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審決分類 |
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z33 |
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管理番号 | 1075460 |
審判番号 | 無効2002-35254 |
総通号数 | 41 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2003-05-30 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2002-06-18 |
確定日 | 2003-04-09 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4370009号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4370009号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4370009号商標(以下「本件商標」という。)は、平成11年1月14日に登録出願、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第 33類「洋酒,果実酒」を指定商品として、平成12年3月24日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 請求人が本件商標の無効の理由に引用する登録第1588826号商標(以下「引用商標A」という。)は、昭和54年11月16日に登録出願、「OPUS」の欧文字を横書きしてなり、第28類「酒類」を指定商品として、昭和58年5月26日に設定登録されたものである。同じく、登録第2303185号商標(以下「引用商標B」という。)は、昭和63年8月4日に登録出願、「OPUS ONE」の欧文字を横書きしてなり、第28類「酒類」を指定商品として、平成3年3月29日に設定登録されたものであるが、その後、指定商品については、第32類「ビール」及び第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」と平成13年10月24日に書換登録されたものである。 第3 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第18号証及び参考資料1ないし7を提出した。 1 商標法第4条第1項第11号について 本件商標の構成中「MAGNUM」の文字は、「ワイン用のマグナム瓶(容量1.5リットル)」を意味する語であるから(甲第3号証)、本件商標をその指定商品中「ワイン(ぶどう酒)」に使用する場合には、自他商品識別標識としての機能を発揮し得ないものである。その場合、需要者等は「OPUS」の文字部分に着目して当該商品を識別すると考えるのが妥当である。 したがって、本件商標は、「OPUS」の文字部分に相応して、「オーパス」と称呼され取引される場合があるものである。なお、英語辞典によれば、「MAGNUM OPUS」は「(芸術家の)代表作、最高傑作」等の意味を有するが、当該語意は、本件商標に接した需要者等の多くが想起する程に我が国において知られているものとは考え難い。 一方、引用商標Aは、「OPUS」の文字よりなるものであるから、その構成文字に相応して「オーパス」の称呼を生ずるものである。 したがって、本件商標と引用商標Aとは、「オーパス」の称呼を共通にする類似の商標である。 そして、本件商標と引用商標Aの指定商品は、同一又は類似のものである。 2 商標法第4条第1項第15号について (1)引用商標Bの周知著名性 請求人は、「近代カリフォルニアワインの父」と呼ばれるロバート・モンダヴィ氏が所有するワイナリー「ロバート・モンダヴィ」と「ボルドーの巨匠」と呼ばれる故バロン・フィリップ氏が所有するワイナリー「シャトー・ムートン・ロートシルト」のジョイント・ベンチャーとして誕生したワイナリーである(甲第5号証)。 引用商標Bが使用されているワイン(オーパス・ワン)は、両氏によって1979年に誕生したカリフォルニアの最高級ワインである(甲第6号証)。また、同ワインは、書籍「ソムリエが選ぶベスト・ワイン・カタログ」(甲第7号証)をはじめとする各種書物においても紹介されており、一般的なワイン愛好家の間では極めて良く知られているものである。 したがって、引用商標Bは、請求人の業務に係る商品「ワイン」を表示するものとして、本件商標の登録出願時において、その商品の需要者及び取引者の間で既に周知又は著名となっていたものである。 (2)出所混同の可能性 引用商標Bは、音楽用語で「作品番号1」を意味するものである(甲第5号証及び甲第6号証)。しかし、我が国において「OPUS」が「作品番号」を意味する英語として一般に知られているとは考え難く、むしろ一種の造語として認識されるとみるのが妥当である。一方、「ONE」は数字の「1」を表す英語として、我が国において広く知られているものである。 してみれば、引用商標Bに接した需要者等は、「オーパス(OPUS)の1(番)」程度の意味合いを想起するに過ぎず、「OPUS」の文字部分を商品識別標識として認識する場合が少なくないといえる。 また、ロバート・モンダヴィとイタリアのワイナリー「フレスコバルディ」とのジョイント・ベンチャーにより造られたワイン「ルーチェ(LUCE)」が、「オーパス・ツー(2)」、「イタリア版オーパス・ワイン」などと称されている(甲第8号証及び甲第11号証ないし甲第13号証)。さらに、一部の雑誌等においてオーパス・ワンを単に「オーパス」又は「opus」と記載している例(甲第8号証、甲第11号証及び甲第14号証)がある。 以上のことからも、「OPUS」の文字部分が引用商標Bの要部として認識されていることは明らかである。 さらに、ワインについて言えば、例えば、甲第5号証の「世界のワインカタログ1993」及び甲第6号証の「世界ワイン大全 2001年版」のワイン名索引中にも「OPUS」又は「オーパス」の文字をその名称中に含むワインはオーパス・ワン以外記載されていない。また、甲第8号証ないし甲第10号証は、インターネット上のワインの検索結果であるが、やはり、「OPUS」又は「オーパス」の文字をその名称中に含むワインはオーパス・ワン以外に検索されなかった。 以上の主張は、登録第4425616号商標に対する登録異議申立事件(異議2001ー90027号)においても認められ、当該登録を取消す旨の決定がなされている(甲第15号証)。 一方、本件商標は、本件審判の被請求人によって、その製造・販売に係る「ワイン」に使用されており、かつ、当該使用に係るワインは「マグナム瓶(容量 1.5リットル)入り」のものである(甲第16号証及び甲第17号証)。したがって、本件商標に接する需要者等は、その構成中「MAGNUM」の文字部分が単に当該商品の品質(容量)を表したものであることを容易に理解し、その結果、「OPUS」の文字部分に着目して当該商品を識別すると考えるのが妥当である。 以上のことから、「OPUS」の文字をその要部として含む本件商標をその指定商品(とりわけ「ワイン」)について使用するときは、恰も請求人又はこれと経済的・組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生じさせるおそれがある。 (3)引用商標Bの周知著名性及び出所混同の可能性を裏付ける判決 請求人は、ドイツ連邦共和国において、前記の登録異議申立事件(異議2001ー90027号)に係る商標と同一の商標(「OPUS DORA」)の使用の差止を求めてハンブルグ地方裁判所に訴訟を提起し、平成12年(2000年)12月22日付で判決がなされている(甲第18号証)。 裁判所は、「OPUS ONE」が請求人の業務にかかる高級ワインの商標として周知であり、その構成中の「OPUS」が独自の識別力を有するとの前提に立ち、「OPUS DORA」の使用が請求人の業務と混同を生ずるものであると判断し、当該使用及びその登録出願が違法なものであると判断した。 外国における前記判決が我が国における商標の登録性の判断に直接的な影響を及ぼすものではないが、我が国における出所混同の可能性を判断するに際して十分に参酌されるべきものである。 (4)むすび したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものである。 よって、本件商標の登録は、商標法第46条第1項第1号の規定により無効とされるべきものである。 (5)答弁に対する弁駁 (ア)商標法第4条第1項第11号について 「MAGNUM OPUS」の語が「芸術家の代表作、最高傑作」を意味するものとして、ワインの需要者及び取引者を含む平均的英語力を有する我が国の国民の間で一般的に知られているとは到底考え難い。確かに、英和辞典等を参照すれば当該語意を容易に知ることは可能であろうが、現実の商取引においては、ある商標の語意を理解できない場合には一種の造語と理解して取引にあたれば済むことであり、辞書等による語意の確認が慣行的に行われているものではない。 また、「MAGNUM」の語は、容量1.5リットルの瓶容器を意味するものであり、現実の商取引においても当該容量のボトルサイズを「MAGNUM(Magnum)」又は「マグナム」と表示している(参考資料1ないし4)。このような事実に鑑みれば、本件商標がその指定商品(とりわけ「ワイン」)に使用された場合において、その構成中の「MAGNUM」の文字部分が「マグナム弾、あるいはマグナム弾を使用した拳銃」を想起させるとは到底考えられず、むしろ「容量1.5リットルの容器に入ったワイン」であることを認識させるに止まる場合が多いとみるのが自然である。 (イ)商標法第4条第1項第15号について 引用商標Bが周知著名であることは甲第15号証として提出した「異議の決定」の記載からも明らかである。すなわち、「したがって、本件商標の出願時には、既に『OPUS ONE』の文字からなる商標(中略)は、ワインについて需要者の間に広く認識され、著名性を獲得していたものと判断するのが相当である。」旨の判断を示している。 引用商標Bが「オーパス」ワインと略称されている事実を示す証拠として提出した甲第12号証及び甲第13号証は、いずれもワイン販売業者(取引者)のホームページ抜粋(写)である。甲第12号証及び甲第13号証によって立証した事実に関する参考資料としてワイン販売業者のホームページ抜粋を提出する(参考資料5ないし7)。これら取引者の間においても、甲第12号証及び甲第13号証におけるのと同様に、引用商標Bを意味するものとして「オーパス」の語が使用されている。 甲第16号証として提出した被請求人の商品カタログは、本件商標の現実の使用態様を示すものであるが、これによれば、本件商標は長方形のラベルの中に「MAGNUM」と「OPUS」を上下二段に書してなるものである。本件商標が使用されている商品は「容量1.5リットルの容器(マグナム瓶)に入ったワイン」である。 第4 被請求人の主張 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、乙第1号証及び乙第2号証を提出した。 1 商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、欧文字にて「MAGNUM OPUS」と一連に横書し、下段に「マグナムオーパス」と書してなる商標である。 なお、「A」及び「0」の文字の上には狭音を示すアクサン・テギュ記号が付されており、該語がラテン語であることが直ちに認識できるものである。 したがって、本件商標からは「マグナムオーパス」あるいは「マグナムオパス」なる称呼が生じ、その余の称呼は生じない商標として構成されている。 また、本件商標は、「芸術家の代表作、最高傑作」を意味する名詞であって、独立した観念を有した商標である。 したがって、本件商標は冗長でない8音から構成された語であることと相俟って全体は澱みなく一連に「マグナムオーパス」あるいは「マグナムオパス」とのみ称呼される。 「MAGNUM OPUS」の語は「芸術家の代表作、最高傑作」を意味する名詞であり、独立した観念を有する一つの語である以上、2語が結合して一つの熟語となっている各語を分断して良い筈がない。 「MAGNUM」の文字は、確かに斯様な意味合いも存在するようであるが、一般的に「MAGNUM」は「マグナム弾、あるいはマグナム弾を使用した拳銃」(大辞林第2版)が想起されるのが一般的である。 容量1.5リットルの瓶容器を称する時は通常「MAGNUM瓶」即ち 「マグナムビン」として取引に供される。 元来ラテン語としての「MAGNUM」の意味は、「偉大」を意味するものであり、「MAGNUM弾」や「MAGNUM瓶」の語源はその「偉大」の語彙に由来するのである。 一方、「OPUS」の語彙は「作品」であって、主として音楽作品を製作完成させた結果物をいうものである。 いずれにしても、本件商標は芸術家の代表作、最高傑作を観念せしめる「MAGNUM OPUS/マグナムオーパス」であって、単なる作品を観念せしめる「OPUS」とは称呼並びに観念において明確に相違する非類似の商標である。 2 商標法第4条第1項第15号について 請求人は、引用商標Bが周知著名であるから、非類似商標であることを認めた上で、本件商標と出所混同をきたすと言うものである。 そもそも、「OPUS ONE」がワインについて日本国内において周知著名であるという請求人の主張はワインカタログの記載事実の立証のみでは到底無理があるが、たとえ「OPUS ONE」が仮に周知著名であったとしても、本件商標と需要者、取引者をして出所混同を起こすことはない。 先ず、請求人提出の甲第5号証「世界のワインカタログ1993」、甲第6号証「世界ワイン大全2001年版」、甲第7号証「ベスト・ワイン・カタログ」の商品案内カタログにはいずれも「OPUS ONE」の商標を付した請求人の製造販売にかかるワインが掲載されている。 しかしながら、そこにはいずれも正しく「OPUS ONE」、「オーパス・ワン」と表現され、「MAGNUM OPUS/マグナムオーパス」を彷彿させるような記載は全く存在していない。 本件商標の指定商品は酒類であって、需要者、取引者は成人した大人であって「ONE」しか理解できないような子供を相手にしているのではない。 特に、請求人の現実の使用対象商品はカリフォルニア産の高額ワインであって、当該高額ワインを嗜む程の需要者に対して、『「OPUS」の語は一種の造語として認識される』との主張が許されて良い筈がない そもそも「OPUS」の語は極めて広く普及されている新コンサイス英和辞典(乙第1号証)、小学館ランダムハウス英和大辞典(乙第2号証)を始めとするあらゆる英和辞典にその語意が掲載されている一般的な英語であり、造語として認識される語でないことは明らかである。 さらに、請求人は、「ONE」は数字の「1」を表す英語として我が国の間で広く知られている、と述べているが、「オンリーワン」、「ナンバーワン」、「ベストワン」等、「ワン/ONE」の語が一体となって一つの意味合いをもった語から「ワン/ONE」の語を切り離して自己の都合の良いように商標の構成を作り変えて良い筈がない。 なお、請求人は、甲第8号証中の「ドミナス(Dominus)」というワインの説明において、「オーパスもいいですが、...」といった記載があり、また、甲第11号証においては、「第三、第四の「オーパス」」、「そして、次々に新しい「オーパス」と目されるワインが誕生しています。」といった記載がある、と主張して、「OPUS ONE」商標が「オーパス」と略称されている事実が存在する旨を述べている。 しかしながら、甲第8号証、甲第11号証の「オーパス」の表現は、ある個人のコメントがそのまま掲載されたものであって、世間一般的に「OPUS ONE」ワインが「オーパス」ワインと略称されている事実を証明したものではなく、請求人の主張の裏付けとなる証拠とはなり得ないものである。 結局、芸術家の代表作、最高傑作を観念せしめる本件商標と、作品番号1番なる観念を有する引用B商標とは何等関連性を有さず、出所混同の問題は起こり得ないのである。 なお、請求人は、甲第18号証でドイツの判例を示しているが、当該判決の要旨はその抄訳文第3頁後段に記載されている如く「OPUS」の語に接尾語としての「DORA」を付した事案であって、本件商標とは全く次元の異なる判決である。 3 甲各号証について 甲第5号証ないし甲第7号証は一般に市販されている商品ワインについてのカタログ(ガイドブック)であり、請求人の製造販売にかかるワインも数百、数千種のワインの内の一つとして掲載されている事実が認められるが、その掲載の事実は何等請求人の製造販売にかかるワインが周知著名であることを示したものではない。 甲第8号証ないし甲第13号証はインターネット検索によって「OPU S ONE」を検索したデータであって、ワインについて「OPUS ONE/オーパス・ワン」が日本国内で現実に販売されている事実のみが立証できる程度の証拠に過ぎない。 甲第14号証は「OPUS ONE」ワインの歴史について説明された雑誌のようであるが、日本語の訳文の添付もなく、証拠としての成立は認められない。 甲第15号証は「OPUS DORA」商標が登録異議の申し立てにより、反論の意見陳述を行うことなく登録取消となった資料であるが、当該異議の決定は、甲第18号証に示されたドイツ裁判所における「OPUS DORA」商標の登録抹消判決と同様に、事案において全く関係のない異議決定である。 甲第16号証及び甲第17号証は本件商標がワインの名称として現実の販売に供されている事実が示されたものであり、請求人の「OPUS ONE」ワインと具体的出所混同されることなく、平穏に市場で取引されている事実が示されている。 4 結論 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当しないから、その登録を無効とされるべきではない。 第5 当審の判断 請求人の提出に係る「世界のワインカタログ 1993」(甲第5号証)、「世界ワイン大全 2001年版」(甲第6号証)及び「ソムリエが選ぶベスト・ワイン・カタログ」(甲第7号証)によれば、請求人が製造、販売する商品「ワイン」について「Opus One」、「オーパス ワン」若しくは「オーパス・ワン」の文字を使用し宣伝、広告されている事実が認められる。 さらに、インターネットによって検索された検索結果データ(甲第8号証ないし甲第13号証)によれば、請求人の製造、販売する「ワイン」について、「OPUS ONE」、「オーパス ワン」若しくは「オーパス・ワン」の文字を使用し紹介されている。また、その紹介の文章の一部には、単に「オーパス」、「opus」と略称して記載していることも認められる。 上記事実よりすると、本件商標の登録出願時には、既に「OPUS ONE」「オーパス ワン」及び「オーパス・ワン」の文字からなる標章は、ワインについて需要者の間に広く認識され、著名性を獲得していたものと判断するのが相当である そして、「Opus One」は、音楽用語で「作品番号1」を意味する成語であるとしても、我が国において普通一般に使用され知られているものとは認められないから、むしろ一種の造語として認識されるとみるのが相当である。しかして、「ONE」は数字の「1」を表す英語として我が国に広く知られているものであるから、引用商標Bに接した需要者等は、「ONE」、「ワン」の文字は数字の「1」を理解するに止まり、「OPUS」の文字部分を商品識別標識として認識する場合が少なくないといえるものである。 そうすると、引用商標Bは、「OPUS」の文字が主要な部分であり、「ONE」の文字は主要な「OPUS」の文字に付記的に追加されたと認識、理解される場合も多いものというのが相当である。 そこで、本件商標をみると、本件商標の構成は、別掲に表示したとおり、「MAGNUM OPUS」(「A」及び「0」の文字の上には、アクサン・テギュ記号が付されている。)と「マグナムオーパス」の文字よりなるところ、全体として「(芸術家の)代表作、最高傑作」の意味を有する語であるとしても、我が国において親しまれ使用されている語とは認められないから、これに接する取引者、需要者をして造語よりなるものと認識、理解されるものというのが相当である。しかして、むしろ「MAGNUM」、「マグナム」の語は、容量1.5リットルの瓶容器を指称する語として、商取引の実際において現実に使用されている実情(甲第3号証及び参考資料1ないし4)よりすれば、当該容量のボトルサイズ(容器)に入ったワインであることを認識させる場合も多いものとみるのが自然である。 してみれば、本件商標の後半部の「OPUS」の文字が引用商標の主要部分と同一の文字構成よりなることからすると、本件商標がその指定商品に使用された場合、取引者、需要者は「OPUS」の文字に着目して、これより直ちに引用商標を連想、想起し、該商品を請求人又は請求人との間に親子会社、系列会社等の密接な営業上の関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。 したがって、本件商標は、他の無効理由について判断するまでもなく、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 本件商標 ![]() |
審理終結日 | 2003-02-06 |
結審通知日 | 2003-02-12 |
審決日 | 2003-02-26 |
出願番号 | 商願平11-2338 |
審決分類 |
T
1
11・
271-
Z
(Z33)
|
最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
滝沢 智夫 |
特許庁審判官 |
岩崎 良子 小林 薫 |
登録日 | 2000-03-24 |
登録番号 | 商標登録第4370009号(T4370009) |
商標の称呼 | マグナムオーパス |
代理人 | 山崎 行造 |
代理人 | 福田 武通 |
代理人 | 杉山 直人 |
代理人 | 福田 伸一 |
代理人 | 福田 賢三 |