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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない 032
審判 査定不服 観念類似 登録しない 032
管理番号 1066438 
審判番号 審判1998-10920 
総通号数 35 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-07-16 
確定日 2002-09-24 
事件の表示 平成 7年商標登録願第128046号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第32類「清涼飲料」を指定商品として、平成7年12月12日に登録出願されたものである。

2 原査定の引用登録商標
原査定において本願の拒絶の理由に引用した登録第765469号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、第29類「茶、コーヒー、ココア、清涼飲料、果実飲料、氷」を指定商品として、昭和41年9月6日登録出願、同42年12月25日に設定登録されたものである。

3 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は、別掲(1)のとおり、中央部に図形を大きく描き、その上にハングル語と思われる文字を、また、図形の下に「松印」の漢字を書してなるものである。
そして、本願商標中の図形部分は、前記したとおり、商標中、圧倒的な大きさで描かれてなるものであるところ、該図形中央部に配された図形は、日本の代表的な常緑高木として一般に親しまれている「松」を表したと容易に理解させるばかりでなく、白抜き円形内に黒塗りで描かれ、白と黒とのコントラストにより、一層看者の注意を強く惹き、印象に残るものといえる。
また、上段に書されたハングル文字部分は、本願商標の主たる需要者である一般の消費者にとっては、その読み方及び意味を直ちに理解することができるとはいい難いものである。
してみると、該ハングル文字部分からは、特定の称呼及び観念は生じないものといわなければならない。
これに対して、下段に書された「松印」は、平易な漢字よりなるものであり、これを「ショウイン」と音読みに、あるいは「マツイン」と湯桶読みにしなければならない特段の事情は存しないから、これに接する「清涼飲料」の取引者、需要者は、「マツジルシ」と称呼する場合が多いというのが相当である。そして、「印」の文字部分は、「目印、記号」等を意味し、「○○印」のように、他と区別するための印として用いられていることは、商取引の実際に照らし明らかであるから、自他商品の識別機能が極めて弱い部分ということができる。
してみると、本願商標中の「松印」の文字部分における要部は、「松」にあるものと判断するのが相当であるから、これより単に「マツ」の称呼及び「松」の観念をも生ずるということができる。
したがって、本願商標は、強く印象に残る「松」の図形部分及び下段の「松」の漢字より、「マツ」の称呼及び「松」の観念を生ずるものといわなければならない。
(2)引用商標
引用商標は、別掲(2)のとおり、行書体の漢字を表したと認められるところ、左の基幹部分は、木偏を表したと理解されるところから、引用商標全体としては、一般の需要者の間によく親しまれている「松」の漢字が容易に想起されるとみるのが相当である。
そうとすれば、引用商標は、その構成文字に相応して「マツ」の称呼及び「松」の観念を生ずるものといわなければならない。
(3)本願商標と引用商標との類否
本願商標と引用商標とは、外観上区別しうる差異があるとしても、前記認定のとおり、「マツ」の称呼及び「松」の観念において類似する商標といわなければならない。
また、本願商標の指定商品である「清涼飲料」は、引用商標の指定商品中に含まれるものである。
(4)請求人の主張
ア.請求人は、本願商標中の図形部分は、松の木をデザインした角形の印判や印章という印象を与えるものであり、「松印」の文字部分は、該図形と相俟って、「マツイン」又は「ショウイン」の称呼が生ずる旨主張する。
しかしながら、前記したとおり、本願商標中の図形部分は、正方形及び円形内に描かれた黒塗りの松の部分に要部があるとみるのが相当であり、また、「印」の文字部分は、一般的には、他と区別するために用いられる印を表したと理解されるものであって、本願商標は、これが使用される指定商品「清涼飲料」との関係からすれば、その構成中の図形部分を印章等と観念しなければならない格別の理由は見出せない。
イ.請求人は、引用商標について、左の限定部分が「工」とも「公」とも見えるものであって、特定できないから、特定の称呼を生じない一種の図形商標とみるべきである旨主張する。
しかしながら、引用商標中の左の基幹部分が木偏を表したということについては、請求人は争わないところであり、木偏の漢字で、引用商標の態様から一般の需要者が容易に想起するのは、「松」の漢字であることは前記したとおりである。
ウ.請求人は、「松」の漢字は、「松・竹・梅」として等級表示中の最高級のグレードを表すものとして使用されているから、このような点からも、引用商標は、芸術的な形において認識される旨主張する。
しかしながら、引用商標の指定商品の分野において、「松」の語が、商品の等級表示として普通に使用されているという証拠は見出せないし、引用商標が「松」の漢字を表したと理解されることは前記したとおりである。
エ.出願人は、韓国では1、2を争う薬品メーカーであり、75年間にわたり本願商標を使用している。昭和43年から日本をはじめ南アジアに商品を輸出しており、1985年以降南北アメリカにも輸出している。また、出願人の取扱いに係る飲料類は、1986年のソウルでのアジア大会、1988年のソウル・オリンピックの公式スポンサーとなっているところから、本願商標は世界的に知られているものである。日本における販売に際しても、ハングル文字が付されており、引用商標と混同を生じたことはない旨主張する。
甲第1号証(会社案内;発行年月日不明)によれば、出願人は、1986年のソウルでのアジア大会、1988年のソウル・オリンピック等の公式スポンサーであったことが認められるとしても、会社案内のみをもってしては、本願商標が世界的に著名であるとの証左とはなり得ないばかりでなく、本願商標と引用商標とが混同を生じていないとする証左ともなり得ない。
オ.以上のとおりであるから、請求人の上記主張は採用することができない。
(5)したがって、本願商標は、引用商標と称呼、観念において類似する商標であり、その指定商品も引用商標の指定商品と同一又は類似のものと認められるから、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (1)本願商標



(2)引用商標


審理終結日 2002-03-20 
結審通知日 2002-04-02 
審決日 2002-05-07 
出願番号 商願平7-128046 
審決分類 T 1 8・ 263- Z (032)
T 1 8・ 262- Z (032)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 内藤 順子 
特許庁審判長 茂木 静代
特許庁審判官 小林 和男
佐藤 久美枝
商標の称呼 マツジルシ、ショーイン、マツ 
代理人 下坂 スミ子 

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