ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 111 |
---|---|
管理番号 | 1085388 |
審判番号 | 取消2000-31109 |
総通号数 | 47 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2003-11-28 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2000-09-20 |
確定日 | 2003-09-01 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第621209号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第621209号商標の指定商品中「民生用電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第621209号商標(以下「本件商標」という。)は、「SEARS」の文字を横書きしてなり、昭和37年2月23日に登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械機具(医療機械器具に属するものを除く)、電気材料」を指定商品として、同38年7月22日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 そして、本件審判の請求の登録は、平成12年10月18日にされたものである。 2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出している。 (1)本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、請求に係る商品についての登録商標の使用をしていないのみならず、本件商標を使用していないことについて、何ら正当な理由が存するものとも認められないから、商標法第50条第1項の規定によりその登録は取り消されるべきである。 (2)被請求人は、本件商標を「電気掃除機」に使用しているとして、乙第1号証ないし乙第4号証を提出しているが、該商品は旧第9類に属する「業務用電気掃除機」と思われる。 (3)乙第2号証は、株式会社フジテック(以下「F社」という。)に対する「COMMERCIAL INVOICE」(以下「インボイス」という。)であるが、同社の業務は自動車部品・用品、ゴム製品、機械油を扱うもので、家電製品の輸入・販売を業としていない(甲第3号証)。 (4)乙第3号証は、英文の「owners manual」(以下「取扱説明書」という。)であるが、同製品の容量は16GALLON(約60リットル)もあり、その9頁には「CAUTION(注意)」として、使用に際し「ear protectors」や「safety goggles」の着用の薦め、更に、19頁には「Sawdust(おがくず)」の収集についての説明があることから、本件商標の使用に係る「電気掃除機」は業務用のものであり、これは旧第9類(類似群コード・09E28)に含まれるものである(甲第4号証)。 3 被請求人の答弁 被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証を提出している。 (1)本件商標は、取消審判の予告登録日前3年以内に日本国内において、「電気掃除機」について使用されていたから、取消しの対象とはならないものである。 (2)乙第2号証のインボイスは、1999年(平成11年)2月9日付で、被請求人の販売子会社から日本国内の法人であるF社(住所:茨城県水戸市大塚町1874)に対して、商品「電気掃除機」が販売・輸出された事実を示すものである。そして、販売された「電気掃除機」には、乙第3号証の取扱説明書が同封・梱包され、F社に届けられている。 インボイス及び取扱説明書においては、商品「電気掃除機」を示す商標としては英文商標「CRAFTSMAN」が使用されていると同時に、取扱説明書では、大きく本件商標が示されている。 (3)乙第4号証の資料のように、被請求人は米国最大の小売企業であって、店舗販売のみならず、無店舗販売(カタログ販売・通信販売等)を広く行っている。そして、本件商標は、被請求人にとっては商号の要部であると同時に企業全体の信用・イメージを示す、いわゆるハウスマーク(企業商標)である。このようなハウスマーク(企業商標)を使用するに際しては、取り扱っている個別商品を直接示す商標としてではなく、取扱商品全体につき、他社の取扱いに係る商品と区別するために使用されるのが特性であって、殊に、販売標識として使用される場合には、かかる使用態様がむしろ一般的である。本件商標も「電気掃除機」に添付・梱包された取扱説明書において使用されることで、「電気掃除機」につき、他社の取扱いに係る商品と区別するという商標の機能を果たしている。 (4)請求人は、本件商標に係る掃除機の国内輸入者であるF社の業務が自動車部品・用品、ゴム製品、機械油を扱うもので、家電製品の輸入・販売を業としていない点を挙げている。 しかし、甲第3号証のタウンページの記載のみから、国内輸入業者の業務内容を特定することは客観的に不可能である。そもそも、営利法人にあっては定款記載の目的そのものに限らず、これに附帯する関連業務を行うことも目的の範囲内にあるとするのが確立された判例(大判昭13.2.7、最大昭45.6.24)であるから、ある製品の販売等を行う営利法人が他の商品の輸入・販売を行うことも当然に予定されるからである。このため、甲第3号証に基づく請求人の主張はその根拠を欠くものである。 (5)請求人は、当該「電気掃除機」は業務用のものであり、旧第9類に含まれると主張している。 たしかに、平成4年4月1日に施行された国際分類以前のいわゆる旧分類においては、「電気掃除機」は旧第11類、「業務用電気掃除機」は旧第9類に分類されていたと認められる。 しかし、本件商標が使用されている「電気掃除機」は、大規模な施設において使用され、かつ特殊な用途が予定された「業務用掃除機」ではなく、比較的大きな一般家屋において使用することができる「電気掃除機」であるから、旧第11類に属する「電気掃除機」と理解すべきである。 請求人は、取扱説明書から、掃除機の容量が16Gallonあり、使用に際してear protectorsやsafety gogglesの着用が薦められていること、sawdust(おがくず)の収集についての記載があることを指摘しているが、当該掃除機は、一般家庭のガレージや庭先でも使用されるものであるため、このような記載があるにすぎない。殊に、当該電気掃除機は、比較的家屋の規模が大きい米国内最大の小売業者である被請求人によって一般家庭向けに販売されているものであって、特殊な施設専用に販売されているものではない。 (6)以上から、本件商標は「電気掃除機」について商標権者自ら又はその販売子会社によって、本件審判請求予告登録前3年以内に使用されていたことが明かである。 4 当審の判断 被請求人の提出に係るインボイス(乙第2号証)によれば、これは、「SEARS INTERNATIONAL MAREKTING,INC」から「FUJITEC CORPORATION」宛に発行されたもので、いわゆる取引書類と認められるものであって、その日付は確認することができる。しかしながら、このインボイスには、「CRAFTSMAN VACUUMS ACCESSORIES」の表示はあるが、本件商標「SEARS」の表示はないから、これのみでは、本件商標を使用しているということはできない。 同じく、取扱説明書(乙第3号証)によれば、「CRAFTSMAN」のほか、本件商標「SEARS」が表示されていることは認められるが、これには印刷日等の表示がなく作成された時期が確認できないので、これのみでは、本件審判請求の登録前3年以内の期間内に、本件商標を使用しているということはできない。 さらに、インボイスと取扱説明書の関連性についてみると、インボイスに表示されている「CRAFTSMAN VACUUMS AND ACCESSORIES」中の「CRAFTSMAN」と取扱説明書に表示されている「CRAFTSMAN」が同一の商品であって、この取扱説明書が、インボイスに表示されている「CRAFTSMAN」の取扱説明書であるということを確認できるような表示(例えば、商品の型番が一致している等)は見当たらず、この双方の「CRAFTSMAN」が同一の商品を示すものであるということが確認できない。 そうすると、このインボイスと取扱説明書は、同一の商品のものであるということができない。 また、被請求人は、本件商標の使用に係る「電気掃除機」は一般家庭用の電気掃除機であると主張している。しかしながら、取扱説明書には、例えば、該製品の容量は16GALLONもあること、その9頁には「CAUTION」として、使用に際し「ear protectors」や「safety goggles」の着用の薦め、更に、19頁には「Sawdust」の収集についての説明等の記載があることからすれば、これらの記載内容は、「家庭用電気掃除機」の取扱説明書には通常見受けられない説明書きであるということができるから、本件商標の使用に係る「電気掃除機」は、たとえ、比較的大きな一般家屋で使用されることがあるとしても、その機能、構造、用途等からして、家庭用のものというよりは、業務用のものと判断するのが相当である。 そうすると、該商品は旧第9類に属する「業務用電気掃除機」と認められるものであり、本件審判の請求に係る指定商品には包含されない商品であるといわざるを得ない。 そして、「業務用電気掃除機」が旧第9類に属する商品であることは、被請求人も認めているところである。 以上のとおり、被請求人の提出に係る証拠をもってしては、インボイスと取扱説明書が同一の商品のものであることが確認できないことから、取扱説明書中の「SEARS」の表示のみでは、本件商標を使用しているとはいえないこと、本件商標の使用時期が明確でないこと及び使用に係る商品が本件商標の指定商品には包含されないものであることからすれば、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に、本件審判の請求に係る商品「民生用電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)」について使用していたものと認めることができない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定によりその指定商品中「結論掲記の商品」についての登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-04-02 |
結審通知日 | 2003-04-07 |
審決日 | 2003-04-21 |
出願番号 | 商願昭37-4438 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(111)
|
最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
大橋 良三 |
特許庁審判官 |
高野 義三 小川 有三 |
登録日 | 1963-07-22 |
登録番号 | 商標登録第621209号(T621209) |
商標の称呼 | 1=シアーズ |
代理人 | 鈴木 康仁 |
代理人 | 山田 行一 |
代理人 | アインゼル・フェリックス=ラインハルト |
代理人 | 加藤 義明 |
代理人 | 矢野 公子 |