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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 124
管理番号 1075485 
審判番号 取消2000-30405 
総通号数 41 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-05-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2000-04-05 
確定日 2003-04-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第2587755号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2587755号商標の指定商品中「釣り具」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2587755号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第24類「スキーパンツ、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和62年6月30日登録出願、平成5年10月29日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品のうち「釣り具」については、商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれもが継続して3年以上日本国内において使用した事実がないから、商標法第50条第1項の規定により、当該指定商品についての登録を取り消されるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
(ア)本件商標の使用時期について
被請求人は、本件商標の使用事実を乙第1号証の鈴木総業株式会社(以下「鈴木総業」という。)のホームページの掲載事実により立証しようとしているが、その右下方に、これをプリントアウトした日時として「2001/07/24」の記載があるだけで、このホームページの内容が何時作成され、何時から掲載されたのか不明であり、その立証が一切されていない。
そうすると、鈴木総業が「いか釣り用おもり」なる文字の下段に「αCORE」なる文字を表示し、ホームページ上で本件審判請求の登録(2000年(平成12年)5月10日)前3年以内に掲載していたと考えるのは明らかに無理があり、本件商標を商品「釣り具」に使用していたことを立証する証拠にはなり得ていない。
(イ)本件商標の「使用」について
(a)上記ホームページは、主として鈴木総業の研究開発実績を紹介したものであり、商品「いか釣り用おもり」も研究開発商品の一つであって、その特徴は記載されているが、その商品の価格や購入方法等は全く記載されてない。
そうとすれば、鈴木総業は、ホームページにおいて「いか釣り用おもり」を販売するために宣伝広告したのでなく、自社がこの種「いか釣り用おもり」も研究対象としていることを紹介しようとしたにすぎないと考えるのが自然である。
このことは、例えば、ホームページの製品紹介の「小型水撃防止器『小・無・騒』・・・相談下さい(価格はここをクリック)」との記載があり、これは明らかに販売を意識してクリックすれば商品価格が判るようにしてあるから、仮に鈴木総業が「いか釣り用おもり」を販売しているのであれば上記商品と同様の方法で価格を提示するはずであるが、このような記載がないから、鈴木総業は、商品「いか釣り用おもり」の研究開発段階に止まり、販売まではしていないことを裏付けるものである。
(b)さらに、鈴木総業の企業情報(甲第4号証)によると、この会社は、その業種を「経営コンサルタント業、その他の不動産賃貸業」としており、かかる業種の会社が「釣り具」を製造・販売等するとは考えられず、上記「いか釣り用おもり」の掲載は、鈴木総業の研究開発の紹介のためであって、商品販売のための宣伝広告ではないことを示唆しているといえる。
(c)被請求人は、乙第2号証及び乙第3号証の公開特許公報を提出し、これらの公報によれば、鈴木総業が「釣り具」を対象とした特許出願を行い、乙第2号証の出願日(1997年3月13日)頃に商品「釣り具」を開発していたことを推認することは可能であるが、本件商標を付した「釣り具」を製造.販売したかについては、何ら明らかにしていない。
しかも、被請求人は、「いか釣り用おもり」が具体的に取引された事実を裏付ける伝票・領収書等の提出もしていない。
(d)そうすると、鈴木総業は、「いか釣り用おもり」を研究開発していたにすぎず、かかる研究開発行為が商標法第2条第3項規定の「使用」にあたらないものである以上、鈴木総業がホームページ上で「αCORE」を表示していたとしても、これをもって、商品「釣り具」について本件商標を「使用」していたとはいえない。
(ウ)通常使用権者について
(a)被請求人は「株式会社ジェルテックの親会社であって通常使用権者であるところの鈴木総業株式会社」と主張しているが、鈴木総業が通常使用権者であることを客観的に立証する契約書等の証拠は一切提出していない。
(b)特に、鈴木総業は、上記したとおり経営コンサルタントを業とし、しかも、乙第1号証によれば、この会社は商品の研究開発を主とするものであることに鑑みれば、自社の業務と全く無関係な「釣り具」を販売することはあり得ず、被請求人よりあえて「釣り具」につき本件商標の通常使用権の許諾を受けるのは不自然である。
(c)よって、鈴木総業が本件商標の通常使用権者としてホームページ上で「αCORE」を表示したとは考えられず、本件商標は、商標権者、専用使用権者及び通常使用権者の何れもが商品「釣り具」について使用していないと考えるのが相当である。
(3)以上述べた理由により、本件商標の指定商品中「釣り具」についての登録は商標法第50条の規定により取り消されるべきである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。
(1)答弁の理由
請求人は、本件商標「αCORE」が「釣り具」について不使用である旨主張しているが、被請求人の関連親会社である鈴木総業のホームページには、同社技術本部の頁があり、同社技術本部で開発された「イカ釣り用おもり」に「αCORE」が現に今でも付されている。
すなわち、被請求人自らは「αCORE」を「釣り具」について使用していないが、被請求人の親会社であって通常使用権者であるところの鈴木総業が「αCORE」を「釣り具」について使用してきており、請求人主張の取消理由はない。
ちなみに、同釣り具は、特開平10-248461号に開示の発明を基本にし、特開2001-178339号に開示の発明で、更に改良したものである。
(2)弁駁に対する答弁
(ア)本件商標の使用時期について
請求人の主張どおり、乙第1号証ホームページがいつ作成され、いつから掲載されたかの確定日付はない。これは、社内でその改定作業を行っていることもあって、その履歴までを記録しておれないから、乙第2号証及び乙第3号証の提出をもって、その蓋然性を証明しようとしたものである。
(イ)本件商標の「使用」について
正直に回答すれば、販売売上は0円です。しかるに、製造コストに見合う引き合いがあれば、製造販売できる状態にあることには間違いない。
乙第2号証の1件目の特許出願の時には、正に研究対象そのものであったが、乙第3号証の2件目の特許出願の時には、他の共同名義人と弁理士による出願を行うまでの商品化域に達しており、製造コストに見合う引き合いがあれば、製造販売できる状態になっていた。
また、販売売上は買主と売主の合意下に達成されるが、開発成果品を、開発経費や出願費用等を回収できる形で売りたいとの販売方針は、売主だけの思いで完結し、商標の使用に該当すると考えられる。
(ウ)通常使用権者について
契約は、上場しているような大企業の親子関係ではないから、中小企業のグループの総資源を活用するという観点からは、親から子が借りる、逆に、子から親が借りることについては、一切こだわりがない。

4 当審の判断
被請求人は、「釣り具」を被請求人自らは使用していないが、被請求人の親会社であり、かつ、通常使用権者である鈴木総業が本件商標を「釣り具」に使用しているとして、乙第1号証(鈴木総業のインターネットホームページ)及び乙第2号証及び乙第3号証(公開特許公報)を提出している。
そこで、先ず、乙第1号証をみるに、そこには「αCORE」なる名称の「いか釣り用おもり」の特徴等が記載されているとしても、当該記事がいつ作成され、いつから掲載されたかについては定かでなく、それが商品として取引された事実も確認できない。
また、その右下方に、「2001/07/24」の記載があるが、これは、該ホームページをプリントアウトした日時を表示したと推認できるものであり、これにより、本件審判請求の登録(2000年(平成12年)5月10日)前3年以内に、本件商標を商品「いか釣り用おもり」に使用していた事実を認めることはできない。
次に、乙第2号証及び乙第3号証についてみるに、当該公報からは、鈴木総業が「釣り具」を対象とした特許出願を行ったこと及びその開発時期がいつ頃であるのかを推認することはできるものの、本件商標を「釣り具」について使用した事実までは確認できない。
さらに、被請求人は、平成14年2月14日提出の答弁において、「販売売上は0円であり、製造コストに見合う引き合いがあれば、製造販売できる状態にあることには間違いない」、「開発成果品を開発経費や出願費用等を回収できる形で売りたいとの販売方針は、売主だけの思いで完結し、商標の使用に該当すると考えられる」旨の主張をしている。
この主張のとおりとすると、「αCORE」なる名称の「いか釣り用おもり」は、研究開発されたものの、商品化する前の段階に止まっていると認められる。
以上によれば、被請求人及び被請求人が通常使用権者であると主張している鈴木総業が、本件審判請求の登録前3年以内に、本件商標を商品「釣り具」について使用した事実を認めることはできない。
そして、他に、請求に係る指定商品「釣り具」について、被請求人等が本件商標を使用した事実を認め得る証拠はない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定商品中「釣り具」について、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)本件商標

審理終結日 2001-07-25 
結審通知日 2001-07-31 
審決日 2003-02-26 
出願番号 商願昭62-75294 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (124)
最終処分 成立  
前審関与審査官 半戸 俊夫 
特許庁審判長 上村 勉
特許庁審判官 中田みよ子
鈴木 新五
登録日 1993-10-29 
登録番号 商標登録第2587755号(T2587755) 
商標の称呼 アルファーコア、アルファー、コア 

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