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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 121
管理番号 1086890 
審判番号 取消2002-30511 
総通号数 48 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-12-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2002-05-10 
確定日 2003-11-04 
事件の表示 上記当事者間における登録第2046281号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2046281号商標(以下「本件商標」という。)は、後掲1のとおりの構成よりなり、昭和60年3月7日に登録出願され、第21類「かばん類、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和63年5月26日に商標権の設定登録がされたものである。
そして、当該商標権は、平成10年6月23日に存続期間の更新登録されている。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中、「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,及びこれらに類似する商品」についての登録を取消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,及びこれらに類似する商品」(以下「請求に係る商品」という。)については、日本国内において継続して過去3年以上使用されていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、請求に係る商品についての登録を取消されるべきである。
2 弁駁の理由
(1) 本件商標の構成は、黒色で表した金床の図形とその下段に「ANVILHEAD」の欧文字を書し、また、その下段に「K.HOZUMI」の文字を小さく表し、更にこれ等の図形と文字とを楕円形状の輪郭で囲繞してなるものである。
(2) これに対し、乙第1号証ないし乙第3号証、乙第5号証、乙第7号証にみられる商標権者(被請求人)が使用している商標は、本件商標を構成する文字の中の一つである「ANVILHEAD」のみを「Anvil Head」の書体に変えて使用するものである。そして、本件商標を構成する他の図形、文字である「金床」及び「楕円形」の図形並びに「K.HOZUMI」の文字は削除されているものである。
本件商標を考察すれば、これを構成する「金床」及び「楕円形」の図形、「ANVILHEAD」並びに「K.HOZUMI」の文字は、それぞれを分離して使用できない一体不可分の連係を有して本件商標を構成しているとみられるものである。そしてそれぞれの図形、文字は独立して自他商品の識別機能を果し得るものであるから、被請求人の上記乙各号証にみられる商標のように「金床」及び「楕円形」の図形と「K.HOZUMI」の文字を削除し、「ANVILHEAD」の文字のみを抽出して、これを「Anvil Head」と変形して使用したとしても、商標そのものは大きく要旨を変更したものであり、本件商標の使用であるということはできない。
(3) 更に、乙第5号証の1ないし4の納品伝票における「AH」は本件商標の使用とは到底考えられない。また、乙第5号証の5ないし8の納品伝票における「アンビルヘッド」からは、本件商標を構成する図形及び文字は、見出すことはできないから、「アンビルヘッド」が本件商標の使用とは到底考えられない。
(4) 次に、乙第4号証、乙第6号証のラベル、下げ札に表された商標(後掲2)についてみると、まず、本件商標の「K.HOZUMI」の文字は削除され、「ANVILHEAD」の文字は本来あるべき個所の楕円形輪郭内の外に逸脱して、しかも、大きく「Anvil Head」と表わされている。残る「金床」及び「楕円形」の図形は該「Anvil Head」の文字の上段中程に小さく「Anvil Head」の文字からは切離されて表されている。このような商標は、本件商標と外観が著しく相違した商標の分離使用であることは明らかであり、また、本件商標を構成している「K.HOZUMI」の文字が削除されていることは、本件商標の要旨を変更するものである。
(5) 以上のとおり、商標権者(被請求人)の使用商標は、本件商標を構成する文字及び図形の一部を削除し、またこれらを分離変更したものであるから、被請求人の乙各号証にみられる商標が、本件商標の使用であると認めるわけにはいかない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証(枝番を含む。)を提出した。
1 本件商標の使用について
商標権者(被請求人)は、本件商標を本件審判請求日前3年以内に日本国内において、請求に係る商品中の「かばん類」について使用しており、これを証するため商品カタログ、業界紙、商品写真、取引伝票、及びインターネットホームページの写しを提出する(乙第1号証ないし乙第7号証)。
その使用態様は、本件商標と完全に一致しないが「Anvil Head」の文字と「金床」の図形とを使用している。
商標権者は、商取引において主として「アンビルヘッド」の称呼の生ずる「Anvil Head」を必ず使用している。
このように、商標権者が、本件商標を商品「かばん類」に使用する態様はいずれも社会通念上同一といえる範囲のものである。
2 証拠の説明について
(1) 乙第1号証の1ないし4は、商標権者が使用する商品カタログであり、商標は「Anvil Head」で商品「かばん類」について使用していることを示している。
(2) 乙第2号証は、商標権者が業界紙に広告を掲載したものである。この業界誌は「かばん類」「ベルト」の専門誌とはいえ、かばん類がその主たる対象商品である。
(3) 乙第3号証の1ないし4は、商標権者(被請求人)が製造販売する商品「かばん類」の写真である。いずれも「Anvil Head」の文字が素材に型押しで商標を表示している。
(4) 乙第4号証の1及び2は、商標権者が使用している商品の包装用箱に貼付するラベル及び商品に直接吊り下げる吊札である。
乙第4号証の1の包装箱の表面に貼付するためのラベル(後掲2)には、金床図形及び「Anvil Head」の文字が使用されている。
乙第4号証の2の吊札には、金床図形及び「Anvil Head」の文字ならびに裏面に商標権者のハウスマークならびに「IKETEI CO.LTD MADE IN JAPAN」の製造者表示と各種データ一の表示欄が設けられている。
(5) 乙第5号証の1ないし8は、商標権者が商標「Anvil Head」を使用した商品「かばん類」を販売した納品書控である。
商標権者の納品先の指定伝票では、品番・品名欄には商品番号とAHが記載されており、その「AH」は「Anvil Head」の語頭部分を略して表示したものである。また、商標権者の自社伝票は、品番欄と品名欄をそれぞれ設け、商品番号と「アンビルヘッド」とがそれぞれ記入されている。
いずれも商品番号とカタログとを対比すれば商標「Anvil Head」で商品は「かばん」であることが明らかである。
(6) 乙第6号証の1ないし3は、商標権者が製造し販売する商品「かばん」の写真である。乙第3号証で示す写真はカタログ用の写真であるので、商標の表示方法や包装形態が明瞭でないから、それを補足するための参考資料である。商標が型押し(素押し)されていること及びラベルや吊札に使用されている。
(7) 乙第7号証の1ないし4は、商標権者がインターネット上に掲示したホームページである。このホームページは、本件審判請求以前より閲覧可能のものであり(ホームページ開設日 平成11年8月)、それには商標権者並びに商品の紹介等が掲載されている。

第4 当審の判断
被請求人(商標権者)が、本件商標を請求に係る商品中、「かばん類」について所定の時期において使用していた事実を証明するものとして提出した乙第1号証ないし同第7号証によって、本件商標の使用を証明し得たものであるかについて検討する。
1 本件商標と使用商標について
本件商標は、後掲1のとおり、「金床」の図形、「ANVILHEAD」の欧文字、及び「K.HOZUMI」の文字を三段に配置し、これらを楕円輪郭線で囲繞した構成からなるものである。
これに対して、商標権者(被請求人)の提出に係るラベル及び下げ札(乙第4号証の1及び2)に表示された商標(以下「使用商標」という。)は、後掲2のとおり、楕円輪郭線で囲繞した「金床」の図形、「Anvil Head」の欧文字、及び「LIMITED EDITION」の欧文字を三段に配置した構成よりなるものである。
そこで、商標権者(被請求人)が各種かばんに使用する使用商標は、本件商標の使用に当たるか否かを検討するに、本件商標及び使用商標とは構成上において、使用商標に本件商標の構成中に存する「K.HOZUMI」の文字が表示されていないことに対し「LIMITED EDITION」の文字を付加していること、及び楕円輪郭線で囲繞する個所に本件商標との相違は認められる。しかしながら、本件商標及び使用商標は、同一態様といえる「金床」の図形と、前者は「ANVILHEAD」、後者は「Anvil Head」とする書体の差はあるもののその綴りを同一にする欧文字であって、この程度の書体の変更は、本件商標を構成する「ANVILHEAD」の文字部分の使用と認められるものである。
そして、本件商標と使用商標との構成にあっては、両者の「金床」の図形、及び「ANVILHEAD」又は「Anvil Head」の文字が強く印象・記憶されて、商取引の実際においての取引指標に資されるもの、すなわち自他商品の識別標識としての機能を果たす主要部であって、共に「金床の頭部」(アンビルヘッド)という観念、称呼を同じくするものである。
してみれば、本件商標と使用商標とは、その構成中、前者の「K.HOZUMI」の文字部分が名の頭文字と性を欧文字表記したものと、同じく、後者の「LIMITED EDITION」の文字部分が限定商品の意味合いを理解し、いずれの文字部分も附記的ものとして把握させるに止まるほか、これを含め前記した差異を有するとしても、商取引の実際において、登録商標が配列又は配置その他の態様について少なからぬ変更が加えられて使用されることを考慮に入れてみるべきであって、使用商標が本件商標の本質(商品の出所表示機能)を損なう程の使用とはいえないから、社会通念上同一のものというのが相当である。
2 使用事実について
被請求人の提出した乙各号証によれば、次の事実が認められる。
(1) 商品カタログ(乙第1号証の1ないし4)によれば、商標権者(被請求人)は、そのカタログに「Anvil Head」の文字を使用し、品番、価格、サイズを記載した各種かばんを紹介していること。
(2) 商品写真(乙第3号証の1ないし4)によれば、使用している文字が不明瞭な点も見受けられるが、各種のかばんに「Anvil Head」の文字を型押し使用していること。
(3) 納品書控(乙第5号証の1ないしの8)によれば、2001年12月21日ないし2002年3月4日の間に、(1)に記載されている品番と納品書の品番(品名)とが一致する商品が取引されたこと。
(4) ホームページ(乙第7号証の1ないし4)によれば、平成11年頃より、商標権者(被請求人)の紹介及びかばん等が紹介されていることが認められる。
3 まとめ
以上のとおり、商標権者(被請求人)は、本件商標と社会通念上同一の使用商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品中の「かばん類」について、使用していたものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、請求に係る商品について、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 <後掲>
1 本件商標




2 使用商標



(色彩については原本参照)
審理終結日 2003-06-06 
結審通知日 2003-06-11 
審決日 2003-06-25 
出願番号 商願昭60-22018 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (121)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉村 公一 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 高野 義三
茂木 静代
登録日 1988-05-26 
登録番号 商標登録第2046281号(T2046281) 
商標の称呼 アンビルヘツド、ケイホズミ、ホズミ 
代理人 中島 宣彦 
代理人 藤田 典彦 
代理人 藤田 邦彦 
代理人 福田 進 
代理人 真田 雄造 
代理人 尾原 静夫 

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