• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Z41
審判 全部申立て  登録を維持 Z41
審判 全部申立て  登録を維持 Z41
審判 全部申立て  登録を維持 Z41
審判 全部申立て  登録を維持 Z41
管理番号 1078582 
異議申立番号 異議2002-90505 
総通号数 43 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2003-07-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-07-29 
確定日 2003-06-11 
異議申立件数
事件の表示 登録第4560607号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4560607号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第4560607号商標(以下「本件商標」という。)は、「國際いけ花會」の文字を横書きしてなり、平成13年2月21日登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」を指定役務として、平成14年4月19日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由(要旨)
1.(1)商標法第4条第1項第7号について
「国際いけ花協会」及び「国際いけ花学院」(両者を併せていうときは、以下「本件協会・学院」という。)は、華道界(いけ花界)における超流派として確固たる地位を築いていることから、それと同一又は類似の本件商標をいけ花の教授に使用することは、華道界(いけ花界)における秩序を乱し害するものである。
(2)商標法第4条第1項第8号について
本件商標は、その出願日である平成13年2月21日及び登録日である平成14年4月19日のいずれの時点においても、登録異議申立人(以下「申立人」という。)が内外国を問わず永年広く使用してきた「国際いけ花会」、「国際いけ花協会」及び「国際いけ花学院」の名称と同一である。
(3)商標法第4条第1項第10号について
「国際いけ花」、「国際いけ花会」、「国際いけ花協会」及び「国際いけ花学院」(これらをまとめていうときは、以下「引用標章」という。)は、本件商標の出願日及び登録日のいずれの時点においても、いけ花の教授を認識させる商標及び名称として、華道界(いけ花界)に属する者並びに華道(いけ花)に関心を有する者の間で広く認識された、いわゆる周知商標及び名称である。一方、本件商標は、「国」及び「会」を旧漢字で書いてあるが、当用漢字では「国際いけ花会」であることは容易に把握理解できるものであり、同一の称呼及び観念を生ずるものである。したがって、本件商標と引用標章は、同一又は類似の商標であり、役務自体の同一性は疑うべくもない。
(4)商標法第4条第1項第15号について
本件協会・学院は、本件商標の出願日及び登録日のいずれの時点においても、華道(いけ花)の超流派として確固たる地位を有しており、華道界(いけ花界)に属する者並びに華道(いけ花)に関心を有する者が、本件商標に接すれば、申立人の本件協会・学院といけ花の教授の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるのみならず、申立人と組織的、経済的に何らかの関係がある者の業務に係る役務であると誤認混同を生ずるものである。
(5)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、その出願日及び登録日のいずれの時点においても、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、内外国を問わず需要者の間で広く認識されている引用標章と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用するものである。
2.したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号、同第15号及び同第19号に違反してなされたものであるから、その登録は取り消されるべきである。

第3 当審の判断
1.甲第2号証ないし甲第13号証及び甲第15号証によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)本件協会・学院は、大野典子(本名 岩城準子)によって、1955年(昭和30年)に創立された。また、昭和31年には、大野典子の永年にわたる「いけ花」の修業研鑽と「いけ花」の流派を越え、国際性豊かに個性を尊重し、独創的近代性を求め体得することを目的として「國際いけ花の會」が二十数名の発起人らによって創立された。
(2)「国際いけ花」なる言葉の採択理由について、大野典子は、その著書で「いけ花という言葉は、日本の長い伝統の中に生まれたもので、いけ花というかぎりは、どの流派もすべて包含した伝統芸術を表している、したがって、国際という言葉といけ花という言葉を合わせれば、国際という言葉が『現代』を表し、いけ花という言葉は『伝統』という意味を表わしている。つまり『国際いけ花』という言葉は、さまざまな深い意味を持つことができるのではないか」(甲第3号証の2)としている。
(3)その後、大野典子及びその活動母体である本件協会・学院は、生け花の教授、「国際いけ花」を講座名とする講座の開催、又は講演会の企画、運営、小冊子「國際いけ花」の発行、「国際いけ花」に関する展示会の企画、運営又は開催、内外国でのチャリティーいけ花展の開催等、長年にわたり幅広い活動をしてきた。
(4)國際いけ花教授資格者への教授証書は「國際いけ花會々長 大野典子」名で発行されてきた(甲第13号証)。
(5)1997年(平成9年)7月に大野典子が死亡したことは、多くの新聞で報道された。同人の死亡後、本件協会・学院は、故人の遺志により継続され、その組織は理事体制に変更され(甲第4号証の10、甲第10号証及び甲第12号証)、理事長には、大野典子の実弟である岩城肇が就任した。
(6)本件商標権者の一人である角田のり子は、1982年(昭和57年)の時点で「国際いけ花青森支部」の支部長の地位にあり、また、大野典子の死亡後は、本件協会・学院の常務理事に就任した。同じく本件商標権者の一人である藤井照子も、大野典子の死亡後は、本件協会・学院の理事に就任した。また、同じく本件商標権者の一人である池田富子は、大野典子の死亡後に開催された「国際いけ花協会 マダム大野を偲ぶ会」(1998年(平成10年)7月)において、本件協会・学院の教授として、生け花を披露した。
(7)平成13年9月に、「青森支部支部長 角田のり子、東京支部支部長 井上除子、ブラジル支部支部長 原沢周子」の連名をもって、「私共は、平成13年7月1日をもちまして、大野先生から戴いた無形の財産である『國際いけ花會』の免状を生かし、『國際いけ花會』として発足致しました。」なる案内状を「旧国際いけ花学院・国際いけ花協会 運営委員長 『國際いけ花會』代表 青森支部支部長 角田のり子」名で作成したところ、本件申立人から本件商標権者(但し、「高橋憲子」は前商標権者)に対し、平成13年11月13日付けで「國際いけ花會」の使用禁止を要求する通知がされ、さらに、同14年5月7日付けで本件商標の登録出願の取下げを要求する通知がされた。
2.乙第1号証ないし乙第11号証によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)平成12年7月15日の「平成12年度 第1回理事会」及び「特別会員全体会議」において、本件協会・学院の理事長であった岩城肇は、平成12年7月31日で理事全員が辞任すること、今後の運営体制については、当会議出席の会員で検討してもらいたい旨を通知し、その運営体制を統率する者に角田のり子を推薦した。
角田のり子は、同会議において、今後の運営体制として運営委員会の設定を提議し、運営委員長に選任された。岩城肇は、平成12年7月31日付けで本件協会・学院の「理事長」宛てに「理事退任届」を提出した。
(2)故岩城準子(大野典子)の遺言執行に関してなされた仲裁申立て事件において、遺言執行者たる申立人である下光軍二と相手方である岩城肇との間でなされた平成13年1月30日付け和解(合意)契約書中には、「国際いけ花学院・同協会(運営委員長角田のり子)」の記載がある。
また、故岩城準子の遺言執行者である下光軍二がその相続人に宛てた平成13年6月13日付け報告書には、「国際いけ花学院は平成13年6月9日付けで故岩城準子氏の遺贈を受けない旨の決議を行った」、「現在国際いけ花学院が占有している国際いけ花会館・・・は基本的に6月いっぱいで遺言執行者が引渡を受ける予定です。」なる記載がある。
(3)「出席者」を「角田のり子、藤井照子、池田富子」らとする平成13年6月23日付け「臨時会合・確認及び決定事項」には、「・相続人が反対していることを鑑み、遺贈は受けない事。・6月いっぱいで会館を退去すること。・今後の方針として・・・連合方式を取りやめ『国際いけ花會』とする。・免状の形式は『国際いけ花會』○○教授と教授名で出す。」などの記載がある。また、「國際いけ花會 会則」には、その第1条に「本会は、國際いけ花會と称し、支部の総合名称である。」との記載があり、また、同第2条には「本会は、『國際いけ花會』教授免許有資格者の相互協力によって、国際いけ花の発展を図ることを目的とする。」との記載がある。さらに、付則として「この会則は、平成13年7月1日から施行する。」との記載がある。
(4)角田のり子は、平成13年9月に、「『國際いけ花會』代表」名で、岩城肇ほか3名に対し、財団法人化できない旨の通知が文化庁からあり、今後は、大野典子の個人で行っていた国際いけ花の事業を引き続き行っていく上で、遺産である国際いけ花会館の使用ができなくなったので国際いけ花会館を相続人に返すこと、7月1日からは大野典子からもらった財産である「國際いけ花會」の免状を生かし活動を開始することなどを内容とした書状を送った。
3.前記1.及び2.を総合すると、本件協会・学院は、故大野典子が、流派を越え、国際性豊かな現代的生け花を達成することを目的として昭和31年に創始した名称であり、本件商標の登録出願前より、生け花の教授等の分野の需要者の間で広く認識されていたものと認められること、本件協会・学院は、平成9年7月7日に大野典子が死亡した後は理事体制を採用し、同人の実弟である岩城肇が理事長に就任したが、同人は、平成12年7月31日をもって本件協会・学院の理事を辞任したこと、岩城肇は、理事長の辞任に際し、その後の本件協会・学院の運営を平成12年7月15日の理事会等の出席者に一任したこと、その後、本件協会・学院は、運営委員会の体制を採り、運営委員長に青森支部支部長であり、常任理事であった角田のり子が就任したこと、運営委員会は、その活動名称を「國際いけ花會」とし、該「國際いけ花會」は、「國際いけ花會」教授免許有資格者の相互協力によって、国際いけ花の発展を図ることを目的とするものであること、免状の形式は、「国際いけ花會」○○教授と教授名で発行するが、該「国際いけ花會」は、故大野典子が國際いけ花教授資格者に発行していた教授証書に使用された「國際いけ花會」の名をそのまま踏襲する形となっていることなどが認められる。
そうすると、本件協会・学院は、大野典子の死後、組織及び代表者の変遷を経たが、商標権者の一人である角田のり子が運営委員長として就任した後も、活動の基本においては、故大野典子氏の遺志を継いだ国際いけ花の発展を図ることを目的として、故大野典子氏が創始した「國際いけ花會」を使用して活動するものであるということが窺い知れるところである。
4.商標法第4条第1項第7号について
前記3.で認定した経緯よりすると、本件商標の登録出願日である平成13年2月21日には既に、本件協会・学院の代表者は、本件申立人の代表者である岩城肇ではなく、商標権者の一人である角田のり子であったこと、また、同じく商標権者の一人である藤井照子及び池田富子は、本件協会・学院の運営委員会の構成員と認められ、これら商標権者は、故大野典子の遺志を継ぎ、国際いけ花の発展を図ることを目的として本件商標の登録出願を行ったものと認められるから、本件商標を出願し、登録を受けることについて、何ら社会の一般的道徳観念に反するものではなく、また、華道界(生け花界)の秩序のみならず、公正な取引秩序を乱すおそれがあるものともいえないから、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標ということはできない。
5.商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第15号及び同第19号について
本件商標は、商標権者の組織する本件協会・学院の活動のための使用するものであるから、他人の著名な名称ということができないし、他人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似する商標、若しくは他人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがある商標いうこともできない。さらに、本件商標は、前記した本件協会・学院の経緯からみれば、不正の目的をもって使用するものとも認めることはできない。
6.むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号、同第15号及び同第19号にに違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2003-05-26 
出願番号 商願2001-20443(T2001-20443) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (Z41)
T 1 651・ 271- Y (Z41)
T 1 651・ 222- Y (Z41)
T 1 651・ 25- Y (Z41)
T 1 651・ 23- Y (Z41)
最終処分 維持  
前審関与審査官 金子 尚人 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 高野 義三
茂木 静代
登録日 2002-04-19 
登録番号 商標登録第4560607号(T4560607) 
権利者 池田 富子 藤井 照子 角田 のり子
商標の称呼 コクサイイケバナカイ、イケバナカイ、コクサイイケバナ 
代理人 網野 友康 
代理人 網野 友康 
代理人 初瀬 俊哉 
代理人 鈴木 均 
代理人 網野 友康 
代理人 鈴木 均 
代理人 鈴木 均 
代理人 初瀬 俊哉 
代理人 初瀬 俊哉 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ