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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない Z25 |
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管理番号 | 1083700 |
審判番号 | 不服2001-7242 |
総通号数 | 46 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2003-10-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-05-07 |
確定日 | 2003-09-05 |
事件の表示 | 商願2000-40340拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「ChristianDoer」の欧文字及び「クリスチャンドエル」の片仮名文字を二段に併記してなり、第25類「被服,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」を指定商品として、平成12年4月17日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、フランスの著名な服飾デザイナーの名称であって、その後継者が婦人服等について広く一般に使用する著名な商標『ChristianDior』(以下「引用商標」という。)及び『クリスチャンディオール』に、外観及び称呼において類似するものであるから、これを本願指定商品について使用するときは、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)「Christian Dior」(クリスチャン・ディオール)の著名性について クリスチャン・ディオールは、戦後間もない1947年に発表した婦人服デザインのコレクション「ニュールック」によって一躍モード界で有名になった。この「ニュールック」は戦後の豊かなモードの時代への先鞭をつけたこと等によって歴史的な意義を有している。その後「Aライン、Yライン」などの新しいスタイルを創作し、戦後のモード界に大きな影響を与え、「モード界の王」とまで云われていた。また同氏はドレスのみならずファッション関連商品を幅広く手がけ、「大ディオール帝国」を築き上げた。同氏は1957年に急逝したが、イヴ・サンローラン、マルク・ボアン、ジャンフランコ・フェレ、ジョン・ガリアーノ等が主任デザイナーとなってその遺志は受け継がれている。 そして、日本においても、「Christian Dior」の商標が付された各種商品は、洗練された高品質の商品として一般需要者間に広く認識されており、本権商標権者の長年の継続的な努力によって、世界の超一流品としての極めて高い信用が日本においても形成されているものと認められるところ、その事実は、本願商標出願前に日本において出版された各種刊行物に、「Christian Dior」(クリスチャン・ディオール)ブランドが数多く紹介されていることからも明らかである。 その他にも、例えば、三省堂発行の「コンサイスカタカナ語辞典第2版」には、「ディオール」の見出しの下、「フランスの服飾デザイナー。1947年夏,画商から転じて、ニュールックと称しロング-スカートのモードをもって服飾界に登場。以後、Hライン、Aライン、Yラインなど数多くのモードを発表。」と、紹介されていること。 同様に、同社発行「コンサイス人名事典-外国編-」及び文化出版局発行の「服飾辞典」には「ディオール」の項が設けられ、「クリスチャン・ディオール」が紹介されていること。 また、研究社発行「英和商品名辞典」においても、「Dior」「ディオール」→「Chistian Dior」の項には、「フランスのデザイナーChristian Diorのデザインした婦人服、および同氏の後継者Marc Bohanのデザインした婦人衣料品・毛皮製品・子供服のブランド、その店、その関連会社が製造している香水・オードトワレ・化粧品・スキンケア用品のブランド。製品は米国その他多くの国でライセンス生産されており,また同社の指揮のもとに、皮製またはジャガード地のバッグ・宝飾品・時計・眼鏡枠・サングラス・靴・浴室用品その他種々のファッション商品が契約会社で製造され、同ブランドで市場化されている。…」と、記載されていること。 さらに、世界の一流ブランド品を紹介する各種刊行物、例えば、講談社発行「世界の一流品大図鑑’98」や、東京企画発行「世界のブランド大全集’95」等において、随所に「Christian Dior (クリスチャン・ディオール)」の商標が紹介されていることからも、前記商標の著名性が裏付けられるところである。 (2)商品の出所の混同について 本願商標は、前記のとおり、「ChristianDoer」及び「クリスチャンドエル」の文字からなるところ、商標の一般的な使用実態からみて、仮名文字部分と欧文字部分が、常に一体となって商品に附されて使用されるものとは限らないから、それぞれの文字部分が独立して自他商品の識別標識として認識される場合も少なくないものというのが相当である。 そこで、本願商標の構成中の「ChristianDoer」の文字と、引用商標「Chistian Dior」とを比較するに、両者は、看者にとって印象の強い前半部分の「Christian」の文字を同じくするだけでなく、後半部分の語頭の「D」と語尾の「r」の文字も同じくする態様からなるものである。そして、両者の差異も、後半部分の「oe」と「io」の違いだけであるところ、その差にしても「o」の文字を共通にし、僅かに「i」と「e」の文字の位置が入れ替わっているに過ぎないものであり、しかも、共に13文字構成という文字数の多い中での微差であることから、その差異も一見して直ちには認識し難いものであるから、両者は、外観上、相紛らわしいものである。 また、本願の指定商品である「被服,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」は、ファッション関連商品といえるものであり、引用商標が使用されている商品とも密接な関係を有するものである。 そうすると、本願商標が、その指定商品に使用された場合、取引者・需要者は、「Christian Doer」の文字部分に着目して、前記の著名な引用商標を連想・想起し、その商品がクリスチャン・ディオール又は同人と組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるといわなければならない。 したがって、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すべき限りでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-07-01 |
結審通知日 | 2003-07-04 |
審決日 | 2003-07-16 |
出願番号 | 商願2000-40340(T2000-40340) |
審決分類 |
T
1
8・
271-
Z
(Z25)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 柳原 雪身 |
特許庁審判長 |
大橋 良三 |
特許庁審判官 |
佐藤 達夫 富田 領一郎 |
商標の称呼 | クリスチャンドエル、クリスチャンドゥーアー |
代理人 | 肥田 正法 |