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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 124 |
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管理番号 | 1080108 |
審判番号 | 取消2000-30714 |
総通号数 | 44 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2003-08-29 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2000-06-21 |
確定日 | 2003-06-23 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2212125号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第2212125号商標の「おもちゃ,人形,娯楽用具,運動具,楽器,演奏補助品,蓄音機,レコード,これらの部品及び附属品」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第2212125号商標(以下「本件商標」という。)は、「ROBOTEC」の文字を横書きしてなり、昭和58年6月13日に登録出願、第24類「おもちゃ、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成2年2月23日に設定登録されたものである。その後、平成12年3月7日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。 第2 請求人の主張(争点) 請求人は、結論と同旨の審決を求めると申立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第6号証を提出している。 1 請求人の調査によれば、少なくとも本件審判請求日前3年以内に日本国において「おもちゃ、人形、娯楽用具、運動具、楽器、演奏補助品、蓄音機、レコード、これらの部品及び付属品」について、本件商標を使用していない。 2 被請求人の答弁に対する弁駁 請求人としては、不使用について正当な理由があるとする被請求人の答弁は到底承服することができない。 (1)我が国の商標法は、使用されている商標の保護を本来の目的としているものであるから、商標権者が登録商標を使用することを保護の前提としているものである。したがって、一定の期間登録商標を使用していない場合には、保護すべき対象がないものと考えられ、そのような不使用の登録商標に対し独占的な権利を与えておくことは、第三者の商標選択の範囲を不当に狭める等の不合理が生ずるため、不使用による取消審判の制度が設けられたものである。 このような立法趣旨からしても、「不使用についての正当理由」は厳格に解釈すべきであり、特別立法により一定期間商標の使用が禁止されている場合や、商標権者が天災等により商標を使用することができなかった場合、手続の中断・中止の事由に該当するような事由が発生した場合等に限定されるべきものである。 被請求人が主張する正当理由には、被請求人の責めに帰すことができないやむを得ない事情もなく、本件商標を取り消すことが社会通念上被請求人にとって酷であるという理由も全く見出すことはできない。したがって、本件商標を使用していないことについて正当な理由があるとする被請求人の主張は到底容認することはできない。 (2)被請求人が証拠として提出した乙各号証によっても、被請求人の主張は信憑性を欠くものといわざるを得ない。 ア 乙第1号証ないし同第4号証には、いずれも商品名として「ロボテック」が記載されているが、乙第5号証及び同第6号証には「ロボテック」の記載は全くなく、これらに記載されている商品名はいずれも「バトルクロス」である。 イ 商品名として「ロボテック」が記載されている乙第1号証には、株式会社プレックスの社名は記載されているものの、株式会社プレックスによって作成された商品企画書と断定できるものはなく、また、乙第2号証ないし同第4号証は、被請求人の作成に係るものであること、これに対し、発信元が明記されている乙第5号証のファクシミリ及び刊行物として頒布された乙第6号証の「広報資料」には、「ロボテック」とは一切記載されずに「バトルクロス」のみが記載されている事実を総合的に勘案すれば、商品「おもちゃ」の商標として「ロボテック」の語が採用されたことが明らかであるとする被請求人の主張そのものは信憑性を欠くものといわざるを得ない。 ウ 被請求人が商品名として「ロボテック」を採用したとしても、遅くとも平成12年3月14日には、商品名を「ロボテック」から「バトルクロス」に変更したことが明らかである。 すなわち、乙第6号証は、被請求人が株式会社タカラ、株式会社トミー及びロボカップ国際委員会とともに創設した「ロボカップトイズ」に関する広報資料である。この広報には、被請求人らのロボットの試作機の商品名、発売予定日、仕様等が紹介されている。そして、商品名の欄を見る限り株式会社タカラにあっては「試作機仮称」と、また、株式会社トミーにあっては「仮称」と明記されているのに対し、被請求人の場合は「バトルクロス」とはっきり記載され、「仮称」の記載もない。 この乙第6号証の発行者は、被請求人、株式会社タカラ、株式会社トミー及びロボカップ国際委員会名であることは同号証の記載から明らかであり、しかも「この件に関する問合わせ先」として、被請求人にあっては「広報課」と明記されている。 したがって、商品名の欄に「バトルクロス」として当該広報に記載した事実は、少なくともこの広報発行日の平成12年3月14日以前に、被請求人は商品名を「バトルクロス」と変更(特定)したと解釈するのが合理的であるから、正当理由はこの時点で解消したものといわなければならない。 (3)更に、被請求人による乙第1号証ないし乙第4号証における「ロボテック」の表記は、商標法の趣旨からも、また、社会通念上も商標の使用と認めることはできない。 被請求人は、乙第1号証ないし乙第4号証に商品名として「ロボテック」と記載されている旨を主張するが、乙第1号証ないし乙第4号証に記載されているのは「ロボテック」のみではなく「新世紀ロボ」及び「バトルクロス」も併記されている。 これらの各商標はいずれもハウスマークのような代表的出所標識としての商標ではなく、「ロボテック」と同様に商品商標であること明らかである。 このように、1つの商品に複数の商品商標を記載するということは、商品名として採用を決定したということではなく、「ロボテック」は「新世紀ロボ」又は「バトルクロス」とともに商品名の候補の1つにすぎなかったと解釈するのが妥当である。 商標として使用を採択した(使用する意思を有していた)というためには、少なくとも商標の特定は絶対的に必要でなければならない。 もし、それら全てが商標としての使用が認められるのであれば、使用していない登録商標を全て記載することにより、記載されている登録商標は全て不使用による取消審判を逃れられることになってしまう。 かような使用方法は、社会通念上も許されるものではなく、商標法の趣旨にも反する使用方法といわなければならない。 第3 被請求人の主張(争点) 被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第6号証を提出している。 1 被請求人は、本件商標を商品「おもちゃ」について使用する具体的な準備をしており、本件商標を審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用していないことについて正当な理由があるものであるから、請求人の主張には理由がないものである。 2 乙第1号証は、被請求人の委託を受け、件外株式会社プレックスが作成した平成12年2月3日付商品企画書である。商品「おもちゃ」の商標として「ロボテック」「ROBOTEC」の語が採用されている。 3 乙第2号証及び同第3号証は、被請求人が作成した平成12年2月25日付新商品企画書及び仕様確認書であり、乙第1号証に記載されたおもちゃの企画を被請求人が採用し、この企画を進めていることを示すものである。ここでも、その商品名として「ロボテック」の語が採用されている。 4 乙第4号証は、被請求人が作成した平成12年3月1日付事業部商品化計画書であり、乙第2号証及び乙第3号証に示された企画及び仕様に則って、これを製品化するにあたり作成されたものである。商品「おもちゃ」の商標として「ロボテック」の語が採用されている。また、商品情報の発売予定日欄には「2000/12/10」との記載があり、2000年(平成12年)12月10日に向けて発売の準備を進めていることがわかる。 5 乙第5号証は、被請求人が平成12年6月16日に受信したファクシミリであり、乙第4号証に関する修正見積書である。乙第4号証に示す計画書により、商標「ロボテック」が採用された商品の製品化が進行していることを示すものである。 6 前記商品は、被請求人を含む大手玩具メーカー3社とロボカップ国際委員会とで創設した「ロボカップ・トイズ」の規格に準拠した製品として発売予定のものである。ここにロボカップ国際委員会(The RoboCup Federation)とは、ロボットによるサッカー世界大会を実現させ、ロボット・サッカーを利用して人工知能、ロボット工学などの研究・教育を推進するために設立された団体で、スイスのベルン市に非営利科学・文化団体(Non‐Profit Science and Cultural Corporation)として法人登記されたものである(乙第6号証)。また、「ロボカップ・トイズ」は、サッカーゲームを模した競技を行うために各メーカーが発売する統一規格のロボットおもちゃを指す商品ジャンルであり(乙第6号証)、この統一規格に準拠した製品であること示すために、個々の商品に「ROBOTEC」「ロボテック」の語を冠することを予定しているものである。 7 以上のことからみて、被請求人が、本件商標を商品「おもちゃ」について使用する具体的な準備をしていることは明らかであり、本件商標を審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用していないことについて正当な理由があるものである。 第4 当審の判断 1 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人は、その請求に係る指定商品のいずれかについて登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その指定商品に係る商標登録の取消しを免れない。そして、その使用していないことについての正当な理由としては、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が、地震、台風等の天災地変、放火、破壊等の第三者による不意打的行為、許認可手続の遅延、法令等公権力の発動等、その責めに帰すことのできない事情により、当該登録商標の使用をすることができなかった場合に限られると解される。 2 まず、被請求人は、本件商標の使用をしていない正当な理由がある旨主張しているので、この点について検討するに、平成12年2月3日付けの商品企画書である乙第1号証によると、「ロボテック」、「新世紀ロボ」、「バトルクロス」及び「ROBOTEC BATTLE CROSS」の文字が図形と共にタイトルとして記載され、ロボットおもちゃの図形、仕様説明文等が記載されている。そして平成12年2月25日作成の新商品企画書及び仕様確認書、平成12年3月1日付事業部商品化計画書である乙第2号証ないし同第4号証によると、その「商品名(仮)」欄に「ロボテック 新世紀ロボ バトルクロス」の名称が記載され、ロボットおもちゃの外形図、仕様、商品の特長、開発予定等が記載されていることが認められる。また平成12年3月14日付けのロボカップ・トイズに関する広報資料である乙第6号証によると、玩具メーカー3社と「ロボカップ国際委員会」(1995年にスイスのベルン市の非営利科学・文化団体として法人登記されている。)の統一規格に準拠した上記のロボットおもちゃと同種のロボットおもちゃについて、商標権者の試作機として「バトルクロス」の商品名で掲載されていることが認められる。 これらの事実及び被請求人の主張からすると、平成12年2月ないし3月ころに「ロボテック 新世紀ロボ バトルクロス」の商品名でロボットおもちゃを商品化するためその仕様等を決め企画されていたものと推測される。 しかして、本件商標を使用した上記ロボットおもちゃの商品化は、商標権者の営業上の都合により開発が進められているものであり、商標権者は、その責めに帰すことのできない事情により本件商標の使用をすることができなかったものということはできない。 その他、被請求人は、本件商標の使用をすることができなかった正当な理由を明らかにしていない。 したがって、被請求人は、本件商標について使用をすることができなかった正当な理由があったものと認めることはできない。 3 また、被請求人は、その請求に係るいずれの指定商品についても本件商標の使用をしていたことを何等証明していない。 4 してみれば、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件請求に係る指定商品のいずれかについて本件商標の使用をしていたことを証明し、又は、使用していなかったことについての正当な理由があったことを明らかにしていない。 したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定商品中「結論掲記の商品」についての登録を取り消すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-04-10 |
結審通知日 | 2003-04-15 |
審決日 | 2003-05-12 |
出願番号 | 商願昭58-54632 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(124)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 山口 烈、関根 文昭 |
特許庁審判長 |
宮下 正之 |
特許庁審判官 |
小林 和男 伊藤 三男 |
登録日 | 1990-02-23 |
登録番号 | 商標登録第2212125号(T2212125) |
商標の称呼 | ロボテック |
代理人 | 高田 修治 |
代理人 | 戸谷 雅美 |
代理人 | 安形 雄三 |
代理人 | 我妻 由佳子 |
代理人 | 小林 彰治 |