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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 121
管理番号 1075246 
審判番号 取消2001-31293 
総通号数 41 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-05-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2001-11-16 
確定日 2003-03-24 
事件の表示 上記当事者間の登録第1583037号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第1583037号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和54年5月2日に登録出願、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉およびその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、同58年4月27日に設定登録されたものであるが、指定商品中の「かばん類、袋物、化粧用具」についての登録は、平成13年4月3日付け審決により取り消され、同13年5月14日にその審決が確定し、同13年6月13日に抹消の登録がなされているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
1.本件商標は、本件審判の請求日前3年以内に日本国内において、その指定商品のいずれにも使用されていない。
2.答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、「被請求人の子会社である株式会社ザノン(以下「ザノン」という。)は、主に『ブレスレット』について、本件商標を継続的に使用しており、具体的には、カタログなどに『BEAR』の商標を付し、商品を提供していたものである。」と主張する。
しかしながら、以下に述べるとおり、上記被請求人の主張は失当である。
(2)乙第5号証(カタログの写し)は、その表紙に「BEAR WATCH BAND CATALOGUE」と大きく書してあることからも明白なように、「時計バンド」及びその調整用具のカタログである。
「時計バンド」は、類似群コード23A01に属するものであり、本件商標の指定商品「装身具、ボタン類、宝石およびその模造品、造花」(旧21類)のいずれの指定商品とも同一又は類似の関係にないものである。したがって、このようなカタログは、本件商標の使用の証明にはなり得るものではない。
にもかかわらず、被請求人がこのようなカタログを提出したのは、推察するに乙第5号証の81頁において「パワーブレス」と銘打つ時計バンドが、一見ブレスレット状の形状をしているため、これがブレスレット(装身具)として認定されることに期待をされたものと思われる。
しかしながら、このカタログは「時計バンド」のカタログであり、「ブレスレット状の時計バンド」はきわめて一般的に製造・販売されている事実が存在する以上、これらの商品は、あくまで「時計バンド」以外のなにものでもない。
(3)乙第5号証の81頁における「パワーブレス」と銘打つ時計バンドには、数個の「マグネット」が組み込まれている。このようにマグネットを組み込む目的は、血行促進をはじめとするなんらかの医療効果を期待するものに他ならない。このような医療効果に着目するならば、前記「パワーブレス」は、「医療用ブレスレット」又は「医療用磁気ブレスレット」であり、特許庁においてはいずれも類似群コード10D01として、登録を認めている(甲第1号証ないし甲第3号証)。
したがって、仮に百歩ゆずって、「パワーブレス」が時計バンド以外の商品であるとしても、その類似群コードは10D01である以上、本件商標の指定商品「装身具、ボタン類、宝石およびその模造品、造花」のいずれの指定商品とも同一又は類似の関係にないものである。
(4)以上のように、本件商標「BEAR」は、本件商標の指定商品「装身具、ボタン類、宝石およびその模造品、造花」のいずれの指定商品とも同一又は類似の関係にない商品について使用されているものであることは明らかである。
よって、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その指定商品のいずれにも使用されていなかったことは明白な事実である。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証(枝番を含む。)を提出した。
1.本件商標の所有者である被請求人(株式会社ベアー)は、平成13年8月9日午後2時、東京地方裁判所民事第20部において、破産決定を受け(乙第2号証)、本件商標は、破産財団に属し、その管理処分権は、破産管財人に帰属しているものである。
2.被請求人は、「ジュエリーアクセサリーと時計バンドの企画デザインから製造、販売、輸出入(宝石、パール、金及びプラチナを素材とするジュエリーアクセサリー全般と時計バンドに関する生活文化を提案する総合ファッション事業)」を事業内容としていたものであるが、平成9年のベアーグループ合併後は、被請求人の100%子会社であるザノン(乙第7号証の1ないし4)が時計バンド、アクセサリーの販売事業を担当し(乙第3号証)、本件商標について、被請求人の使用許諾(通常使用権)により、時計バンド、アクセサリーに使用していた。
なお、ザノンも平成13年8月9日午後2時、東京地方裁判所民事第20部において破産宣告を受けている(乙第4号証)。
3.被請求人及びザノンの破産宣告により、本件商標も破産財団に組込まれ、現在第三者の希望により、本件商標権の売却交渉が進行中である。
4.被請求人の子会社であるザノンは、主に商品「ブレスレット」について、本件商標を継続的に使用しており、具体的には、カタログ、タグ等に「BEAR」の商標を付し(乙第5号証)、商品を提供していたものである(乙第6号証の1ないし11)。
5.以上のとおり、被請求人は、その100%子会社であるところのザノンに使用許諾を与え、ザノンが破産宣告に至るまで継続的に商品「ブレスレット」に使用していた事実は明らかである(乙第6号証の1ないし11及び乙第7号証の1ないし4)。

第4 当審の判断
1.本件について、本件商標の使用者が通常使用権者であること、使用に係る商標が本件商標と社会通念上同一の範囲のものであること、通常使用権者による使用の時期が本件審判の請求の登録前3年以内であり、日本国内での使用であることについては、当事者間に争いがない。
そこで、乙第6号証の2及び同号証の8ないし11において、本件審判の請求の登録前3年以内に取引があったと認められる、乙第5号証に示された商品「パワーバングル」(以下「使用商品」という。)が本件商標の指定商品中に含まれるものであるか否かについて検討する。
なお、請求人は、乙第5号証に示された商品「パワーブレス」について、該商品が本件商標の指定商品中の含まれない商品であると主張するが、該商品は、乙第6号証のいずれからも、本件審判の請求の登録前3年以内に取引があったと確認することはできない。
2.乙第5号証(商品カタログ抜粋)によれば、以下の事実が認められる。
(1)表紙には、やや図案化した「BEAR」の文字及び「WATCH BAND CATALOGUE」の文字が表示されている。
(2)79頁及び80頁には、「ブレスレット(RXタイプ)」16本の写真が掲載されている。そして、該「ブレスレット(RXタイプ)」の形状は、いずれも一本の細長い金属性の帯状の形状をしており、その両端には該「ブレスレット」を輪状にする留め具がついている。したがって、該形状は、腕時計のバンドとして一般的である2本のバンドより構成されるものではなく、腕時計の時計部を結合する部分が存在しない。また、該「ブレスレット(RXタイプ)」には、「Pt」、「K18」、「K18/Pt」などを頭文字とする記号が付されている。
(3)81頁には、「パワーブレス」5本の写真及び「パワーバングル」(本件商品)4本の写真が掲載されている。そして、「パワーブレス」の形状は、上記(2)の「ブレスレット(RXタイプ)」の形状と同様、いずれも一本の細長い金属性の帯状の形状をし、その両端には該「パワーブレス」を輪状にする留め具がついており、腕時計の時計部を結合する部分が存在しない。この「パワーブレス」には、1本につきマグネットが6個ないし12個組み込まれており、「K18」を頭文字とする記号が付されている。
また、「パワーバングル」の形状は、いずれも斜めから写した写真であるところ、輪の一部が欠けた、いわゆる輪の形状を呈しており、欧文字の「C」を想起させるものであって、腕時計の時計部を結合する部分が存在しない。
さらに、上記「パワーバングル」の写真の左3枚の下部には、「K18」、「K18/Pt」などを頭文字とする記号が付されており、右端の「パワーバングル」の写真の下部には、「マグネットの数…各2ケ」、「マグネットの磁力…1ケ当り 1200〜1300ガウス」(マグネットは、「パワーバングル」の輪の欠けた部分の両端に組み込まれていることが示されている。)の各文字が記載されている。
(4)裏表紙には、「ZANON CO.,LTD.」、「株式会社ザノン」、「本社・第一営業所・物流センター/〒272-0001 千葉県市川市二俣1-10-17 ザノンビル3F」などの文字が記載されている。
3.乙第3号証(破産管財人弁護士佐鳥和郎の報告書)によれば、ザノンは、平成9年ころより時計バンドのほかにアクセサリーの販売を行っていることが認められる。
4.(1)前記2.及び3.で認定した事実よりすると、乙第5号証に掲載された「ブレスレット(RXタイプ)」は、「Pt」、「K18」、「K18/Pt」などの記号が付されているところから、その材質を「プラチナ」や「十八金」などとするものであることが認められ、その材質及び腕時計の時計部を結合する部分が存在しない形状からみれば、装身具としての「ブレスレット」であることが容易に認められる。
(2)本件商品(パワーバングル)は、前記認定のとおり、磁石が組み込まれているところからすれば、一般的には磁石が腕時計に対し悪影響を及ぼすことが考えられ、かつ、腕時計の時計部を結合する部分が存在しない形状からみれば、腕時計のバンドであるとは認めることはできない。
(3)付言すれば、「パワーブレス」は、腕時計の時計部を結合する部分が存在しないのみならず、腕時計に対し悪影響を及ぼすと考えられるマグネットが組み込まれているものであるから、腕時計のバンドであるとは認めることはできない。むしろ、これに付された「K18」の記号から、その材質を「十八金」とするものと認められ、装飾を目的とした商品であることが容易に推認されるものである。
5.次に、本件商品が医療用器具の範疇に属する商品であるか否かについてみるに、前記2.(3)で認定したように、本件商品の輪の欠けた部分の両端には、マグネットが組み込まれているところ、磁石は、その有する磁気が人体に作用すると、要するに血液の循環がよくなり、肩こりや目の疲れなどの疲労に対し回復効果があるといわれているものである。そして、近時このように、マグネットを組み込ませ身体の疲労を回復させるなどの効果を持つ、いわゆる磁気ブレスレット、磁気ネックレス、磁気イヤリングなどが市場に多数出回っている実情にあり、これら商品は、健康維持の目的を持つと同時に装飾の目的をも兼ね備えた商品であるということができる。また、これらの商品は、必ずしも医師の指導のもとに薬局で販売されている商品というものではなく、一般のアクセサリーを販売する店舗で販売されている場合も少なくない。
一方、旧第10類(平成3年政令第299号による改正前の商標法施行令別表による)の「医療機械器具」は、「医院又は病院で専ら使用される機械器具がこの概念に属する」(「商品区分解説」昭和55年3月31改訂版日)のであって、そのうちの「医療用の補助または矯正器具」は、「主として医師が処置し又は医師の指導で使用される“器具器械的なもの”に限られる」(同「商品区分解説」)とされている。
上記で述べたことを前提に、本件商品についてみれば、本件商品は、マグネットにより健康維持効果が期待される商品であると推測されるとしても、アクセサリーとしての「ブレスレット」とともにカタログに掲載され、その下部に記載された「K18」、「K18/Pt」の文字より材質を「十八金」や「プラチナ」とするものであることが認められ、その材質及びその形状からみても装飾を目的としたものであることも容易に推認されるものである。
してみると、本件商品は、健康維持の目的を持つと同時に装飾の目的をも兼ね備えた商品であると認められ、したがって、本件商標の指定商品中の「装身具」の範疇に属する商品とみても何ら差し支えないといわなければならない。
6.以上によれば、本件商標の通常使用権者であるザノンは、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標の指定商品中の「装身具」について使用していたことが認められる。
したがって、本件商標についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 本件商標


審理終結日 2002-10-24 
結審通知日 2002-10-29 
審決日 2002-11-11 
出願番号 商願昭54-32999 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (121)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高橋 輝雄佐藤 敏樹 
特許庁審判長 茂木 静代
特許庁審判官 井岡 賢一
瀧本 佐代子
登録日 1983-04-27 
登録番号 商標登録第1583037号(T1583037) 
商標の称呼 ベアー 
代理人 松丸 国雄 
代理人 塩谷 信 
代理人 菊地 栄 
代理人 吉武 賢次 

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