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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 101 |
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管理番号 | 1078460 |
審判番号 | 審判1999-30459 |
総通号数 | 43 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2003-07-25 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 1999-04-14 |
確定日 | 2003-06-02 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2391259号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第2391259号商標(以下「本件商標」という。)は、「エーエル」の片仮名文字を横書きしてなり、平成1年6月6日に登録出願、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)、薬剤、医療補助品」を指定商品として、同4年3月31日に設定登録され、その後、指定商品については、指定商品の書換登録申請がされ、その商品及び区分は第1類「化学品,植物成長調整剤類」及び第5類「薬剤」として、同14年8月21日に登録されたものである。 そして、本件審判の請求の登録は、同11年5月19日にされたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、本件商標の指定商品中「薬剤」について取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由及び弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び第2号証(請求人は「審判便覧」を甲第1号証として提出しているが、甲第2号証とした。)を提出している。 1.請求の理由 請求人が調査したところによれば、本件商標が、日本国内で、指定商品中「薬剤」について、継続して3年以上使用された事実を認めることができなかった。 よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に基づき、その指定商品中「薬剤」について、その登録は取り消されるべきものである。 2.答弁に対する弁駁 (1)本件商標は、カタカナ文字「エーエル」であるのに対し、証拠資料で使用されている文字は、欧文字「AL」若しくはカタカナ文字「エーエル」と欧文字「AL」の二段併記の構成よりなるものであるから、本件商標と実際に使用されている文字は、事実上相違しているものと言わなければならない。 しかるに、被請求人が本件商標の使用に相当するとした欧文字「AL」は、特定の意味を有さないアルファベット文字2字からなるものであり、単なる記号・符号の使用の範囲に相当するものであるから、本件商標の使用の範囲に相当しないものである。 また、カタカナ文字「エーエル」と欧文字「AL」の二段併記は、その構成文字中、本件商標「エーエル」を含むものではあるが、その態様からすれば、「エーエル」の文字は、単に欧文字「AL」の読み仮名として使用されたものと理解するに止まり、かつ、本件商標「エーエル」のみを使用したものとは認められないものであるから、この態様をもって、本件商標の適正な使用に相当するものではないと言わなければならない。 (2)被請求人の答弁理由からすれば、カナあるいはロ一マ字が併記されてなる登録商標で、その一方のみの使用の場合、併記の登録構成(例えば、カナと口一マ字からの称呼が一対一に対応していない場合)等により当該商標の使用と認められない場合も考えられるが、他の文字や図形等が付記された登録商標の使用に当っては登録商標の同一性が損なわれない限りは、登録商標の使用が認められるべきであるとのことであるが、証拠資料で使用されている登録商標「エーエル」と欧文字「AL」の称呼が必ずしも一対一に対応しているとは言えない。 すなわち、欧文字「AL」からは「エーエル」の称呼だけではなく、「アル」等の称呼をも生じるものと認められる。 (3)また、欧文宇2字「AL」は、これを単体で出願した場合、登録要件を満たさないものとして、すなわち、商標法第3条第1項第5号に該当するとして、拒絶されるものであるから、欧文字「AL」と登録商標「エーエル」とは、両者の商標の同一性について検討する以前に、単なる記号と識別力のある造語という点で、商標の質が本質的に相違している。 更に、欧文字「AL」及び本件商標「エーエル」は、特定の観念を想起させ得るものではないから、これらは観念上の同一性が認められるものではないと言わなければならない。 請求人は、上記理由を援用するため、特許庁編集の「審判便覧」中、「53 商標登録取消審判 a.登録商標の使用と認められる事例、b.登録商標の使用と認められない事例」の頁(甲第2号証)をここに添付する。 (4)してみれば、本件商標は、被請求人が述べているような 「他の文宇や図形等が付記された登録商標の使用に当っては登録商標の同一性が損なわれない限りは、登録商標の使用が認められるべきである。」とする主張は、本件商標に付記された欧文字「AL」と、本件商標「エーエル」の同一性が損なわれている以上、登録商標としての使用に相当しないものと言わなければならない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1ないし第21号証(枝番を含む。)を提出している。 1.被請求人は、本件審判の請求が登録された予告登録日(平成11年5月19日)はもとより、請求された平成11年4月14日以前から、本件商標を家庭園芸用農薬(殺虫剤その他)に使用している。 乙第1ないし第5号証(農薬登録票及び農薬要覧99(日本植物防疫協会出版))及び乙第6ないし第21号証(ラベル及びラベルの注文書・請求書、ラベルに表示されている版番は印版の作成年月を表わす。)によって、商品ならびに使用の事実を立証する。 2.本件商標「エーエル」の使用に際し、「AL」が付記されていることは、本件商標の使用に何ら影響するものではない。仮に、「AL」の付記により本件商標「エーエル」が登録商標の使用として認められないならば、極論的には、使用態様の全てについて商標権を確立しておかなければならなくなる。 力ナあるいはローマ字が併記されて成る登録商標で、その一方のみの使用の場合、併記の登録構成(例えば、力ナとローマ字からの称呼が一対一に対応していない場合)等により当該商標の使用と認められない場合も考えられるが、他の文字や図形等が付記された登録商標の使用に当たっては登録商標の同一性が損なわれない限りは、登録商標の使用が認められるべきである。 証拠資料ラベルに示されるごとく、本件商標は登録商標「エーエル」がそのまま表示されているものであり、たとえ「AL」が付記されていても何ら影響するものではない。本件商標が使用されていることは明白である。 3.以上のとおり、本件商標は本件審判請求の予告登録日前3年の商標法50条所定の期間において、指定商品「薬剤」について使用を継続しているものある。 第4 当審の判断 1.請求人は、本件商標は「エーエル」であるのに対し、実際に使用されているのは、「AL」若しくは「エーエル」と「AL」の二段併記の構成よりなるものであるから、同一性が損なわれており、本件商標の使用に相当しない旨主張しているが、被請求人の提出に係る乙第6ないし第9、第11、第12、第15及び第17ないし第21号証(枝番を含む。)中のラベルによれば、これらのラベルは「薬剤」の範疇に含まれる殺虫剤等の農薬に用いられるものであり、そこには、「AL」との二段併記であるとしても、本件商標と同じ片仮名文字の「エーエル」が使用されているものである。 また、これらのラベルには、「エーエル」と「AL」とが二段併記された表示の前に「アブラムシ」「ケムシ・アオムシ」及び「花用」の文字を配置して「アブラムシエーエル/AL」「ケムシ・アオムシエーエル/AL」及び「花用エーエル/AL」(いずれも「エーエル/AL」の部分は二段併記の表示)(乙第6ないし第9、第11及び第12号証)と表示されたものもあり、このような文字配列の使用態様の場合にあっては、これに接する取引者、需要者は、「アブラムシ」「ケムシ・アオムシ」及び「花用」の文字部分を当該殺虫剤の適用害虫の範囲等と理解するもの、すなわち商品の用途を表したものとして理解し認識するものというべきであるから、「エーエル」の文字部分が商標として機能する部分と認識し、これをもって商品を識別する場合があるものとみるのが相当である。 そうすると、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が使用されていたものということができる。 2.また、これらのラベルには、本件商標の使用に係る商品(殺虫剤等の農薬)の製造者として、被請求人の名称が表示されていることが確認できるものである。 3.次に、上記1.の乙各号証中のラベルの注文書・請求書についてみると、これらは、被請求人が発注した注文書及び被請求人宛ての請求書であって、いわゆる取引書類に当たるものであり、その日付は、本件審判の請求の登録前3年以内であることが確認できるものである。 そして、ラベルの注文書・請求書とラベルの関連についてみると、各ラベルに対応したラベルの注文書・請求書であることが認められる。 4.以上を総合すると、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品である「薬剤」の範疇に含まれる「殺虫剤等の農薬」について、被請求人によって使用されていたものと認められる。 したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、請求に係る指定商品について、その登録を取り消すべき限りでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-04-08 |
結審通知日 | 2003-04-11 |
審決日 | 2003-04-23 |
出願番号 | 商願平1-63989 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(101)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 中村 欽五、深沢 美沙子 |
特許庁審判長 |
大橋 良三 |
特許庁審判官 |
高野 義三 小川 有三 |
登録日 | 1992-03-31 |
登録番号 | 商標登録第2391259号(T2391259) |
商標の称呼 | エーエル |