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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 104 |
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管理番号 | 1075478 |
審判番号 | 取消2002-30373 |
総通号数 | 41 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2003-05-30 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2002-04-05 |
確定日 | 2003-04-07 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1846945号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第1846945号商標の登録は、その指定商品中「化粧品」について取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第1846945号商標(以下「本件商標」という。)は、「フィラージ」の文字よりなり、昭和58年5月26日に登録出願、第4類「せっけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、同61年3月26日に設定登録されたものである。 2 請求人の主張及び弁駁の要点 (1)請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由として、「本件商標は、継続して3年以上日本国内において、本件指定商品中「化粧品」について使用をしていないものであるから、その登録は取り消されるべきである。」旨主張している。 (2)被請求人は、請求人は本件審判請求について、本件審判に関し「利益なきところに訴えなし」との法諺を引用し、請求人が請求人適格を欠く旨指摘するが、「商標法の一部を改正する法律」(平成8年法律第68号)により、本件審判は何ら利害関係を有さずとも請求人適格を有する旨改正されたものである。 したがって、かかる点に関する被請求人の主張は失当である。 被請求人は、請求人が日本国内において「化粧品」の販売を行っていない旨指摘するが、請求人はフランスに本社を置く世界的医薬品・化粧品会社であり、我が国においては、その日本支社である株式会社ピエールファーブルジャポン(東京都港区赤坂6丁目8-8)を通じて大々的に輸入販売を行っているものである。 よって、この点においても被請求人の主張は失当である。 また、被請求人は、本件商標が周知商標である旨主張するが、インターネットの検索エンジンで「コージー本舗」及び「フィラージ」をキーワードとして検索したところ該当するページが見当たらなかった。このような商標は周知商標とはいえない。 さらに、被請求人は、平成8年下期から本件商標の使用を中止した旨述べ、不使用を自認している。 最後に、被請求人は「権利の濫用」である旨述べている。しかしながら、たとえ商願2001-91405号商標(商標「フィアージュ/PHYAGE」)が現在登録に至っているとしても、かかる商標の類似範囲に本件商標が存在する蓋然性が少しでもあり、かつ本件商標が不使用である以上、商標法第1条の趣旨にも合致するから、この点においても被請求人の主張は失当である。 以上、詳述したとおり、本件商標の登録は商標法50条により取り消されるべきである。 3 被請求人の答弁の要点 (1)商標法第56条第1項で準用する特許法第135条により本件審判の請求はこれを却下すべきである。 特許庁における財産権たる商標権に対する登録の取消審判と雖も紛争解決の第一審であるから「利益なきところに訴えなし」とする法格言に該当する。即ち請求人は本件審判請求時に当り、如何なる商標をどのような商品に使用すべく選定されていたのか。更には商標選定自由の原則を遵守せず且つどのように妨げられたかの事由を少なくとも疏明あるべきところ無きは商人となるべき適格を欠くものと思料する。 かかる本件審判の請求は平成8年の法改正の趣旨・目的を忘却するも甚々しく審判の審理の促進どころか遅延すら招く虞れ大である。(乙第1号証1141頁)。 よって本件の請求人はその適格を欠き補正することはできないものと思料する。 (2)請求人は「化粧品」につき又は関し、日本国内において製造販売はしていない。従って本件商標の存在が請求人に不利益とか、商標選定の自由の原則を妨げているわけではない。してみれば、請求人の本件取消審判の請求は成り立たない。 (3)本件商標は周知商標である。 被請求人は昭和2年5月に初代社長小林幸司が頭節品の製造販売を開始し、昭和21年に小林コージー本舗化粧料と改称し、昭和35年5月株式会社コージー本舗に組織変更をして現在に至る間、化粧品及び化粧用具のメーカーとして国内はもとより台湾・韓国等へ輸出し、周知されている会社である(乙第2号証)。昭和60年代に入り、パーティメイクを考えて化粧品(口紅・マニキュア・アイシャドウ・チーク等)及びアイラッシュ、ウイッグ等の化粧用具が要望され、ティスコがブームとなり、婦女子の美への追求はアフター5の夜のメイク、特にパーティに出かける場合のメイクへの要請が高まり、新ブランドFILAGE・フィラージを使用する商品の発売に踏みきることとした(乙第3号証1〜5)。 この商品を成功するべく弊社は消費者との情報を早くキャッチするため、従来の問屋経由の取引ではなく、小売店約400店への直販を実行した。 更に、パーティメイクの楽しさを若い女子ヘアピールすべくディスコではNO.1と言われた「MAHARAJA」でFILAGE QUEENコンテスト等をも行った(乙第4号証)。 しかし、色物等でシーズン毎に新製品を製造販売していくためには小売店数の倍増を必要とする情況と流行波に左右されるこの業界では、コスト高とデッドストックをかかえる事情から平成8年下期から本件商標使用の中止をせざるを得なかった。 弊社は化粧品・化粧用具のメーカーとして所有する商標権はさほど多くはないが、今後、引き続き周知性を帯有する本件商標「フィラージ・FILAGE」は市川工場に併設される研究所よりの開発される新製品に係る商品のため使用に期待をかけている次第である。 尚、付言すれば化粧品と化粧用具は製造業者とその商品の販売業とが同一店舗であることを念頭に置くとき、他人が本件ブランド「フィラージ・FILAGE」を使用するにおいては商品の出所につき混同を惹き起すことは明白である(乙第5号証)。 してみれば、本件商標はその指定商品「化粧品」につき登録を取消すべきでない。 4 当審の判断 (1)本件審判は、当事者間に請求の利益について争いがあるので、この点について先ず判断するに、「利益なければ訴権なし」の法理は、商標登録の取消審判においても適用されるべきところ、当該取消審判は、形式的要件を備えただけで成立した商標権が永く不使用の状態におかれた登録商標に、排他独占的な権利を与えておくことは、国民一般の利益を不当に侵害し、かつ、その存在により権利者以外の商標使用希望者の商標の選択の余地を狭めることとなるから、一般的に広く請求の利益を認めることが制度の趣旨に合致する(平成8年法律第68号の改正により、法文上も「何人も」審判を請求し得る旨を明記した。)ものというべきである。 そして、請求人は、本件審判請求時において、「フィアージュ」「PHYAGE」よりなり、その指定商品中に本件取消に係る「化粧品」を指定商品とする商願2001-91405号(出願日平成13年10月11日)を実際に出願していたものであり、本件商標について被請求人と商標権の譲渡交渉を行うも、その交渉が不調に終わったものであるから、一般的のみならず直接的にも請求の利益を有する者であり、本件審判請求が権利の濫用に当たるとも言い得ない。 (2)商標法第50条による取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについて登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。 そこで、被請求人の提出に係るに乙第1号証ないし乙第7号証を総合するに、被請求人が「フィラージ」又は「FILAGE」からなる商標を商品「つけまつ毛、ヘアウィッグ」に使用していたことは認められるが、該商品は本件取消しに係る商品「化粧品」に含まれないものであり、他に本件商標を商品「化粧品」に使用していることを認めるに足る証拠の提出はない。 また、被請求人は、「平成8年下期から本件商標使用の中止をせざるを得なかった。・・・ 今後、引き続き周知性を帯有する本件商標「フィラージ・FILAGE」のブランドは市川工場に併設される研究所よりの開発される新製品に係る商品のため使用に期待をかけている次第である。・・化粧品と化粧用具は製造業者とその商品の販売業とが同一店舗であることを念頭に置くとき、他人が「フィラージ・FILAGE」を使用するにおいては商品の出所につき混同を惹き起すことは明白であること」等を述べているが、該主張が本件審判請求に係る指定商品のいずれにも本件商標を使用していないことについて正当な理由があることとも認められない。 してみれば、被請求人が提出した証拠方法によっては、本件商標が、本件取消審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件審判請求に係る商品「化粧品」について使用されていたと認めることができないものである。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中「化粧品」についての登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-02-05 |
結審通知日 | 2003-02-10 |
審決日 | 2003-02-24 |
出願番号 | 商願昭58-48352 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(104)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小野里 高次 |
特許庁審判長 |
小林 薫 |
特許庁審判官 |
岩崎 良子 大橋 信彦 |
登録日 | 1986-03-26 |
登録番号 | 商標登録第1846945号(T1846945) |
商標の称呼 | フィラージ |
代理人 | 杉林 信義 |
代理人 | 菊地 栄 |
代理人 | 塩谷 信 |
代理人 | 吉武 賢次 |