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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 Z25 審判 全部申立て 登録を維持 Z25 審判 全部申立て 登録を維持 Z25 |
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管理番号 | 1073863 |
異議申立番号 | 異議2002-90348 |
総通号数 | 40 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2003-04-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2002-05-27 |
確定日 | 2003-02-22 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第4545913号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第4545913号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4545913号商標(以下、「本件商標」という。)は、後掲(1)に表示したとおりの構成よりなり、平成12年4月13日に登録出願、第25類「洋服、コート、セーター類、ワイシャツ類、寝巻き類、下着、水泳着、水泳帽」を指定商品として、同14年2月22日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立ての理由 (1)引用商標 登録異議申立人の業務に係る商品を表示するものとして引用する商標(以下、「引用商標」という。)は、後掲(2)に表示したとおりの構成よりなるものである。 (2)本件商標について 本件商標は図形部分と文字部分とからなるが、文字部分はさほど特徴のない字体で構成されているのに対し、図形部分は人目を引く奇抜な字体で構成されており、需要者は図形部分に注目するものといえる。したがって、本件商標においては図形部分の商品識別力が高いといえ、本件商標の要部は図形部分であるというべきである。また、万一文字部分にも商品識別力が認められるとしても、少なくとも文字部分及び図形部分が同等に商品識別力を有するものというべきである。 (3)引用商標の著名性について 申立人は、引用商標を本件商標の登録出願以前から継続して使用しており、かつ引用商標は本件商標の登録出願以前より著名となっていたものである。 申立人は、被服及びその他の服飾品を製造、販売している会社であり、1980年に米国カリフォルニア州において設立された会社である。 引用商標は、申立人の商標のうち「ステューシー グラフィティ・ロゴ」と呼ばれるものであり、1980年に申立人のブランドであるステューシー・ブランドが開始されて以来使用されており、その後、多少の変遷を経た後、1990年代初めから引用商標が使用されているものである。 引用商標は、そもそも、申立人の共同設立者であるショーン・ステューシーの署名をもとにデザインされたものであり(甲第2号証、ジョン・アール・ソマーの宣誓供述書(ステューシー グラフィティ・ロゴマーク)の別紙1に、ショーン・ステューシーの実際の署名が記載されている)、そのため非常にユニークな商標となっている。 申立人の商品は、会社の設立当初から、世界中のサーフィン、スケートボードおよび音楽に興味を持つ流行に敏感な人々の間で徐々に浸透し始め、1990年代までには申立人は日本を含む全世界の数十カ国の企業との間で販売代理店契約を結び、各国において申立人の商品が販売されているものである(甲第3号証、フランク・シナトラの宣誓供述書(ステューシーの世界的名声)の添付資料Bに、契約書の写しがある)。 申立人は、甲第2号証ないし甲第5号証に添付した証拠(フランク・シナトラ、ジョン・アール・ソマー等の宣誓供述書を含む)で明らかの通り、引用商標を申立人の商品のカタログ、全ての商品のラベル、店舗、各種広告に使用し、また、「The Face」(1999年夏号)、「The Face」(1999年夏号)、 「Details」誌、「ロサンゼルス・タイムズ」(1989年1月1日、1992年7月12日)等の雑誌、新聞等でも他の著名なブランドと同様に取り扱われた結果、申立人の引用商標は申立人の商品を表すものとして、遅くとも本件商品の出願前までには著名となっていたものである。 なお、引用商標の著名性は、第三者により引用商標の侵害事件に関するブラジル、韓国等の司法判断においても広く認められているところである(甲第6号証)。また、申立人は、甲第2号証の如く、引用商標を日本を含む世界各国で登録している。 (4)本件商標と引用商標との類似性 本件商標と引用商標は、共に全体としてペン様の署名または文字として認識されるものであり、かつ、本件商標及び引用商標の両方とも、縦横へ伸びるダイナミックな線から構成される点で共通する。 両商標とも、文字が筆記体であり、全ての文字が一筆で書かれているために、各文字それ自体よりも、図形全体から受ける印象が強く意識される。したがって、右のような共通性は両商標の類似性を強く基礎付けるものである。 本件商標の図形部分のうち「SAVV」に対応する部分と引用商標のうち「Stu」に対応する部分は、ほぼ同一の図形からなる。すなわち、両商標とも、まず商標を構成するペン書状の線が左やや下方へと進んだ後急激に右へと曲がり、さらに左下方へと進んだ後、上方へ大きく伸びる。その後、その線は右方向へ進みつつ鋭角に上下に移動する点で、全く同一の構成をとっている。なお、本件商標には、引用商標の「t」の横棒に相当する部分及びウムラウト記号に相当する2つの点が存在しないが、かかる相違点は引用商標と本件商標の構成の強い類似性に埋没し、需要者には顕著な差異としては認識されないことが明らかである。その右側に、本件商標には「y」に相当する図形が表示されているが、右部分は引用商標の右端の図形と同一の構成である。 次に、本件商標の図形部分のうち「BOY」の相当する部分に対応する部分と引用商標のうち「ssy」に対応する部分も、ほぼ同一の図形からなる。 まず、本件商標の「B」に相当する部分の構成は、大きさこそ多少異なるものの、引用商標における「s」に相当する部分と同様の構成となっている、また、本件商標の「y」に相当する部分も、引用商標の「sy」に相当する部分とほぼ同一の形状をしている。さらに、本件商標の図形部分は「SAVVY BOY」との文字を表すものと考えられるが、本件商標の図形部分のうち「BOY」に相当する部分はあたかも「O」が二文字あるかのような外観を呈しており、不自然である。これは、引用商標のうち「y」の文字部分を被申立人が摸倣しようとし、その際、「y」の前の「s」の文字部分の一緒のものと誤解して本件商標に組み込んだために、このような外観を呈するに至ったものといえる。かかる事実は、被申立人が引用商標の著名性を利用しようと考え、引用商標の形状を摸倣した明らかな証拠であるといえる。 以上のとおり、引用商標は申立人の業務にかかる商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されており、本件商標はこれに類似するものであって、かつその指定商品は申立人の商品と同一又は類似のものである。 また、上述のような引用商標の著名性及び本件商標と引用商標の強い類似性に鑑みれば、本件商標は申立人の業務にかかる商品と混同を生ずるおそれのある商標である。 さらに、上述の通り、被申立人は引用商標の著名性を利用して不正の利益を得る目的で引用商標を摸倣し、本件商標を登録しようとしていることが明らかである。 (5)結論 以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第10号、15号又は19号に該当するものであるから、その商標登録は取り消されるべきである。 3 当審の判断 本件商標は、後掲(1)のとおり、サイン様の図形と「SAVVY BOY」の欧文字よりなるものであるところ、該構成よりは、「SAVVY BOY」の文字に照らして「サビーボーイ」の称呼、「理解の(良い)少年」のごとき観念を生ずるものであるのに対し、引用商標は、後掲(2)に示したとおり、サイン様の図形よりなるものであるから、これが直ちにいかなる構成文字よりなるかを判読することはできないものであり、格別の称呼、観念を生じないものというを相当とする。 次に、両商標の外観においては、本件商標の構成中のサイン様の図形部分に自他商品の識別機能を認め得るとしても、該構成は、「SAVVY BOY」の8文字より成り、伸びた印象を与えるのに対し、引用商標は、後掲(2)のとおり、「Stussy」の6文字を構成要素とし、前半部の「Stu」及び最後尾の「sy」の各文字をそれぞれ重ね合わすことにより、左右に縮めた印象を与え、加えて、本件商標のサイン様の図形部分は、「SAVVY」部分「BOY」部分に上下の段差が認められ、該差異が看者に与える印象は大きく、両者は、外観上紛れるおそれがない程度に相違するものである。 してみれば、本件商標と引用商標とは、外観において相違し、称呼及び観念において、比較すべきところがない。 したがって、本件商標と引用商標とは、その外観称呼及び観念の何れよりみても、何ら相紛れるおそれのない非類似の商標である。 また、申立人提出に係る証拠によれば、引用商標は、申立人が被服及びその他の服飾品について、世界的のみならず、我が国においても使用した結果、取引者、需要者間において、相当程度周知、著名に至っていることが認められる。 しかしながら、上記認定のとおり、本件商標と引用商標とは、何ら相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、商品の出所について混同を生じさせるおそれはない。 さらに、本件商標は、「理解の(良い)少年」のごとき観念の生ずる「SAVVY BOY」及びそのサイン様図形よりなるものであるから、該「SAVVY BOY」に本件商標の採択の意図が伺われ、申立人の共同設立者である「ショーン・ステューシー」の「Stussy」サインを採択の意図とする引用商標とは、採択の意図が明白に異なり、引用商標の著名性を利用したものということはできないから、不正の利益を得る目的で登録されたものでもない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号および同第19号のいずれにも違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものとする。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
(1)本件商標 (2)引用商標 |
異議決定日 | 2003-02-04 |
出願番号 | 商願2000-39319(T2000-39319) |
審決分類 |
T
1
651・
25-
Y
(Z25)
T 1 651・ 271- Y (Z25) T 1 651・ 222- Y (Z25) |
最終処分 | 維持 |
特許庁審判長 |
田辺 秀三 |
特許庁審判官 |
井岡 賢一 柳原 雪身 |
登録日 | 2002-02-22 |
登録番号 | 商標登録第4545913号(T4545913) |
権利者 | 株式会社ヨシダ |
商標の称呼 | サビーボーイ、サビー |
代理人 | 永田 良昭 |
代理人 | 達野 大輔 |
代理人 | 達野 大輔 |