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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z09
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Z09
管理番号 1064754 
審判番号 不服2000-12312 
総通号数 34 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-10-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-08-07 
確定日 2002-08-30 
事件の表示 平成10年商標登録願第 97513号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、商標の構成を標準文字による「CTI」の欧文字とし、指定商品を第9類「電子計算機プログラムを記憶させた磁気ディスク・磁気テープ」として、平成10年11月12日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶理由
原査定は、「本願商標は、電話とパソコンを融合し、さまざまなデータベースと連携して情報処理する通信システムの意味合いを有する「computer telephony integration」の略語と認められる「CTI」の欧文字を書してなるにすぎず、これを指定商品中、上記システム構築用プログラムを記憶させた記録媒体に使用するときは、商品の品質表示と認められ、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定し、本願を商標法第15条の規定に基づき拒絶したものである。

3 審判請求の主張
請求人(出願人)は、「原査定を取り消す、本願は登録をすべきものであるとの審決を求める。」と申立て、その理由を要旨次のように述べている。
(1)「CTI」は「電話とパソコンを融合し、さまざまなデータベースと連携して情報処理する通信システム」の意味合いを有する「computer telephony integration」の略語とする点については認めることができる。
しかし、「CTI」を指定商品中、上記システム構築用プログラムを記憶させた記録媒体に使用するときは、商品の品質表示と認められるので、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、これ以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあり、同法第4条第1項第16号に該当する。との認定についてはこれを認めることはできない。
(2)本願商標は、出願人の名称である、「株式会社建設技術研究所」の英文表記として「CTI Engineering Co., Ltd.」を使用しており、この「CTI」は、「Construction Technique Institute」(建設技術研究所)の略称である。近似、建設関係の業務においても、電子計算機プログラムを記憶した媒体について本願商標の使用を行っており、本願商標の登録の必要性がある。
(3)審査官が認定する「computer telephony integration」は、「通信システム」の分野で英語の技術用語として使用されているが、その略語としての「CTI」については「通信システム」の分野で英語の技術用語として使用されているに過ぎず、著名な略称ではなく、「CTI」が本願の指定商品の分野においては今だ広範に認識され使用されるに至った標章であるとは到底いい得ないから、本願商標「CTI」をその指定商品中「上記システム構築用プログラムを記憶させた記録媒体」について使用した場合には、自他商品の識別力は十分認められるべきである。むしろ、本願商標は出願人が長年、その業務を表示する商標として使用し、信用の蓄積を経てきた商標であるから、本願の指定商品「電子計算機プログラムを記憶させた磁気ディスク・磁気テープ」の分野においては、十分に自他商品の識別力を有する商標であると考える。
(4)「CTI」は、本願の指定商品の取引者・需要者間だけでなく、「通信システム」の分野の取引者・需要者間においても「CTI」が「電話とパソコンを融合し、さまざまなデータベースと連携して情報処理する通信システム」の意味であるとして必ずしも広範に認識され使用されるに至った著名略語ではない以上、本願の指定商品である「上記システム構築用プログラムを記憶させた記録媒体以外の商品」に使用した場合において、商品の品質の誤認を生じさせるおそれはないと考える。
(5)以上のところから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号に該当するものではなく、登録されて然るべき商標であると信じる。

4 当審の判断
(1)本願商標は、その構成前記に示すとおり「CTI」の文字よりなるところ、通信分野ないしコンピュータ(ソフトを含む。)を取り扱う業界においては、該文字については原審説示の「computer telephony integration」の略語として、「電話とパソコンを融合し、さまざまなデータベースと連携して情報処理する通信システム」の意味合いを表す語として理解させるものというべきであって、これを容易に認識できるものというのが相当である。
そして、「CTI」商標を出願人が長年その業務を表示する商標として使用し、信用の蓄積を経てきた商標であるとする点については、これを認め得る証左もなく、かつ、これが本願の指定商品(電子計算機プログラムを記憶させた磁気ディスク・磁気テープ)について使用された場合、上記原審説示の意味合いの語を越えて、この種商品の取引者、需要者間に自他商品の識別標識としてのみ認識されるものとするのは困難である。
そうすると、本願商標をその指定商品「電子計算機プログラムを記憶させた磁気ディスク・磁気テープ」に使用する場合、これに接する取引者・需要者は、上記の意味合いの略語として理解し認識するに止まるもの、すなわち、当該商品の記憶内容(品質)を表示するものと把握するにすぎないものといわなければならない。また、上記システム構築用プログラムを記憶させた記録媒体以外の指定商品に使用した場合、商品の品質の誤認を生じさせるおそれが少なからずあるというべきである
(2)ところで、「CTI」の文字について、株式会社ジー・サーチ データベースの提供に係る「G-Searchデータベースサービス」における一般紙又は産業分野の新聞記事情報をみると、例えば、1998年2月9日付読売新聞東京朝刊には、「[情報革命はいま]進化するデジタル社会 CTIシステム 広がる電話の可能性」とする記事見出しの下、「もっとも身近な通信手段である電話をコンピューターに融合させる「コンピューター・テレフォニー・インテグレーション」(CTI)の技術が広がってきた。・・・」との記述、1999年7月13日付読売新聞東京朝刊には、「[ベンチャーNOW]「シスネット」大迫健治社長40」とする記事見出しの下、「・・・分野はコンピューター・テレフォニー・インテグレーション(CTI)と呼ばれる。CTIでは・・・」との記述、1998年6月22日付毎日新聞東京朝刊には、「[特集]デジタル時代を読む1998 注目集めるCTI技術」とする記事見出しの下、「コンピューターと電話を連携させ、高度な活用を目指すCTI(コンピューター・テレフォニー・インテグレーション)の分野が注目を集めている。・・・横浜市の大手タクシー会社、金港交通は今年から、CTIを活用した『無線配車システム』を導入した。・・・」との記述、1998年7月6日付毎日新聞東京朝刊には、「[特集]デジタル時代を読む1998 電話とコンピューター組み合わせたCTI」とする記事見出しの下、「電話とコンピューターを組み合わせて高度利用を目指すコンピューター・テレフォニー・インテグレーション(CTI)の関連製品を一堂に集めた展示会「コンピューター・テレフォニー・ワールドエキスポ東京98」(IDGワールドエキスポジャパン主催)が1日から3日間、千葉市の幕張メッセで開催された。昨年初めて開かれ、今回は昨年の61社を超える78社が最新技術を披露した。・・・CTIは通信販売業者の電話受付やソフトメーカーのヘルプデスクなどで・・・」との記述、2002年1月15日付日刊工業新聞には、「NEC、電話転送を可能にしたCTIシステムのオプションソフト発売」とする記事見出しの下、「・・・同社のインターネット・プロトコル(IP)―構内交換機(PBX)と統合メッセージシステム、マイクロソフトのサーバを連携させることでコンピューター電話統合(CTI)ソリューションを提供する。」との記述、及び2000年7月14日付日刊工業新聞には、「アドックス、小売店向けCTIシステムを開発」とする記事見出しの下、「・・・小売店を対象にしたコンピューター・電話統合(CTI)ソフト「アドックスCTI」を開発、宮田新聞舗(大阪府高槻市、宮田玲二社長)で運用を始めた。・・・」との記述が認められるところである。そうすると「CTI」の文字は、通信分野ないしコンピュータ(ソフトを含む。)を取り扱う業界をはじめこれを利用する各種企業においても、コンピューターと電話の統合利用を目的とするシステムであるところのコンピューター・テレフォニー・インテグレーション(computer telephony integration)の関連製品を容易に理解・認識させ、かつ、これを表す略語として普通に用いられるものとみて差し支えないものといえる。
(3)結局、「CTI」の文字からなる本願商標をその指定商品中「CTIシステム構築用電子計算機プログラムを記憶させた記録媒体」に使用するときは、上述(1)の認定のとおりといわざるを得ないから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、これを上記商品以外の指定商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあり、同法第4条第1項第16号に該当するものというべきである。
したがって、これと同趣旨をもって本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消す理由はない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-06-18 
結審通知日 2002-07-05 
審決日 2002-07-19 
出願番号 商願平10-97513 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Z09)
T 1 8・ 13- Z (Z09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩内 三夫三澤 惠美子 
特許庁審判長 宮下 正之
特許庁審判官 高橋 厚子
高野 義三
商標の称呼 シイテイアイ 
代理人 佐伯 健兒 

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