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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 113
管理番号 1083719 
審判番号 取消2001-30911 
総通号数 46 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-10-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2001-08-21 
確定日 2003-09-03 
事件の表示 上記当事者間の登録第2400452号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2400452号商標(以下「本件商標」という。)は、「FAUCHON」の欧文字を横書きしてなり、平成元年2月10日登録出願、第13類「手動利器、手動工具、金具(他の類に属するものを除く)」を指定商品として、同4年4月30日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中「手動利器、ブラシ類、金具」について取消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出している。
(1)本件商標は、その指定商品中「手動利器、ブラシ類、金具」については、過去3年以上商標権者によって使用された形跡がない。また、専用使用権者又は通常使用権者の登録もないため、不使用の商標であるから、その指定商品中「手動利器、ブラシ類、金具」について登録を取り消されるべきである。
(2)審判被請求人が提出した答弁書に対して以下のとおり弁駁する。
(ア)添付された写真を見ると、確かに、「包丁」の写真であり、そこには「FAUCHON」の文字も刻印されている。これに対して取引書類として提出された「消化仕入搬入伝票」をみると、伝票番号「7238」中には、本件商標が使用された商品であることを示しているのは品名「フォション モリブデン 三徳中」であり、この搬入数量は、僅か2本である。その他の品名は本件商標を使用した商品ではないと考えるのが自然である。なお、この伝票には受領印が押されていない。また、伝票番号「7163」については品名にて「フォション モリブデン 三徳/牛刀210/出刃135」との記述があるが、これは僅か5本のみ搬入している。このように提出された伝票からすれば、商品が搬入されたとする事実は7本のみと微小である。
(イ)被請求人は、答弁書の中で百貨店「高島屋」との取引形態は商品が売れたときにその分の代金を被請求人に支払うと述べている。したがって、搬入したものの全く売れない場合もあり、搬入した事実が常に取引された事実とはいえない。もし、提出された搬入伝票に示された包丁7本が売れた場合にはそれに対する高島屋からの売れたことを示す書類・入金書類等があるはずであるが、そのようなものが提出されていない状況よりすれば、本件商標は業務上の信用が化体しているというには不十分で、質・量的に十分に使用されているとはいえない。
(ウ)請求人は世界的に周知・著名な商標「FAUCHON」を所有している者で、被請求人が提出した写真によると、包丁に刻印された図形の文字及び「FAUCHON」の文字の組合わせは、請求人が使用している商標で、これについては商願2000-28605で出願をしているところである。この「FAUCHON」は造語でありフランス読みして「フォーション」と称呼されている事実及び「F」の図形と「depuis 1886」の文字よりすれば、この商標は請求人が出所であると考えるのが自然で、本件商標はこれらの図形等と組み合わせて使用している点よりすれば、本件商標と社会通念上同一の商標の使用ということもできない。
(エ)以上述べたとおり、本件商標は登録を維持するほどの業務上の信用は化体しておらず、被請求人より提出された証拠資料を鑑みても質的・量的に不十分な使用であり、また、同一商標を使用しているともいうことができない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として使用説明書を提出している。
(1)本件商標は本件審判請求の登録前3年間、その指定商品中「ほうちょう類」について、日本国内において使用されているので、本件審判請求には理由がない。
(2)本件商標の使用商品
(ア)本件商標は被請求人自身により「ほうちょう類」について使用されている。この使用説明書における商標の使用日は平成13年2月23日及び平成13年4月10日である。本件商標は添付した写真のとおり商品に使用されている。また、添付した取引書類である消化仕入搬入伝票に「フォション」の商標が使用されており、これは登録商標と異なっているが証拠の写真の信憑性を裏付けるものである。
(イ)高島屋と被請求人とのほうちようの取引の形態について説明すると、被請求人は、高島屋から商品納入の要請があったときは消化仕入搬入伝票を発行する。高島屋はこのときの納入した商品について代金を支払わず、納入した商品を店舗に展示して売れたときに、その分の代金を被請求人に支払うのである。
したがって、商品を納入しても全く売れないときは商品の代金は被請求人に支払われない。消化仕入伝票はこのような取引に用いられる伝票であって、百貨店では多く行なわれている。
このようなわけで、消化仕入搬入伝票は取引書類の一種である。商品の納入先である(株)ジェイアール東海高島屋は、JR名古屋駅前に完成したタワービル内にある高島屋の店舗の会社である。

4 当審の判断
1 使用説明書によれば、以下の事実が認められる。
(1)商標の使用の事実を示す書類である写真(4枚)には、使用商品(各2〜3本のほうちょう「三徳」)がそれぞれ撮影されている。そして、該ほうちょうには本件商標と社会通念上同一と認められる「FAUCHON」の文字が刻印されていることが認められる。
(2)伝票番号7238の消化仕入搬入伝票の写しによれば、品名欄に「フォション モリブデン 三徳中」、搬入数量欄に「2」、売価の欄に「単価7800、金額15600」、百貨店名「(株)ジェイアール東海高島屋」、取引先名「(株)和泉利器製作所」と記載され、「13年2月23日」に該百貨店「本カン」に搬入(販売)されたことが認められる。
(3)伝票番号7163の消化仕入搬入伝票の写しによれば、品名欄に「フォション モリブデン 三徳」「フォション モリブデン 牛刀210」「フォション モリブデン 出刃135」、搬入数量欄にそれぞれ「2」「2」「1」、売価の欄にそれぞれ単価「8000」「8000」「11000」、金額「16000」「16000」「11000」、百貨店名「(株)ジェイアール東海高島屋」、取引先名「(株)和泉利器製作所」と記載され、「13年4月10日」に、該百貨店「本カン」に搬入(販売)されていることが認められる。
2 前記1の事実によれば、商標権者により本件商標は、本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において、本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「ほうちょう」について社会通念上同一と認められる商標を使用していたと認め得るところである。
3 請求人は、該伝票には受領印が押されていないこと、商品が搬入されたとする事実は7本のみと微小であること、包丁に刻印されているのは図形と「FAUCHON」の組合わせであるから、社会通念上同一の商標の使用ということもできない旨主張している。
しかしながら、該消化搬入仕入伝票は、商品の取引書類として、何ら不自然なところは見出せないのみならず、写真に示された商品が取引の対象となっていることを伺わせるものである。また、該伝票に受領印がないことをもって、直ちに商品の納入がなかったものとはいえないし、搬入された商品が少ないとしても、そのことをもって、本件商標を使用したほうちょうが全く販売されていなかったということはできず、販売の規模はともかく、ほうちょうが販売の対象物として取り扱われて、そこに「FAUCHON」の商標が使用されていたことは、提出された資料を総合すればこれを認めることができる。
また、請求人は世界的に周知・著名な商標「FAUCHON」を所有している者で、包丁に刻印された図形の文字及び「FAUCHON」の文字の組合わせは、請求人が使用している商標で、請求人が出所である旨主張している。
しかしながら、本件商標は取消に係る指定商品中の「ほうちょう」について、被請求人が本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内で使用されていたことが認められることは前記認定のとおりであり、該図形及び「FAUCHON」の文字の組合わせの商標が請求人の出所を表すものであるとの主張は、商標権者が自己の登録商標を自己の生産した商品に付して使用していること前記のとおりであり、商標法第50条第1項の規定による本件審判の請求とは何らの関係を有しないものであるから、請求人の主張は失当というべきである。
したがって、請求人の上記主張はいずれも採用することができない。
4 以上のとおりであるから、本件商標は、その指定商品中本件取消請求に係る指定商品「手動利器、ブラシ類、金具」についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2003-03-24 
結審通知日 2003-03-27 
審決日 2003-04-22 
出願番号 商願平1-13784 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (113)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柴田 昭夫 
特許庁審判長 宮下 正之
特許庁審判官 小林 和男
高橋 厚子
登録日 1992-04-30 
登録番号 商標登録第2400452号(T2400452) 
商標の称呼 フォーション 
代理人 鈴江 武彦 
代理人 伊藤 浩平 
代理人 小出 俊實 
代理人 西村 雅子 
代理人 石川 義雄 

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