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審決分類 |
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 取り消して登録 029 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 029 |
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管理番号 | 1075232 |
審判番号 | 審判1997-4451 |
総通号数 | 41 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2003-05-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1997-03-17 |
確定日 | 2003-04-09 |
事件の表示 | 平成6年商標登録願第57427号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「ふえるわかめ」の平仮名文字を横書きしてなり、第29類「干しわかめ」を指定商品として、平成6年6月10日に登録出願、その後、指定商品については、平成8年7月16日付けの手続補正書において、「カール状乾燥わかめ」と補正されたものである。 2 原査定の理由 原査定は、「本願商標は、『水等でもどすとかさが増えるわかめ』の意を容易に認識させる『ふえるわかめ』の文字よりなるものであるから、これをその指定商品について使用しても、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号について 本願商標は、「ふえるわかめ」の文字を書してなるものであるところ、その構成中の「ふえる」の語は、「数が多くなる。物が生じて数が増す。かさが増す。」(広辞苑 第4版)を意味し、後半部の「わかめ」の語は、「海産の褐藻」を表す商品の普通名称を表示したものとして、共に広く知られている語と認められる。 そして、「わかめ」については、「生わかめ」及び「乾製品」があるが、後者には、「塩干しわかめ:海水で洗い、そのまま乾したもの、塩抜きわかめ:熱湯で処理してから乾したもの、湯わかめ:熱湯で洗い乾したもの、塩抜きわかめ:淡水で洗い乾したもの、干しわかめ:すの上で形をととのえて干したもの、熨斗わかめ:細長く裂いてから、板の上で乾したもの、乱乾わかめ:海水で洗い砂上にまいて乾したもの、糸わかめ:茎を除き分葉を一枚ずつ乾したもの」(総合食品事典 第三版及び同第六版 株式会社同文書院発行)等数種の「わかめ」が存在するところ、とりわけこれら乾製品の「わかめ」を調理する場合、「わかめ」が湯又は水を多分に吸収し、かさが増大することは一般の需要者によく知られているところである。 そうとすれば、本願商標は、「量が増大するわかめ」「かさが増えるわかめ」の意味合いを表現したものと容易に理解し、認識せしめるものというべきである。 してみると、本願商標は、これを指定商品「カール状乾燥わかめ」に使用した場合、本願商標に接する取引者、需要者は、前記したところにより、当該商品がそのようなわかめであることを表したものと理解するにすぎないものと認められ、該商品の品質、原材料を表示したものとみるのが相当である。 (2)商標法第3条第2項について 請求人は、本願商標が、実際の市場において、商標法第3条第2項の要件を具備するものであると主張し、証拠方法として資料1ないし同42を提出している。そこで、請求人の前記資料について検討するに、 (ア)請求人が「カール状乾燥わかめ」に使用している商標 資料37の1ないし5、同40、同41によれば、請求人が、商品「カール状乾燥わかめ」に使用している商標は、本願商標と多少書体に微差があるとしても、ほぼ同一の商標といい得るものである。 (イ)使用開始時期及び使用期間 資料1ないし同13及び同35、同36によれば、請求人は、昭和24年創業、各種家庭用食品、業務用食品、加工食品原料等の製造・販売を行う会社であり昭和50年から外食産業・業務用向けにカール状乾燥カットわかめを「ふえるわかめ・花ざいく」として発売し、一大ヒット商品となり、遅くとも、平成2年頃には周知著名であり、現在も継続して使用していることが認められる。また、前記カール状乾燥わかめは「カール状乾燥わかめの製造法」等として特許となり、請求人が中心となり、日本カットわかめ協会を設立し、同協会員が通常使用権者となっていること、前記特許が権利期間切れとなった現在も存続してカットわかめ業者の発展と親睦を図り継続して活動していることが認められる。 また、本願商標は、前記のとおり、指定商品についても第29類「カール状乾燥わかめ」に限定補正されているものである。 (ウ)使用地域 資料17、同36によれば、日本カットわかめ協会の会員は日本全国にわたっていること、また実際に取り引きしている業者も関東以北が中心となってはいるが、本願商標を付した商品「カール状乾燥わかめ」を、全国各地で販売していることが認められる。 (エ)使用商品の販売数量 資料35によれば、本願商標が付されている商品「カール状乾燥わかめ」の販売高は、1999年度が約16.2億円、2000年が約14.3億円、2001年約が13.6億円であり、単位製品の内容量が150gから500gであり、200gの製品が一番売れていることからみれば、この種の商品の販売数量としては相当な数と認められる。 (オ)広告宣伝方法 資料19ないし同34及び資料38ないし同41によれば、「ふえるわかめ」の文字よりなる商標は、ホームページの料理等の各サイト及びパンフレット、カタログで宣伝広告されている事実が認められる。 (カ)他者による「ふえるわかめ」商標の使用の有無 「ふえるわかめ」の文字は、請求人一社が使用し、前記日本カットわかめ協会の会員は「カットわかめ」の文字を使用しており、「ふえるわかめ」の文字よりなる商標を使用しているのは請求人のみであることが認められる。 (キ)以上、(ア)ないし(カ)の事実を総合すれば、本願商標は、請求人によって昭和50年以降継続して商品「カール状乾燥わかめ」に使用された結果、「ふえるわかめ」の商標は、請求人の業務に係る商標として、取引者、需要者に広く認識されるに至ったものと認められる。 (3)してみれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、請求人によってその指定商品について永年盛大に使用された結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至っているものと認められることから、同法第3条第2項の規定により、登録すべきものいうべきである。 したがって、本願商標は、商標法第3条第2項を適用し、登録すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2003-03-24 |
出願番号 | 商願平6-57427 |
審決分類 |
T
1
8・
17-
WY
(029)
T 1 8・ 13- WY (029) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 長沢 祥子 |
特許庁審判長 |
宮下 正之 |
特許庁審判官 |
小林 和男 高橋 厚子 |
商標の称呼 | フエルワカメ |
代理人 | 坂口 信昭 |