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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Z03
審判 全部申立て  登録を維持 Z03
管理番号 1071039 
異議申立番号 異議2002-90305 
総通号数 38 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2003-02-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-05-07 
確定日 2003-01-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第4543052号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4543052号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4543052号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成11年2月26日に登録出願され、「KOBECOSME」の欧文字を横書きしてなり、第3類「化粧品」を指定商品として、同14年2月8日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要旨)
(1)商標法第3条第1項第3号について
本件商標は、上記のとおり、「KOBECOSME」の欧文字を普通に用いられる方法で書してなるものであって、これが「KOBE」と「COSME」の文字を結合したものであることは容易に理解し得るものである。
ところで、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものである(平成12年(行ケ)第76号判決)。
これを本件商標についてみると、本件商標は、その構成中前半の「KOBE」の文字が、兵庫県南東部、大阪湾北西岸に位置する都市であって、県庁所在地でもあり、我が国有数の貿易港を擁する阪神工業地帯の中核をなす神戸市を指称する「神戸」の欧文字表記として広く一般に親しまれ、かつ、使用されていると認められるものである(甲第2号証)。
そして、該「神戸(KOBE)」は、商業・工業等が発展した大都市であるところから、その地において、本件商標の指定商品である「化粧品」が製造・販売されることは改めていうまでもない。また、本件商標中後半の「COSME」の文字は、「化粧品」を意味する「COSMETICS」の略称として、該「KOBE」と同様に一般に親しまれているばかりでなく、本件商標の指定商品である「化粧品」を取り扱う業界においては、その意味合いで普通に使用されているのが実情である(甲第3号証および同第4号証)。
してみれば、本件商標「KOBECOSME」をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者・需要者は、「神戸の化粧品」、即ち神戸で製造又は販売される化粧品であることを表示したものとして直ちに把握し、理解するものとみるのが自然である。
したがって、本件商標は、単に商品の産地、販売地を表示するにすぎないものであって、自他商品を識別するための標識とは認識し得ないものであるから、商標法第3条第1項第3号の規定に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
登録異議申立人(以下、「申立人」という。)である「株式会社コーセー」は、化粧品製造を事業目的とする1946年創業の会社であって、今期で56周年を迎える今や日本を代表する大手総合化粧品メーカーとなっている(甲第5号証)。そして、申立人が「KOSE」「コーセー」「KOSECOSMETICS」等の文字よりなる標章(以下、「KOSE標章」という。)を同人を表示する標章(社章)として、また、各種化粧品等を表示する商標としても長年にわたって使用をしてきた結果、今日、「KOSE標章」は、国内はもとより海外でも幅広く愛され親しまれているものである。
したがって、「KOSE標章」は、本件商標の出願時の平成11年には、既に申立人の標章として世界的に著名なものとなっていたことは顕著な事実である。
さて、ここで前記「KOSE標章」中の「KOSECOSMETICS」の文字よりなる商標についてみると、当該商標は、その構成文字数(13文字)又は称呼(コーセーコスメティックス)のいずれよりみても一つの名称のものとしては冗長であること、前述のように、後半の「COSMETICS」の文字が「COSME」と普通に略称されること、申立人が、他に「KOSE COSME」の文字を含む商標、例えば、「KOSE COSMENIENCE」「KOSE COSMEPORT」の文字よりなる商標(甲第6号証および同第7号証)を採択、使用していることおよび「KOSE標章」の著名性、等を総合勘案すれば、取引者・需要者には、これを「KOSE COSME」(コーセーの化粧品)という略した形で強く記憶に残るものである。
そうとすると、本件商標を構成する「KOBECOSME」の文字と「KOSE COSME」とを比較した場合における、3文字目の「B」と「S」の相違のみの外観上の紛らわしさや「コーベコスメ」と「コーセコスメ」の称呼の近似性、等を併せ考慮すれば、本件商標をその指定商品「化粧品」に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、その構成文字から著名な「KOSE標章」を連想、想起し、それが申立人又は同人と何らかの関係がある者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定にも違反して登録されたものである。
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号および同法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録は取り消されるべきものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
本件商標は、「KOBECOSME」の欧文字を横書きしてなるところ、これを構成する文字中の「KOBE」が兵庫県の著名な港湾都市名である神戸市の「神戸」を、また「COSME」が化粧品を意味する英語の「COSMETICS」の略であるところから、全体として「神戸の化粧品」の意味合いを暗示させるような場合があるとしても、これが指定商品に関し、直ちにその商品の品質を具体的に表示したものとはいい得ないものである。
また、神戸市が化粧品に関し、著名な産地、販売地として需要者間に知られているものでもない。
そうとすれば、本件商標は、「神戸の化粧品」の意味合いを看取させるというより、取引者、需要者間に、全体として一種の造語を表したものと理解、認識されるものとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、商品の品質、産地等を表した商標とは認められないものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、全体として一種の造語を表した商標であるとみるのが相当であること、上記(1)で述べたとおりである。
また、申立人の「KOSE」「コーセー」「KOSECOSMETICS」等の文字よりなる「KOSE標章」が、取引者、需要者間に広く知られていたとしても、通常の注意力を持ってすれば、本件商標と上記「KOSE標章」とを見誤ったり、本件商標より申立人の上記各標章を連想、想起し、その商品が申立人又は同人と何らかの関係がある者の業務にかかるものであるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものと認められる。
(3)結論
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号および同法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2002-12-10 
出願番号 商願平11-17126 
審決分類 T 1 651・ 13- Y (Z03)
T 1 651・ 271- Y (Z03)
最終処分 維持  
特許庁審判長 三浦 芳夫
特許庁審判官 柳原 雪身
井岡 賢一
登録日 2002-02-08 
登録番号 商標登録第4543052号(T4543052) 
権利者 株式会社アイナリー
商標の称呼 コーベコスメ、コスメ 
代理人 成合 清 
代理人 森本 直之 

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