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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z25
審判 全部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z25
審判 全部無効 観念類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z25
管理番号 1069118 
審判番号 無効2001-35277 
総通号数 37 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-01-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2001-06-26 
確定日 2002-11-14 
事件の表示 上記当事者間の登録第4451678号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4451678号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4451678号商標(以下「本件商標」という。)は、平成11年12月2日に登録出願され、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴」を指定商品として、同13年2月9日に設定登録され、現在有効に存続しているものである。

第2 請求人の引用商標
(1)請求人が本件商標の登録無効の理由(商標法第4条第1項第11号に該当)に引用する商標は、昭和55年2月25日に登録出願され、別掲(2)に示すとおりの構成よりなり、第24類「おもちや、人形、娯楽用具、運動具、釣り具、楽器、演奏補助品、蓄音機(電気蓄音機を除く)レコード、これらの部品及び附属品」を指定商品として、同59年1月26日に設定登録、その後、平成6年6月29日に存続期間の更新登録がなされた、登録第1653908号商標(以下「引用1商標」という。)、昭和59年10月3日に登録出願され、別掲(3)に示すとおりの構成よりなり、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)但し、溶接マスク、防毒マスク、防じんマスクを除く」を指定商品として、同63年6月24日に設定登録され、その後、平成10年6月30日に存続期間の更新登録がなされた、登録第2052430号商標(以下「引用2商標」という。)、平成2年4月2日に登録出願され、別掲(4)に示すとおりの構成よりなり、第22類「くつひも、くつの引き手、くつひも代用金具、くつ保護金具、くつびよう、くつくぎ、くつ合わせくぎ、くつはとめ、くつべら、くつブラシ、くつみがき布、軽便くつクリーナー、かさ、つえ」を指定商品として、同6年3月31日に設定登録された登録第2639087号商標(以下「引用3商標」という。)、平成2年12月28日に登録出願され、別掲(5)に示すとおりの構成よりなり、第24類「マネキン人形、洋服飾り型類、乗馬用具及び乗馬ぐつ、釣り具、楽器、演奏補助品、蓄音機、レコード」を指定商品として、同6年4月28日に設定登録された登録第2643399号商標(以下「引用4商標」という。)、平成7年7月28日に登録出願され、別掲(6)に示すとおりの構成よりなり、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,帽子,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(乗馬靴を除く)」を指定商品として、同9年5月30日に設定登録された登録第4005325号商標(以下「引用5商標」という。)及び平成11年1月22日に登録出願され、別掲(7)に示すとおりの構成よりなり、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),げた,草履類,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同11年12月10日に設定登録された登録第4343451号商標(以下「引用6商標」といい、これらを一括して「引用商標A」という。)である。
(2)請求人が本件商標の登録無効の理由(商標法第4条第1項第15号に該当)に引用する商標は、昭和35年5月31日に登録出願され、別掲(8)に示すとおりの構成よりなり、第31類「調味料、香辛料、食用油脂、乳製品」を指定商品として、同37年8月24日に設定登録され、その後、同48年1月12日、同57年10月26日、平成5年1月28日及び同14年5月21日の4回に亘って存続期間の更新登録がなされた、登録第595694号商標(以下「引用7商標」という。)及び昭和41年8月11日に登録出願され、「キューピー」の片仮名文字を横書きしてなり、第31類「調味料、香辛料、食用油脂、乳製品」を指定商品として、同44年9月24日に設定登録され、その後、同55年6月27日、平成元年11月21日及び同11年10月19日の3回に亘って存続期間の更新登録がなされた、登録第832283号商標(以下「引用8商標」といい、これらを一括して「引用商標B」という。)である。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第34号証(枝番号を含む。)を提出した。
本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。以下にその理由を述べる。
(1)本件商標と引用商標Aとが類似する理由
本件商標は、「Cutie Cupie」の文字を円弧を描くように書してなり、その下に幼児の人形の如き図形を配してなるところ、その構成中の人形の図は、頭頂部が尖り、背中に小さな羽の生えた裸の幼児の如き図形であって、世に広く知られたキューピー人形の特徴を悉く備えているものであるから、様々な形態で描かれ、若しくは人形に形作られているキューピー人形の一種を描いたものと容易に理解、認識されるものである。
そして、その上部に書された文字は、「Cutie」が米口語で「かわいい[きれいな]娘(さん)、かわいこちゃん」を意味する語であって、これに続く「Cupie」を修飾、形容する語と認識し得るものである。
また、「Cupie」の文字は、特定の意味を有しない語ではあるが、通常の英語の読み方にしたがえば、「キューピー」と容易に読まれるものであり、その下に描かれたキューピー人形の一種と容易に理解、認識される図形との関係においても、「キューピー」(英語では「Kewpie」と表記。)を「Cupie」の綴りで表記したものと理解、認識し得るものである。
そうしてみると、「Cutie Cupie」の文字の部分は、全体として「かわいいキューピー」の如き意味合いを表したものと理解される。
そうとすれば、「Cutie Cupie」の文字の部分が「かわいいキューピー」の如き意味合いを表したものと理解されるものであり、かつ文字の下に描かれた図形がキューピー人形の一種を描いたものと容易に理解、認識されるものであることからすれば、該図形の部分から「キューピー」の称呼、「キューピー人形」の観念を生じるというべきものである。
これに対して、引用1商標は、「キューピー」の文字を上部に書し、その下に人形の図を描いてなるところ、該図は様々な姿態で描かれることの多いキューピー人形の特徴を備えているものであり、かつ上部に書された「キユーピー」の文字との関係において、キューピー人形の図と容易に認識し得るものであることからすれば、引用1商標よりは、文字と一体となって「キューピー」(キューピー人形)の称呼、観念を生じるものである。
同じく引用2商標ないし引用6商標は、それぞれ別掲(3)ないし別掲(7)のとおりの構成よりなるところ、「キューピー」(キューピー人形)の称呼、観念を生じると認められるものである。
そうしてみると、本件商標と引用1商標ないし引用6商標の引用商標Aとは、「キューピー」(キューピー人形)の称呼、観念を共通にする類似の商標というべきものである。
そして、本件商標の指定商品は引用1商標ないし引用6商標の指定商品の何れかに包含されているものであるから,指定商品も同一又は類似である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するにも拘らず登録されたものである。
(2)本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当する理由
(ア)本件商標と引用商標Bとの類似について
本件商標は、前記のとおり「Cutie Cupie」の文字の下に、キユーピー人形の一種を描いたものと容易に理解、認識される図形を描いてなることよりすれば、該図形の部分から「キューピー」の称呼、「キューピー人形」の観念を生じるというべきものである。
他方、引用商標Bは、「キューピー人形の図」及び「キューピー」の文字よりなるものであるから、これより「キューピー」(キューピー人形)の称呼、観念が生ずることは、明かである。
そうしてみると、本件商標と引用商標Bとは、「キューピー」(キユーピー人形)の称呼、観念を共通にする互いに類似の商標といえるものである。
(イ)引用商標Bの著名性について
請求人の「キユーピー株式会社」は、大正8年(1919年)に設立された会社であり、同14年に我が国初の国産マヨネーズの製造を開始し、「キユーピー」の文字及び「キューピー人形の図」よりなる商標を付して発売してから今日に至るまで、商標の書体、態様に多少の変更を加えつつも、一貫してこの商標を使用し続けてきたものである(甲第14号証、同第15号証)。
そして、戦後の国民の食生活の欧風化に伴い、欧風食に合うマヨネーズが爆発的に売れるようになったことにより、「キューピー」、「キューピー人形の図」の商標は、日本全国津々浦々にまで知れ渡るに至ったものである。
請求人は、「キューピー」、「キューピー人形の図」の商標を付したマヨネーズが全国的なシェアを持つに至ったことから、昭和32年に社名を「キユーピー株式会社」に変更し、以来、今日までその社名を使用し続けてきたものである。
また、請求人は、欧風食に合うマヨネーズ、各種ドレッシング、ミートソース、タルタルソース、マスタード等の調味料ばかりでなく、ベビーフード、卵加工品等の加工食料品も「キューピー」、「キューピー人形の図」の商標を付して次々に発売(甲第21号証、同第22号証)し、これらが全国的規模で売れたこと、これらの商品には全て製造者として「キユーピー株式会社」の商号が入れられていることから、本件出願前には、「キューピー」といえば、直ちに上述の商品(特にマヨネーズ)の商標、或いは請求人を指称するものと認識されるほどに広く知られるに至ったものである。
さらに、請求人及びその子会社、関連会社は、食品の製造のみならず、様々な種類の商品の製造、販売を行い、かつエンジニアリング、輸送、人材派遣、飲食物の提供等の役務をも提供する企業として広く知られているものである。
(ウ)本件商標を使用した場合の混同のおそれについて
(a)本件商標は、その構成上「キューピー」(キューピー人形)の称呼、観念を生ずるものであり、「キューピー」(キューピー人形)の称呼、観念の生ずること明らかな引用商標Bと類似するものであること、
(b)請求人の使用する引用商標Bの引用7商標及び引用8商標は、本件商標の指定商品をも含むほとんどの分野の商品、全分野の役務について他人が使用した場合、混同を生じさせるおそれがあるほど極めて著名であること、
(c)請求人の使用する様々な形態の「キューピ人形の図」よりなる商標も「キューピー」と称され、請求人の業務に係る商品に使用され著名であること、
(d)請求人及びその関連会社の業務は食品の分野のみならず酪農、化学品、農業、機械の分野にも広がり、かつエンジニアリング,輸送,人材派遣,飲食物の提供等の役務の分野にも広がっているものであり、その商号には「キューピー」の文字が多く使用されていること、
(e)我が国の産業界においては、その企業若しくはその子会社、関連会社によって極めて広範な多角経営をすることが普通に行われ、そのことが広く一般に知られていること、
これらのことを総合勘案すると、本件商標をその指定商品に使用するときは、その商品が請求人若しくは請求人の関連会社の業務に係る商品であるかの如く混同を生じさせるおそれがあるといわざるを得ないものである。
(3)被請求人の答弁に対する弁駁
(ア) 商標法第4条第1項第11号について
本件審判事件においては、本件商標と引用商標Aとの類否について、請求人と被請求人の主張が真っ向から対立しているところである。
しかるところ、請求人の出願に係る、「KEWPIE」の欧文字と「キユーピー」の片仮名文字とを上段に書し、その下にキューピー人形の図形を配した構成よりなる甲第31号証ないし同第34号証の4件の商標登録出願に対して、本件商標を引用して拒絶理由通知がなされたものである。このことは、特許庁の審査官が本件商標と引用商標とは称呼、観念上類似するとの請求人の主張と同一の見方により、類似と判断していることに他ならないものであり、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるとする請求人の主張は、極めて妥当なものである。
(イ)商標法第4条第1項第15号について
上記のとおり、請求人の出願に係る、「KEWPIE」の欧文字と「キユーピー」の片仮名文字とを上段に書し、その下にキューピー人形の図形を配した構成よりなる上述の商標登録出願に対して、本件商標を引用して商標法第4条第1項第11号に該当するとの拒絶理由通知がなされたことからすれば、被請求人の主張は、その前提が崩れたといわざるを得ないものである。
また、はるか以前には、請求人以外の企業により、石鹸、食器類、ワッペン、あかすり、シャンプー、文房具等の商品に「キューピー」の商標が使用されていた事実はあるが、これらの商品の商標は周知となることなく、数年前には、その殆どが淘汰され、現在残っている商品は、ほんの僅かである。
そうしてみると、「キューピー」(キューピー人形)の称呼、観念を生じる本件商標は、「キューピー」(キューピー人形)の称呼、観念を生じること明らかな引用商標Bとは、類似の商標であるから、本件商標をその指定商品について使用するときは、請求人若しくは関連会社の業務に係る商品であるかの如く混同を生じさせるおそれがあること明白である。
(ウ)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するにもかかわらず登録されたものであるから、同法第46条第1項により無効とされるべきものである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、乙第1号証の1ないし同第1号証の9を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、背中に翼を有して両手を揃えて下におろし可愛い顔をした裸の赤ん坊の人形図形の上部に、「CutieCupie」の英文字を一連に大きく書してなるものである。
これらの英文字において「Cutie」からは一般に「キューティー」と称呼され、また「かわいい」等の意味を有するものであり、「Cupie」は特定の意味を有しない造語ではあるが、前述した人形図形の存在と相俟って、「キューピー」と称呼されるものであることを否定するものではない。
そして英文字の「Cutie」と「Cupie」は同書体であり、これらの文字は離れることなく円弧上に一連に書してなることから、一体性を有し、これを見る者をして可愛い顔をした人形図形の存在と相俟って「Cutie」と「Cupie」とは分離抽出されることなく「キューティーキューピー」と一連に称呼され、また「かわいいキューピー」等と観念されるものであるとするが相当である。
しかして、本件商標と引用商標Aとの類似の可否についてみるに、引用商標Aのその何れもが本件商標における人形図形の外観と著しく異なるキューピー人形の図形、若しくは該人形図形と「キューピー」と称呼される文字の組合わせからなるものであり、これらの引用商標Aよりは、単に「キューピー」とのみ称呼されるものであって、また 「キューピー」、「キューピー人形」と観念されるものである。
これに対し、本件商標は、その構成態様から前述したように「キューティーキューピー」と称呼され、また「かわいいキューピー」と観念されるものであり、両者はその称呼、観念を異にし、その結果、需要者及び取引者層において、両者を誤認混同するおそれはないものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、前述したように、背中に翼を有して両手を揃えて下におろした裸の人形図形の上部に、該人形図形の称呼を示唆する「CutieCupie」の英文字を大きく一連に書してなるものである。
これに対し、引用7商標は、キューピーの人形図形であっても本件商標の人形図形とは目、鼻等、顔の形態及びその表情を異にし、また両手は上方に開いてなる等、その全体の形態を異にするものであるから、両者は見る者をして容易に区別できるものである。また、称呼、観念においても本件商標はこれを示唆する「CutieCupie」の英文字を有することから、「キューティーキューピー」と称呼され、「かわいいキューピー」と観念されるものであり、単に「キューピー」の称呼、観念を有する引用7商標とは、その称呼、観念を異にするものである。
同じく引用8商標は、片仮名文字の「キューピー」を横書きにしてなるものであり、本件商標は、該「キューピー」と称呼上類似する「Cupie」の英文字を有するが、前述した構成態様からなり、これらを全体的に見た場合、両者は、その外観、称呼、観念を異にし、容易に区別し得るものである。
そして、引用7商標及び引用8商標の周知、著名性については、被請求人も当然これを認めるものであるが、本件商標は、これら引用商標Bとは外観、称呼、観念を異にする非類似の商標である。
また、審判請求人において引用商標Bの著名性と商標及び業務の多様性を立証する証拠として提出された会社案内、新聞、パンフレット等における商品内容は、マヨネーズ等の調味料を主とする食品関係と、ファインケミカル、フードケミカル及び各種食品製造機械器具のものに限られており、本件商標の指定商品である「被服、身の回り品、履物」等については皆無である。
そしてまた、食品関連の商品及びファインケミカル、フードケミカル、各種食品製造機械器具と本件商標の指定商品である被服、身の回り品、履物等の商品とは、その取引系統、取扱場所、製造、販売、用途等を全く異にしこれら商品間において関連性がないことから、世人においては、商標の非類似と相俟ってキューピー株式会社がその営業品目を拡張したものとは思わないし、本件商標を使用した被服類等が前記キューピー株式会社と特別の関係のある企業(者)の製造販売にかかるものであると解しないとするが相当であり、キューピー株式会社の商品と出所の混同を生じることはないものである。
(3)以上述べたように、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同法第4条第1項第15号の規定に該当するものではなく、答弁の趣旨どおりの審決を求めるものである。

第5 当審の判断
本件商標は、別掲(1)に示すとおり、とんがり頭で、パッチリとした大きな目をして、背中に小さな羽根の生えた裸の幼児の図形を描き、その上部に、「Cutie Cupie」の欧文字を円弧状に横書きしてしてなるものであるところ、該図形部分と該文字部分とを常に一体のものとしてのみ把握、理解しなければならないとする格別の理由は見いだすことができない。
したがって、本件商標は、構成中の該図形部分のみにおいても独立して自他商品の識別標識としての機能を果し得るものというべきである。
しかして、該図形部分は、世に広く知られ、かつ、親しまれているキューピーの特徴を表しているものと看取されるものであるから、本件商標からは、「キューピー」の称呼及び「キューピー(人形)」の観念を生ずるというのが相当である。
これに対して、引用1商標は、別掲(2)に示すとおり「キューピー」の片仮名文字を横書きし、その下に、とんがり頭で、裸の幼児が笑っている図形を描いてなるところ、当該幼児の図形は、キューピーの特徴を表しているものと看取されるものであるから、該図形部分及び「キューピー」の文字部分より、「キューピー」の称呼及び「キューピー(人形)」の観念を生ずるというのが相当である。
また、引用2商標、引用4商標及び引用5商標は、別掲(3)、(5)及び(6)に示すとおり、キューピーと認められる図形(写真)よりなるものであるから、「キューピー」の称呼及び「キューピー(人形)」の観念を生ずることは、明らかである。
同じく引用3商標は、別掲(4)に示すとおり「QP」の欧文字を大きく表し、「P」の文字の下に円輪内に小さく「キューピー」と認められる図形を描いてなるところ、「QP」の文字は「キューピー」の読みの音をアルファベットで表したものと容易に認識し得るものであるから、「QP」の文字部分及び該図形部分が相まって「キューピー」の称呼及び「キューピー(人形)」の観念を生ずるというのが相当である。
同じく引用6商標は、別掲(7)に示すとおり「キューピー」の片仮名文字を上段に「KEWPIE」の欧文字を下段に書し、その中央に大きくキューピーと認められる図形を描いてなるものであるところ、その構成より「キユーピー」の称呼及び「キューピー(人形)」の観念を生ずることは、明かである。
してみると、引用1商標ないし引用6商標は、それぞれの構成に相応して、いずれも「キューピー」の称呼及び「キューピー(人形)」の観念を生ずるものと認められる。
してみれば、本件商標と引用1商標ないし引用6商標は、外観において相違しているとしても、「キューピー」の称呼及び「キューピー(人形)」の観念を同じくする類似の商標であり、また、本件商標の指定商品と引用1商標ないし引用6商標の指定商品は、同一又は類似の商品と認められるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、他の無効理由について論及するまでもなく、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。
なお、被請求人の引用する登録例は、いずれも本件と事案を異にするものであるから、それに基づく主張は採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)本件商標

(2)引用1商標
(登録第1653908号商標)

(3)引用2商標
(登録第2052430号商標)

(4)引用3商標
(登録第2639087号商標)

(5)引用4商標
(登録第2643399号商標)

(6)引用5商標
(登録第4005325号商標)
(色彩については、原本を参照されたい。)

(7)引用6商標
(登録第4343451号商標)

(8)引用7商標
(登録第595694号商標)

審理終結日 2002-09-13 
結審通知日 2002-09-19 
審決日 2002-10-02 
出願番号 商願平11-109725 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (Z25)
T 1 11・ 252- Z (Z25)
T 1 11・ 253- Z (Z25)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小林 裕子 
特許庁審判長 三浦 芳夫
特許庁審判官 井岡 賢一
柳原 雪身
登録日 2001-02-09 
登録番号 商標登録第4451678号(T4451678) 
商標の称呼 キューティーキューピー、キューピー 
代理人 小泉 勝義 
代理人 矢崎 和彦 
代理人 神谷 巖 
代理人 吉武 賢次 
代理人 田中 昭雄 

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