ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 一部取消 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 121 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 121 |
---|---|
管理番号 | 1072198 |
審判番号 | 取消2002-30551 |
総通号数 | 39 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2003-03-28 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2002-05-21 |
確定日 | 2003-01-27 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1085708号の1商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第1085708号の1商標の指定商品中の第21類「歯ブラシ」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第1085708号の1商標(以下、「本件商標」という。)は、「デュオ」の片仮名文字と「DUO」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、昭和46年10月7日に登録出願、第21類原簿記載の商品を指定商品として、同49年9月2日に登録第1085708号商標として設定登録、その後、同59年10月19日及び平成6年9月29日に商標権存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、登録第1085708号商標の分割移転があった結果、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉及びその模造品、造花、化粧用具但し、装身具、ボタン類、宝玉及びその模造品を除く」とされているものである。 第2 請求人の主張 1 請求の趣旨 結論同旨の審決を求める。 2 請求の理由 請求人は、その理由を次のように述べ、甲第1号証を提出した。 本件商標は、その指定商品中「歯ブラシ」について継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。 3 答弁に対する弁駁 (1)まず、被請求人は、本件審判請求人には利害関係がないとしているが、平成8年の商標法改正により、不使用取消審判における請求人の利害関係が不用とされたことは、あまりにも明らかな事実であり、被請求人の主張自体失当というほか無いものである。 ちなみに付言すると、請求人は、平成14年5月31日に指定商品第21類の「歯ブラシ」等を指定商品として「DUO BRUSH」の商標出願(商願第2002一045033号)をなしているものであり、平成8年の商標法改正以前の考え方に従ったとしても、請求人が「利害関係」を有することは、明らかなところである。 (2)次に、被請求人は、日本国内において請求人は歯ブラシを製造販売していない、と主張しているが、そのような事由は本件取消審判において何らの意味も有しないことは、あまりにも明白であり、反論の価値さえないものと思料する。 ちなみに、請求人はその子会社であるスミスクライン・ビーチャム製薬株式会社を通して、以前から日本において「Aquafresh」の商標の下で「歯ブラシ」を製造販売してきていたものであり、この事実は周知のところである。 (3)被請求人は、被請求人の「デュオ」「DUO」は「つけまつ毛」に関して周知商標となっていると主張している。 なるほど、被請求人提出にかかる資料からは、被請求人が「DUO」という商標を付した「つけまつ毛」を販売している事実が伺われる。しかしながら、その販売高は、被請求人の主張をそのまま前提としても、年間でわずか1千万円程度に過ぎず、雑誌への掲載も昭和49年から同51年頃に数回なされたというだけであり、これらの事実からは、被請求人の本件商標が「つけまつ毛」に関して周知商標となっているなどという事実を伺うことは到底できないのである。 しかしながら、そもそも、本件商標が周知であるか否かなどという事実は、本件には全く無関係な事柄である。指定商品に関して使用されていない商標が取消審判の対象になるのは商標法第50条に明文化されているところであり、その商標が他の指定商品の関係において周知であったとしても、そのような事実は全く関係ないのである。ある指定商品に関して周知著名な商標であったとしても、他の指定商品に使用されていなければ、使用されていない指定商品について取消審判の対象となるのは、明らかなところである。 本件において、仮に百歩譲って、被請求人の「デュオ」「DUO」が「つけまつ毛」に関して周知商標となっていると仮定したとしても、被請求人が本件商標を「歯ブラシ」に使用していない事実は被請求人目身が自認しているところであり、本件商標が「歯ブラシ」に関して取消の対象となるのは、あまりにも当然である。 被請求人の本件商標が「歯ブラシ」に関して取り消された結果として、第三者が本件商標と類似の商標を「歯ブラシ」に関して使用し始め、被請求人が「つけまつ毛」に使用している商標と誤認混同のおそれが生じたという場合には、被請求人としてはその時に不正競争防止法等による保護を考えればよいのである。あるいは、被請求人が使用する商標と類似する商標を第三者が「歯ブラシ」に関して登録したという場合において、その登録に異議を提出すればよいのである。 (4)被請求人による権利の乱用の主張は、何を言わんとするのか趣旨不明である。本件商標が「つけまつ毛」に使用されている事実があったとしても、本件商標が「歯ブラシ」に関して使用されていない事実が明らかになったのであるから、「歯ブラシ」に関して不便用取消審判を請求するのがどうして権利の乱用になるのであろうか。はなはだ不可解である。いずれにしても、被請求人のこのような主張が法律に則った主張といえないことは明らかである。 (5)以上の通り、被請求人の主張はいずれも荒唐無稽なものであり、従って、指定商品「歯ブラシ」に関して本件商標の登録を取り消すとの、速やかなる審決を希求する次第である。 第3 被請求人の答弁 1 答弁の趣旨 本件商標に対する登録取消の審判請求はこれを却下又は成り立たないとの審決を求める。 2 答弁の理由 被請求人は、答弁の理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第7号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)商標法第56条第1項で準用する特許法第135条により本件審判の請求はこれを却下すべきである。 特許庁における設定登録により発生した財産権たる商標権に対する登録の取消審判と雖も紛争解決の第一審であるから「利益なきところに訴えなし」とする法格言に該当する。 即ち請求人は本件審判請求時に当り、如何なる商標をどのような商品に使用すべく選定されていたのか。更には商標選定自由の原則を遵守せず且つどのように妨げられたかの事由を少なくとも疏明あるべきところ無きは商人となるべき適格を欠くものと思料する。加えて、取消の理由が「4行」に止まるなど常識を逸したものである。かかる本件審判の請求は平成8年の法改正の趣旨・目的を忘却するも甚々しく審判の審理の促進どころか遅延すら招く虞れ大である(乙第1号証1141頁)。 このような本件請求を容認ありとせば「濫訴」の謗りさえ免れないものと思料する。 よって本件の請求人はその適格を欠き補正することはできないものと思料する。 (2)本件審判請求人は「歯ブラシ」につき又は関し、日本国内において製造販売はしていない。従って本件商標の存在が請求人に不利益とか、商標選定の自由の原則を妨げているわけではない。してみれば、請求人の本件取消審判の請求は成り立たない。 (3)本件被請求人は商品に「デュオ」「DUO」を使用する周知商標である。 被請求人は昭和2年5月に初代社長小林幸司が頭飾品の製造販売を開始し、昭和21年に小林コージー本舗化粧料と改称し、昭和35年5月株式会社コージー本舗に組織変更をして現在に至る間、化粧品及び化粧用具のメーカーとして国内はもとより台湾・韓国等へ輸出し、周知されている会社ある(乙第2号証)。 (a)アイラッシュ開発 特に「つけまつげ」に関しては被請求人の主力製品にして乙第2号証に示すように昭和22年5月つけまつげ(アイラッシュ)の発売を開始し、同25年4月には輸出をも始め、需要者の要望と流行に伴い、昭和47年6月以来アイラッシュに関し、登録商標「MELLOW」を発売し、当該「MELLOWメロウ」商品はナイロン繊維であったが、人毛という特徴を出した「DUO デュオ」商品を昭和48年3月に発売した(現在の商品はナイロン素材になっている)。その後、昭和49年3月「JILL」 、同52年2月「MISTY」、同53年4月「WINK」、同59年11月「MINETTE」アイラッシュシリーズの発売以来現在に至り、資生堂に次ぐ業界における大手メーカーである。 尚、「つけまつ毛」及び収納容器の形状・色彩等は時代的傾向と共に変化している(乙第3号証)。 (b)販売先と実績 国内における問屋は 230店 国内における小売店は約 500店(百貨店、スーパー、ドラッグストア、バラエティストア、化粧品店) 5ヶ年間の販売数量 アイテム 販売数 販売高 平成9年度(97.4月 〜98.3月 ) 6 20,100ペア 1,200万円 平成10年度(98.4月 〜99.3月 ) 6 23,800ペア 1,420万円 平成11年度(99.4月 〜00.3月 ) 6 25,550ペア 1,530万円 平成12年度(00.4月 〜01.3月 ) 6 22,500ペア 1,350万円 平成13年度(01.4月 〜02.3月 ) 6 17,700ペア 1,060万円 (つけまつ毛には流行に応じて1種を6として更に6に色分けする。) かく商品「つけまつ毛」に「DUO デュオ」の登録商標を長年使用し、宣伝広告に伴い、取引者・需要者間に周知著名となっている。 (c)宣伝・広告(乙第3号証〜乙第6号証) 1.雑誌掲載の抜すい ・an an 昭和49年9月5日 ・ non-no 昭和49年11月5日 ・女性セブン 昭和50年4月21日(Tシャツプレゼント) ・旅行ホリデー 1976年5月号(コンサート招待) 2.発売当時からのチラシ(昭和48年〜50年) 3.商品カタログ 2002年1月(15,000部) しかし、色物等でシーズン毎に新製品を製造販売していくためには小売店数の倍増を必要とする情況と流行波に左右されるこの業界では、コスト高とデッドストックをかかえる事情から弊社は化粧品・化粧用具のメーカーとして所有する商標権はさほど多くはないが、今後、引き続き周知性を帯有する本件商標「DUO デュオ」 のブランドは市川工場に併設される研究所よりの開発される新製品に係る商品のための使用に期待をかけている次第である。 尚、付言すれば化粧品と化粧用具は製造業者とその商品の販売業とが同一店舗であることを念頭に置くとき、他人が本件ブランド「DUO デュオ」を使用するにおいては商品の出所につき混同を惹き起すことは明白である(乙第4・5・6号証)。 してみれば、本件商標はその指定商品「歯ブラシ」につき登録を取消すべきでないと思料する。 (4)本件取消審判の請求は、権利の濫用である。 本件商標は商品「つけまつ毛」につき周知著名になっておりますところ、請求人は取消審判請求時に甲第1号証の1・2を提出するもので、一歩進めて市場調査があったならば本件商標が周知商標にして「歯ブラシ」と類似商品「つけまつ毛」に使用あることの確認が容易であって商標法第1条の要件を満たす商機と認識のあったことであろう。にも拘らず被請求人の形成した得意の信用を害するが如き本件取消の請求は権利の濫用というべきであろう(乙第7号証)。 以上、叙述の理由により答弁の趣旨どおりの審決を求める。 第4 当審の判断 1 本件審判は、当事者間に請求の利益について争いがあるので、この点について先ず判断するに、「利益なければ訴権なし」の法理は、商標登録の取消審判においても適用されるべきところ、当該取消審判は、形式的要件を備えただけで成立した商標権が永く不使用の状態におかれた登録商標に、排他独占的な権利を与えておくことは、国民一般の利益を不当に侵害し、かつ、その存在により権利者以外の商標使用希望者の商標の選択の余地を狭めることとなるから、一般的に広く請求の利益を認めることが制度の趣旨に合致する(平成8年法律第68号の改正により、法文上も「何人も」審判を請求し得る旨を明記した。)ものというべきである。 そして、請求人は、本件商標と類似するおそれのある「DUO BRUSH」(標準文字で表してなる)よりなり、その指定商品中に本件取消に係る「歯ブラシ」を指定商品とする商願2002-045033号(出願日平成14年5月31日)を実際に出願しているものであるから、一般的のみならず直接的にも請求の利益を有する者といい得るものである。 2 次に、本請求に入って判断するに、商標法第50条の商標登録の取消審判にあっては、その登録商標の使用をしていないことについて正当な理由がある場合を除いて、その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れないとされている。 3 そこで、被請求人の提出に係る乙第1号証ないし同第7号証(枝番号を含む。)を徴するに、乙第1号証及び同第7号証は、上記請求の利益に関する主張を裏付ける出版物「工業所有権法逐条解説 発明協会発行」写しであるから、本件商標の使用の事実を立証するものでない。 次に、乙第2号証は、被請求人の「会社概要」写し、乙第3号証は、本件商標を商品「つけまつ毛」について使用しているとする荷姿「包装かん」の写し、乙第4号証(枝番号を含む。)は、本件商標を商品「つけまつ毛」について使用しているとする雑誌の抜すい、乙第5号証(枝番号を含む。)は、本件商標を商品「つけまつ毛」について使用しているとするチラシ、また、乙第6号証は、本件商標を商品「つけまつ毛」について使用しているとする被請求人の総合カタログ(抜すい)写しであるが、これらは、請求人が本件商標を請求に係る指定商品「歯ブラシ」について使用したことを証明するものではない。 してみれば、被請求人提出に係る乙各号証は、被請求人が請求に係る指定商品「歯ブラシ」についての本件商標の使用の事実を立証したものということができないから、当該提出に係る証拠によっては、本件商標は、本件審判の請求の登録前継続して3年以内に、請求に係る指定商品のいずれかについて、日本国内において使用されたものであることを認めることができない。 また、被請求人は、その登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があると主張するものでもない。 4 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、請求に係る指定商品「歯ブラシ」について、取り消すべきである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2002-12-03 |
結審通知日 | 2002-12-05 |
審決日 | 2002-12-17 |
出願番号 | 商願昭46-108445 |
審決分類 |
T
1
32・
02-
Z
(121)
T 1 32・ 1- Z (121) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小野里 高次 |
特許庁審判長 |
三浦 芳夫 |
特許庁審判官 |
井出 英一郎 柳原 雪身 |
登録日 | 1974-09-02 |
登録番号 | 商標登録第1085708号の1(T1085708-1) |
商標の称呼 | デュオ、デイユウオオ |
代理人 | 杉林 信義 |
代理人 | 又市 義男 |