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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 121
管理番号 1081898 
審判番号 取消2002-30297 
総通号数 45 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-09-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2002-03-20 
確定日 2003-08-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第2249254号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2249254号商標の指定商品中の「かばん類、袋物、化粧用具」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2249254号商標(以下「本件商標」という。)は、「ティーズ」の片仮名文字を横書きしてなり、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉及びその模造品、造花、化粧用具」を指定して、昭和62年7月15日登録出願、平成2年7月30日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
1.請求理由
請求人の調査によると、本件商標は、指定商品中の「かばん類、袋物、化粧用具」について継続して3年間以上、日本国内において使用されていない。
よって、本件商標の指定商品中、請求に係る指定商品についての登録は、商標法第50条の規定により取消を免れないものである。
2.答弁に対する弁駁
(1)使用証拠として提出された納品書(控)(乙第6号証の2、乙第7号証の2、乙第8号証)、請求書(乙第4号証の1、乙第6号証の1、乙第7号証の1、乙第9号証の2)、領収書(乙第11号証)に記載されている表示は、「有限会社ティーズ」であって、本件商標「ティーズ」ではない。このような「有限会社ティーズ」の表示は、その態様から、「有限会社」と「ティーズ」に分離してとらえられるものとはいい難く、全体として一連に認識されるものであり、本件商標とは外観、称呼、観念を異にするものである。
したがって、これらの表示は、本件商標とは社会通念上同一性を欠くものであり、本件商標の使用とはいえない。
(2)本件商標の通常使用権者である有限会社ティーズ(以下「ティーズ社」という。)は、そもそも本件商標を商標的使用態様で使用しているとはいい難く、提出された証拠によれば、「有限会社ティーズ」の表示を単に社名表示(商号)として使用しているにすぎない。
すなわち、乙第4号証、乙第6号証ないし乙第9号証及び乙第11号証は、ティーズ社の納品書(控)、請求書及び領収書であるが、これらの書類には「有限会社ティーズ」という表示が存することは認められるものの、この「有限会社ティーズ」という表示は、かばん等の納品者、代金の請求者あるいは領収書の発行者を表示しているにすぎない。
したがって、これらの証拠から、本件商標が「かばん類,袋物,化粧用具」について使用されていることが客観的に証明されるとはいい難い。
特に、「有限会社ティーズ」の文字が、その上段に住所及び電話番号(乙第4号証、乙第6号証ないし乙第9号証)、あるいはその下段に同社の代表取締役である被請求人の氏名(乙第11号証)を伴っていることに鑑みれば、当該表示は全体として商号を表示したものと理解されるに止まると考えるのが妥当である。
(3)一般的に、「かばん類、袋物、化粧用具」に使用される商標は、例えば、かばん等の表面に小さく付されたり、あるいは、かばん等の内側やタグに付されたりするものである。したがって、これらの写真やタグの提出をもって、容易に本件商標の使用を証明できるはずである。提出された納品書や請求書は、ティーズ社が、品名欄に記載された商品を扱っていることを証明し得るにすぎず、本件商標がこれらの商品との関係で、商標として使用されていることについて、何ら客観的に証明するものではない。
(4)審決においても、「株式会社味工房」の文字が、郵便番号・住所・電話及びFAX番号と共に、指定商品に関する納品書に記載された「株式会社味工房」の表示は、全体として商号を表示したものと理解されるに止まり、登録商標「味工房」を指定商品に使用しているとは認められない旨判断したものが存在する(甲第1号証)。
(5)その他の証拠からも、本件商標が指定商品に使用されていることが客観的に証明されるとはいい難い。すなわち、乙第1号証及び乙第2号証は、被請求人がティーズ社に、本件商標の通常使用権を許諾したことを証明し得るにすぎない。乙第3号証及び乙第5号証は、ティーズ社と株式会社コムト(以下「コムト」という。)が、一定の取引関係を有することを証明し得るにすぎない。乙第10号証は、陳述人が展示会において、ティーズ社から商品を1点購入したことを証明し得るにすぎない。
(6)以上のとおり、被請求人の提出した各証拠によっては、被請求人又は通常使用権者であるティーズ社により、本件商標が請求に係る商品に、商標として使用されていることの客観的な証明はなされていない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第11号証(枝番を含む。)を提出した。
1.ティーズ社は、被請求人(商標権者)の個人会社であり、被請求人からティーズ社に対して、本件商標の通常使用権の設定がなされている(乙第1号証及び乙第2号証)。
2.ティーズ社は、取引書類にあたる2000年10月24日付請求書に本件商標と同一の商標を付して、取引先であるコムトに同月末日に交付しているが(乙第3号証の資料5、乙第4号証の1)、同請求書及び同納品書(乙第2号証の資料6、乙第4号証の2)の「品名」の項に「口金Bag」、「丸型トートbag」と記載され、その横にバッグの形状がイラストで記載されており、これらの商品がハンドバッグであり、指定商品である「かばん類」に属する「ハンドバッグ」についての請求書であることは明らかである。
3.ティーズ社は、取引書類にあたる2000年7月4日付請求書に本件商標と同一の商標を付して、取引先であるコムトに同月末日に交付しているが(乙第3号証の資料4、乙第6号証の1)、同請求書の品名の項に「ミンクポシェット」と記載されている。このミンクポシェットは小型の袋状の小物入れに肩紐をつけたものであり(乙第2号証及び乙第3号証)、指定商品である「袋物」についての請求書と解される。
4.ティーズ社は、取引書類にあたる2000年8月2日付請求書に本件商標と同一の商標を付して、取引先であるコムトに同月末日に交付しているが(乙第3号証の資料3、乙第7号証の1)、同請求書の品名1段目に記載されている「701313J」は、コムトが定めた品番であり(乙第3号証)、乙第5号証の1及び2の注文書に毛織物製の袋状の小物入れに肩紐をつけたもののイラストが記載されており、指定商品である「袋物」についての請求書と解される。
5.ティーズ社は、取引書類にあたる2000年6月30日付請求書(「納品書(控)」の誤記と認める。)に本件商標と同一の商標を付して、取引先であるコムトに同日に交付している(乙第2号証の資料5、乙第8号証)。
この請求書(「納品書(控)」の誤記と認める。)の品名の項に記載されている「701214J」もコムトが定めた品番であり(乙第3号証)、乙第5号証の1の注文書に、毛織物製の肩紐付きのバッグと同バッグの口を縛った状態のイラストが記載されており、指定商品である「袋物」に属する「信玄袋」についての請求書及び納品書に該当する。
6.ティーズ社は、取引書類にあたる2001年8月24日付納品書に本件商標と同一の商標を付して、取引先であるコムトに同月末日に交付している(乙第2号証の資料7)。同納品書に対応する納品書控及び請求書が交付されたことは明らかである(乙第9号証の1及び2)。なお、同納品書控えには商標が付されていないが、控えであったこともあり、ゴム印を押し忘れたにすぎず、取引先に交付する納品書には必ず同商標のゴム印が押されている。
この納品書控及び請求書の品名の項に記載されている「リング/リップスティックミラー」は、イラストと合わせて見れば、指にはめるリングに口紅を塗る際に用いる極小の鏡を装着したものであることが容易に判別するもので(乙第2号証及び乙第10号証)、指定商品である「化粧用具」についての納品書に該当する。
7.ティーズ社は、取引書類にあたる2001年11月16日付物品領収書に本件商標と同じ商標を付して、購入者である小椋由紀子に同日に交付しているが(乙第11号証)、同領収書の但書には、「リップスティックミラーリング」と記載されており、しかも、販売時に商品説明がなされたうえで領収書が交付されており(乙第10号証)、同購入者も前記のリップスティックミラーリングと同様のものと判別したうえで受領しており、指定商品である「化粧用具」についての領収書に該当する。
8.以上のように、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標の通常使用権者であるティーズ社が「かばん類、袋物、化粧用具」について本件商標を使用している。

第4 当審の判断
1.乙第1号証ないし乙第11号証を総合すると、以下の事実が認められる。
(1)ティーズ社は、貴金属・装飾品等アクセサリーの企画・デザイン及び販売、日用雑貨の販売などを目的として昭和62年7月21日に設立され、その代表取締役は被請求人(商標権者)である。
(2)ティーズ社は、2000年(平成12年)6月30日、2000年7月4日、2000年8月2日、2000年10月24日及び2001年(平成13年)8月24日に、コムトに対し、信玄袋、ポシェット、バッグ、リップスティックミラーリングを納品し、それらの代金について納品日と同時に請求書として発行した。
コムトは、上記商品のうち、2000年6月30日、2000年7月4日及び2000年8月2日に納品を受けた商品については、「製品納期2000年6月末日」とする「発注書(国内分)」及び「発注書(海外輸出分)」で注文した。
(3)ティーズ社は、2001年11月16日に、リップスティックミラーリングを購入した顧客(小椋由紀子)に対し、領収書を発行した。
(4)ティーズ社が発行した上記納品書、請求書には、「品名」、「数量」、「単価」、「金額」などの記載のほか、取引先の名称及び「東京都杉並区天沼3-6-34 TEL 3393-0836/有限会社 ティーズ」が記載されている。また、領収書には、「小椋様」(顧客名)、「¥4,300.-」、「リップスティックミラーリング」、「2001年11月16日 上記正に領収いたしました」などの記載のほか、「東京都杉並区天沼3-6-34 TEL 3393-0836/有限会社 ティーズ」が記載されている。
2.前記1.で認定した事実によれば、本件商標の通常使用権者と推認することができるティーズ社は、本件審判の請求の登録前3年以内に「信玄袋、ポシェット、バッグ、リップスティックミラーリング」を販売していたことが認められる。
3.そこで、被請求人が本件商標の使用であると主張する納品書、請求書及び領収書(これらをまとめて、以下「納品書等」という。)に記載された「有限会社 ティーズ」が、本件商標の使用に当たるか否かについて検討する。
納品書等に記載された「有限会社 ティーズ」は、その上段に該「有限会社 ティーズ」の住所、電話番号が記載されているところから、納品書等の発行者であることを表示したにすぎず、取引に係る商品の出所表示標識とみることはできない。仮に納品書等に記載された「有限会社 ティーズ」の文字をもって、取引に係る商品の出所表示標識と理解する場合があったとしても、該「有限会社 ティーズ」は、構成全体をもって商号を表示したと理解されるものであって、「ティーズ」の文字よりなり、特定の意味合いを理解させない本件商標とは、観念、外観及び全体の称呼において、明らかに相違するものであり、本件商標と社会通念上同一の商標と認めることはできない。
そうすると、本件審判の請求の登録前3年以内に、ティーズ社とコムト・小椋由紀子の間で、「信玄袋、ポシェット、バッグ、リップスティックミラーリング」の取引がなされたとの事実があったとしても、使用に係る商標において、本件商標と同一若しくは社会通念上同一と認められる商標が使用されていない以上、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その使用権者により使用していたということはできない。
他に商標権者ないし使用権者が、本件商標を請求に係る指定商品について本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において使用していたものと認め得る証拠は見あたらない。
4.以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国において、使用権者が本件商標を請求に係る指定商品のいずれかについて使用していることを証明したものとは認めることができない。また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていないものである。
したがって、本件商標は、その指定商品中「かばん類、袋物、化粧用具」についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2003-06-06 
結審通知日 2003-06-11 
審決日 2003-06-24 
出願番号 商願昭62-81219 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (121)
最終処分 成立  
前審関与審査官 吉村 公一浜島 一孔 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 高野 義三
茂木 静代
登録日 1990-07-30 
登録番号 商標登録第2249254号(T2249254) 
商標の称呼 ティーズ 
代理人 足立 泉 
代理人 青木 博通 
代理人 岡田 英子 
代理人 鈴木 正勇 
代理人 柳生 征男 
代理人 中田 和博 

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