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審決分類 |
審判 更新登録無効(全部) 商21条1項2号登録商標の不使用 無効としない 129 |
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管理番号 | 1085062 |
審判番号 | 審判1999-35230 |
総通号数 | 47 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2003-11-28 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 1999-05-18 |
確定日 | 2003-09-16 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1645090号商標の商標権の存続期間の更新登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第1645090号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示すとおり、「Wilson」の欧文字を横書きしてなり、昭和56年10月6日に登録出願、第29類「茶、コーヒー、ココア、清涼飲料、果実飲料、氷」を指定商品として、昭和58年12月26日に設定登録、その後、平成6年6月29日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。 2 請求人の主張 請求人は、本件商標の商標権存続期間の更新登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、と申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。 (1)被請求人提出の更新登録出願に添付した登録商標の使用事実を示す資料について (ア)被請求人(商標権者)である「ウィルソン スポーティング グッズカンパニー」(以下「ウィルソン社」ともいう。)は、本件商標の商標権存続期間の更新登録出願(商願平5―741936号:甲第2号証)時(平成5年12月24日)に提出した「登録商標の使用説明書」において、「東京都港区赤坂1―9―20 第16興和ビル」所在の「日本ペプシコーラ社」(以下「通常使用権者」ともいう。)を被請求人(商標権者)の通常使用権者であると述べ、かつ、登録商標の使用事実を示す資料として、当該通常使用権者が平成3年4月に作成した製品カタログ(写し)を添付しており、当該更新登録は平成6年6月29日になされている。 (イ)本件商標の商標権は、請求人であるペプシコ インコーポレーテッド(以下「請求人」又は「ペプシコ・インク社」という。)から被請求人であるウィルソン社へ平成5年5月17日付で譲渡による移転登録がなされている。 (ウ)してみれば、本件商標の更新登録出願人であった被請求人は、通常使用権者が本件商標の使用事実を示す資料として製品カタログ(写し)を作成した当時(平成3年4月)、未だ本件商標の登録権利者ではなかった。 (エ)そうすると、被請求人がその通常使用権者であると述べている「日本ペプシコーラ社」は、上記製品カタログ(写し)を作成した当時(平成3年4月)、本件商標の更新登録出願人(被請求人)の通常使用権者であり得なかったことが明白である。 (オ)さらに、本件商標の更新登録出願人(被請求人)は、当該更新登録出願に添付の上記登録商標の使用説明書において、当該更新登録出願当時、本件商標を使用中と述べている。 (カ)本件商標の更新登録出願人(被請求人)は、登録商標の使用事実を示す証拠として、平成3年4月に通常使用権者が作成した製品カタログ(写し)以外には提出しなかったことが当該更新登録出願の書類に徴して明らかである。 (キ)したがって、本件商標の商標権の存続期間の更新登録は、旧商標法第19条第2項ただし書第2号の規定に違反してされたものであるから、旧商標法第48条第1項第1号により無効とされるべきである。 (2)被請求人の答弁に対する弁駁 (ア)被請求人は、請求人による本件更新登録の無効審判請求については、訴えの利益がない旨主張しているが、当該主張は信義則に照らして認めることができない。 (a)請求人は、ソフトドリンクに関する営業を1982年以来今日に至るまで日本で行っており(甲第3号証)、被請求人が本件商標の更新登録出願時に提出した登録商標の使用説明書(甲第2号証)に添付の「製品カタログ(写し)」は、請求人の日本法人である日本ペプシコーラ社が作成したもので、それは同社がその扱いに係る請求人商品に関して作成した商品総合カタログであるから、そこに表示の商標「Wilson」は「PEPSI COLA」等とともに請求人の商標であった。 (b)さらに、1996年(平成8年)の飲料商品ガイド(甲第4号証)によると、日本ペプシコーラ社は、北は北海道ペプシコーラボトリング株式会社から南は沖縄ペプシコーラ社まで同一商品会社グループを形成し、請求人の商品を販売していたことが明らかであり、その中にスポーツドリンク「ウイルソン」があったことが明記されている。 (イ)被請求人は、北海道ペプシコーラボトリング株式会社に対し、平成10年6月4日付けで「Wilson」商標の使用について警告状を送付してきた(甲第5号証)。 したがって、請求人には、本件審判を請求する利益があることは明らかである。 (ウ)被請求人は、「更新の使用証拠が1991(平成3)年4月に作成されたものであっても、被請求人は、1993(平成5)年12月24日当時、当該更新の使用証拠に基づき営業広告活動をしていた。」旨主張しているので、当該営業(広告)活動の事実を明らかにした証拠を別途提出すべきである。 (エ)請求人は、本件商標を被請求人に譲渡する意思表示を一切していなかった。 (オ)本件商標の商標権の譲渡に関する基本契約(甲第6号証)は、請求人と被請求人(ウィルソン社)及び件外ウエスレイ、スポーティング、グッド、インコーポレーテッド(以下「ウエスレイ社」という。)の3者間で1985(昭和60)年5月17日に締結されたもので、それはウエスレイ社をウイルソン社に合併する契約であり、本件商標の商標権は、当該契約書のどこにも契約対象であるとは記載されていない。 (カ)したがって、請求人から被請求人への本件商標の商標権の移転登録は事実に反してなされた手続といわなければならない。 (キ)さらに、本件商標の使用事実を示す証拠として、被請求人が前記更新登録出願において提出した商品総合カタログ及び前記使用説明書(甲第2号証)における商品「清涼飲料」は、全て請求人及び日本ペプシコーラ社並びに、そのライセンスを受けた各ボトリング会社の製品であり、被請求人の商品は、一切存在していない事実が陳述書(甲第8号証)により明らかであるから、本件商標の更新登録は無効とされるべきである。 3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおり述べた。 (1)訴えの利益 更新登録無効審判は、訴えの利益がなければ、請求することができないことは、民事訴訟法の原則より明らかである。 本件商標は、被請求人の世界的に著名な商標であり、請求人により商標登録されるべきでないこと、また、無権原で、請求人が本件商標を使用することができないことは、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第15号及び同第19号、不正競争防止法第2条第1項第1号及び同第2号、同法第3条及び同法第4条の規定より明らかである。 よって、請求人には、本件審判請求をする原告適格がないことは明らかである。 (2)本件商標の使用について 請求人は、本件商標の更新は、1993(平成5)年12月24日に提出された商標権存続期間の更新登録願に添付された商品カタログが1991(平成3)年4月に作成されたものであり、1991年4月当時は、被請求人は商標権者でなかったため、更新の使用証拠として有効でない旨主張している。 しかしながら、請求人の主張に理由がないことは明らかである。 更新の使用証拠が1991年4月に作成されたものであっても、被請求人は、1993年12月24日当時、当該更新の使用証拠に基づき、営業・広告活動をしていたのであり、この時点では、被請求人が本件商標の商標権者であったのであるから、当該更新の使用証拠は、本件商標権者の使用としてみられることは、商標法第2条第3項の「使用の定義」より明らかである。 4 当審の判断 (1)利害関係の有無について (ア)職権による調査によれば、請求人は、本件商標と同一の態様の「Wilson」の欧文字を横書きしてなり、第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料,ビール製造用ホップエキス」を指定商品とする平成6年商標登録願第72858号を出願したところ、本件商標を引用した拒絶理由通知を受け、現在、審査に継続中である事実を確認し得た。 (イ)してみれば、請求人にとって、本件商標の存在が障害となっていることは明らかであり、請求人は、その障害を取り除くために、本件商標の存続期間の更新登録に対し、無効審判を請求する利益、すなわち、利害関係を有するものと判断するのが相当である。 したがって、この点に関する被請求人の主張は理由がないものというべきである。 (2)次に、本案に入って検討する。 (ア)請求人は、本件商標の商標権の移転登録が事実に反してなされた手続である旨主張し、証拠資料として商標権の譲渡に関する基本契約書(甲第6号証)等を提出しているが、商標権の譲渡が成立し、移転登録が既に完了しているものについて、譲渡の事実が存在せず移転登録の無効を求めるような事案の審理は、本件審判の対象とはなし得ないものであり、当審においては、本件商標の譲渡が適法になされたものと判断せざるを得ない。 (イ)請求人であるペプシコ・インク社は、本件商標の前商標権者(本件商標の商標権を被請求人に譲渡した者)であるから、同人と、その日本支社である日本ペプシコーラ社との間には、登録商標(すなわち、本件商標)の使用時期である平成3(1991)年4月当時、通常使用権契約が存在していたものと推認し得る。 (ウ)日本ペプシコーラ社が登録商標(すなわち、本件商標)を使用した時期である前記平成3年4月は、本件商標の商標権の存続期間満了日(平成5年12月26日)前3年以内の使用に当たるものであり、この時点では、本件商標の商標権について移転登録はされていなかった。 (エ)してみると、本件商標は、更新登録の出願(平成5年12月24日)前3年以内に、当時の商標権者であったペプシコ・インク社の通常使用権者と推認し得る日本ペプシコーラ社によって、商品「清涼飲料」に使用されたものであるから、本件商標の存続期間の更新登録に係る使用の要件は充当されており、本件商標についての商標権存続期間の更新登録出願手続きは、有効にされたと判断するのが相当である。 (オ)しかるに、請求人は、本件商標の使用を証する平成3年4月当時、被請求人と通常使用権者である日本ペプシコーラ社との間には、通常使用権契約が存在していない旨主張している。 しかしながら、上記のとおり、平成3年4月当時、被請求人は、そもそも本件商標の商標権者でなかったのであるから、被請求人と日本ペプシコーラ社の両者間に前記契約があろうはずがなく、当時、商標権者であった者、すなわち、米国法人ペプシコ・インク社との関係で、同社の日本法人日本ペプシコーラ社には、通常使用権の存在が優に推認し得る。 してみれば、平成3年4月当時、商標権者であった請求人の通常使用権者と推認し得る日本ペプシコーラ社の使用に係る書面を添付して、平成5年12月24日に、被請求人が行った本件商標の存続期間の更新登録手続きは有効にされていると判断されるから、この点に関する請求人の主張は理由がないものといわざるを得ない。 (3)したがって、本件商標に係る商標権存続期間の更新登録は、旧商標法第19条第2項ただし書の規定に違反してされたものではないから、旧商標法第48条第1項第1号により無効とすべき限りでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 本件商標 |
審理終結日 | 2003-04-16 |
結審通知日 | 2003-04-21 |
審決日 | 2003-05-06 |
出願番号 | 商願昭56-84138 |
審決分類 |
T
1
13・
72-
Y
(129)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 柴田 良一 |
特許庁審判長 |
滝沢 智夫 |
特許庁審判官 |
鈴木 新五 小池 隆 |
登録日 | 1983-12-26 |
登録番号 | 商標登録第1645090号(T1645090) |
商標の称呼 | ウイルソン |
代理人 | 柳生 征男 |
代理人 | 中田 和博 |
代理人 | 浅村 皓 |
代理人 | 足立 泉 |
代理人 | 浅村 肇 |
代理人 | 青木 博通 |
代理人 | 新田 藤七郎 |
代理人 | 小池 恒明 |