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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Z32
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Z32
管理番号 1087009 
異議申立番号 異議2002-90803 
総通号数 48 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2003-12-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-11-14 
確定日 2003-10-22 
異議申立件数
事件の表示 登録第4594830号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4594830号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第4594830号商標(以下「本件商標」という。)は、平成10年8月11日に登録出願、「おいしい黒酢」の文字を横書きしてなり、第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」を指定商品として、同14年8月16日に設定登録されたものである。

2 当審における取消理由の要点
当審において、平成15年6月2日付で商標権者に対し通知した本件商標の登録取消理由は、要旨次のとおりである。
本件商標は上記構成よりなるところ、構成中の「おいしい」の文字は、「物の味がよい」の意味を有する語(三省堂発行「大辞林」)として親しまれており、また、構成中の「黒酢」の文字は、例えば、集英社発行「imidas 2003」によれば、「黒みがかった酢。玄米を原料とした色の黒い酢、あるいは玄米や米を原料としてつぼの中で発酵させる伝統的な方法で造られた酢をさすことが多いが、製造方法や使用原料、含有成分に公的な規格や基準はなくメーカーによってまちまち。」を意味する語として知られているものであるから、本件商標は、全体として「おいしい(味のよい)黒酢」の意味合いを容易に看取させるというべきである。そして、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の提出に係る甲第2ないし第19号証及び甲第22ないし第33号証によれば、「黒酢」は身体に良い成分を含んでいるといわれ、最近の健康志向ブームの中で需要が多く、黒酢そのものばかりでなく、黒酢を含む各種飲料が多数販売されているのが実情といえる。
してみれば、本件商標をその指定商品中の「黒酢入りの商品」に使用しても、該商品が「おいしい(味のよい)黒酢入りの商品」であることを認識させるに止まり、単に該商品の原材料・効能・品質等を誇称して表示するにすぎないものといわざるを得ない。また、本件商標を、上記商品以外の商品について使用した場合は、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の規定に違反して登録されたものである。

3 商標権者の意見
上記2の取消理由通知に対する商標権者の意見は、要旨次のとおりである。
(1)申立人の証拠の検討
甲第2ないし第19号証の証拠をもって、「黒酢」が飲料の原材料等として一般的であることを証明していることにはならない。甲第20、第21、第34ないし第40及び第47号証は、本件商標とは事案を異にするものである。甲第22ないし第25、第27、第30ないし第32、第41ないし46号証は、日付が不明であり、本件異議申立の証拠として採用することができない。第26号証は、「黒酢」又は「くろ酢」と書いた飲料が市場に実際に出回っていることを立証していない。甲第28号証からは平成14年1月に坂本醸造が黒酢飲料のOEM供給を始めた事実、甲第29号証からは日本生協連が平成14年2月より「黒酢」飲料を発売した事実、甲第33号証からは「ビネガードリンク」のマーケット事情、いわゆる「黒酢」を含む飲料が存在すること及び一定の市場を形成している事実が認められる。
(2)判断時
商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かの判断は、本件商標の登録審決時(平成14年5月7日)を基準にしなければならないが、取消理由はこの点を全く無視して認定している。
(3)原材料表示としての黒酢
本件商標出願時に「黒酢」と呼ばれる「酢」を飲料に使用していた業者は商標権者以外には殆どおらず、商標権者が大々的な宣伝を行うことにより「黒酢飲料」が世間一般に認知されるようになってきたと考えられ、「黒酢」を飲料の材料として使用することが一般化していたとは到底認められない。本件商標の登録審決時前後の事情としては、平成12年頃から健康ブームにのり、各社が一斉に「黒酢」入り飲料の投入を開始し、本件商標の登録審決時には相当数の黒酢入り飲料が販売され、平成14年頃に品質・原材料表示へと移行しつつあったと考えるべきである。
(4)本件商標の識別力
本件商標は、商標権者がその指定商品に初めて使用した商標であって、その登録審決時までは誰も使用していなかった。「酢」又は「酢を原材料とする飲料」については、「おいしい」という形容詞は普通に用いられるものではなく、「黒酢」と「おいしい」の語は容易に結合されない語とされていた。近年、ブランドの宣伝手法が話題となり「おいしい+普通名詞(品質表示)」の構成の商標が多数見受けられるが、この表示は、品質・原材料等を表示するものでなく一種のブランドとして用いられていることは明らかである。本件商標は、各構成部分の結合と現在の流行のネーミング手法として、自他商品の識別力が認められるものである。
(5)本件商標の独占適応性
本件商標は、本来の食品におけるネーミングの常識に反する構成を有し、かつ、誰も使用していなかった標章であるため、商標としての独占適応性を十分に備えているし、商標権者が本件商標を独占排他的に使用してもビネガードリンクの商取引には何ら問題を生じない。
(6)商品の品質の誤認について
少なくとも本件商標の指定商品中の「酢入りの清涼飲料、酢入りの果実飲料、酢入りの飲料用野菜ジュース、酢入りの乳清飲料」については、実際に「酢」入りの飲料であることから、商標法第4条第1項第16号に該当しない。
(7)使用による識別力の発生
本件商標は、ビネガー飲料のトップ企業である商標権者が出願時から現在でも使用し続けているため、現状で自他商品の識別力を発揮している。

4 当審の判断
(1)本件商標は、上記2の取消理由のとおり、その指定商品中の「黒酢入りの商品」に使用しても、単に商品の原材料・効能・品質等を誇称して表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであり、また、上記商品以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるというべきであって、これを論難する上記3の商標権者の意見は、以下の理由により採用することができない。
(ア)本件商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かは、本件商標の登録審決時を基準にして判断すべきであることは商標権者の主張のとおりである。しかして、申立人の提出に係る証拠によれば、本件商標の登録審決時には既に、黒酢を原料とした商品が存在しており、「黒酢○○」、「玄米黒酢10%入り」、「黒酢と○○で」等の表示が用いられ、商品の宣伝広告がされていた(甲第2ないし第15及び甲第18号証)と共に新聞、雑誌に紹介されていたこと(甲第16及び第17号証)が認められるほか、南日本新聞ニュース[2002/01/12] には「黒酢を生産販売する坂元醸造が黒酢飲料のOEM供給を始めた」との報道がされ(甲差異28号証)、株式会社コープニュースには「『鹿児島の黒酢ドリンク』=鹿児島県・・・で作られる天然醸造酢をリンゴ果汁ですっきり飲みやすくした。」との記述がされ(甲第29号証)、「2002年清涼飲料マーケティング要覧No.2」(甲第33号証)には、「ビネガードリンクは、健康酢を原材料に使用した清涼飲料である。ベースとなる主な健康酢は玄米黒酢、りんご酢、ぶどう酢、梅酢などが挙げられる。」と記述され、各社が「黒酢で元気」「○○黒酢」、「黒酢○○」等の表示を用いて2000年から2001年には市場に参入していたことが述べられていることが認められる。その他、甲第22ないし第25、第27、第30ないし第32、第41ないし46号証は、日付が必ずしも明らかでないとしても、各企業によって「黒酢」が飲料の原材料として用いられている事実を示すものであり、少なくとも、甲第25号証に示された飲料容器のキャップ部分には「20010409」の数字が刻印されており、2001年4月9日が賞味期限と推認されること、甲第27号証はインターネットのウェブサイトからのプリントアウトと認められるところ、その右下の数字からしてプリントアウトの日付が2002年11月18日と推認されること、同様に甲第30及び第31号証は2002年12月13日に、甲第32号証は2002年12月17日に、甲第41ないし第43号証は2002年12月13日に、甲第44ないし第46号証は2002年12月13日にそれぞれプリントアウトされたものと推認されること、これらのウェブサイトの記述からは「黒酢」が飲料の原材料表示として一般に使用されていることが認められるものである。そして、これらウェブサイトの記述内容からすれば、これらがプリントアウトされた日付以前の情報が含まれているとみて差し支えのないものである。
以上の事実によれば、本件商標の登録審決時においては、「黒酢」が飲料の原材料として普通に使用されており、その事実も一般に知られていたというべきであり、飲料について「○○黒酢」、「黒酢○○」等の表示が使用された場合、取引者、需要者は黒酢入りの飲料ないしは黒酢を原材料とした飲料であると認識し理解するというのが自然である。
この点に関し、商標権者も、平成14年1月に坂元醸造が黒酢飲料のOEM供給を始めたこと、日本生協連が平成14年2月より「黒酢」飲料を発売したこと、いわゆる「黒酢」を含む飲料が存在すること及び一定の市場を形成していることを認め、平成12年頃から健康ブームにのり各社が一斉に「黒酢」入り飲料の投入をしたと考えられ、本件商標の登録審決時には相当数の黒酢入り飲料が販売されていたと推定されるとし、「黒酢」の表示は平成14年頃に品質・原材料表示へと移行しつつあったと考えるべきとしている。
(イ)商標権者は、「おいしい」という形容詞は「酢」又は「酢を原材料とする飲料」について普通に用いられるものではなく、「おいしい」の語と「黒酢」の語を結合したところに本件商標の識別性があり、その独占適応性がある旨主張している。
しかし、飲料などの食品が味のよいことを表すために「おいしい」の語が使用されることは顕著な事実であり、「おいしい」の語と「黒酢」の語が結合されたことによって本来の意味を離れた特別な意味合いを生ずるものでもなく、「おいしい黒酢」の表示に接する取引者、需要者は「味のよい黒酢」の意味合いを看取するにすぎないというべきである。このことは、例えば、「古代への夢はおいしい黒酢になった」(甲第41号証)、「りんご風味のおいしい黒酢ですので飲みやすく、・・・」(甲第43号証)、「甘くておいしい黒酢です」(甲第46号証)等の記述からも首肯し得るものである。そして、かかる表示は誰でも使用を欲するものであって、唯一商標権者にのみ独占使用を許すべき性質のものではないというのが相当である。
そうすると、何ら特異な態様でもない「おいしい黒酢」の文字を普通に用いられる方法で書してなる本件商標は、単に商品の原材料・品質等を誇称して表示したものと認識されるに止まり、自他商品の識別力を有しないものというべきである。
(ウ)商標権者は、本件商標の登録審決時に「酢」を飲料の原材料とすることは一般に知られていたとし、本件商標の指定商品中の「酢入りの清涼飲料、酢入りの果実飲料、酢入りの飲料用野菜ジュース、酢入りの乳清飲料」については、実際に「酢」入りの飲料であることから、商品の品質の誤認を生ずるおそれはない旨主張している。
しかし、本件商標の指定商品には酢を原材料としない商品が含まれており、それらについて本件商標が使用されたときは、該商品が「黒酢」を原材料とする商品であるかの如く品質の誤認を生ずるおそれがあるというべきである。同様に、酢を原材料とする商品について本件商標が使用された場合であっても、上記のとおり「黒酢」が特定の品質を有する語として知られている以上、やはり品質の誤認を生ずるおそれがあるというべきである。
(エ)商標権者は、本件商標が使用による識別性を獲得したものである旨主張しているが、その事実を立証する証拠の提出もなく、本件商標については上記(ア)ないし(ウ)のとおり判断するのが相当であるから、到底その主張を認めることはできない。
(2)以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2003-09-01 
出願番号 商願平10-68642 
審決分類 T 1 651・ 13- Z (Z32)
T 1 651・ 272- Z (Z32)
最終処分 取消 
特許庁審判長 大橋 良三
特許庁審判官 小川 有三
富田 領一郎
登録日 2002-08-16 
登録番号 商標登録第4594830号(T4594830) 
権利者 タマノイ酢株式会社
商標の称呼 オイシイクロズ 
代理人 鈴木 正次 
代理人 涌井 謙一 
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