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審決分類 審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z28
管理番号 1063044 
審判番号 無効2001-35065 
総通号数 33 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-09-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2001-02-15 
確定日 2002-07-15 
事件の表示 上記当事者間の登録第4392477号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4392477号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4392477号商標(以下「本件商標」という。)は、1998年7月27日オーストリア共和国においてした商標登録に基づくパリ条約第4条による優先権を主張して、平成10年11月18日登録出願、「RIP TECH」の文字を標準文字とし、第28類「ラケット,ラケットガット,ラケットケース,その他のテニス用具及びバドミントン用具,その他の運動用具」を指定商品として、同12年6月16日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第48号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第10号について
(ア)請求人(「マービン マニュファクチャリング インコーポレイテッド」)は、商品「スノーボード」を取扱うアメリカ合衆国の法人であり、「Lib Tech」、「リブテック」又は「LIBTECH」の文字よりなる未登録の標章(以下、これらをまとめて「請求人に係る引用商標」又は単に「引用商標」という。)を、その取扱いに係る商品「スノーボード」について、永年に亘り使用してきた結果、遅くとも、本件商標の出願の日(平成10年11月18日)又は、その優先権主張に係る出願(オーストリア共和国)の日、いわゆる「優先日」(1998(平成10)年7月27日)より前の平成9年5月28日以前には、請求人に係る引用商標は、同人の業務に係る商品「スノーボード」を表すものとして、我が国の取引者、需要者間に広く認識されていた(請求書3頁及び甲7号証ないし同第15号証)。
(イ)異議事件における異議決定においても、(ア)の事実は認められている(甲2号証の2)。
なお、異議事件における異議申立人「クイクシルバー インコーポレイテッド」は、請求人と同一企業グループの会社である(請求書6頁)。
(ウ)本件商標からは、「リプテック」の称呼を生ずるのに対して、請求人に係る引用商標からは、いずれも「リブテック」の称呼を生ずるから、両商標は、称呼上類似する商標である。
このことは、請求人の出願に係る商標(「LIB TECH/リブテック」)が本件商標を引用して拒絶理由通知を受けた事実からも明らかである(請求書4頁及び7頁並びに甲3号証の2)。
(エ)請求人に係る引用商標を付した商品「スノーボード」は、「運動用具」の一種であるから、本件商標の指定商品「ラケット,ラケットガット,ラケットケース,その他のテニス用具及びバドミントン用具,その他の運動用具」と同一又は類似の商品である。
以上のことから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものであり、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
仮に、本件商標が商標法第4条第1項第10号に違反しない場合であっても、請求人に係る引用商標は、永年に亘り商品「スノーボード」に使用されてきた結果、本件商標の出願日(優先日)前には、請求人の業務に係る商品「スノーボード」を表すものとして、我が国の取引者、需要者間に広く認識されていたから、本件商標の商標権者である被請求人が、我が国において、請求人に係る引用商標と称呼上紛らわしい本件商標をその指定商品に使用するときには、これに接する需要者は、請求人の業務に係る商品であるかの如く商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
以上のことから、本件商標は、たとえ、商標法第4条第1項第10号に違反しない場合であっても、同法第4条第1項第15号に違反して登録されたものというべきであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求に対して、何ら答弁するところがない。

4 当審の判断
(1)請求人に係る引用商標の著名性について
請求人の提出に係る甲第7号証ないし甲第48号証によれば、請求人は、商品「スノーボード」を取扱うアメリカ合衆国の法人であり、請求人に係る引用商標である「Lib Tech」、「リブテック」又は「LIBTECH」を付した商品「スノーボード」は、1992(平成4)年4月頃より相当量のものが我が国にも多数輸出、販売されていたことを認めることができる。
そして、その周知の状況については、例えば、商品「スノーボード」を紹介した雑誌「Snowing」(甲第7号証:1992(平成4)年4月24日発行,甲第8号証:1992(平成4)年9月6日発行,甲第9号証:1993(平成5)年8月6日発行,甲第10号証:1994(平成6)年8月6日発行,甲第11号証:1995(平成7)年8月6日発行,甲第12号証:1996(平成8)年8月6日発行)の中に、請求人に係る引用商標を付した「スノーボード」に関する記事が断続的又は継続的にかなりの数掲載されており(甲第7号証ないし甲第12号証)、それらの発行日も本件商標の出願日(又は優先日)より前のものであること等の点よりして充分窺えるところである。
以上の事実に照らしてみれば、請求人に係る引用商標は、少なくとも、その業務に係る商品「スノーボード」について、本件商標の出願日前はもとより、その査定時においても、既に、我が国における商品「スノーボード」の取引者・需要者間において、広く認識されていたものというべきである。
また、前記雑誌記事中には、「スノーボード」のほかにも、例えば、「スキー」、「スケート靴」、「サーフィンボード」、「スケートボード」等々の「運動用具」に関する広告記事等も掲載されていることよりすれば、本件商標の指定商品「ラケット,ラケットガット,ラケットケース,その他のテニス用具及びバドミントン用具,その他の運動用具」の分野全般においても、請求人に係る引用商標は、相当程度広く知られていたものとみて差し支えないものと認められる。
(2)本件商標と引用商標の類似について
本件商標は、前記1に示したとおり、「RIP TECH」の欧文字よりなるところ、これよりは、「リップテック」の称呼を生ずるというのが相当である。
他方、引用商標よりは、いずれも、「リブテック」の称呼を生ずる。
そこで、先ず、本件商標より生ずる称呼「リップテック」と引用商標より生ずる称呼「リブテック」とを対比するに、両者は、語頭音を含む「リ」「テ」「ッ」「ク」の各音を同じくし、その異なるところは、前者の語頭音が促音「ッ」を伴っていることと、中間音の「プ」と「ブ」の音の差異にある。
しかるに、促音「ッ」は、前音の強音「リ」と両唇を閉鎖して発する破裂音「プ」に挟まれ、それ自体、明瞭に聴取し難い音であり、また、「プ」と「ブ」の音も調音位置及び調音方法が近接する近似音というべき半濁音と濁音の差異に止まるから、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語感、語調が近似したものとなり、彼此聴き誤るおそれがあるといわなければならない。
そして、両者は互いに造語であるから、観念において区別し得るとする事由はなく、また、たとえ、外観において差異を有するとしても、この種商品の取引場裡において、商標の外観のみにより取引にあたるとする特段の事由はなく、かつ、引用商標は、上記したとおり、商品「スノーボード」について永年に亘り使用され、取引者、需要者の間に広く認識されていたものであるから、この取引事情を併せ考慮するに、両者は、なお、その出所について、混同を生ずるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
そうとすれば、本件商標は、引用商標と商標において類似し、かつ、その指定商品である「ラケット,ラケットガット,ラケットケース,その他のテニス用具及びバドミントン用具,その他の運動用具」は、各種運動用具を包括するものであって、引用商標に係る商品「スノーボード」を包含するものであるから、結局、本件商標は、その指定商品においても引用商標と同一又は類似の商品に使用するものといわなければならない。
そして、引用商標の周知性及び本件商標と引用商標との類似を述べる請求人の主張に対して、被請求人は何ら答弁するところがない。

(3)結語
以上のとおり、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者間に広く認識されている商標に類似し、かつ、その商品に類似する商品について使用するものといわざるを得ない。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものというべきであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録は無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-02-19 
結審通知日 2002-02-22 
審決日 2002-03-05 
出願番号 商願平10-99255 
審決分類 T 1 11・ 25- Z (Z28)
最終処分 成立  
前審関与審査官 西田 芳子小川 きみえ 
特許庁審判長 原 隆
特許庁審判官 保坂 金彦
鈴木 新五
登録日 2000-06-16 
登録番号 商標登録第4392477号(T4392477) 
商標の称呼 リップテク、リップテック 
代理人 吉武 賢次 
代理人 吉村 仁 
代理人 神谷 巖 
代理人 塩谷 信 
代理人 吉村 悟 
代理人 菊地 栄 

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