除剤,殺菌剤,除草剤)とが類似するから、商標法第4条第1項第11号の規定に基づき、本件商標の指定役務の登録は、取り消されるべきであり、また、本件商標は、申立人の業務に係る商品及び役務と混同を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第15号の規定に基づき、その登録は取り消されるべきである旨述べ、その理由として以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証を提出した。
(2)商標法第4条第1項第11号について
(ア)称呼の共通性
本件商標は、上段に欧文字「FARMACIA」を配し、下段に約二分の一の大きさの欧文字「URBAN HEALING」を配し、それらの右上に十字を白抜きにした矩形図形を配してなるから、これより「ファルマシア」又は「ファーマシア」、あるいは、「ファルマシアアーバンヒーリング」、「アーバンヒーリング」、「アーバン」の称呼を生ずるものである。
他方、引用商標1は、片仮名文字の「ファルマシア」よりなるから、「ファルマシア」の称呼を生ずる。
また、引用商標2は、欧文字「PHARMACIA」よりなるから、これより「ファルマシア」又は「ファーマシア」の称呼を生ずる。
してみると、本件商標と引用商標1及び2は、「ファルマシア」の称呼を共通にする類似の商標というべきである。
(イ)本件商標の指定役務と引用商標1及び2の指定商品との類似
本件商標の指定役務は、第42類「Pharmacy advice;medical clinics and surgeries.」(薬局における助言、医業及び手術)である。
他方、引用商標1の指定商品は、第1類「薬剤、その他本類に属する商品」である。
また、引用商標2の指定商品及び指定役務中には、第5類「Pharmaceutical,veterinary and sanitary preparations;dietetic substances adapted for medical use,food for babies;plasters,materials for dressings;material for stopping teeth,dental wax;disinfectants;preparations for destroying vermin;fungicides,herbicides.」(薬剤・獣医科用剤及び衛生剤、食餌療法新人乳児用食,品、膏薬、包帯類、歯科用充てん材料、歯科用ワックス、消毒剤、有害動物駆除剤、殺菌剤、除草剤)が含まれている。
そこで、本件商標の指定役務「Pharmacy advice;medical clinics and surgeries.」(薬局における助言、医業及び手術)と引用商標1及び2の指定商品中の「薬剤」(Pharmaceutical preparations)とを比較すると、両者は下記の理由により類似関係にあるものということができる。
すなわち、
(a)少なくとも、「薬局における助言」と「薬剤」の販売とは同一の事業者によって行われるのが一般的であること、
(b)「薬局における助言」と「薬剤」の用途は、病気の治療又は予防の点で一致すること、
(c)「薬局における助言」の提供場所と「薬剤」の販売場所とは、いずれも薬局であって一致すること、そして、
(d)需要者の範囲が一致していること、
これらの点を総合すると、本件商標の指定役務中「Pharmacy advice」(薬局における助言)と引用商標1及び2の指定商品中の「薬剤」(Pharmaceutical preparations)とは類似するものといわなければならない。
したがって、本件商標は、引用商標1及び2と称呼において共通し、その指定役務も引用商標1及び2の指定商品と類似するから、商標法第4条第1項第11号に該当し、少なくとも、その指定役務中「Pharmacy advice」(薬局における助言)についての登録は、同法第43条の3第2項の規定により取り消されるべきである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
(ア)申立人と関連会社
申立人(ファルマシア アクチボラグ)は、スウェーデン国籍の製薬会社であり、世界の医薬品業界を代表する「ファルマシア・コーポレーション(Pharmacia Corporation)」の子会社である。
この親会社は、米国法人であった総合化学大手の「モンサント・カンパニー(Monsanto Company)」と、同じく、米国法人であった製薬大手の「ファルマシア・アンド・アップジョン(Pharmacia & Upjohn)」とが合併することによって、2000年4月3日に設立された米国法人であって、その傘下の企業によって構成される多国籍企業(ファルマシア・グループ)中には、ファルマシア・グループのブランド戦略拠点の役割を担う「グローバル・トレードマーク・センター」を擁し、グループ各社が世界各国で所有している商標権及びドメイン名の管理や権利行使等を司っている(甲第4号証)。
ファルマシア・グループは、イタリアのカルロエルバ社、米国のアップジョン社、同じく、G.D.サール社、同じく、モンサント社、スウェーデンのファルマシア社(申立人の前身)、同じく、カビヴィトラム社らが合併・提携等を経て構成された多国籍企業であって、医薬品・化学品・医療用具・試薬などの製造・販売、化学分野の研究その他の関連事業を営んでおり、その商品中には購入者が限定された専門性の高い商品のほか、一般消費者が購入する一般用医薬品やヘルスケア商品等も含まれている(甲第5号証及び甲第6号証)。
そして、当該グループは、現在60カ国以上に現地法人を有し、社員6万名を擁し、その2000年度連結売上高は、約181億米ドル(約2兆719億円)を超えている。
該グループ傘下の日本法人として、2001年1月に設立されたファルマシア株式会社が存し、同社は2001年9月時点で日本の製薬会社ランキングの20位にある。同社は、1973年にファルマシア株式会社として設立され、その後、合併等を経て、現在のファルマシア株式会社となったものである(甲第6号証及び甲第7号証)。
前述の親会社は、このほかにも世界各国で「PHARMACIA」を企業名に冠した60社以上の傘下関連会社を有している。
(イ)申立人商標
申立人は、遅くとも1911年に本国のスウェーデンにおいて、商標「PHARMACIA」を使用開始し、それ以来、当該商標を世界各地において継続使用してきた。
また、前述の親会社をはじめとするグループ傘下の企業も、申立人と同様に、世界各地において商標「PHARMACIA」を、それぞれの商品である医薬品・化学品・医療用具・試薬等に継続使用してきた。
したがって、当該商標は、専門性が高く消費者の限られた類いの商品のみならず、一般用医薬品や禁煙補助剤、のど飴といった一般消費者向けの商品にも使用され、その結果、「PHARMACIA」商標は、申立人、ファルマシア・コーポレーション及びその傘下の企業の商標として広く世界中において知られるに至った(甲第6号証及び甲第8号証)。
日本においては、遅くとも1973年に、「PHARMACIA」商標が使用されており、既に海外において申立人等が獲得していた当該商標の著名性と相俟って、「PHARMACIA」商標は、日本においても、医薬品はもちろんのこと、関連業界の内外において知られているものである。
因みに、日本において一般消費者に知られている申立人等の商品としては、禁煙補助剤の「ニコレット」がある(甲第9号証及び甲第10号証)。
申立人は、日本における登録第1362969号商標(商標「Pharmacia」旧第1類)及び同第1400517号商標(商標「ファルマシア」旧第1類)の商標登録を有しているほか、「PHARMACIA」の文字を含む「KABIPHARMACIA」「PharmaciaCAPSystem」など計15件の商標登録を有している。
さらに、申立人は、世界各国において商標「PHARMACIA」についての登録を有している。
(ウ)申立人の営業表示
申立人は、1911年の設立以来、「PHARMACIA」をその商号の略称として、本国スウェーデンをはじめとして世界各地において継続使用してきた。
また、前述の親会社と60社以上のその傘下企業もまた、申立人と同様に、「PHARMACIA」を商号の略称として世界各地で使用してきた。
日本においては、遅くとも1973年におけるファルマシア株式会社の設立以来、「PHARMACIA」商標が使用されており、既に海外において申立人等が獲得していた「PHARMACIA」という営業表示の著名性と相俟って、「PHARMACIA」は、日本においても、今日では、特に、医薬品業界において著名な営業表示となっている(甲第4号証ないし甲第13号証)。
(エ)本件商標と申立人の商標・営業表示との類似
本件商標からは、「ファルマシア」の称呼を生ずるところ、これは申立人等の著名な商標・営業表示である「PHARMACIA」の称呼「ファルマシア」と同一であるから、商標権者が本件商標をその指定役務「Pharmacy advice;medical clinics and surgeries.」(薬局における助言、医薬及び手術)について使用した場合、一般世人は、申立人との間に密接な営業上の関係を有するものと誤認し、申立人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれが極めて高いということができる。
(オ)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、その登録は商標法第43条の3第2項の規定により取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
(ア)先ず、引用商標2は、本件商標よりも後願であるから、引用商標2を引用して、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するということはできない。
(イ)次に、申立人は、本件商標の指定役務中「Pharmacy advice」(薬局における助言)と引用商標1の指定商品中の「薬剤」とが類似する旨主張しているので、この点について検討する。
本件商標の指定役務中の「Pharmacy advice」(薬局における助言)が如何なる役務かは必ずしも判然としないけれども、我が国においては、調剤を業として行うことができる唯一の有資格者である薬剤師に対して、国家試験による資格取得が義務付けられていること、調剤が薬局において薬剤師により行われる基幹的な役務であること、そして、それが広く知られていること、また、医薬分業(保険医療制度改正)に伴い、従来、病院薬局において専ら行われてきた外来調剤が保険調剤のできる薬局(いわゆる「街の薬局」)においても行われるようになってきたことで、街の薬局は、複数の薬剤師を必要とするようになってきていること等の点からすると、前記役務「Pharmacy advice」(薬局における助言)は、例えば、薬剤師が行う「調剤」及びその「服薬指導」を指すものと考えられる。
そこで、「Pharmacy advice」(薬局における助言)と「薬剤」とが類似するか否かについて検討するに、(a)「薬局における助言」と「薬剤」の販売とが必ず同一事業者によって行われるとは限らず、それが一般的ということもできないこと、(b)「薬局における助言」の提供場所(薬局)と「薬剤」の販売場所とが必ず一致するとはいえないこと、(c)「薬局における助言」の需要者と「薬剤」の購入者が必ず一致するとはいえないこと等の諸点を総合勘案すると、本件商標に接する取引者、需要者は、役務「薬局における助言」の出所(例えば、薬局)と商品「薬剤」の出所(例えば、製薬会社およびその販売会社等)とが同一であると誤認するとは考え難く、申立人提出の全証拠からも、その主張を裏付けるに足る客観的な証左は見出せないから、上記役務と商品とは非類似といわざるを得ず、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとの申立人の主張は妥当でなく、採用することができない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人は、申立人及びその親会社若しくは「ファルマシア株式会社」等によって構成される「ファルマシア・グループ」(以下「申立人等」という。)が引用商標1又は2を申立人等の業務に係る商品「薬剤」(Pharmaceutical preparations)等に使用し、本件商標の国際登録(2001[平成13]年5月23日)前より、海外のみならず、我が国において、広く認識されている旨述べているが、申立人提出の全証拠を徴するも、本件商標の国際登録時において、引用商標1又は2が申立人等の商品を表示する商標として直ちに認識される程に取引者・需要者間において広く認識されていたと認めるに足る証左は見出せない。
そうすると、本件商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者・需要者が、それより引用商標1又は2を連想・想起するようなことはなく、当該役務が申立人又は同人と何らかの関連を有する者の業務に係るものであるかの如く、その出所について混同を生じさせるおそれはないといわなければならない。
(3)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものでない。
よって、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、結論のとおり決定する。
別掲 【別記】


異議決定日 2003-08-11 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (Z42)
T 1 651・ 272- Y (Z42)
最終処分 維持  
前審関与審査官 高橋 謙司 
特許庁審判長 大橋 良三
特許庁審判官 鈴木 新五
井岡 賢一
登録日 2001-05-23 
権利者 Farmacia Chemists Limited
商標の称呼 1=ファルマシアアーバンヒーリング 2=ファルマシア 3=アーバンヒーリング 4=ファーマシア 
代理人 足立 泉 
代理人 森川 正仁 
代理人 中田 和博 
代理人 松永 宣行 
代理人 柳生 征男 
代理人 青木 博通 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ