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審決分類 審判 全部無効 称呼類似 無効としない 029
管理番号 1070707 
審判番号 無効2001-35538 
総通号数 38 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-02-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2001-12-12 
確定日 2002-12-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第4029172号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4029172号商標(以下「本件商標」という。)は、平成6年4月22日に登録出願、別掲(1)に表示したとおりの構成よりなり、第29類「食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物,豆,加工野菜及び加工果実,卵,加工卵,乳製品,食用油脂,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,食用たんぱく」を指定商品として、平成9年7月18日に設定登録されたものである。

2 引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第2113835号商標(以下「引用商標1」という。)は、昭和51年11月25日に登録出願、別掲(2)に表示したとおりの構成よりなり、第32類「なっとう」を指定商品として、平成1年2月21日に設定登録、その後、同11年1月26日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。
同じく、登録第2288895号商標(以下「引用商標2」という。)は、昭和63年5月27日に登録出願、別掲(3)に表示したとおりの構成よりなり、第31類「調味料,香辛料,食用油脂,乳製品」を指定商品として、平成2年12月26日に設定登録、その後、同13年1月16日に商標権存続期間の更新登録がされ、さらに、同13年12月19日に、その指定商品を第29類「食用油脂,乳製品」及び第30類「みそ,ウースターソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,角砂糖,果糖,氷砂糖(調味料),砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ(調味料),ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,化学調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと」並びに第32類「ビール製造用ホップエキス,乳清飲料」とする書換の登録がされたものである。
同じく、登録第2503668号商標(以下「引用商標3」という。)は、平成2年4月11日に登録出願、別掲(4)に表示したとおりの構成よりなり、第32類「納豆」を指定商品として、平成5年2月26日に設定登録されたものである。
同じく、登録第4109580号商標(以下「引用商標4」という。)は、平成2年10月12日に登録出願、別掲(5)に表示したとおりの構成よりなり、第32類「食肉,卵,食用水産物,野菜,果実,加工食料品(他の類に属するものを除く。)」を指定商品として、平成10年2月6日に設定登録されたものである。

3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)引用商標1及び引用商標3の構成文字中、「納豆」の文字は、商品の普通名称であるから、要部は「太子」であり、「タイシ」の称呼を生ずる。 また、引用商標2及び引用商標4からは、「タイシ」の称呼を生ずる。
本件商標から生ずる「ダイシ」の称呼と引用商標から生ずる「タイシ」の称呼とは、ともに同数の3音からなり、その差異音は、第1音目の濁音「ダ」と清音「タ」の差にすぎない。
したがって、このように、わずかな差異のみしか有しない両称呼の全体をそれぞれ一連に称呼するときには、互いに相紛らわしく混同を生ずるおそれがあるから、本件と引用の両商標は、称呼において類似する。
(2)特許庁商標課編の「商標審査基準」において、「ともに同数音の称呼からなり、相違する1音が清音、濁音、半濁音の差にすぎないとき」は、類似するとされている。
また、請求人が、「タイシ(図形)」(商願2001-12869号)を登録出願したところ(甲第6号証の1)、本件商標と類似するので、商標法第4条第1項第11号に該当する旨の拒絶理由通知があった(甲第6号証の2)。
このことからしても、本件及び引用の両商標が称呼上類似することは明らかである。
(3)本件商標の指定商品と引用各商標の指定商品とは、抵触するものである。
(4)したがって、引用商標1ないし引用商標3において、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
また、引用商標4は本件商標の先願であるから、本件商標は商標法第8条第1項に該当する。

4 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べた。
(1)本件商標と引用各商標の称呼について比較すると、両者はともに3音構成よりなり、かつ、その相違するところは、語頭における「ダ」と「タ」の音であるところ、このように、語頭音に濁音と清音の差があること、ともに3音という少数の音より構成されていること、両商標が観念上著しい相違点を有することからすると、取引上混同を生ずるおそれはないものというべきである。
(2)これまでの審決例又は判例をみると、語頭音に音質又は音調上著しい差異があるときは両商標は類似しないと判断された事例は少なくない。
(3)本件商標からは弘法大師の「大師」あるいは著名な川崎大師の「大師」を想起するのに対し、引用各商標からは聖徳太子の「太子」を直感するから、両商標をその指定商品に使用しても混同を生ずることはない。

5 当審の判断
本件商標は、「大師」の文字に相応し、「ダイシ」(仏や高僧の尊称、弘法大師の特称)の称呼、観念を生ずるものである。
他方、引用商標1は、黒塗りの縦長長方形図形(該長方形図形中には、若干の付記的な図柄が施されている。)内の中央部に、顕著かつ肉太に縦書きした「太子納豆」の漢字を白抜きしてなるものであり、また、引用商標3は、「太子納豆」の文字と「ハイ!おかわり」の文字とを二段に横書きしてなるところ、それらの構成中の「納豆」の文字は、いずれも、それぞれの指定商品の普通名称であるから、引用商標1及び引用商標3においては、「太子」の文字部分が自他商品の識別標識としての機能を果たすものというべきである。
また、引用商標2は、「太子」の文字よりなるものである。
さらに、引用商標4は、「太子」に通ずる「TAiSHi」の文字よりなるものである。
してみれば、引用商標1ないし引用商標3は「太子」の文字に相応し、そして、引用商標4は「TAiSHi」の文字に相応して、いずれも「タイシ」(皇太子、聖徳太子の尊称)の称呼、観念を生ずるものといえる。
そこで、本件商標より生ずる「ダイシ」の称呼と引用各商標より生ずる「タイシ」の称呼とを比較すると、両者は、ともに3音構成よりなり、語頭において「ダ」と「タ」の音の差異を有し、他の音を共通にするものである。
しかしながら、差異音である「ダ」と「タ」が、たとえ、濁音と清音の差異にすぎないとしても、両称呼は僅か3音という短い音構成であること、該差異音が称呼において重要な要素を占める語頭に位置すること、本件商標と引用各商標には観念において著しく差異があることを勘案すると、本件商標より生ずる「ダイシ」の称呼と引用各商標より生ずる「タイシ」の称呼をそれぞれ一連に称呼しても、「ダ」と「タ」の音は明瞭に聴取し得るものというのが相当である。
また、本件商標と引用各商標とは、外観において互いに区別し得る差異を有するものであり、観念においては前記したとおりであるから、互いに紛れるおそれのないものである。
そうとすれば、本件商標と引用各商標とは、その称呼、外観及び観念のいずれの点においても非類似の商標といわざるを得ない。
ところで、請求人は、本件商標と引用各商標との類否について、「商標審査基準」においては、「ともに同数音の称呼からなり、相違する1音が清音、濁音、半濁音の差にすぎないときは、類似するとされている。」と主張している。
しかしながら、該基準では、「1.商標の類否判断は、商標の有する外観、称呼及び観念のそれぞれの判断要素を総合的に考察しなければならない。」としているし、その6.(I)〔注7〕では、(商標の称呼が)基準(1)ないし(8)に該当する場合であっても、例外とされる場合がある(例えば、「(ハ)音節に関する判断要素において・・・(i)称呼が少数音であるとき(3音以下)」等)としているところ、本件については、そうした例外の場合に当たるものと判断すべきであるから、請求人の前記主張は採用することができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同法第8条第1項に違反して登録されたものではないので、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)本件商標

(2)引用商標1

(3)引用商標2

(4)引用商標3

(5)引用商標4

審理終結日 2002-10-15 
結審通知日 2002-10-18 
審決日 2002-10-29 
出願番号 商願平6-41335 
審決分類 T 1 11・ 262- Y (029)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松本 はるみ金子 尚人 
特許庁審判長 上村 勉
特許庁審判官 小池 隆
鈴木 新五
登録日 1997-07-18 
登録番号 商標登録第4029172号(T4029172) 
商標の称呼 ダイシ 
代理人 梅村 莞爾 
代理人 江口 俊夫 

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