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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 Z3031 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 取り消して登録 Z3031 |
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管理番号 | 1066190 |
審判番号 | 審判1999-11023 |
総通号数 | 35 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2002-11-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-07-05 |
確定日 | 2002-09-25 |
事件の表示 | 平成9年商標登録願第127048号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「當り胡麻」の文字(標準文字よりなる商標)を横書きしてなり、第30類「すりごま」及び第31類「ごま」を指定商品として、平成9年6月16日に登録出願されたものである。 2 原査定の理由 原査定は、「本願商標は、指定商品との関係において、『すり胡麻』を認識する『当り胡麻』(当たりの文字部分は旧字体)の文字を書してなるものであるから、このようなものを、その指定商品中、前記文字に照応する商品に使用しても、単にその商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)本願商標は、前記に表示するとおり「當り胡麻」(なお、「當」の文字は「当」の旧字体である。)の文字を横書きしてなるところ、原審が指摘するとおり、「当り胡麻」が「すりゴマ」を意味することの記載が、株式会社真珠書院1994年6月20日発行「料理用語 新・食品事典13」には、「当たり胡麻」の項に「すりゴマのこと。″する″というのは縁起が悪いので、反対語の″あたる″にしたもの」との記載、株式会社三省堂1995年11月3日第二版発行「大辞林 第二版」には、「当たり胡麻」の項に「炒りゴマを油が出るまでよくすりつぶしたもの。」との記載がそれぞれ認められる。 (2)他方、本願を構成する「當り」の語については、株式会社岩波書店昭和43年3月10日第一版第二十九刷発行、同61年10月6日第三版第四刷発行、1998年11月11日第五版第一刷発行「広辞苑」には、「当り」の項に「1)あたること。ぶつかること。2)ぴったりあたること。命中。的中。3)成功すること。4)てがかり。目あて。」等の記載、前記「大辞林」には、「当たり・中り」の項に「1)あたること。命中。2)あたること。ぶつかること。3)成功すること。4)人に接する態度。5)見当。手がかり。」等の記載、また、前記「料理用語 新・食品事典13」には、「当たる」の項に「当たるという言葉にはいくつかの意味がある。1)摺るという言葉は縁起が悪いので、反対語″大あたり″などの縁起のよい″あたり″という言葉にかえたもの。2)″味をためす″ことを″あたりをみる″というように使う。3)鍋や釜に焦げついたとき″鍋にあたった″などという。4)腐った果物などに″このXXはあたっている″などという。5)食中毒を起こしたとき、″魚にあたった″などという。」との記載が認められるが、特定の料理、調味料等を示唆する記載は見受けられない。 (3)ところで、請求の理由及び甲各号証によれば、以下の事実が認められる。 (ア)請求人は、大正14年2月に小山内兵吾氏により個人開業され、昭和2年11月に合資会社胡麻屋商店と改称し、昭和15年1月に株式会社當り胡麻本舗と改組し、同29年1月に有限会社ゴマヤに組織変更し、同48年5月に株式会社ゴマヤに改組し、現在に至っている。 (イ)「當り胡麻」は、特許證及び特許出願公告公報等によれば、前記小山内兵吾氏により、その製法が発明された商品であり、この商品は、いわゆる「ねりごま」に分類されるものであり、請求人独自のものであり、かつ、「當り胡麻」の名称(標章)は、前記小山内兵吾氏の発案による造語であって、当時この様に標章を使用して、スリ胡麻を提供する店があったともいえない。 (ウ)請求人は、開業以来現在に至るまで前記(イ)の商品を「當り胡麻」として販売している。そして、多くの博覧会に出品し、甲第4号証ないし同第8号証の各種賞を受賞し、「當り胡麻」を標章として、70有余年にわたって、その提供する商品に使用している。この請求人の提供する商品は、取引者、需要者においても、かなりの程度に認識されるに至っており、特に、調理師等の料理を行う者の間に広く知られていることが認められる。 (エ)請求人は、縦書きよりなる「當り胡麻」の商標を指定商品「すりごま」として昭和42年9月22日登録出願、同44年5月14日設定登録、同じく横書きよりなる「あたりごま」の商標を「すりごま」を指定商品として、昭和56年12月15日登録出願、同58年11月25日設定登録された商標等を有していたが、存続期間の更新登録が行われなかったため、その登録の抹消がなされている。 (4)上記実情よりすると、本願商標の「當り胡麻」の語は、小山内兵吾氏が発案した造語というべきであり、また請求人により70有余年という長期間にわたって使用されてきたものであって、その指定商品について使用しても、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たし得るものというべきである。 なお、確かに一部の書籍、辞典等には、原審指摘のとおり「當り胡麻」が「すり胡麻」であることが記載されていることが認められるが、「當り胡麻」は、上記認定のとおり自他商品の識別標識として機能し得るものであるので、その書籍のみによっては、「當り胡麻」の語が「スリ胡麻」であることを示す品質表示と認定するに足りる根拠とはなり得ないものである。 してみれば、「當り胡麻」の語が、「すり胡麻」を認識させ使用されていると認定したことは誤りであるというべきである。 (5)したがって、原審がこの認定を前提として、本願商標をその指定商品中、前記文字に照応する商品に使用しても、単にその商品の品質を表示するにすぎないものと認識するにとどまり、商標法第3条第1項第3号に該当すると判断したことは誤りに帰するものである。かつ商品の品質の誤認を生じさせるおそれもないものであるから、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして拒絶をすべきものとすることはできない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2002-09-03 |
出願番号 | 商願平9-127048 |
審決分類 |
T
1
8・
13-
WY
(Z3031)
T 1 8・ 272- WY (Z3031) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 須藤 祀久、高山 勝治 |
特許庁審判長 |
宮下 正之 |
特許庁審判官 |
高橋 厚子 小林 和男 |
商標の称呼 | アタリゴマ、アタリ |
代理人 | 川崎 隆夫 |