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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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取消200331101 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 129 |
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管理番号 | 1073745 |
審判番号 | 取消2000-31263 |
総通号数 | 40 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2003-04-25 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2000-10-23 |
確定日 | 2003-03-03 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2677561号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第2677561号商標の指定商品中「茶、コーヒー、ココア、清涼飲料、果実飲料」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第2677561号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、第29類「茶、コーヒー、ココア、清涼飲料、果実飲料、氷」を指定商品として、平成3年6月6日に登録出願、同6年6月29日に設定登録されたものである。 2 請求人の主張の要点 請求人は、結論同旨の審決を求め、概略次のように述べた。 本件商標は、その指定商品中、第29類「茶、コーヒー、ココア、清涼飲料、果実飲料」について、本件審判請求の登録前3年以内に使用された事実がないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。 3 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、概略次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。 (1)被請求人は、本件商標の指定商品中「清涼飲料」について本件商標を使用している。 (ア)被請求人と日本コカ・コーラ株式会社(以下「通常使用権者」という。)との間で締結した商標使用許諾契約書(乙第1号証)の内容から明らかなように、当該契約は、本件商標について1999(平成11)年7月15日付けで締結されたものであり、現在においても当該契約の有効性は継続している。 したがって、この事実から、通常使用権者によって、本件商標が実際に使用されていることは明白である。 (イ)本件商標の使用を示す証拠として乙第2号証及び乙第3号証を提出する。 乙第2号証は、通常使用権者が商品「清涼飲料」を販売するために作成・使用したポスターであり、乙第3号証は、ステッカーである。これらは、酒屋、スーパー、そして、全国の自動販売機に貼付されたものである。 さらに、証拠提出するために準備中であるが、全国版でテレビコマーシャルをしていた事実を付言する。 この事実から明らかなように、被請求人と通常使用権者の間には、本件商標について相互に明確な使用許諾の合意があり、本件商標は現実に使用されている。 (ウ)なお、乙第2号証(ポスター)及び乙第3号証(ステッカー)には、本件商標がそのまま使用されてはいないが、本件商標において、その存在価値を位置付けている重要な要部が使用されているから、これら商標間においては、実質的な同一性がある。 すなわち、商標権者が自ら使用する場合はさておき、使用許諾の場合には、弾力的に運用することが法の予定する更なる商標の使用につながる。そう解さないときには、現実の取引の実態を全く無視することに等しく、商標法で規定する使用許諾制度の存立を危うくすることになりかねない。 よって、被請求人は、日本国内において、本件審判請求の登録前3年以内に、本件商標を取消請求に係る指定商品中の「清涼飲料」に使用しており、本件商標を取り消すべき事由は全く存しない。 4 当審の判断 (1)本件商標は、別掲(1)に示すとおり、顕著な「Hips」の欧文字を多少図案化して表し、該「s」の文字の上方に、小さな黒塗りのワニに似た仮想動物の図形(以下「ワニ様の図形」という。)を配し、また、該「s」の文字の下方に配した縦長長方形輪郭図形中には、左側を振り向いた女性が臀部のやや後方付近で、後ろ手にした手を突っ張っているような姿態(以下「女性の臀部を強調した図形」という。)を配した構成よりなるものである。 そして、本件商標は、前記「Hips」の欧文字と小さなワニ様の図形と女性の臀部を強調した図形とが全体として逆直角二等辺三角形を構成するように、奇妙かつ絶妙なバランスをもって配置されているものである。 しかしながら、本件商標中にあって、「Hips」の文字と女性の臀部を強調した図形に比べて、前記ワニ様の図形は、特に強調された構成といえるものでもなく、「Hips」の文字と女性の臀部を強調した図形とが最も強い印象をもって看取されるとみるのが相当といえることを考慮すると、本件商標をその指定商品に使用するときには、「Hips」の文字に相応して「ヒップス」の称呼、そして、「女性の臀部」あるいは「女性のお尻」といった観念を生ずるというのが相当である。 これに対して、通常使用権者が取消請求に係る指定商品中の「清涼飲料」に使用していると主張している標章の一つは、乙第2号証によれば、別掲(2)に示すとおり、赤い地色を背景として、その中に赤い球状図形を淡く配し、該球状図形を右斜め上がりに突き抜くように、「Coca-Cola」のペットボトルの図柄(該ボトルのキャップは、はずれ、ボトル口から液体が流れ出ている。)を配し、かつ、前記球状図形の円周に沿って、上方に「500ml PET」、下方に「HIP BOTTLE」の各文字をそれぞれ白抜きで表示した構成よりなるものである(ただし、前記「HIP BOTTLE」の文字中の「I」は、小さなペットボトル様の図形として白抜きで表示されている。以下「使用商標1」という。)。 そして、使用商標1における「HIP BOTTLE」の文字は、各文字が同大にまとまりよく表されていることから、取引者、需要者は、該文字全体を一体不可分のものと理解し、これより「ヒップボトル」の称呼、そして、「お尻(のポケット)に入るような(小さなペット)ボトル」といった観念をもって取引にあたるというのが相当である。 なお、使用商標1の構成中の「500ml」の文字は、ペットボトルの容量を表し、「PET」の文字は、甲第1号証に記載のとおり、ペットボトルの材料として用いられる「polyethylene terephthalate」の略(新村出編『広辞苑』1998年11月11日株式会社岩波書店発行 2404頁)というべきであるから、ペットボトルを意味するものということができる。 しかるところ、被請求人は、使用商標1より「HIP BOTTLE」の文字が認識されるだけでなく、該文字中、前半の「HIP」の文字部分が自他商品識別標識としての機能を果たす主要部として認識され、「HIP」の文字部分から、単なる「ヒップ」の称呼のみをも生ずるので、本件商標と使用商標(1)とは、実質的に同一性を有する旨述べている。 しかしながら、本件商標の構成は、上述のとおりであって、これより「ヒップス」の称呼及び「女性の臀部」又は「女性のお尻」の観念を生ずるのに対して、使用商標1からは、「ヒップボトル」の称呼を生ずるといい得ても、直ちに単なる「ヒップ」の称呼までもが生ずるものとは認め難いものである。 仮に、使用商標1より「ヒップ」の称呼を生ずる場合があったとしても、これより「お尻(のポケット)に入るような(小さなペット)ボトル」という観念を生ずることに加えて、本件商標中にあるワニ様の図形及び女性の臀部を強調した図形が使用商標1にはないことからすると、本件商標と使用商標1とは、その外観、称呼及び観念のいずれにおいても明らかに相違する非類似の商標であり、使用商標1の使用が本件商標の使用と実質的に同一と認めることはできない。 (2)さらに、通常使用権者が取消請求に係る指定商品中の「清涼飲料」に使用していると主張するもう一つの標章は、乙第2号証によれば、別掲(3)に示すとおりであって、「Coca-Cola」の小さなペットボトルを差し込んだ青色のジーンズの尻ポケット付近に、赤色で目立つように一連一体に横書きした「行き先は、ヒップに聞け!」という角張った文字、及びそれを人差し指で強調するように指し示している写真(以下「使用商標2」という。)よりなるものである。 しかして、使用商標2における当該「行き先は、ヒップに聞け!」という文言は、商品への注目度や需要を喚起するために用いられるキャッチフレーズの一種とみるのが相当であり、直ちにこれが自他商品識別標識としての機能を果たすとも解し難いものである。 そして、たとえ、これより称呼を生ずるとしても「イキサキワヒップニキケ」の称呼のみに止まるものと認められる。 そうとすれば、本件商標からは、「ヒップス」の称呼及び「女性の臀部」又は「女性のお尻」の観念を生ずるのに対して、使用商標2は、「イキサキワヒップニキケ」の称呼を生じ、キャッチフレーズとして観念されることに加えて、これには、本件商標中にあるワニ様の図形及び女性の臀部を強調した図形がないことは使用商標1と同様であるから、本件商標と使用商標2とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、明らかに異なる非類似の商標であり、被請求人が主張するごとく、使用商標2の使用が本件商標の使用と実質的に同一と認めることはできない。 (3)次に、通常使用権者が取消請求に係る指定商品中の「清涼飲料」に使用していると主張している標章は、乙第3号証によれば、別掲(4)に示すとおりであって、前記使用商標1と同一か又はそれと赤白の色彩を逆にしたもの、あるいは、前記使用商標2と同一のものというべきであるから(以下「使用商標3」という。)、これには、本件商標中にあるワニ様の図形及び女性の臀部を強調した図形がないことは前記使用商標1及び使用商標2と同様であり、使用商標3の使用を本件商標の使用と認めることはできない。 なお、被請求人は、通常使用権者に本件商標の使用権を許諾したとし、乙第1号証(商標使用許諾契約書)を提出しているが、それによれば、被請求人が使用許諾している商標の態様は、「『HIP』又は『HIP BOTTLE』及びこれらのカナ表記並びにこれらに類似する表記」であり、これはワニ様の図形及び女性の臀部を強調した図形を含む本件商標とは著しく異なる商標というべきであるから、これを使用しても、本件商標を使用したことにはならない。 また、被請求人は、本件商標の使用を示す証拠として、乙第2号証(ポスター)及び乙第3号証(ステッカー)を提出しているが、これらが展示された時期を認めるに足りる証拠は見当らない。 そして、被請求人提出の乙各号証によっては、本件商標を取消請求に係る商品に使用した事実を示す証拠は一切見当らないから、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に我が国において、本件商標を取消請求に係る商品について使用した事実を立証しなかったものといわなければならない。 したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中の「茶、コーヒー、ココア、清涼飲料、果実飲料」についての登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 (1)本件商標 ![]() (2)使用商標1 ![]() 注:色彩については原本(乙第2号証)を参照されたい。 (3)使用商標2 ![]() 注:色彩については原本(乙第2号証)を参照されたい。 (4)使用商標3 ![]() 注:色彩については原本(乙第3号証)を参照されたい。 |
審理終結日 | 2002-12-25 |
結審通知日 | 2003-01-06 |
審決日 | 2003-01-21 |
出願番号 | 商願平3-57893 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(129)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 須藤 祀久、泉田 智宏 |
特許庁審判長 |
上村 勉 |
特許庁審判官 |
鈴木 新五 山田 正樹 |
登録日 | 1994-06-29 |
登録番号 | 商標登録第2677561号(T2677561) |
商標の称呼 | ヒップス |
代理人 | 岡澤 英世 |
代理人 | 森田 順之 |