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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない Z141825
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z141825
管理番号 1066320 
審判番号 審判1999-6850 
総通号数 35 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-04-26 
確定日 2002-09-02 
事件の表示 平成9年商標登録願第104041号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第14類「貴金属,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製の花瓶・水盤・針箱・宝石箱・ろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製のがま口・靴飾り・コンパクト及び財布,貴金属製喫煙用具,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,時計,記念カップ,記念たて,キーホルダー」、第18類「皮革,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成9年4月9日に立体商標として登録出願されたものである。

2 原査定の理由
原査定は、「本願商標は、その指定商品中『貴金属製の靴飾り,かばん金具』の形状の一形態を認識させる立体的形状よりなるものであるから、これを上記商品について使用しても単に商品の形状を普通に用いられる方法で表示してなるにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。なお、出願人が提出した参考資料1ないし同3よりは、本願商標が需要者の間に広く認識されているような特別の事情も見出せないものである。」旨認定して本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物のみならず、商品を構成する部品等商品の一部(以下「商品等」という。)の形状をも含むものといえるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは、前示したように、商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品の機能又は美感に関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
(2)これを本願についてみれば、本願商標は、別掲のとおりの構成よりなるものであるところ、その指定商品との関係においては、美感の向上のためにデザインされた金具若しくは飾りそのものの形状の一形態を表したものとみるべきであって、これを本願指定商品中「貴金属製のかばん金具,同靴飾り」について使用しても、取引者、需要者は、単に商品の形状の一形態を表示したものと認識するにすぎないものと判断するのが相当である。
(3)請求人は、本願商標は1969年頃からかばん類について使用している「ガンチーニ」の愛称を持つ著名商標であり、日本においても1972年頃から、本願商標を留め金としたかばん類の継続的な販売が行われており、特に、1980年代後半には、日本を含む世界各国において、本願商標を使用した「ガンチーニ ハンドバッグ」の販売を開始し、1988年からは本願商標をかばん類以外の「ベルト,履物,衣服,袋物」等の商品に使用し、今日に至るまでの販売累計額は履物が約27億円、かばん類・袋物が約12億円等(甲第1号証)となっており、その結果、本願商標は、請求人の商品の出所を示す表示として日本においても著名となっている。したがって、本願商標は、その出願時点においては既に需要者の間で広く知られ、需要者が出願人の業務に係る商品であることを認識することができるに至っている旨主張し、原審において参考資料1ないし3(この中には甲号証と同じ内容の資料が含まれている。)を、当審において甲第1号証ないし同第73号証を、それぞれ提出している。
(a)そこで、本願商標と「かばん類,ベルト,履物,被服,袋物」等の商品との関係についてみるに、これらの商品は、ファッション関連商品といわれ、デザイン、外観の美しさが需要者の購買、選択意欲に重要な影響を与える商品であるところ、商品のデザイン、スタイル、形状は、その時々の流行、需要者の趣味、嗜好によって異なり、そして、変化してゆくものであるから、この種商品を取り扱う業界においては、商品そのもののデザイン、スタイル、形状はいうに及ばず、その一部を構成する部品の金具、飾り等についても、商品との調和、それ自体又は商品全体の美感の向上等のために、多種多様のデザイン、形状が一般に採択され、使用されているとみられるところである。
そうとすれば、本願商標を上記商品に使用した場合、本願商標に接する取引者、需要者は、単に商品付属の多種多様のデザイン、形状の中の金具又は飾りの形状の一形態を表示したものと認識するにすぎず、本願商標は自他商品の識別標識としての機能を有していないものと判断するのが相当である。
(b)イ)請求人は、上記(3)のように、本願商標を「かばん類,ベルト,履物,被服,袋物」等の商品について使用した結果、需要者が出願人の業務に係る商品であることを認識することができるに至っている(商標法第3条第2項に該当する)旨主張している。
そこで以下、本願商標が商標法第3条第2項に該当するか否か検討する。
ところで、商品等の形状に係る立体商標が、商標法第3条第2項に該当するものとして登録を認められるのは、原則として使用に係る商標が出願に係る商標と同一の場合であって、かつ、使用に係る商品と出願に係る指定商品も同一のものに限られると解されるところである。
しかして、出願に係る商標が商品を構成する部品、付属品等、商品の一部の立体的形状のみからなる場合であっても、その使用に係る商品自体には、該立体的形状以外に、自他商品の識別標識として、文字、図形等の平面標章が使用されているのが一般的であるとみられる。
したがって、出願に係る商標が商品の一部の立体的形状のみからなるものであるのに対し、実使用に係る商標が該立体的形状と文字、図形等の平面標章の場合には、両商標の構成は同一でないことから、出願に係る商標については、原則として使用により識別力を有するに至った商標と認めることができない。
ただし、上記立体的形状よりなる商標と平面標章よりなる商標とが使用されている商品全体を観察した場合、使用に係る商品の一部を構成する立体的形状と出願に係る商標とが同一であり、その立体的形状が識別標識として機能するには、商品等に付された平面標章部分が不可欠であるとする理由が認められず、むしろ平面標章部分よりも立体的形状に施された変更、装飾等をもって需要者に強い印象、記憶を与えるものと認められ、かつ、需要者が何人かの業務に係る商品等であることを認識することができるに至っていることの客観的な証拠(例えば、同業組合又は同業者等、第三者機関による証明)の提出があったときは、直ちに商標の構成要素が同一ではないことを理由として商標法第3条第2項の主張を退けるのではなく、提出された証拠から、使用に係る商標の立体的形状部分のみが独立して、自他商品を識別するための出所表示としての機能を有するに至っていると認められるか否かについて判断する必要があるというべきである。
ロ)そこで、まず、本願商標と使用に係る商標との同一性についてみるに、請求人提出の甲第2号証ないし同第8号証、甲第11号ないし同第14号証、甲第17号証、甲第19号証ないし同第22号証、甲第25号証ないし同第27号証、甲第31号証ないし同第45号証等(商品カタログ、雑誌広告、雑誌掲載記事)によれば、「ハンドバッグ,ショルダーバッグ」とみられる商品については、該商品の留め金(金具)の一部分に、本願商標と同一と認め得る酷似の形状が採用されていること、また、これらの商品には、他の金具に「Ferragamo」の筆記体文字が使用されていることが認められる。さらに、甲第4号証、甲第6号証ないし同第7号証、甲第13号証ないし同第14号証及び甲第19号証ないし同第21号証(雑誌広告)等によれば、上記商品の写真の下には「Salvatore Ferragamo」の筆記体文字が使用されていることが認められる。
そうとすれば、請求人が上記「ハンドバッグ,ショルダーバッグ」の商品に使用している商標は、本願商標と同一と認め得る留め金(金具)のみではないから、本願商標と上記商品に使用されている商標とは同一とは認められないものである。
加えて、上記商品「ハンドバッグ,ショルダーバッグ」は、「Ferragamo」、「Salvatore Ferragamo」の文字によって自他商品の識別標識とされ、これをもって取引に資されているとみるのが相当である。
また、甲第2号証、甲第9号証、甲第17号証、甲第39号証、甲第67号証ないし同第69号及び同第73号証(商品カタログ、雑誌広告、雑誌掲載記事)等によれば、上記商品以外の「かばん類の一部,キーケース・財布等の袋物,ベルト,靴等の履物」等には、本願商標を変更したとみられるデザインの金具及び本願商標とは異なる形状の金具が使用されているから、該商品についても、本願商標と実際の使用に係る商標とは同一とはいえないものである。
ハ)次に、本願商標と同一と認め得る留め金(金具)が、使用されている商品「ハンドバッグ,ショルダーバッグ」について、該金具部分のみが独立して自他商品の識別機能を有するに至っているか否か判断するに、甲第62号証ないし同第73号証等(雑誌掲載記事)によれば、上記「ハンドバッグ,ショルダーバッグ」に使用されている本願商標と同一と認め得る留め金(金具)のみならず、「他のかばん類,履物,袋物」等の商品に使用されている本願商標を変更したとみられるデザインの金具及び本願商標とは異なる形状の金具をも含めて「ガンチーニ(GANTINI)」、「ガンチーニ」シリーズと総称されているとみられること、また、「“ヴァラ”や“ガンチーニ”といった定番の金具・・・」(甲第68号証)、「イタリア語で“留め具“をあらわす、ガンチーニは、まさにフェラガモのシンボルといえるゴールドのオーナメント」(甲第73号証)との記載等がみられることより、これら「ガンチーニ」と称される金具等を使用した商品が、女性の間で相当程度認知されているであろうことは推認可能ではある。
しかしながら、上記ロ)で述べた如く、商品「ハンドバッグ,ショルダーバッグ」自体には、本願商標と同一と認め得る形状の留め金(金具)の他に、「Ferragamo」の文字が使用されており、該文字部分は請求人の著名な略称を表し、自他商品の識別標識としての機能が強い部分とみられること、また、上記「ガンチーニ」に関する雑誌掲載記事からも、本願商標と同一の形状のみならず、本願商標と異なる形状をも含めた「ガンチーニ」と称される金具の形状によっても、直ちに請求人の製造、販売に係る商品であると認識され、自他商品の識別標識としての機能を有するに至っていると推認し得るに足る十分な記載がみられないこと、そして、その他、請求人の提出した全参考資料及び全甲号証を総合してみても、本願商標と同一と認め得る留め金(金具)部分のみによって、需要者に強い印象、記憶を与え、かつ、需要者が何人かの業務に係る商品等であることを認識することができるに至っているとするには十分とはいえないものである。
ニ)そして、請求人は、上記1のとおり、指定商品について何ら補正をしていないところである。
ホ)したがって、本願商標は、その指定商品のいずれについてみても、商標法第3条第2項に該当するものであるということができない。
請求人は、請求人の長年の努力により、多大な業務上の信用が蓄積した本願商標について、識別力がないとして商標登録が認められないときには、本願商標の模倣者を徒に増やし、市場の混乱を生み出す要因を生み出すものである旨主張する。
しかしながら、商標登録出願に関する審査、審判において、出願に係る商標の自他商品の識別性については、他人の模倣による市場の混乱の危険性があるからといって、必ず認めなければならないというような性格のものではなく、そして、請求人は、上記のとおり、本願商標が使用により識別性を有していると認めるに足るような十分な立証及び指定商品の補正をしていない以上、本願商標がその使用に係る指定商品について識別力を有するに至っていると認定、判断できないから、その主張は採用し得ないものである。

4 結 論
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、同法第3条第2項には該当しないとした原査定の認定、判断は妥当なものであって取り消すべき理由はない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別 掲】
本 願 商 標

審理終結日 2001-05-02 
結審通知日 2001-05-15 
審決日 2001-05-28 
出願番号 商願平9-104041 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Z141825)
T 1 8・ 17- Z (Z141825)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山口 烈寺光 幸子 
特許庁審判長 為谷 博
特許庁審判官 小林 由美子
久保田 正文
代理人 稲葉 良幸 
代理人 大賀 眞司 
代理人 田中 克郎 
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