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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) Z30
審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) Z30
管理番号 1075523 
異議申立番号 異議2001-90604 
総通号数 41 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2003-05-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-08-09 
確定日 2003-03-26 
異議申立件数
事件の表示 登録第4474412号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4474412号商標の指定商品中「洋菓子」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4474412号商標(以下「本件商標」という。)は、「ALHAMBRA」の文字を標準文字として、平成12年5月9日登録出願、第30類「菓子及びパン,コーヒー豆,調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,酒かす,ホイップクリーム用安定剤」を指定商品として、同13年5月11日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要旨)
本件商標は、フランス菓子の一名称として、わが国においても知られている「AIhambra」(アランブラ、アルハンブラ稀にはアルハンブルと称されている。)を表示する「ALHAMBRA」の文字を普通に用いられる方法で表示してなるにすぎないものであるから、指定商品の普通名称または品質を表示したものであり、自他商品の識別標識としての機能を有しない。また、商品「AIhambra(アランブラまたはアルハンブラ)」以外の商品「菓子,パン」の品質について誤認を生ずるおそれがある。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第1号または同第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
さらに、本件商標は、スペインのグラナダにあって世界で最も美しい建造物とされている宮殿があり、観光地としても世界的に著名なアルハンブラ(AIhambra)を表示したものであり、商品の産地、販売地を表示したにすぎないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。

3 取消理由(要旨)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の提出に係る甲第4号証の「ガトウ」(社団法人日本洋菓子協会連合会 昭和47年2月1日発行)には、「アランブラ」(Alhambra)、甲第5号証の「プロによるプロのための菓子の本 世界の菓子」(協同組合全日本洋菓子工業会 昭和57年10月20日発行)には、「アランブラ」(Alhambra)及び甲第7号証の「世界の菓子PCG」(協同組合全日本洋菓子工業会 昭和63年1月1日発行)には、「アランブラ」(ALHAMBRA)がいずれも砂糖、卵黄、バター等を原材料とするケーキ菓子の一つとして掲載されている事実が認められる。
また、甲第8号証の「ビジオ・モノ」(株式会社ワールドフォトプレス 平成10年10月16日発行)には、「アルハンブル」及び甲第9号証の「柴田書店MOOK ケーキング」(株式会社柴田書店 平成11年7月15日発行)には、「アルハンブラ」、甲第10号証ないし甲第13号証のホームページには、「アルハンブラ」がいずれもケーキ菓子の一つとして掲載されている事実を認めることができる。
そして、申立人の提出に係る甲各号証を総合勘案すれば、「アランブラ」「アルハンブラ」「アルハンブル」「ALHAMBRA」等の語は、菓子を取り扱う業界において、チョコレートを使用するケーキ菓子の一種を指称するものとして普通に使用され、一般に知られているものと認められる。
そうすると、本件商標は、「アルハンブラ」「アルハンブル」「アランブラ」等の称呼を生ずるものと認められる「ALHAMBRA」の文字よりなるものであるから、これに接する取引者、需要者は、これより「チョコレートを使用する「ケーキ菓子」の一種であることを容易に理解し、認識するにすぎないものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品中「チョコレートを使用するケーキ菓子」について使用するときは、単にその商品の品質を表示するというべきであり、また、その指定商品中上記商品以外の「洋菓子」に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、その指定商品中「洋菓子」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。旨認定、判断したものである。

4 商標権者の意見(要旨)
(1)申立人が提出した甲第各号証のうち、「アルハンブラ」、「アルハンブル」、「アランブラ」が単なる菓子の名称と理解し得る説明または写真が掲載されているのは、約30年前から14年も前の昭和47年から昭和63年に発行された甲第3号証ないし甲第7号証の書籍のみであり、しかもそれらはチョコレート菓子以外の菓子の名称としても使用されているものであるから、これらからは、本件商標の登録査定時である平成13年4月20日において「ALHAMBRA」がチョコレート菓子の一種類を表示するものと認識されるとの判断を導くことはできない。そして、その余の甲第各号証からは、本件商標が「チョコレート菓子」の一種を表示するものとして使用されていることは認められず、それらは他人の識別標識等と洋菓子の種類を表示する語または洋菓子の普通名称を区別することなく使用するものを列挙したにすぎないものであるから、本件商標「ALHAMBRA」が菓子の一種を表示するものであることの根拠とはなり得ない。
したがって、本件商標の登録査定時には、本件商標は業界において自他商品識別標議して十分に機能していたと判断してしかるべきである。
(2)「ALHAMBRA」は、スペインのグラナダにある世界的に有名な宮殿の名称でもある。
乙第1号証には、「AIhambra」はスペインの宮殿の名称であると記載されている。
また、提出された甲第各号証をみれば、例えば、甲第2号証の辞典には「AIhambra」はスペインの宮殿である旨が記載されているにすぎない。甲第4号証には「アランブラ(AIhambra)」の文字が記載されているが、必ずしもこれが菓子を指称する語として記載されているとはいえず、該文字の下段に「(アルハンブラ一地名)」と記載されている。甲第5号証には「アルハンブラとはギターの名曲にもなったスペインの小さな宮殿・・・」との記述がある。
甲第8号証には、「スペインにあるアルハンブル宮殿の城壁の煉瓦から・・・」との記述がある。
これらの辞典または雑誌等の記述内容から、「ALHAMBRA」、「アランブラ」または「アルハンブラ」が「アランブラ宮殿」を指称する語であることは明らかである。申立人が提出した甲第各号証は、いずれも本件商標が菓子の一種を示す語であることの根拠とはならないので、「ALHAMBRA」から本件商標権者の業務に係る洋菓子以外の意味合いを需要者等が把握するとすれば、それは「アランブラ宮殿」である。
このことは、インターネットの検索サイトを用いた検索結果からも明らかである。(乙第3号証の1及び乙第3号証の2)。
「アルハンブラ」と「菓子」を検索キーワードとした場合には、菓子の一種類を表示する語として「アルハンブラ」が使用されているインターネットサイトの存在を確認することはできるが、ほとんどは本件商標権者の業務に係る商品を示す商標として「アルハンブラ」が使用されているサイトである(乙第3号証の3)。
以上の乙第1号証ないし乙第3号証並びに甲第各号証の内容から明らかなとおり、本件商標は、本件商標権者の業務に係る商品「洋菓子」以外には、世界的に有名なスペインの宮殿を認識させるにすぎないものである。
(3)以上のとおり、本件商標は、本件商標権者が自己の業務に係る商品「洋菓子」について約30年間平穏に使用してきたものであり、現在では本件商標権者の業務に係る商品を表示するものとして知られるものである。
そして「ALHAMBRA」から、本件商標権者の業務に係る洋菓子以外に何らかの意味合いが想起されるとすれば、それはスペインの 「アルハンブラ宮殿」のみであり、需要者等が本件商標「ALHAMBRA」を「チョコレートを使用するケーキ菓子」の一種であると認識する可能性はない。
したがって、本件商標は業界において自他商品識別標識として十分に機能し、その品質について誤認を生じさせるおそれもない。

5 当審の判断
申立人の提出に係る甲第4号証の「ガトウ」(社団法人日本洋菓子協会連合会 昭和47年2月1日発行)には、「アランブラ」(Alhambra)、甲第5号証の「プロによるプロのための菓子の本 世界の菓子」(協同組合全日本洋菓子工業会 昭和57年10月20日発行)には、「アランブラ」(Alhambra)及び甲第7号証の「世界の菓子PCG」(協同組合全日本洋菓子工業会 昭和63年1月1日発行)には、「アランブラ」(ALHAMBRA)がいずれも砂糖、卵黄、バター等を原材料とするケーキ菓子の一つとして掲載されている事実が認められる。
また、甲第8号証の「ビジオ・モノ」(株式会社ワールドフォトプレス 平成10年10月16日発行)には、「アルハンブル」及び甲第9号証の「柴田書店MOOK ケーキング」(株式会社柴田書店 平成11年7月15日発行)には、「アルハンブラ」、甲第10号証ないし甲第13号証のホームページ(1999年ないし2000年)には、「アルハンブラ」がいずれもケーキ菓子の一つとして掲載されている事実を認めることができる。
そして、申立人の提出に係る甲各号証を総合勘案すれば、「アランブラ」「アルハンブラ」「アルハンブル」「ALHAMBRA」等の語は、菓子を取り扱う業界において、本件商標の登録査定時にも、チョコレートを使用するケーキ菓子の一種を指称するものとして普通に使用され、一般に知られているものと認められる。
そうすると、本件商標は、「アルハンブラ」「アルハンブル」「アランブラ」等の称呼を生ずるものと認められる「ALHAMBRA」の文字よりなるものであるから、これに接する取引者、需要者は、これより「チョコレートを使用するケーキ菓子」の一種であることを容易に理解し、認識するにすぎないものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品中「チョコレートを使用するケーキ菓子」について使用するときは、単にその商品の品質を表示するというべきであり、また、その指定商品中上記商品以外の「洋菓子」に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
商標権者は、意見書において、本件商標の登録査定時において「ALHAMBRA」がチョコレート菓子の一種類を表示するものと認識されることはない、と主張しているが、前記した、甲第各号証の掲載時の日付よりすれば、「アランブラ」「アルハンブラ」「アルハンブル」「ALHAMBRA」等の語は、チョコレート菓子の一種類を表示するものとして、昭和47年頃より使用され、本件商標の登録査定時にはもとより、現在においても継続して使用されているものと十分推認できるものである。また、「ALHAMBRA」は、スペインのグラナダにある世界的に有名な宮殿の名称であることは、認め得るとしても、菓子業界において、「アランブラ」「アルハンブラ」「アルハンブル」「ALHAMBRA」等がチョコレート菓子の一種類として一般に使用されている前記事実よりすれば、商標権者のこの点に関する主張は採用することができない。
さらに、「ALHAMBRA」は、本件商標権者が自己の業務に係る商品「洋菓子」について約30年間使用してきたものであったとしても、本件商標権者の業務に係る商品を表示するものとして広く知られるに至っていることを認め得る証左もなく、商標権者以外の者も使用している事実(甲第8号証ないし甲第13号証等)よりすれば、前記の認定、判断を覆すことはできない。
したがって、本件商標の指定商品中「洋菓子」については、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2003-02-06 
出願番号 商願2000-49818(T2000-49818) 
審決分類 T 1 651・ 272- ZC (Z30)
T 1 651・ 13- ZC (Z30)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 谷村 浩幸 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 中嶋 容伸
茂木 静代
登録日 2001-05-11 
登録番号 商標登録第4474412号(T4474412) 
権利者 株式会社スイス菓子ハイジ
商標の称呼 アルハンブラ 
代理人 角田 嘉宏 
代理人 吉田 隆志 
代理人 垣内 勇 
代理人 神田 正紀 
代理人 瀧野 秀雄 
代理人 高石 ▲郷▼ 

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