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審決分類 審判 補正却下不服 商品 取り消さない Z09
管理番号 1076809 
審判番号 補正審判1999-50117 
総通号数 42 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-06-27 
種別 補正却下不服の審決 
審判請求日 1999-09-30 
確定日 2003-04-04 
事件の表示 平成10年商標登録願第 15191号において、平成11年7月22日付けでした手続補正に対してされた補正の却下の決定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「Alpha」の欧文字と「アルファ」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなり、第9類「スイッチング電源装置,配電用又は制御用の機械器具」を指定商品(以下、「当初商品」という。)として、平成10年2月24日に登録出願されたものである。そして、指定商品については、同11年7月22日付け手続補正書をもって、第9類「理化学機械器具用のスイッチング電源装置,測定機械器具用のスイッチング電源装置,写真機械器具用のスイッチング電源装置,映画機械器具用のスイッチング電源装置,光学機械器具用のスイッチング電源装置,電子応用機械器具用のスイッチング電源装置,オゾン発生器用のスイッチング電源装置,電解槽用のスイッチング電源装置,ロケット用のスイッチング電源装置,遊園地用機械器具用のスイッチング電源装置,スロットマシン用のスイッチング電源装置,運動技能訓練用シミュレーター用のスイッチング電源装置,乗物運転技能訓練用シミュレーター用のスイッチング電源装置,鉄道用信号機用のスイッチング電源装置,火災報知器用のスイッチング電源装置,ガス漏れ警報器用のスイッチング電源装置,盗難警報器用のスイッチング電源装置,ガソリンステーション用装置用のスイッチング電源装置,自動販売機用のスイッチング電源装置,駐車場用硬貨作動式ゲート用のスイッチング電源装置,金銭登録機用のスイッチング電源装置,硬貨の計数用又は選別用の機械用のスイッチング電源装置,作業記録機用のスイッチング電源装置,写真複写機用のスイッチング電源装置,手動計算機用のスイッチング電源装置,製図用又は図案用の機械器具用のスイッチング電源装置,タイムスタンプ用のスイッチング電源装置,タイムレコーダー用のスイッチング電源装置,電気計算機用のスイッチング電源装置,パンチカードシステム機械用のスイッチング電源装置,票数計算機用のスイッチング電源装置,ビリングマシン用のスイッチング電源装置,郵便切手のはり付けチェック装置用のスイッチング電源装置,潜水用機械器具用のスイッチング電源装置,アーク溶接機用のスイッチング電源装置,金属溶断機用のスイッチング電源装置,電気溶接装置用のスイッチング電源装置,家庭用テレビゲームおもちゃ用のスイッチング電源装置,検卵器用のスイッチング電源装置,電動式扉自動開閉装置用のスイッチング電源装置」(以下、「補正後商品」という。)と補正されたものである。

2 原決定の理由
原査定は、「補正後商品は、出願時における指定商品の範囲を拡大するものである。したがって、この補正は、この商品登録出願について、その旨を変更するものと認める。」として、平成11年8月31日に補正却下の決定を下したものである。

3 請求人の主張
請求人は、以下のように主張するとともに、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出している。
(1)補正の却下の決定が取り消されるべき理由
(a)決定をもって却下された補正の説明
本願の指定商品は、当初商品のうち「配電用又は制御用の機械器具」を削除し、「スイッチング電源装置」を補正後商品に補正したものである。
(b)出願時における指定商品の範囲の説明
当初指定商品は「スイッチング電源装置,配電用又は制御用の機械器具」であり、類似商品・役務審査基準を参照するに、「配電用又は制御用の機械器具」については類似群コード[11A01]に属する商品として明記されているが、「スイッチング電源装置」については類似商品・役務審査基準に明記されておらず、類似商品・役務審査基準からはどの類似群コードに属する商品であるのか不明である。なお、特許庁ホームベージの「商品・役務名リスト」によれば、商品名「スイッチング電源装置」の類似群は[11A01]となっているが、類似商品・役務審査基準に明記されていない限り、この「商品・役務名リスト」の記載をもって「スイッチング電源装置」の類似群が[11A01]であると判断することはできない。
一般に、機械器具は駆動部、操作部、表示部、電源部等から構成されるものであるが、「スイッチング電源装置」はこれらのうちの電源部を構成するものである。そして、通常「スイッチング電源装置」は、その機械器具の一部たる電源部となることを目的として、その内部に一体に設けられるように作られているものであり、その機械器具の部品とみなすことができる。
さらに、「スイッチング電源装置」は単に機械器具の部品であるのみならず、その機械器具或いは用途に応じた特殊な仕様となっている。つまり、その機械器具が作動するために必要なその機械器具に特定の電圧、電流を供給するように作られている。そして、各機械器具はその機械器具に応じた特定の電圧、電流を必要とするから、通常、その機械器具以外の機械器具や用途には使用できないものである。
ここで、特許庁商標課編「商品・サービス国際分類表」((社)発明協会発行)第35頁 商品の欄(1)(d)(甲第1号証)を参照すると、「他の商品の一部となることを目的として作られた商品は、同様の商品を通常は他の用途に使用することができない場合にのみ、原則として、当該他の商品と同じ類に分類する。」との記載があるが、上述した「スイッチング電源装置」には正にこの基準が適用され、当該他の商品たる各機械器具と同じ類に分類されるものと思料する。
また、特許庁商標課編「商品及び役務区分解説(改訂2版)」((社)発明協会発行) 第64〜65頁及び第250〜251頁 写真機械器具の欄及び光学機械器具の欄(甲第2号証)には、「写真機専用の「レンズ」は写真機械器具の概念に含まれ、望遠鏡類及び顕微鏡類に専用の「レンズ」は光学機械器具の概念に含まれる」旨の記載があり、各機械器具に専用の部品及び附属品がそれぞれ各機械器具の概念に属するものであることを明示している。このことから、各機械器具に専用の「スイッチング電源装置」もまた、それぞれ各機械器具の概念に属するものであると思料する。
以上のことを考慮すると、指定商品「スイッチング電源装置」の範囲は、本願商標の商品区分の第9類の中で、電源部を含有する可能性のある全ての商品に及ぶものであるとするのが妥当である。
(c)補正後商品と当初商品の範囲との対比
当初商品は「スイッチング電源装置,配電用又は制御用の機械器具」であり、特に「スイッチング電源装置」は、どの機械器具に用いられる「スイッチング電源装置」であるのか限定していない。
これに対し、補正後商品は、晒己電用又は制御用の機械器具」を削除した上に、指定商品の範囲が本願商標の商品区分の第9類の中で電源部を含有する可能性のある全ての商品に及ぶ「スイッチング電源装置」について、指定商品の範囲を一部の商品に明確に限定したものである。
すなわち、補正書による訂正指定商品は、当初商品の範囲を減縮するものである。
(2)むすび
したがって、この商標登録出願について平成11年7月22日付けで提出された補正後商品は、当初商品の範囲を拡大するものではない。

4 当審の判断
よって判断するに、当初商品中の「スイッチング電源装置」に関して情報処理用語大事典(平成4年11月25日発行 株式会社オーム社)には、「スイッチング電源」として、「半導体などのスイッチング特性を利用し、商標周波数以上の高周波数にて断続制御を行うことにより電力変換を行い、出力を安定化する電源装置。」との記載が、また、社団法人電子情報技術産業協会が発行した「スイッチング電源の現状」(平成13年3月発行)には、「スイッチング電源とは」の表題の下に「スイッチング電源は、スイッチング方式によって制御された直流安定化電源の一種で、商用電源または直流電源を入力とし、これを半導体の高速スイッチング作用を利用して可聴周波数以上の高周波電力に変換し、制御・整流して所定の直流を得るもので、小形・軽量で高効率を特徴とし情報機器や通信機器をはじめほとんどの電子機器の電源として使用されるようになりました。」(第4頁)との記載が認められ、さらに、同書には、「機器組込み用標準電源」の表題の下に「電子機器に不可欠な電源は、納期、品質、信頼性、価格面において迅速かつ柔軟に対応するために、汎用性のある標準電源を各社が数多く揃えています。」(第25頁)の記載が認められる。
次に、補正後商品について検討するに、請求人が引用する特許庁商標課編「商品・サービス国際分類表」には、「他の商品の一部となることを目的として作られた商品は、同様の商品を通常は他の用途に使用することができない場合にのみ、原則として、当該他の商品と同じ類に分類する。」の記載が認められる。
また、請求人が主張するように、一部の機械器具のための専用の用途として、例えば、その電源装置について、専用の部品及び附属品として取引きされていることも認め得るものである。
そして、補正後商品の表示は、「理化学機械器具用、測定機械器具用、写真機械器具用」等の専用の用途が記載されている。
以上よりすれば、当初商品中の「スイッチング電源装置」表示は、明確で、商品の特定が可能なものであって、特定の機械器具に限定された表示でないことから、一般の電源として取引きされる標準電源を指定したものとみるのが自然である。
そして、補正後商品は、一部の機械器具のための専用の用途としてのスイッチング電源装置を含むものである。
してみれば、補正後商品は、当初商品中には含まれていなかったものといわざるを得ないから、出願の要旨を変更するものといわなければならない。
したがって、補正却下の決定は、妥当であって、取り消すべき理由がない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2003-01-10 
結審通知日 2003-01-24 
審決日 2003-02-17 
出願番号 商願平10-15191 
審決分類 T 1 7・ 2- Z (Z09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 前山 るり子 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 早川 文宏
柳原 雪身
商標の称呼 アルファ 
代理人 牛木 護 

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