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審決分類 |
審判 全部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) 016 |
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管理番号 | 1069167 |
審判番号 | 無効2001-35469 |
総通号数 | 37 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2003-01-31 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2001-10-24 |
確定日 | 2002-11-18 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第3206258号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第3206258号商標の指定商品中「紙類,紙製包装用容器,文房具類(「昆虫採集用具」を除く。)」についての登録を無効とする。 その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第3206258号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成5年7月26日に登録出願、第16類「紙類,紙製包装用容器,印刷物,文房具類」を指定商品として、平成8年10月31日に商標権の設定登録がされたものである。 2 引用商標 請求人が、本件商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとして、登録無効の理由に引用する登録商標は、次の(1)ないし(5)のとおりであって、これらの登録商標を一括していう場合は、以下「引用各商標」と総称する。 (1)登録第380744号商標(以下「引用商標(ア)」という。)は、「OSTRICH」の文字と「駝鳥」の文字とを二段に横書きしてなり、昭和22年8月14日に登録出願、第50類「紙及び他類に属しない其の製品、但し西洋紙製記録用紙、製図用紙及和紙製製図用紙、及其の類似商品を除く」を指定商品として、昭和25年1月18日に商標権の設定登録がされたものである。そして、当該商標権は、昭和45年3月12日、昭和55年7月31日、平成2年2月19日及び平成12年1月18日に存続期間の更新登録がされたものであるが、その商標登録は、平成13年10月24日に商標権取消し審判が「薬師寺 忠明」を請求人として請求され、取り消すべき旨の審決がされて、その審判の確定登録が平成14年6月26日にされているものである。なお、その指定商品については、第16類「油紙,しぶ紙,その他の紙類(擬革紙・洋紙・和紙を除く。),封筒,張りふみばこ,一閑張り,帳簿,水引」に書換登録が平成13年11月14日にされている。 (2)登録第399500号商標(以下「引用商標(イ)」という。)は、縦書きで表した「駝鳥」の文字の下段に「OSTRICH」の文字を横書きしてなり、昭和23年9月6日に登録出願、第51類「文房具」を指定商品として、昭和26年6月12日に商標権の設定登録がされたものである。そして、当該商標権は、昭和47年11月25日、昭和57年1月29日及び平成3年12月24日に存続期間の更新登録がされたものであるが、平成13年6月12日に存続期間の満了により消滅し、その登録がされているものである。 (3)登録第1293016号商標(以下「引用商標(ウ)」という。)は、「OSTRICH」の文字を横書きしてなり、昭和48年4月10日に登録出願、第25類「紙類」を指定商品として、昭和52年8月15日に商標権の設定登録がされたものである。そして、当該商標権は、昭和62年10月19日及び平成9年7月22日に存続期間の更新登録がされたものであるが、その商標登録は、平成13年10月24日に商標権取消し審判が「薬師寺 忠明」を請求人として請求され、取り消すべき旨の審決がされて、その審判の確定登録が平成14年7月17日にされているものである。 (4)登録第1293017号商標(以下「引用商標(エ)」という。)は、「オストリッチ」の文字を横書きしてなり、昭和48年4月10日に登録出願、第25類「紙類」を指定商品として、昭和52年8月15日に商標権の設定登録がされたものである。そして、当該商標権は、昭和62年10月19日及び平成9年7月22日に商標権存続期間の更新登録がされたものであるが、その商標登録は、平成13年10月24日に「薬師寺 忠明」を請求人とする商標権取消し審判が請求され、取り消すべき旨の審決がされて、その審判の確定登録が平成14年6月26日にされているものである。 (5)登録第1293018号商標(以下「引用商標(オ)」という。)は、別掲に示すとおり、円図形内に駝鳥と思しき図形を描き、その上部に「OSTRICH」の文字を円に沿って表してなり、昭和48年4月10日に登録出願、第25類「紙類」を指定商品として、昭和52年8月15日に商標権の設定登録がされたものである。そして、当該商標権は、昭和62年10月19日及び平成9年7月22日に存続期間の更新登録がされたものであるが、その商標登録は、平成13年10月24日に商標権取消し審判が「薬師寺 忠明」を請求人として請求され、取り消すべき旨の審決がされて、その審判の確定登録が平成14年7月17日にされているものである。 3 請求人の主張 請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、別紙1ないし同6を提出している。 (1)商標の類似について 本件商標は、「PLANNING-SECTION」の文字の「O」の中に、小さく「駝鳥の図形」と「OSTRICH」の文字を表示した構成である。このような構成では、「PLANNING-SECTION」の文字と「駝鳥の図形」と「OSTRICH」の文字とに何らの脈絡がないから、本件商標は、「PLANNING-SECTION」の文字から生じる「プランニングセクション」の称呼の外に、「OSTRICH」の文字から「オストリッチ」の独立した称呼が生じる。 これに対し、引用商標(ア)は、横書きの「OSTRICH」の文字の下に横書きの「駝鳥」の文字を併記した構成である。引用商標(イ)は、縦書きの「駝鳥」の文字の下に横書きの「OSTRICH」の文字を併記した構成である。引用商標(ウ)は、横書きの「OSTRICH」の文字からなる構成である。引用商標(エ)は、横書きの「オストリッチ」の文字からなる構成である。引用商標(オ)は、「駝鳥の図形」を囲む円の外側に「OSTRICH」の文字を表示した構成である。 したがって、引用各商標からは、「オストリッチ」の称呼が生じるから、本件商標と引用各商標とは称呼が類似する。 (2)指定商品の類似について 本件商標及び引用各商標の指定商品は、それぞれ前記のとおりであり、本件商標と引用各商標とは、指定商品が同一又は類似である。 (3)利害関係について 請求人は、第16類「紙類,紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,型紙,裁縫用チャコ,紙製テーブルクロス,紙製ブラインド,紙製のぼり,紙製旗,紙製幼児用おしめ,荷札,印刷物,書画,写真,写真立て,かるた,歌がるた,トランプ,花札,文房具類(「昆虫採集用具」を除く。),昆虫採集用具,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,青写真複写機,あて名印刷機,印字用インクリボン,こんにゃく版複写機,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,郵便料金計器,輪転謄写機,印刷用インテル,活字,装飾塗工用ブラシ,封ろう,マーキング用孔開型板,観賞魚用水槽及びその附属品」を指定商品とする商標「オーストリッチ」を出願(2001年商標登録願第89642号)したから、本無効審判を請求するに足る利害関係を有している。 (4)結論 以上のように、本件商標は引用各商標と同一又は類似であって、商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第46条第1項第1号により、無効にされるべきものである。 4 被請求人の主張 被請求人は、「本件審判請求はこれを却下する、本権審判請求は理由がないものとする、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べている。 (1)両商標の類否について 本件商標は、「PLANNING-SECTION」の英文字を表示したものである。特に、本件商標の場合、前半部分「PLANNING」と後半部分「SECTION」は、既に日本語化しているといっていい程に一般に親炙されている英語であるから、「SECTION」中の「O」は英文字の「O」を表したもであることが一瞥して認識される。いいかえれば英文字の「O」に若干の変形が施されてはいるが、基本的には英文字「O」の表示であると容易に認識される範囲内のものである。すなわち、このような英単語を構成する1つの英文字「O」の中に表された図形は、例えば、飾り文字のように、単にその英文字に付随する装飾的なもの、或いは「SECTION」の文字にデザイン的な変化を与えるために単に付加されたものにすぎないと感得されるのであり、これをもって独立して商品識別の標識として機能する要部とすることは社会通念に照らし妥当といえない。取引の実情に徴しても、「SECTION」などの英単語において、英単語を構成する「O」の1英文字内に識別標識となる図形を表示するというような一般的な慣行も存在しない。 また、図形とともに表示されている「OSTRICH」の文字についてもその大きさは極めて小さく、文字本来の機能というよりは、「図形」とともに全体的なデザインを構成する単なる付加部分として機能しているにすぎないというべきであり、図形と同様に、これを独立して商品識別の機能をはたしている要部とみることはできない。 このように、実質的に評価によるときは、本件商標は「PLANNING-SECTION」の英文字から構成されている「文字商標」ということができる。すなわち、本件商標より生じる一般的称呼は「プランニングセクション」であり、これが「オストリッチ」と称呼されることはない。 請求人の引用各商標はいずれも「オストリッチ」と称呼されるが、本件商標から生ずる一般的称呼が「プランニングセクション」である以上、本件商標は引用商標に類似しない。よって、本件商標の登録に対する商標法第4条1項11号にもとづく無効審判は理由がないものである。 (2)利害関係について まず第1に、出願商標「オーストリッチ」の存在を根拠に本件審判請求につき利害関係があることを主張する。しかし出願事実を主張するのみで、これを示す具体的な証拠は提出されておらず、請求人は立証義務を果たしていない。 第2に、「オーストリッチ」なる商標の出願事実が何ゆえに本件審判事件の利害関係に結び付くのかの具体的な説明は一切なく、この点からも請求人は立証義務を果たしていない。 第3に、請求人は、本件審判請求の利害関係を自己の出願商標「オーストリッチ」に求める一方、請求人の論理に従えば、あきらかに自己の出願商標「オーストリッチ」の登録上の障害となる登録商標「OSTRICH」など引用各商標を本件商標に対する審判請求の基礎とする。このような事情の下において、本件審判請求につき利害関係ありとするには、審判請求人が引用各商標について使用許諾を受けているとか、あるいは質権者であるなど、商標権者との間にその利害に共有する法律関係の存在が必要であると解すべきである。しかしながら、請求人はこのような法律関係の存在を示す「商標使用許諾書」などを提出していない。 以上の理由から、請求人は本件審判を請求するにつき利害関係がないというべきであり、したがって本件審判請求は却下されるべきである。 (3)結論 以上みたように、本件審判請求は理由がないのみならず、却下理由にも該当するから、本件審判請求は、これを却下するとの審決、或いは本件審判請求は理由がないものとする、との審決を求める。 5 当審の判断 (1)利害関係について 請求人は、「オーストリッチ」の文字からなる商標を登録出願し、2001年商標登録願第89642号として審査中であるところ、本件商標を含め引用商標(ア)及び同(ウ)ないし同(オ)外を引用して拒絶理由通知が発せられたことが認められる。 そうすると、本件商標の商標登録を無効とする旨の審決が確定した場合には、本件商標が「他人の登録商標」として存在することを理由としては、請求人の上記出願が拒絶されることはなくなるから、請求人が、本件商標の商標登録を無効とする審判を請求することは、正当な権利行使であり、これについて本件商標の存在は、請求人の上記登録出願に係る商標の登録の可否に影響を及ぼすことは明らかである。したがって、請求人は、本件審判の請求について法律上の利益を有するといわなければならない。 (2)商標の類否について 本件商標は、別掲に示したとおり「PLANNING-SECTION」の文字を表し、その構成中の「O」の文字内にダチョウと思しき図形及び上段に「OSTRICH」の文字を配してなるものである。 そして、「OSTRICH」の文字部分は、「PLANNING-SECTION」の文字と意味合いにおいて何ら関連性を有するものではなく、また、字形の一部を図案化して「O」の文字とのデザイン上の密接性も認められないものである。そうすると、「OSTRICH」の文字は、「PLANNING-SECTION」の文字をデザインするために施された装飾的、付随的なものとのみ把握されるものともいい難いものであって、さらに、「PLANNING-SECTION」の文字に較べて極めて小さな文字で表されているとはいえ、この文字の大きさの差異が商品の識別標識として独立して認識することを妨げるほどのものとも判断することができないから、本件商標に接した取引者、需要者は、「OSTRICH」の文字部分を捉え、これより生ずる称呼をもって取引に当たる場合も少なくないと認めるのが相当である。 そうとすれば、本件商標は、「PLANNING-SECTION」の文字に相応して「プランニングセクション」の称呼を生じるほか、「OSTRICH」の文字部分に相応して「オストリッチ」の称呼をも生ずるものというべきである。 これに対し、引用各商標は、それぞれ前記に示すとおりの構成よりなるものであって、引用商標(ア)及び引用商標(イ)は、「OSTRICH」と「駝鳥」の文字、引用商標(ウ)は、「OSTRICH」の文字、引用商標(エ)は、「オストリッチ」の文字、引用商標(オ)は、円図形内に駝鳥の図を描いた図形の上部に「OSTRICH」の文字を表してななるものであり、引用各商標は、「駝鳥」の文字を有するものはその文字に相応する称呼のほか、「OSTRICH」又は「オストリッチ」の文字に相応して「オストリッチ」の称呼を生ずるものと認められる。 してみれば、本件商標は、外観における相違する点を考慮してもなお、引用各商標と「オストリッチ」の称呼を共通にすることのある類似の商標といわなければならない。 (3)商品の類否について つぎに、本件商標と引用各商標との指定商品間における商品の類否についてみるに、引用各商標の指定商品は上記のとおりであって、本件商標の指定商品中、「紙類,紙製包装用容器,文房具類(「昆虫採集用具」を除く。)」については、引用各商標の指定商品と同一又は類似の商品であることは明らかである。しかしながら、本件商標の指定商品におけるその余の商品については、その生産部門、販売部門、品質、用途等からみて類似する商品とは判断することができない。 (4)結論 したがって、本件商標は、その指定商品中「紙類,紙製包装用容器,文房具類(「昆虫採集用具」を除く。)」については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効とすべきものとし、その余の指定商品については、同法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
<別掲> 本件商標 (商標は、電子情報処理されたものからの出力であるから、原本を参照) 引用第1293018号商標 (商標は、電子情報処理されたものからの出力であるから、原本を参照) |
審理終結日 | 2002-09-04 |
結審通知日 | 2002-09-09 |
審決日 | 2002-10-08 |
出願番号 | 商願平5-77380 |
審決分類 |
T
1
11・
26-
ZC
(016)
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最終処分 | 一部成立 |
前審関与審査官 | 飯塚 隆、薩摩 純一 |
特許庁審判長 |
涌井 幸一 |
特許庁審判官 |
滝沢 智夫 高野 義三 |
登録日 | 1996-10-31 |
登録番号 | 商標登録第3206258号(T3206258) |
商標の称呼 | プランニングセクション、オストリッチ、アストリッチ |
代理人 | 山内 淳三 |