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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 030 |
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管理番号 | 1078163 |
審判番号 | 取消2002-30491 |
総通号数 | 43 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2003-07-25 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2002-05-07 |
確定日 | 2003-05-12 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第3245602号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第3245602号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,みそ,ウースターソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,角砂糖,果糖,氷砂糖,砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ,ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,化学調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,サンドイッチ,すし,ピザ,べんとう,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,酒かす」を指定商品として、平成6年2月16日に登録出願、同9年1月31日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 第2 請求人の主張 請求人は、「本件商標の指定商品中の『茶』についての登録は、商標法第50条第1項の規定により、これを取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べた。 1.請求の理由 被請求人は、本件商標は、その指定商品中の「茶」について、継続して3年以上、被請求人により使用されていない。また、本件商標について、専用使用権又は通常使用権の設定の登録はなく、本件商標が専用使用権者又は通常使用権者により使用されていることを推認できない。 したがって、被請求人が請求に係る指定商品について継続して3年間、本件商標が使用されていることを証明し、または使用されていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録は「茶」について取消されるべきである。 2.答弁に対する弁駁 (1)「登録商標の使用説明書」それ自体は被請求人(あるいはその代理人)により作成された説明資料にすぎず、商標法に定める「使用」(商標法第2条3項)の事実を示すものではないから、これが本件商標の使用に関する証拠とならない。 (2)被請求人は、添付された「商品写真」は、「販売している」ティーバッグセットであると主張するが、添付の写真は商品らしきものを写し出してはいるが、その中身が「茶」であり、かつ、それが被請求人により「販売」されていることをなんら立証するものではない。 (3)被請求人は、店頭写真を提示し、自己の経営する料亭の売店でティーバッグセットが現金払いで「販売されている」とするが、これは単なる店頭の状況を示す写真にすぎず、もとより本件審判請求の登録前3年以内に商品「茶」が「販売されている」ことを立証するものではない。 株式会社一保堂茶舗(以下「一保堂茶舗」という。)の納品書(写)は、被請求人が一保堂茶舗より茶を購入したことを推認させるものではあるが、納品書に示されるのは一保堂茶舗の商標でもあり、また、これが被請求人による本件商標の「茶」に関する販売(使用)の事実を示すものでない。 (4)被請求人は、ティーバッグセットの包装箱の表面に「山ばな 平八茶屋」が表示されており、本件商標が「使用されている」とするが、写真の包装箱らしきものの表面に一保堂茶舗の商標に加えて白い小紙片(らしきもの)に「山ばな 平八茶屋」の文字が表示されていることは認められるが、これのみにより本件商標の「使用」が証明されるわけではない。 (5)被請求人は、本件商標の場合、販売行為の立証は困難であり、またその立証を要しないとするが、商標法第50条は、登録商標の使用に関する挙証責任を商標権者に負わせているのであり、使用に関する立証が困難かどうかという問題ではなく、ましてやその立証が不要であるとすることなどはできない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、「登録商標の使用説明書」並びに「使用の事実を示す書類(添付)」として「商品写真」及び「納品書(写)」を提出した。 1.使用の事実 (1)本件商標は、その指定商品中の「茶」について、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者である株式会社平八茶屋(被請求人)により使用されている。 本件商標の使用事実は、「登録商標の使用説明書」に示すとおりであり、以下、説明する。 (2)本件商標の使用に係る商品の一例を示す、「登録商標の使用説明書」に添付の写真の商品は、被請求人が販売している「ティーバッグセット」であり、セットされている茶と個数は、ほうじ茶6袋・煎茶5袋・玉露3袋 各2g入りのティーバッグのセットであり、当該商品が、本件審判請求に係る指定商品中の「茶」に含まれることは明らかである。 (3)被請求人は、若狭小浜と京都を結ぶ若狭街道(通称鯖街道)の京都の入り口に位置する洛北で、創業(天正年間1576年)以来426年にわたり、京料理を提供する料亭を営んでいる。京の食通達は、当茶店で絶品の魚料理を食するのを最高の楽しみとし、創業来、多くの文人達が投宿し、文芸作品中にも登場するほど、極めて有名な料亭である。料亭を訪れる客人達は、記念に他では手に入らない手土産を求めることもあり、本件商標を明示した包装箱にセットされる3種類の日本茶ティーバッグも、当料亭のオリジナル土産品として用意されている茶である。その茶は、京都の茶の老舗である一保堂茶舗の調製に係る特撰芽茶による日本茶であり、これをティーバッグ仕立てにした3種類を仕入れ、前記所定の数量分毎に、写真に示す該セット包装箱に封入し、自己の経営する料亭の売店でのみで、料理・飲食ないし宿泊費用とは別に、顧客の帰りの手土産に対面の現金直払いで販売されているものである。 売店における当該商品の販売状況は、前記店頭写真に示すとおりであり、該茶の仕入れの事実は、一保堂茶舗の納品書に示すとおり、例えば、2001年12月21日「ほうじ茶TB30袋」とあるのは、「ほうじ茶のティーバッグ30袋」のことであり、同様に、2002年2月18日には「煎茶」及び「玉露TB30袋」及び2002年5月24日には「煎茶」、「玉露TB30袋」及び「ほうじ茶TB30袋」がそれぞれ納品された事実を示すものである。 (4)前記ティーバッグセットの包装箱の表面には、本件商標と同一の商標「山ばな 平八茶屋」が、明瞭に表示されており、本件商標が使用されていることも明らかである。 なお、該使用商標には、「京料理」の文字が冠されているが、「京料理」の表示は、現に被請求人において、自己の業務に係る京料理を提供する料亭であることを表す文字にすぎないものであるから、前記使用に係る商標は、本件商標と社会通念上同一の範囲に属するものである。 (5)本件商標の使用に係る商品は、前記のとおり、被請求人の経営する料亭の売店で専ら料亭利用客に直接対面小売販売される商品であり、どのお客様に販売したかの立証は困難であり、また、その立証は要しないものと思料する。 2.むすび 以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者により、その請求に係る指定商品中「茶」について使用されているものであるから、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定によって取り消されるべきではない。 第4 当審の判断 1.「登録商標の使用説明書」及びこれに添付された「商品写真」、「納品書(写)」並びに答弁の理由によれば、以下の事実が認められる。 (1)被請求人は、京都市左京区山端川岸町、いわゆる洛北に所在の京料理を提供する店であり、該店舗では、顧客の求めに応じて土産品の販売をしている。 (2)販売に係る商品が並んだ陳列棚には、「ちりめん山椒」その他の商品と共に、「お茶 ティーバッグ」、「ほうじ茶・煎茶・玉露」の各文字、該「ほうじ茶」の下に「6」、「煎茶」の下に「5」、「玉露」の下に「3」の数字及び「¥500-」が書された定価表と商品を詰め合わせたと認められる包装された箱が並んでいる。 そして、該包装箱には、小さく縦書きされた「京料理 山ばな」の文字及びその左に本件商標とほぼ同一態様の「平八茶屋」の文字が大きく縦書きに表示され、また、「Tea bags/SET」、「ほうじ茶・煎茶・玉露」の文字や図形が表示されている。 (3)(a)2001年12月21日付けの「納品書(控え)」、(b)2002年2月18日付けの「納品書(控え)」及び(c)2002年5月24日付けの「納品書(控え)」は、京都市中京区に所在の一保堂茶舗が、被請求人に宛てたもので、その品名欄には、(a)納品書には「ほうじ茶TB30袋」、(b)納品書には「煎茶TB30袋」、「玉露TB30袋」、(c)納品書には「煎茶TB30袋」、「玉露TB30袋」、「ほうじ茶TB30袋」の記載がある。 2.前記1.を総合すると、被請求人は、料亭を経営する傍ら、顧客の求めに応じて土産物の販売を行い、茶も販売商品の一つであったことが窺われ、該茶には、前記認定のとおり、小さく縦書きされた「京料理 山ばな」の文字及びその左に本件商標中の「平八茶屋」の文字部分とほぼ同一態様の「平八茶屋」の文字が大きく縦書きに表示されているところ、その構成中の「京料理」の文字部分は、被請求人の営業に係る料亭の内容を表すものであって、それ自体識別機能を有するものではないから、使用に係る商標は、本件商標と社会通念上同一のものと認められる。そして、被請求人の販売に係る茶は、少なくとも、2001年(平成13年)12月21日以降、販売する目的をもって、被請求人の店舗の商品陳列棚に陳列されていたと推認し得るところである。 3.請求人の主張について (1)請求人は、「添付の『商品写真』は、商品の中身が茶であり、かつ、それが被請求人により販売されていることは立証できない。また、被請求人は、店頭写真を提示し、自己の経営する料亭の売店でティーバッグセットが現金払いで販売されているとするが、これは単なる店頭の状況を示す写真にすぎず、本件審判請求の登録前3年以内に商品『茶』が販売されていることを立証するものではない。」旨主張し、さらに、「一保堂茶舗の納品書は、被請求人が一保堂茶舗より茶を購入したことを推認させるものではあるが、納品書に示されるのは一保堂茶舗の商標でもあり、また、これが被請求人による本件商標の「茶」に関する販売(使用)の事実を示すものでないし、ティーバッグセットの包装箱の表面には、一保堂茶舗の商標に加えて白い小紙片に『山ばな 平八茶屋』の文字が表示されていることは認められるが、これのみにより本件商標の『使用』が証明されるわけではない。」旨主張する。 しかしながら、被請求人は、少なくとも、本件審判の請求の登録(平成14年5月29日)前3年以内である2001年(平成13年)12月21日以降、継続して一保堂茶舗より、「煎茶TB30袋」、「玉露TB30袋」、「ほうじ茶TB30袋」の納品を受け、被請求人の店舗の商品陳列棚には、「Tea bags/SET」、「ほうじ茶・煎茶・玉露」の各文字が表示された包装箱が陳列されている事実からすれば、該包装箱には「ほうじ茶・煎茶・玉露」のティーバッグが入っているものと容易に推認することができるのである。 また、該包装箱には一保堂茶舗の商標が付されているとしても、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示されていることは明白な事実であり、一保堂茶舗の商標(いわゆる製造標)及び本件商標と社会通念上同一と認められる商標(販売標)とが同時に表示されていることをもって、本件商標の使用でないということはできない。 (2)請求人は、被請求人の販売行為の立証は困難であり、またその立証を要しないとの主張に対し、「商標法第50条は、登録商標の使用に関する挙証責任を商標権者に負わせているのであり、使用に関する立証が困難かどうかという問題ではなく、ましてやその立証が不要であるとすることなどはできない。」旨主張する。 しかしながら、前記したとおり、被請求人の主たる業務は、京料理を提供する店舗の経営であり、その傍ら顧客の要望に応じて茶を含む土産物を販売しているというものであり、該店舗を利用する顧客のすべてが、土産品を購入するとは考えにくく、顧客の中には土産品を購入する者もいるという程度であると推認でき、その場合、領収書を控える等取引書類のやりとりをしない場合が多いと考えられる。しかし、顧客との販売行為があったことを立証することは困難であるとしても、本件においては、前記したとおり、「登録商標の使用説明書」及びこれに添付された「商品写真」、「納品書(写)」により、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内の時期に一保堂茶舗より、茶の納品を受け、該商品に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を表示して、被請求人の店舗内に展示したと推認することができるのであって、この行為は「商標の使用」に当たるものというべきである。 4.以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を請求に係る商品「茶」について使用していたものと認めることができる。 したがって、本件商標は、その指定商品中の「茶」についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
本件商標 |
審理終結日 | 2003-03-14 |
結審通知日 | 2003-03-19 |
審決日 | 2003-04-01 |
出願番号 | 商願平6-15035 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(030)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 須藤 昌彦、小俣 克巳 |
特許庁審判長 |
茂木 静代 |
特許庁審判官 |
瀧本 佐代子 井岡 賢一 |
登録日 | 1997-01-31 |
登録番号 | 商標登録第3245602号(T3245602) |
商標の称呼 | ヤマバナヘイハチチャヤ、ヤマバナ、ヘイハチチャヤ |
代理人 | 吉崎 修司 |
代理人 | 村田 紀子 |
代理人 | 武石 靖彦 |
代理人 | 山内 淳三 |