• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 101
管理番号 1064813 
審判番号 取消2001-30415 
総通号数 34 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-10-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2001-04-09 
確定日 2002-07-05 
事件の表示 上記当事者間の登録第0771654号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第771654号商標(以下「本件商標」という。)は、「ベナンザ」の文字を書してなり、昭和38年4月9日登録出願、第1類「薬剤、その他本類に属する商品」を指定商品とし、同43年2月23日に設定登録され、その後、3回に亘り商標権の存続期間の更新がなされ、原に有効に存続しているものである。
2 請求人の主張の要点
請求人は、「本件商標の指定商品中『薬剤』について、その登録は取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由として、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが前記商品についての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである旨主張している。
3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第12号証(枝番を含む。)を提出している。
本件商標については、これを使用していないことについて正当な理由があるものであるから、本件審判の請求は成り立たないものである。以下登録商標の不便用についての正当な理由を説明する。
本件商標権者である被請求人は、本件審判請求の登録日前の平成12年3月8日に、本件商標を販売名「ベナンザ点眼液0.05%」とする医薬品について、厚生省に対し「医薬品製造承認申請書」(乙第2号証の2)を提出し、当該申請は「医薬品製造承認書」(乙第2号証の1)のとおり平成13年2月15日医薬品製造の承認を受けた。
さらに、被請求人は、本件商標を付するための新たに製造する品目「ベナンザ点眼液0.05%」について、「医薬品製造品目追加許可申請書」(乙第3号証の2)を平成13年3月28日に提出し、当該申請は、「医薬品製造品目追加許可書」(乙第3号証の1)のとおり平成13年5月15日その製造品目追加が許可された。
被請求人は平成13年2月15日医薬品製造承認を受け、平成13年5月15日付けで「医薬品製造品目追加許可」を山形県より受けたので、商品の発売を平成13年7月に予定して準備作業を進めてきた。しかし、官報告示(年1回、本年7月6日頃)を基に保険薬として薬価を受けないと、市場に流通させることができない事情にあり、先ず、平成13年2月15日(製造承認)より平成13年5月15日(製造品目追加許可)までの期間中に、商品3ロット(54000本)を製造した(乙第4号証の1書証、乙第4号証の2実物写真)。また、商品に付する容器ラベル、包装箱、チラシ(リーフレット)、薬の説明書(添付文書)を提出致する(乙第5号証ないし同第8号証)。
しかして医薬品である薬剤は、その製造については薬事法に基づき厚生大臣の製造承認及び許可を要することが定められているところ、被請求人は本件審判請求の登録前に本件商標を販売名に使用するために、厚生省に「医薬品製造承認申請書」を提出し、医薬品製造の承認を受けた。その後、商品の製造、販売についても準備が順調に進んでいるところである。
したがって、本件商品が薬事法に基づく承認、許可に係る商品であったことが、本件審判請求の登録前に本件商標の使用を開始し得なかった次第である。
してみれば、被請求人は、本件審判請求に係る商品である「薬剤」に属する商品について、本件審判請求の登録前3年以内に本件商標の使用をしていないことについて、正当な理由があることを明らかにしているものといわなければならない。
以上述べたとおり、本件審判請求の登録前3年以内に本件商標を使用していないとしても、商標法第50条第2項ただし書による「その指定商品について登録商標の使用をしていないことについて正当な理由がある」に該当すると認められる。したがって、本件商標の登録は商標法第50条第1項の規定によって取り消すことはできない。
4 当審の判断
乙第2号証ないし同第3号証によれば、被請求人は、本件審判請求の登録前に、請求に係る指定商品中の「点眼液」について本件商標の使用をすべく準備をし、薬事法に基づき厚生省および山形県知事に対し、「医薬品製造承認申請書」、「医薬品製造品目追加許可申請書」をそれぞれ提出していた事実が認められる。
また、乙第4号証ないし同8号証によれば、商品「点眼液」の販売に備え、実製品の製造および包装箱、パンフレット等の作成の準備をしていたことが認められる。
してみれば、被請求人は、本件審判請求の登録日前に、本件商標の使用意思が客観的に認められ、かつ、製造許可についての必要な手続を進め、これに継続して、その使用を開始していることが認められる。そして、本件商品が薬事法に基づく許可に係る商品であったことが、本件審判の登録前に本件商標の使用を開始できなかった原因の一とみられるものであり、この許可は、商標権者の意思に左右される性質のものではなく、結局、被請求人は、本件商標の使用の意思を持ちながら、その使用を開始し得なかったものといわざれを得ない。
また、許可後、被請求人は、販売開始のための準備を行っていたものであり、たとえ、販売が開始されていなくとも、被請求人のこれらの事情は、本件商標の不使用についての正当な理由に当たるものとみるのが相当である。
してみれば、被請求人は、本件審判請求に係る商品である薬剤に属する商品について、本件審判請求の登録前3年以内に本件商標を使用しなかったことについて正当な理由があることを明らかにしているものといわなければならない。
一方、請求人は上記3の答弁に対し、弁駁していない。
したがって、本件商標の指定商品中請求に係る商品についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-02-06 
結審通知日 2002-02-12 
審決日 2002-02-25 
出願番号 商願昭38-14375 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (101)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 涌井 幸一
特許庁審判官 中嶋 容伸
滝沢 智夫
登録日 1968-02-23 
登録番号 商標登録第771654号(T771654) 
商標の称呼 1=ベナンザ 
代理人 曾我 道照 
代理人 旦 武尚 
代理人 高橋 功一 
代理人 岡田 稔 
代理人 黒岩 徹夫 
代理人 旦 範之 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ