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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 003
管理番号 1078318 
審判番号 取消2001-30985 
総通号数 43 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-07-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2001-09-04 
確定日 2003-05-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第3236332号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3236332号商標(以下「本件商標」という。)は、「RANCE」(Eの上部にはアクサンテギュが付されているが、以下「RANCE」という。)を文字を書してなり、平成4年6月1日に登録出願、第3類「せつけん類,香料類,化粧品,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用漂白剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」を指定商品として、同8年12月25日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張及び弁駁の概要
請求人は、「本件商標は商標法第50条の規定により、その指定商品中「せっけん類,化粧品」についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び弁駁を概要次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出している。
(1)被請求人は、本件商標を、日本国内において、その指定商品中「せつけん類,化粧品」について、現在まで継続して3年以上使用していない。また、本件商標については、登録原簿上専用使用権者及び通常使用権者は存在しない。
(2)被請求人は、前商標権者であるイタリアの「ランチェ エ シー エッセ エッレ エレ」社から商標権を譲り受けたポルトガルの会社であり、本件商標権の管理をしている会社で前商標権者であるイタリアの「ランチェ エ シー エッセ エッレ エレ」社は、現在は被請求人の関連会社として、被請求人より本件商標の使用をする権利を受けている関係にある旨述べているが、被請求人が「ランチェ エ シー エッセ エッレ エレ」社に本件商標の使用許諾をしていることは、提出された証拠から認められない。
また、「ランチェ エ シー エッセ エッレ エレ」社が被請求人に本件商標の使用許諾を受けた者でないため、本件商標権と何ら関係を有しない「ランチェ エ シー エッセ エッレ エレ」社と「株式会社クリエーションアルコス」が商品の販売を行っても、なんら本件商標の使用の事実に該当しない。
しかも、被請求人は「株式会社クリエーションアルコス」が「ランチェ エ シー エッセ エッレ エレ」社の輸入総発売元である旨述べるが、単に「輸入発売元」と記載されたイタリアの店舗の写真(乙第2号証)が添付されているのみで、法的な書類は提出されていないから、「株式会社クリエーションアルコス」が「ランチェ エ シー エッセ エッレ エレ」社の総発売元である事実は認識できない。
また、「ランチェ エ シー エッセ エッレ エレ」社が「RANCE」の日本語名であり、真に商品が「ランチェ エ シー エッセ エッレ エレ」社から輸入されているのであれば商品名も「ランチェ」と称されることが自然であるが、乙第1号証等において証明されている商品はすべて「ランチェ」ではなく「ランセ」と表記されており、商品が真に「ランチェ エ シー エッセ エッレ エレ」から輸入されているか疑わしく、関連性も認識できない。
乙第5号証は、日本における販売店の様子を撮影した写真であるが、商品、商標、販売店、販売時期が不明である。
乙第6号証では、「香水」の「ランセ」が紹介されているが、販売者が不明である。
乙第9号証では、「セフォラ・エーエーピー・ジャパン(株)」に対する納品書控え等の伝票が提出されているが、発行者が不明であり、伝票中の「RAN2」は本件商標を示すものとは認識できない。
上記のとおり、被請求人が本件商標の使用許諾をしている事実はどこにもなく、日本において使用権者によって販売されている事実も示されていない。
したがって、被請求人が、本件商標を審判請求前3年以内に、その指定商品中「せつけん類,化粧品」について使用した事実はないから、本件商標の登録は、その指定商品中「せつけん類,化粧品」についてを取り消されるべきである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を概要次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第19号証を提出している。
(1)被請求人は、本件商標を、その指定商品中、「せっけん類,化粧品」について、本件審判の請求の登録前3年以内に使用している事実がある。
本件商標が付された「せっけん類、化粧品」は現在、輸入総発売元である「株式会社クリエーションアルコス」(乙第1号証)によって、イタリアの「RANCE&C.s.r.l」社より輸入され、日本において販売されているものである。「株式会社クリエーションアルコス」は、主に香水や化粧品などの企画開発や輸入をその業務とする企業であり、現在はイタリアの「RANCE&C.s.r.l」(ランチェ エ シー エッセ エッレ エレ)社の扱う「RANCE」ブランドの日本における輸入総発売元となって、本件商標を付した各商品「せっけん類、化粧品」を発注し、同社より納品を受け、その商品は千葉パルコ5Fにある「コスメティック ナビ by ローズマリー」において販売されていたものである。(乙第2号証ないし乙第8号証)
なお、被請求人「BAYEUX TRADING E INVESTIMENTOS LDA」(バイヨー トレーディング エ インヴェスティメントス エル デ アー)は、前商標権者であるイタリアの「RANCE&C.s.r.l」から商標権を譲り受けたポルトガルの会社であり(平成10年6月8日移転登録;甲第1号証)、本件商標権の管理をしている会社である。そして、前商標権者であるイタリアの「RANCE&C.s.r.l」は、現在は被請求人の関連会社として、被請求人より本件商標の使用をする権利を受けている関係にある。そして、日本においては現在、上記の「株式会社クリエーションアルコス」が被請求人より本件商標の使用をする権利を受けているイタリアの「RANCE&C.s.r.l」の「RANCE」ブランドの輸入総発売元となっていることから、「株式会社クリエーションアルコス」が日本における本件商標の実質的な通常使用権者と言うことができる。
乙第2号証は、「株式会社クリエーションアルコス」が日本において本件商標が付された商品を販売するために使用するカタログの写しである。
本件商標は、ボディケア製品のライン、香水、アロマテラピー製品、アロマテラピー効果を取り入れたバス製品、高級香水のラインの各商品に使用されており、これらの商品は、本件指定商品である「せっけん類,化粧品」に該当するものである。
カタログに見られる本件商標の使用態様は、「RANCE」単独のもののほか、創業の年である1795年を表した「1795」の文字とともに付されているもの等様々なものがその商品の形状等に合わせて付されているが、いずれも本件商標と社会通念上同一と言えるものであることは明らかである。
乙第3号証は、2000年5月25日付の「株式会社クリエーションアルコス」からイタリアの「RANCE&C.s.r.l」社宛の本件商標を付した各商品「せっけん類、化粧品」の発注書である。該発注書には、上記カタログに付された「RANCE“ MARSEILLE”」ラインの各商品の品番(乙第2号証)が記載されており、上記カタログ掲載の各品番に対応する各商品が発注されたことが客観的に明らかである。
乙第4号証は、かかる発注に基づいてイタリアの「RANCE&C.s.r.l」社から「株式会社クリエーションアルコス」に各商品が納品されたことを証明する2000年6月7日付けの納品書である。かかる納品書には、納品書目体に「RANCE」の文字が付されているほか、「RANCE」の文字を含む上記カタログ(乙第2号証)に付された商品の各品番が記載されており、上記カタログ記載の各品番に対応する各商品が納品されたことが客観的に明らかである。
乙第5号証は、これらイタリアの「RANCE&C.s.r.l」社から「株式会社クリエーションアルコス」に2000年6月7日付けで納品された商品が、千葉パルコ5Fにある「コスメティック ナビ by ローズマリー」において、2000年7月1日から販売されていた事実を証明する写真である。
乙第6号証は、平成12年9月25日に有限会社パルファムによって発行された業界誌「PARFUM」のNO.115における記事であり、そこには「RANCE FEMME」の香水が大きく掲載されているほか、『千葉パルコ 5Fの「コスメティック ナビ by ローズマリー」のランセコーナー』のように紹介されている写真があることからも、かかる販売の事実は明らかである。さらに、記事中には、「香水の他にも100%天然素材を原料とした石鹸など多様類にわたるボディーケア商品があります」との記載があることからも、本件商標が香水以外の商品に使用されていることも明らかである。
乙第7号証は、同様に2000年10月12日に、イタリアの「RANCE&C.s.r.l」社から「株式会社クリエーションアルコス」に上記カタログ記載の各品番を有する各商品が納品された事実、乙第8号証は、2000年10月24日に、上記カタログ記載の各品番を有する各商品が納品された事実を証明する納品書である。かかる納品書には、納品書目体に「RANCE」の文字が付されているほか、「RANCE」の文字を含む上記カタログに付された商品の各品番が記載されており、上記カタログ記載の各品番に対応する各商品が納品されたことが客観的に明らかである。
以上のように、本件商標が付された商品は、千葉パルコ5Fにある「コスメティック ナビ by ローズマリー」で販売されていたほか、2001年12月31日で日本における全店舗の営業活動を終了した「セフォラ・エーエーピ-・ジャパン株式会社」等にも納品し、「セフォラ」の各店舗で継続的に販売されていたものである。
乙第9号証は、「株式会社クリエーションアルコス」から「セフォラ・エーエーピ-・ジャパン株式会社」へ各商品を平成12年4月5日から平成13年7月31日まで継続的に上記カタログ記載の各商品を納入していたことを証明する納品書の控である。かかる各納品書に記載の品名のうち、「RAN2」は、乙第2号証のパンフレットに記載の香水「RANCE 2」(ランセ2)を略したものであり、また、「B/S GEL 200ML」の記載は、品番「9003」の「ランセ 2 バス&シャワージェル」、「BDY CRM」の記載は、品番「9004」の「ランセ 2 ボディクリーム」、「EDP 125ML」の記載は、品番「9011」の「ランセ 2 オーデ パルファン」、「EDP 75ML」の記載は、品番「9001」の 「ランセ 2 オーデ パルファン」、「RAN TUBEROSE SOAPSET」の記載は、品番「111」の「ランセ クリームソープ チュベローズ」、「RAN LAVENDER FLOWER SOAP」の記載は、品番「282」の「ランセソープ ラベンダ一」、「ランセ バス&シャワージェル」の記載は、品番「9003」の「ランセ 2バス&シャワージェル」、「ランセ ソープ ガーデニア、チコベローズ、フリージア、ゼラニウム、ミュゲ」の記載は、それぞれ品番「110」「111」「112」「113」「229」の各商品、「ランセ ソープ スイートローズ、ラベンダー、ロイヤルコロン」の記載は、それぞれ品番「281」「282」「283」の各商品、「ランセ2 バスシャワージェル200ml」の記載は、品番「9003」の「ランセ2 バス&シャワージェル」の各商品を表している。これらの商品が略記されて使用されるのは、通常見られる取引の実情であり、これらの納品書の控によって、本件商標が付された上記カタログ記載の各商品が取引されていたことは客観的に明らかである。
なお、セフォラにおいて販売されていた事実は、上記業界誌「PARFUM」に「ランセ2シリーズのオーデパルファン、バス&シャワージェル、ボディークリームはセフォラでも販売しています。」との記事があることからも明らかである(乙第6号証)。
また、乙第10号証は、2001年4月11日付の「株式会社クリエーションアルコス」からイタリアの「RANCE&C.s.r.l」社宛の本件商標を付した商品「フレグランスソープ」の発注書であり、乙第2号証のカタログ記載の「PERFUMED SOAPS(フレグランス ソープ)のうち、品番「281」の「ランセ ソープ ローズ」と品番「282」の「ランセ ソープ ラベンダ一」がそれぞれ、96個、192個発注されたことが明らかである。
乙第11号証は、かかる発注に基づいてイタリアの「RANCE&C.s.r.1」社から「株式会社クリェーションアルコス」に納品されたことを証明する2001年5月16日付けの納品書である。かかる納品書には、納品書目体に「RANCE」の文字が付されているほか、上記発注書によって発注された品番「281」の「ランセ ソープ ローズ」と品番「282」の「ランセ ソープ ラベンダ一」がそれぞれ、96個、192個納品されたことが明らかである。
以上のように、本件商標が付された商品は「セフォラ」の各店舗においても継続的に販売されていたものである。
その他、「株式会社クリエーションアルコス」は「恵比寿ロータリークラブ」へ平成13年7月3日に「ランセ 石けん チュベローズ」を27個、「ランセ 石けん ミュゲ」を23個納入した事実もある(乙第12号証)。
なお、乙第13号証は、講談社発行の雑誌「VOCE」2000年12月号であり、その124ページには、上記カタログ記載の品番「8011」「ランセドンナオーデパルファン100が輸入総発売元である「株式会社クリエーションアルコス」とともに紹介されている。
乙第14号証及び乙第15号証は、それぞれ、2001年1月5日、2002年1月20日発行の学習研究社発行の雑誌「香水図鑑2001年版」及び「香水図鑑2002年版」であり、上記カタログ記載の各商品「RANCE FEMME」「RANCE2」「RANCE DONNA」「RANCE HOMME」が輸入総発売元である「株式会社クリエーションアルコス」とともに紹介されている。
以上の本件審判請求登録前に発行された乙第13号証乃至乙第14号証の雑誌からも、本件商標が日本において「株式会社クリエーションアルコス」によって、その請求に係る指定商品中「香水」について使用されていたことは明らかであり、また、乙第15号証の雑誌からも、2002年の現在でも引き続き「香水」について使用されていることも明らかである。
以上述べたとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録日である平成13年9月21日(平成13年10月3日の錯誤)前3年以内に、被請求人の通常使用権者と認められる「株式会社クリエーションアルコス」によって、その請求に係る指定商品中「せっけん類,化粧品」について使用されていたものである。

4 当審の判断
被請求人の提出した乙各号証をみるに以下の事実が認められる。
(1)「RANCE&C.s.r.l」と被請求人は、本件商標を含む「RANCE」商標の商標権の譲渡契約について、それぞれの代表者によって、1997年11月6日及び同年11月6日付けで通読し、承諾し、署名した。
該契約書の条項中第1条1.1には、「本契約において譲受人に対し、イタリア共和国、サンマリノ共和国及びバチカン市を除く全世界における、商品区分第3類(香料類)に関わる、当該商標の完全かつ単独の所有権、並びに結果として生じるすべての権利及び負担を付与し、かつ移転するものとし、譲受人はそれを承諾するものとする。」、また同条1.3には、「譲渡人は本日から5年間にわたり、既存の海外顧客に対し関し「RANCE」商標を付した自社商品の全ての販売を継続する権利を有する。」と規定されていることからすれば、「RANCE&C.s.r.l」は、当該譲渡契約日(1997年11月6日)から5年間にわたり、日本を含む海外顧客に対し本件商標について、商標権者より使用許諾を受けていたものであり、本件商標の通常使用権者と認められる。
(2)さらに、乙第18号証の「RANCE&C.s.r.l」社の代表取締役Mr.Felice D’Eliaの確認書により、「RANCE&C.s.r.l」社は、日本におけるディストリビューター(輸入総代理店)として「株式会社クリエーションアルコス」に、本件商標を商品の販売、広告に使用することについて許可を与えていることが確識でき、乙第4号証の「RANCE&C.s.r.l」社から株式会社クリエーションアルコスへの納品書が示すとおり、「株式会社クリエーションアルコス」が本件商標を付した商品を「RANCE&C.s.r.l」社より輸入、販売していることがを認められるものである。
(3)乙第6号証は、雑誌「PARFUM」(有限会社パルファム 編集発行 平成12年9月25日発行)のコピーであり、その16頁には「世紀を越えたブランドRANCE」というタイトルで、「ランセ ファム オーデパルファン 50ml ¥8,500 100ml ¥12,000 お問い合わせ先 (株)クリエーションアルコス」との紹介記事がある。また、乙第14号証は、「2001年版 香水図鑑 GAKKEN」であり、34頁に「RANCE 2」「ランセ 2」オーデルパルファン 125ml 11,000円 クリエーションアルコスと掲載されている。
これらを総合すれば、本件商標の通常使用権者「RANCE&C.s.r.l」社は、日本におけるディストリビューター(輸入総代理店)である株式会社クリエーションアルコスを介し、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を「香水類」に使用していたと認められる。
以上のとおり、被請求人は、本件審判請求予告登録日前3年以内に継続して日本国内において、通常使用権者により本件取消に係る指定商品に含まれる「香水類」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していることを証明したと認められる。
したがって、本件商標の指定商品中「せっけん類,化粧品」についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2003-03-18 
結審通知日 2003-03-24 
審決日 2003-04-15 
出願番号 商願平4-118620 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (003)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 八木橋 正雄中村 俊男 
特許庁審判長 小林 薫
特許庁審判官 薩摩 純一
岩崎 良子
登録日 1996-12-25 
登録番号 商標登録第3236332号(T3236332) 
商標の称呼 ランス、ランセ 
代理人 田中 克郎 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 中村 敦子 
代理人 岡田 英彦 
代理人 池田 敏行 
代理人 福田 鉄男 
代理人 岩田 哲幸 

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