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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 111 |
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管理番号 | 1066386 |
審判番号 | 取消2001-30627 |
総通号数 | 35 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2002-11-29 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2001-06-07 |
確定日 | 2002-09-30 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2599888号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第2599888号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、平成2年7月16日に登録出願、第11類「電話口消毒器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成5年11月30日に設定登録されたものである。その後、指定商品中「電子応用器械器具及びその部品」についての登録を取り消す旨の審決があり、その確定の登録が平成13年7月11日になされたものである。 2 請求人の主張 請求人は、「本件商標は、その指定商品中『電話口消毒器、その他本類に属する商品(電子応用器械器具及びその部品を除く)』についての登録は、これを取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び同第3号証を提出した。 (1)請求の理由 請求人は、被請求人が本件商標をその指定商品中の「電話口消毒器具、その他本類に属する商品(「電子応用機械器具及びその部品」を除く)」について使用しているかどうかについては不知である。 したがって、被請求人において、上記指定商品についての使用事実を立証されないときは、本件登録は商標法第50条第1項の規定によりその取り消しを免れない。 (2)答弁に対する弁駁 (ア)乙第2号証は、本件商標の被請求人である商標権者の商品「電話口消毒器具」の総合カタログ(以下「カタログ」という。)である。答弁書に添付された原本を精査したところ、表面の黄ばみや痛みが激しく、ここ3年以内に印刷され、現時点において、使用されているものとは信じがたい。 また、「カタログ」の最終ページには、被請求人の取り扱い商品の写真が掲載されている。この写真に掲載されている各商品の容器には、ラベルが付されており、製造元である被請求人の住所や電話番号等が記載されている。NO.7の符号が付された商品およびNO.8の符号が付された商品に記載された電話番号は、03(614)2111(代)とあり、市外局番に続く番号が3桁であることが読みとれる。 ところで、東京都内の市外局番を03とする地域の市内局番は、平成3年1月1日より、一斉に4桁に切り替えられている(甲第1号証)。つまり、「カタログ」に記載された商品は、平成2年12月31日以前の表示のままであることが明らかである。 乙第3号証では、同第2号証が平成11年9月28日に納品されたものであると証されているが、広告宣伝のために作成する「カタログ」として平成11年9月に印刷された印刷物に掲載された商品が10年以上も前に製造された商品であることは考えがたい。カタログの内容が平成2年12月31日以前の古い内容のものであること、使用証拠として提出されたカタログ原本自体が、黄ばみの激しいものであることから、乙第2号証が本件審判請求の登録前3年以内に使用されているものとは認めがたい。 また、被請求人が答弁書に添付した印刷会社「有限会社小林印刷」の請求書の記載を検討すると、平成10年2月2日以降、郵便番号表示は、7桁に変更されたにもかかわらず(甲第2号証)、該印刷会社の郵便番号は3桁のものとして記載されている。さらに、その電話番号をみると、市川市は平成8年に市内局番が変更されたにもかかわらず(甲第3号証)、古い番号表示のままとなっている。 以上、被請求人が提出した各資料をみると、いずれの証拠を取り上げても、平成10年以降に発行された書類とは信じがたく、審判請求の登録前3年以内の使用を証明する資料としては、疑念の残る書類である。 (イ)仮に、「カタログ」が被請求人主張の通りの発行に係るものであるとしても、「商品又は役務に関する広告、取引書類に商標を付する」のみでは、商標法上の「使用」(商標法2条3項7号)に該当しない。広告、取引書類等を展示、あるいは頒布しなければ「使用」とは認められないのである。 被請求人の提出した乙第1号証ないし同第4号証は、取引書類に本件商標を付ていることを証明するにすぎず、本件商標が付された「カタログ」が展示、あるいは頒布された事実については一切証明されていない。 (ウ)以上により、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者である被請求人によって、その指定商品である「電話口消毒機器、その他本類に属する商品(「電子応用機械器具及びその部品」を除く)」について、使用されたものとは認められない。 3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び弁駁に対する答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第5号証を提出した。 (1)答弁 本件商標は、被請求人及び本商標の通常使用権者というべき者によって、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品に含まれている商品について使用されているものであるから、その登録は取り消されるべきものではない。以下、乙第2号証ないし同第4号証によって、これを立証する。 乙第2号証は、被請求人の業務に係る商品「電話消毒器」のカタログであるところ、これの表紙には、該商品が「電話消毒器」に係るものであることを示す「電話消毒器」の文字と、本件商標と同一のものいうべき商標が、これが登録商標であることを示す「登録商標」の文字とともに表示されている。 ところで、カタログに表示されている「電話消毒器」の表記は、本件商標の指定商品のうちの「電話口消毒器具」とその表記を異にするが、「電話消毒器」なる商品は、通話の際の唾液の飛散等により、ともすれば不衛生な状態になりがちな電話器(受話機)の送話口に取り付けて、この部分の消毒の機能をはたす器具であって、その形状、用法は、カタログに示すとおりのものである。 したがって、「電話消毒器」と「電話口消毒器具」は、その表記こそ異なれ、実質的には同一の商品か同一の概念に含まれる商品とみるのが相当である。 そうすると、「電話消毒器」は、請求に係る指定商品のうち「電話口消毒器具」と同一か同一と認むべき商品というべきである。 また、カタログの裏表紙には、電話口消毒器の製造元が被請求人であることを示す「電通セントラル株式会社」の文字と、当該商品の総代理店を示す「財団法人電気通信共済会」の文字が表示されている。 なお、財団法人電気通信共済会は、平成13年7月1日にその組織変更を行い、これを契機に、それ以後は、それまで同会が行ってきたカタログ、電話口消毒器の頒布は、テルウエル東日本株式会社が行っている(乙第4号証)。 しかして、カタログ22000枚が平成11年9月28日に、有限会社小林印刷から被請求人へ納品されているところ(乙第3号証)、この納品の日は、本件審判の請求の登録の日(平成13年7月11日)前3年以内である。 以上のように、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者及び通常使用権者というべき財団法人電気通信共済会(平成13年7月1日からは「テルウエル東日本株式会社」)によって、請求に係る指定商品に含まれている「電話口消毒器具」について使用(商標法第2条第3項第7号でいう使用)されていたのである。 したがって、請求に係る指定商品についての本件商標の登録は、取り消しされるべきものではない。 (2)弁駁に対する答弁 (ア)「カタログ」の最終ページに示された商品に見られる電話局番はご指摘のとおり3桁であるが、これは、このページに載せた写真が3桁の時代に撮られた古いものであることに起因し、また、乙第3号証請求書に記載された郵便番号が3桁であるのは、3桁の時代に印刷された請求書を引続き使用した結果であると考えられる。 しかし、「カタログ」は、以前に作ったカタログの増し刷りであり、また、請求書は実害がないために使用し続けてきたものであると考えれば、これらの商品や請求書に付された電話局番や郵便番号が例え古くとも、この事実のみをもって乙第2、3号証各書証が平成10年以降に発行されたものではないとする請求人の主張は当を得たものではなく、むしろ、「カタログ」がカラーで印刷された比較的高価なものであること及び、これらの商品等に付された電話局番や郵便番号が古いことから、逆に「カタログ」に載った電話口消毒器が、本件審判請求の登録の3年以上前から現在に至るまで継続して使用されていた事実を雄弁に物語っていることになる。 (イ)被請求人会社は、乙第5号証商標登録公報に見られるように、電話機の清掃及び保守を業務の一部とする会社(現在は首都圏オフィスサプライセンタで取扱っている(乙第4号証))で、多数の巡回サービス員を本契約した会社や仮契約した会社等に定期的に巡回させて、これらの会社で使用している電話機の清掃や保守を行うかたわら、被請求人会社の取り扱い商品であるところの「カタログ」記載の電話□消毒器の交換を行い、同時に、カタログを巡回先の会社等に配布してきているものである。 4 当審の判断 (1)被請求人が本件商標の使用事実ついて提出した乙第2号証及び同第4号証によれば、以下の事実を確認することができる。 (ア)商品カタログ(乙第2号証)は、その記載内容によれば、電話器(受話機)の送話口に取り付けるものであって、通話の際の唾液の飛散等により、不衛生な状態になりがちな、送話口部分の消毒の機能を果たす「電話消毒器」に関するものであり、これは、本件商標の指定商品のうちの「電話口消毒器具」に該当するものと認められる。 また、カタログの表紙には、「電話消毒器」の文字と、本件商標と同一のものいうべき商標が表示されている。 そして、カタログの裏表紙下方には、電話消毒器の製造元が被請求人であることを示す「製造 電通セントラル株式会社」の文字と、当該商品の総代理店を示す「総代理店 財団法人電気通信共済会」の文字が表示されている。 加えて、カタログの裏表紙には、「電話口消毒器」に使用される汚れ落としや、つや出し剤の商品広告の掲載がなされているものである。 (イ)有限会社小林印刷の証明書(乙第3号証)は、前記カタログ22000枚が平成11年9月28日に、有限会社小林印刷から被請求人へ納品されたことを平成13年8月13日付で証明したものである。そして、同証明書に添付の請求書及び納品書は、同小林印刷が品名「総合パンフ」、数量「22000」等と記載された商品について平成9年9月に9月分として、被請求人宛に発行したものであり、その様式は市販されている一般的なサイズ・形式のものである。なお、外に取扱者らしき押印がされている。 (ウ)テルウエル東日本株式会社営業部首都圏オフィスサプライセンタ所長の証明書(乙第4号証)は、財団法人電気通信共済会が平成13年7月に組織替えを行ったことに伴い、以後は、同協会の業務である「カタログ」及び「電話口消毒器」の頒布ついて、「テルウエル東日本株式会社」が扱う旨を「営業部首都圏オフィスサプライセンタ所長」が証明しているものである。 (2)以上の事実を総合すれば、被請求人は、「電話口消毒器具」に関する商品カタログを有限会社小林印刷に作成依頼し、納品を受けたものであり、また、同カタログには本件商標と社会通念上同一というべき商標が付されていることが認められる。そして、被請求人の総代理店であって、通常使用権者と認められる「財団法人電気通信共済会」は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において同カタログを、頒布したものと推認できる。 (3)請求人は、(ア)「カタログ」の原本を精査したところ、表面の黄ばみや痛みが激しく、ここ3年以内に印刷され、現時点において、使用されているものとは信じがたい(イ)「カタログ」の最終ページに掲載されている商品の容器に表示された市内局番が一斉に切り替えられた平成3年1月1日以前の3桁表示のままであること、また、請求書に記載された郵便番号が平成10年2月2日に変更された以前の3桁表示のままであること、さらに、請求書に記載された市内局番についても、市川市は平成8年に市内局番が変更されたにもかかわらず、古い番号表示のままとなっており、「カタログ」「請求書」が平成10年以降に発行されたは信じがたい、そして、カタログは、納品証明書(乙第3号証)により平成11年9月28日に納品されたと証しているが、カタログの内容が平成2年12月31日以前の古い内容のものであること(ウ)カタログの頒布事実が明らかでないことから、被請求人が提出したいずれの証拠も、本件商標が本件審判請求の登録前3年以内の使用を証明する資料としては、疑念の残る書類である、旨主張する。 しかしながら、カタログは、製造からの経過年数及び保管状態次第では、黄ばみや痛みが激しくなり、また、カタログ最終ページに掲載された商品つやだし剤等の広告宣伝の写真部分は、当該商品にバージョンアップがなければ、電話番号3桁の時代に撮られた古いものを再利用して印刷することは、十分あり得るものである。そして、請求書、納品書についてもこのようなサイズ、形式のものは、大量に印刷され、購入し長期間使用されることが予想され、電話番号が古く、郵便番号が3桁の時代に印刷された請求書、納品書であっても郵便配達、通話に支障はなく経済性を考慮して引続き使用した結果とみることもでき、一概に疑義が生ずるとはいえない。さらに、カタログの平成11年9月28日時点での22000枚数の印刷規模と、「本年(平成13年)7月1日の組織替えに伴い、財団法人電気通信共済会の業務を引継いで、この度、別添え添付の書類の『総合カタログ』及び『電話口消毒器』の頒布等を弊社で行うことになりました」との「テルウエル東日本株式会社の営業部首都圏オフィスサプライセンタ所長」(乙第4号証)の証明を勘案すれば、本件カタログは、本件審判請求の登録前3年以内に頒布されたことは容易に推認できるものであるから、請求人の主張は、いずれも採用できない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条により取り消すことができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(別掲) 本件商標 |
審理終結日 | 2002-08-02 |
結審通知日 | 2002-08-07 |
審決日 | 2002-08-20 |
出願番号 | 商願平2-81739 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(111)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 渡辺 常雄、鈴木 茂久 |
特許庁審判長 |
涌井 幸一 |
特許庁審判官 |
滝沢 智夫 中嶋 容伸 |
登録日 | 1993-11-30 |
登録番号 | 商標登録第2599888号(T2599888) |
商標の称呼 | デンツー |
代理人 | 工藤 莞司 |
代理人 | 矢野 公子 |
代理人 | 佐藤 英二 |
代理人 | 豊崎 玲子 |
代理人 | 木村 勝彦 |
代理人 | 西川 慶治 |
代理人 | 光野 文子 |
代理人 | 長谷川 芳樹 |