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審決分類 審判 全部無効 商8条先願 無効としない Z09
管理番号 1070827 
審判番号 無効2001-35154 
総通号数 38 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-02-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2001-04-09 
確定日 2002-12-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第4376172号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1.本件商標
本件登録第4376172号商標(以下「本件商標」という。)は、「CREO METHOD」(「CREO」の「O」の上部に「―」がある。以下同じ。)の文字を横書きしてなり、平成11年3月23日に登録出願、第9類「レコード,電子応用機械器具及びその部品,映写フィルム,スライドフィルム,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」を指定商品として、平成12年4月14日に設定登録されたものである。

第2.請求人の引用商標
請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する商願平9-162880号商標(以下「引用商標」という。)は、「CREO」の文字を標準文字で書してなり、第9類「レーザーを使用した未加工フィルムを露光するための書込みへッド,レーザーダイオード配列,フィルムレコーダ,イメージレコーダ,写真用プロッタ及びそれらの部分品,レーザーを使用して画像をフィルム及びその他のメディアに記録させるための電子機器,マイクロプロッタ,マイクロリトグラフ用機器,印刷用の映像機械器具,プリント回路ボード用のレーザー画像機械器具,理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」及び第37類「印刷機・マイクロプロッタ・マイクロリトグラフ用機器の設置・移動・保守・修理,印刷及びプリント回路ボードの画像化システム,印刷用又は製本用の機械器具の修理又は保守,映写機の修理又は保守,化学機械器具の修理又は保守,写真機械器具の修理又は保守,事務用機械器具の修理又は保守,測定機械器具の修理又は保守,電気通信機械器具の修理又は保守,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路,磁気ディスクその他の周辺機器を含む。)の修理又は保守,電動機の修理又は保守,配電用又は制御用の機械器具の修理又は保守,民生用電気機械器具の修理又は保守,理化学機械器具の修理又は保守」を指定商品及び指定役務として、平成9年10月1日に登録出願されたものである。

第3.請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録はこれを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と主張し、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。
1.請求理由
本件商標中の「METHOD」は、「方法、方式」を意味する英語であって、現在では、「メソッド」としてすでに日本語化されている(甲第3号証)。
本件商標の指定商品中の「電子計算機用プログラムを記憶させた記憶媒体」を中心に「メソッド」なる言葉は使用方法・操作方法を意味する語として頻繁に用いられている。
請求人は該事実を立証するため、「メソッド」の語が用いられた「電子計算機用プログラムを記憶させた記憶媒体」に関してのインターネット上のウェブサイトの打ち出しの一部を提出する(甲第4号証)。
さらに、「メソッド」が「電子計算機」及び「電子計算機用プログラム」の分野で正式な学術用語として認められていることを立証するために、「メソッド」の語がその明細書中に用いられている特許公告公報及び同公告公報の詳録を提出する(甲第5号証)。特許法上、明細書の技術用語は学術用語を使用しなければならず、特許庁における審査を経て出願公告ないしは特許されて公告された複数の発明の明細書中に「メソッド」の語が含まれていることは、「メソッド」が学術用語であり、しかも、すでに、特許庁においても、「メソッド」が学術用語であることを認められていることを意味する。
そして、「METHOD」のわが国の浸透度に鑑みれば、平均的知識水準の需要者であれば、本件商標中「METHOD」が「メソッド」の英語表記であることは容易に理解できる。
以上述べたことから、本件商標に接した需要者は、「METHOD」の部分を商品の使用方法・操作方法を意味するものとし、その結果、自他商品識別標識として機能し得ないものと認識するは必定である。
特許庁においても、本件商標の登録前に、電子応用機械器具を指定商品とする商標「可能エリア方式/可能AREA METHOD/可能Area Method」(商願平10一19024号)を「データ対象物をその中に挿入したり、参照したり、そこからデータ対象を除去したりすることができる仕組みと、それが行われる記憶装置中の空間が可能な方式・方法」を理解・認識させるから、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして拒絶し、また、本件商標の登録後に電子応用機械器具等を指定商品とする商標「RESULTS MANAGEMENT METHOD」(商願平11ー40708号)を「結果の為の操作方式」を意味するから、商標法第3条第1項6号に該当するとして拒絶していた(甲第6号証)。このように特許庁自身も「METHOD」が「方式・方法」を意味するものであって、自他商品識別標識として機能し得ないものと判断している。これら商標が本件商標の登録の前後に拒絶されていることからすれば、本件商標の「METHOD」の部分も当然自他商品識別標識として機能し得ないものと判断されるべきである。
以上詳述したことから明らかなように、本件商標の「METHOD」は自他商品識別標識として機能し得ないものである。したがって、簡易迅速を旨とする商取引においては、時として、当該商標を、「CREO」の部分が要部とされて、該部分をもって「クレオ」と略称することは十分あり得る。
一方、引用商標は、その構成からして、「クレオ」と称呼されることは明らかである。
このように、本件商標と引用商標とは「クレオ」の称呼を共通にする類似の商標である。
したがって、本件商標は商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第46条によって無効とされるべきである。
2.答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、自他商品識別標識として機能しない商標とは商品の品質・機能・用途等を表す語として知られており、かつ広く使用されていることが必要であるかの如く主張する。しかしながら、商標法が自他商品識別標識として機能しない商標を登録しないのは、品質・機能・用途等を表示する商標の使用を取引界に広く開放するためであるから、たとえ現時点で取引において実際に品質・機能・用途等を表示する商標として使用されていなくとも、そのように使用される可能性が認められれば、自他商品識別標識として機能しないものと解されている。
そして、問題の商標の構成語の一部が自他商品識別標識として機能しない故に該部分を捨象して略称されるとするいわゆる要部観察においても、品質・機能・用途等を表示する可能性がある部分があれば、その部分を捨象して略称されるとされるべきである。さもなければ、実際の取引において、将来、他人の商標と出所の混同を生じるおそれがあると認められる商標であっても非類似のものとされてしまう不都合が生じる。
この点で、そもそも被請求人の主張は妥当性を欠く。
なお、被請求人は既登録例を挙げて「METHOD」は自他商品識別標識として機能できると主張しているが、あくまでも、本件商標の指定商品との関係においてであるから、被請求人が挙げた登録例は事案を異にする。
(2)被請求人は、コンピューター英語活用辞典、インターネットのウェブサイトの打ち出し及び特許公報では、「METHOD」が品質・機能・用途等を表示する商標として使用されている根拠とはなり得ないと主張する。
しかしながら、辞典に掲載されインターネットのウェブサイト上で頻繁に用いられ(インターネットのウェブサイト上で用いられることは取りも直さず実際の社会においても用いられていることを意味する。)、複数の特許公告公報中で見出せることを総合的に見れば、「METHOD」が品質・機能・用途等を表示する商標として実際に使用されていることは明らかである。
少なくとも、上記証拠方法から品質・機能・用途等を表示する商標として使用される可能性があったことは明らかである。すなわち、本件商標が「CREO」の部分をもって略称される可能性があることは明らかである。
この点は、本件商標の登録の前後に「METHOD」の語を含んだ商標が拒絶されたことから明らかである。被請求人はこれら商標の拒絶例は「METHOD」単独の自他商品識別標識機能の欠如を判断したものではないと主張するが、特許庁における自他商品識別標識性の審査では、商標が複数の語からなる場合に,その構成する語の一つでも自他商品識別標識として機能できれば全体としても自他商品識別標識として機能できるとされていることからすれば、「METHOD」の語を含んだ商標が拒絶されたことは取りも直さず「METHOD」自体も自他商品識別標識として機能できないと判断されたことを意味する。
(3)請求人は、上述したように、審判請求書と共に提出した証拠方法によって「METHOD」が電子計算機・コンピュータープログラム等の商品との関係で自他商品識別標識機能を欠くものであることは十分立証できたと確信するが、さらに、このことを証する証拠方法としてIMB社編の「Dictionary of Computing」「Dictionary of Computer and Internet Terms」「The IEEE Standard Dictionary of Electrical and Electronics Terms」「NEWTON’S TELECOM DICTIONARY」の写し並びにインターネットのホームページの打ち出し及び「方式 メソッド 電子計算機」を含んだホームページの検索リスト・「方式 メソッド コンピューター」を含んだホームページの検索リストを追加する。
国際化が進んだ今日、取り分け、コンピューターの分野では国際化が著しく、用語の浸透度はわが国も米国も何ら異なるところはない。であるとすれば、米国で出版された辞典に掲載されている用語は当然わが国の需要者の知るところとなっているといえる。したがって、ここで提出した米国で出版された辞典はわが国で「METHOD」が自他商品識別標識機能を欠如することを証することができる。
(4)以上述べたことから明らかなように、「METHOD」は自他商品識別標識として機能できるとの被請求人の主張は妥当性を欠き、審判請求書及び答弁書と共に提出された証拠方法から本件商標の「METHOD」の部分が自他商品識別標識を欠如することは明らかである。

第4.被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第12号証を提出した。
1.本件商標の認定
本件商標について、請求人は、本件商標の構成後半の「METHOD」が「方法、方式」を意味する英語であり、現在では「メソッド」として既に日本語化しているから、当該構成後半の商標「METHOD」は、自他商品の識別標識としての機能をなし得ないものであるとし、簡易迅速を尊ぶ商取引の場にあっては、構成前半の「CREO」の部分が単独に称呼観念されて略称される場合がある。
したがって、本件商標の要部は、構成前半の商標「CREO」(クレオ、クレオー)にあると認定している。
しかしながら、本件商標は請求人が認定する商標に相当するものではなく、構成前半と後半とに分離観察される格別の理由が存在しないから、これより「CREOMETHOD」(クレオ《ー》メソッド)と一連一体不可分の称呼観念のみが生じるものであって、この点における請求人の認定は誤認による論理の飛躍があり、到底容認し難いものである。
以下、詳細に答弁理由を述べる。
先ず、請求人の主張点である本件商標の構成後半部分の商標「METHOD」について吟味するに、当該語は請求人が主張するまでもなく、英語として「方法・方式、体系・秩序」の意味でもって一般的に使用されていることは被請求人も容認するところであるが、単独の商標「METHOD」が自他商品の識別機能を有していないと認定するためには、その商品の分野において商品の品質、機能、用途等を表す語として知られており、かつ広く使用されていることが加味される必要がある。
因みに、特許庁の登録実務をみると、乙第2号証ないし乙第5号証にある如く、異なる商品分野において商標「METHOD」「メソッド」が単独の登録商標として存在している事実がある。
すなわち、商標「METHOD」は商品分野にあっては、請求人が主張する如く、自他商品の識別機能を有していない商標と認定されているわけではない。
上記の事項について請求人は、甲第3号証…「METHOD」は「方法、方式」を意味する英語として「メソッド」して日本語化されている事実があること。
甲第4号証…「電子計算機用プログラムを記憶させた記憶媒体」を中心に「メソッド」は、使用方法・操作方法を意味する語として頻繁に用いられている事実があること。
甲第5号証…「メソッド」なる語は「電子計算機」「電子計算機用プログラム」の分野における特許公告公報及び同公告公報抄録に使用されていることから、当該語が正式な学術用語としても認められている事実があること。
等々主張するが、コンピュータ英語活用辞典(甲第3号証)、インターネット上のウェブサイトの打ち出し(甲第4号証)及び特許公報(甲第5号証)に単に記載されているからといって、それが商品の品質を表す語として広く使用されているとはいえず、また、特許公報(明細書)に記載されているからといって必ずしも学術用語とはいいきれないことは、特許庁の審査基準に照応して明らかである。
だとすれば、請求人の主張の中「METHOD」が「方法、方式」を意味する英語で「メソッド」として日本語化されているとしても、当該語が商標法上「品質、機能、用途等を単に表示した語である」との所論は、論拠のないものであり、かつ認識できないものである。
加えて、請求人は甲第6号証の事実に基づき「METHOD」が商標法上「品質、性状機能、用途等を単に表示した語である」と主張するも、甲第6号証に示す事実は、「METHOD」単独の商標が商標法第3条第1項第3号又は同第6号に違反するとの認定ではなく、商標「可能エリア方式/可能AREA METHOD/可能Area Method」、「RESULTS MANAGEMENT METHOD」の商標全体が商標法第3条第1項第3号又は同第6号に違反するとの認定であることは論及するまでもなく明白であり、請求人の主張は誤認に基づく所論である。
以上のとおり、請求人が主張する商標「METHOD」(メソッド)は、一般的に使用されている語であることは容認するところであるが、当該本件商標が属する商品分野にあって、「品質・性状機能・用途」等を単に表示した、所謂、商標法上の「自他商品識別機能を有しない語である。」とは認識できないものである。
前掲のとおり、商標「METHOD」単独の商標は、請求人が主張する事由に想到しないとする事実から本件商標を吟味すると、本件商標「CREO METHOD」は、構成の前半商標「CREO」と後半商標「METHOD」とを分離観察し、構成後半の商標「METHOD」が単独に称呼観念され、加えて、商取引の場におて使用されるとの請求人の所論は失当であり、本件商標の構成前後半を分離して観察しなければならない格別の事由はないものである。
したがって、本件商標は構成の前半商標「CREO」と後半商標「METHOD」に分離観察されるものではなく、本件商標が7音構成とさほど冗長ではなく、よどみなく一気に称呼されるとのことから「CREO METHOD(クレオメソッド)の一連一体不可分の称呼観念のみが生じる商標であることは、前掲の所論のとおりである。
このことは、前審商標登録異議申立(異議2000ー90746)事件における乙第6号証・異議の決定謄本の第2頁に記載の「当審の判断」に表示されている事実からも証左されるところである。
2.引用商標の認定
引用商標は、前記したとおり、欧文字「CREO」を横一連に書してなる構成態様であることから、「クレオ」の称呼が生じると理解するのが相当である。
3.本件商標と引用商標の類否について
前掲の如く、本件商標は「クレオメソッド」の一連一体不可分の称呼のみが生じることは先の認定のとおりであり、他方、引用商標は「クレオ」の称呼のみが生じることも先の認定のとおりである。
そこで、両商標の称呼について比較吟味すると、両商標は構成前半部分が共通し、他の構成後半部分に差異がある。
両商標の差異についてみると、構成音数が本件商標にあっては吃音「ッ」を含むさほど冗長ではない第7音構成であるのに対し、引用商標は僅か3音構成と極めて短い音数であるから、両商標全体を時、所を離隔して称呼した際には明瞭に区別でき、相紛らわしく聴取されるおそれはないものである。
また、両商標の観念・外観は論及するまでもなく相異するものである。
よって、本件商標と引用商標とは、構成音数が著しく相違し、その称呼・観念及び外観の何れにあっても明瞭に区別できる非類似の商標である。
したがって、本件商標は商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたものではなく、同法第46条第1項の規定により無効にされるべき商標ではない。
4.答弁書(2)
(1)請求人は、自他商品識別標識として機能しない商標を登録しないのは、品質・機能・用途などを表示する商標の使用を取引界に広く開放し、また、実際に使用されていなくとも、その可能性が認められれば自他商品識別標識として機能しないと理解されていると主張し、商標類否の考え方において構成中の自他商品識別標識として機能しない部分は除外され、他の構成部分の商標が要部となり得るから、その部分で略称され、さもないと出所の混同を生じるおそれがあると認められる商標であっても非類似の商標とされてしまう不都合が生じる。と主張するが、商標の自他商品識別標識としての機能についての考え方は、一般人の意識ではその商品の品質・機能・用途等を示す名称だと意識され、通常の小売段階での商品購入にあって品質・機能・用途等を示す名称として使用されていても、それだけではその商標が上記事項を示す普通名称化されたとはいえないものであり、取引界において特定の業務に係る商品であることが意識されなくなった名称を、その商品又は役務について使用しても出所表示機能あるいは自他商品識別標識としての機能がないことは明らかである場合について、商標の不登録要件としているものでる。
だとするならば、請求人が主張する、「商標が実際に使用されていなくとも、その可能性が認められれば自他商品識別標識としての機能がないと理解されている。」との主張は自他商品識別標識としての機能についての考え方からみて妥当性がない。
すなわち、商標の登録要件の決定時期は、当該商標出願の登録査定の時期であることは登録実務上周知のことであり、この事実から、その時期において将来の可能性まで認めることは至難のことである。
この点につき、請求人は将来、他人の商標と出所の混同を生じるおそれがある商標についても非類似の商標とされると主張するが、前述の通り、商標登録の決定時期は当該商標出願の登録査定の時期であるから、これを将来の要素を含めて認定することは登録実務において不可能なことであり、この点における請求人の主張は何ら根拠のないものである。
さらに、被請求人が列挙した商標「METHOD」は、本件商標の指定商品と事案を異にすると指摘するが、平成13年7月19日提出の答弁書において記述のとおり、乙第2号証ないし乙第5号証の登録商標は本件商標とは異なる商品分野であることは承知しているが、請求人の主張のごとく商標「METHOD」が日本語化していること又は商品分野において自他商品識別標識としての機能がないとの主張を否定した一事象の傍証であり、何ら関連のないものではない。
(2)請求人は「METHOD」が甲第3号証ないし甲第6号証に使用されていることから「METHOD」が品質・機能・用途等を表示する商標であり、また、「METHOD」が品質・機能・用途等を表示する商標として使用される可能性があるとし、この立証のために甲第7号証ないし甲第9号証を補充しているが、甲第7号証の辞典の発行日はともかくとして、甲第8号証及び甲第9号証は2001年(平成13年)8月21日付け検索情報であり、本件商標の登録査定日である平成13年(2001年)3月10日(発送日による。)以後のものである。
(3)請求人は、「METHOD」は請求書及び弁駁書とともに提出された証拠方法から、自他商品識別標識としての機能がないことが明白だから、本件商標は時として「CREO」の部分をもって「クレオ」と略称されることが認められ、引用商標と類似すると主張する。
しかしながら、「メソッド」「METHOD」は請求人が請求書及び弁駁
書と共に提出した証拠によるも直ちに自他商品識別標識としての機能が欠如するとは言えず、各証拠に表示された使用態様の大多数には「〇〇〇」と「METHOD」「メソッド」を結合した構成、いわゆる複数語の結合商標である。
百歩譲って、本件商標の構成後半部分の商標「METHOD」が自他商品識別標識としての機能のない商標であると仮定しても、本件商標が7音構成とさほど冗長ではなく、よどみなく一気に称呼されることから、構成前半の「CREO」と「METHOD」に分離観察される格別の理由が存在しない。
よって、本件商標は「CREO METHOD」(クレオメソッド)の一連一体不可分の称呼観念のみが生じる商標であることは、先に提出した答弁書に主張のとおりである。

第5 当審の判断
1.本件商標は「CREO METHOD」の文字よりなるところ、請求人は、「本件商標中の『METHOD』の文字部分は、『方法、方式』を意味する英語であり、本件商標の指定商品中の『電子計算機用プログラムを記憶させた記憶媒体』等の『使用方法・操作方法』を意味する語として頻繁に用いられているものであるから、自他商品識別標識として機能し得ないものと認識される。」旨主張し、その事実を証する証明書として甲第3号証ないし甲第9号証を提出した。
2.しかして、通常「コンピュータ用語」として分類される語は3万語(英和コンピュータ用語大辞典第2版 日外アソシェーツ株式会社 1996年7月22日第1刷発行。)以上の多数の語を含むものであるところ、コンピュータ用語として、その指定商品(役務)との関係で自他商品(役務)識別力がないとするには、取引者・需要者の間で日常的に使用され、かつ、広く認識されている語でなければならないものというべきである。
また、出願商標についての登録要件を定めた商標法第3条第1項各号の適用時期、即ち出願商標が自他商品識別力を有するか否かの判断時期は査定時であると解されるものであるから、上記「METHOD」の語の自他商品識別力の判断時期も本件商標の登録査定日(平成12年「2000年」2月29日)を基準として判断されるべきである。
そうとすれば、甲第4号証(いずれも、平成12年「2000年」7月24日の日付によるホームページ。)、甲第8号証及び同第9号証(いずれも、平成13年「2001年」8月21日の日付によるホームページ。)及び甲第7号証(いずれも外国における辞典類であるが、発行年月日不明)は、「METHOD」の語の自他商品識別力を判断する証拠資料としては不適切であるというべきである。
さらに、甲第3号証(コンピュータ英語活用辞典 平成10年6月25日発行 株式会社オーム社)、甲第5号証(特許公告公報)には、「METHOD(メソッド)」の語が掲載されている事実はあるが、総じて「METHOD(メソッド)」の語は、他の語と結びついて「……方式」、「……方法」の意味合いを有する語として熟語的に使用される例が多く、「METHOD(メソッド)」単独で使用される例は少ないといえる。
この点において、甲第6号証において示される2件の拒絶例は、いずれも構成中に「METHOD」の語を含み、構成一連で特定の観念を生じる商標として拒絶されているものである。
3.以上の事実を総合的に勘案するに、「METHOD(メソッド)」の語が「方式・方法」等の意味合いを有するコンピュータ用語である事実は認め得るが、該語は、他の語と結びついて「……方式」、「……方法」等の熟語的意味合いを有する語として使用される例が多いものであり、また、申立人提出に係る甲各号証を検討しても、「METHOD(メソッド)」の語が、前記意味合いを有するコンピュータ用語として、本件商標の登録査定時において、取引者・需要者の間に普通に使用され、広く認識されていたとはいえないものと判断するのが相当である。
4.そして、本件商標は「CREO METHOD」の文字よりなるところ、構成各文字は同書・同大に全体としてまとまりよく構成されており、これより生ずると認められる「クレオメソッド」の称呼も格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
また、構成中の「METHOD」の語が、「方式・方法」を意味する語として使用される場合があるとしても、かかる構成においては商品(役務)の品質(質)を具体的に表示するものとして直ちに理解し得るものともいえないところである。
そうとすれば、本件商標よりは「クレオメソッド」の一連の称呼のみが生ずるものと判断するのが相当である。
他方、引用商標は「CREO」の文字よりなるものであるから、これよりは「クレオ」の称呼を生ずるものと認められる。
そこで、本件商標より生ずる「クレオメソッド」の称呼と、引用商標より生ずる「クレオ」の称呼とを比較するに、両者は前3音「クレオ」の音を共通にするといえども、後半部における「メソッド」の音の有無に顕著な差違を有するものであり、両者は称呼上区別し得る。
さらに、本件商標は、特定の観念を生じ得ない一連の造語と判断するのが相当であるから、両者は観念上比較し得ないものであり、それぞれの構成からみて外観上も容易に区別し得るものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その称呼、観念及び外観のいずれにおいても非類似の商標といわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第8条第1項に違反して登録されたものでないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-08-01 
結審通知日 2002-08-06 
審決日 2002-08-19 
出願番号 商願平11-25854 
審決分類 T 1 11・ 4- Y (Z09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柳原 雪身 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 中嶋 容伸
茂木 静代
登録日 2000-04-14 
登録番号 商標登録第4376172号(T4376172) 
商標の称呼 クレオメソッド 
代理人 梶 良之 
代理人 石田 敬 
代理人 田島 壽 
代理人 勝部 哲雄 
代理人 宇井 正一 
代理人 青木 篤 

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