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審決分類 審判 全部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z21
管理番号 1061782 
審判番号 無効2001-35023 
総通号数 32 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-08-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2001-01-22 
確定日 2002-07-03 
事件の表示 上記当事者間の登録第4299484号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4299484号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4299484号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に表示したとおりの構成よりなり、平成10年3月5日に登録出願され、第21類「ガラス基礎製品(建築用のものを除く。),なべ類,コーヒー沸かし(電気式又は貴金属製のものを除く。),鉄瓶,やかん,食器類(貴金属製のものを除く。),アイスペール,泡立て器,こし器,こしょう入れ・砂糖入れ及び塩振り出し容器(貴金属製のものを除く。),卵立て(貴金属製のものを除く。),ナプキンホルダー及びナプキンリング(貴金属製のものを除く。),盆(貴金属製のものを除く。),ようじ入れ(貴金属製のものを除く。),ざる,シェーカー,しゃもじ,手動式のコーヒー豆ひき器及びこしょうひき,じょうご,すりこぎ,すりばち,ぜん,栓抜,大根卸し,タルト取り分け用へら,なべ敷き,はし,はし箱,ひしゃく,ふるい,まな板,麺棒,焼き網,ようじ,レモン絞り器,ワッフル焼き型(電気式のものを除く。),清掃用具及び洗濯用具,魚ぐし,携帯用アイスボックス,米びつ,食品保存用ガラス瓶,水筒,魔法瓶,家事用手袋,化粧用具,デンタルフロス,おけ用ブラシ,金ブラシ,管用ブラシ,工業用はけ,船舶ブラシ,ブラシ用豚毛,洋服ブラシ,靴ブラシ,靴べら,靴磨き布,軽便靴クリーナー,シューツリー,ガラス製包装用容器,陶磁製包装用容器,かいばおけ,家禽用リング,アイロン台,霧吹き,こて台,へら台,愛玩動物用食器,愛玩動物用ブラシ,犬のおしゃぶり,小鳥かご,小鳥用水盤,植木鉢,家庭園芸用の水耕式植物栽培器,じょうろ,家庭用燃え殻ふるい,石炭入れ,紙タオル取り出し用金属製箱,靴脱ぎ器,せっけん用ディスペンサー,寝室用簡易便器,トイレットペーパーホルダー,貯金箱(金属製のものを除く。),ねずみ取り器,はえたたき,湯かき棒,浴室用腰掛け,浴室用手おけ,ろうそく消し及びろうそく立て(貴金属製のものを除く。),花瓶及び水盤(貴金属製のものを除く。),風鈴,ガラス製又は磁器製の立て看板,香炉,コッフェル」を指定商品として、平成11年7月30日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用商標
請求人の引用する登録第1263242号商標は、昭和48年4月26日登録出願、同52年4月11日に設定登録されたものであり、同じく登録第1318710号商標は、昭和48年4月26日登録出願、同53年1月10日に設定登録されたものであり、同じく登録第1318709号商標は、昭和48年4月26日登録出願、同53年1月10日に設定登録されたものであり、同じく登録第2071356号商標は、昭和59年10月8日登録出願、同63年8月29日に設定登録されたものであり、同じく登録第1285553号商標は、昭和48年4月26日登録出願、同52年7月20日に設定登録されたものであり、同じく登録第1314571号商標は、昭和48年4月26日登録出願、同52年12月2日に設定登録されたものであり、それぞれ別掲(2)に示すとおりの構成よりなり、それらの指定商品は商標登録原簿に記載のとおりである。
同じく登録第1531366号商標は、昭和53年9月6日登録出願、同57年8月27日に設定登録されたものであり、同じく登録第1727592号商標は、昭和54年1月29日登録出願、同59年11月27日に設定登録されたものであり、同じく登録第3106543号商標は、平成4年8月18日登録出願、同7年12月26日に設定登録されたものであり、同じく登録第1806610号商標は、昭和54年1月29日登録出願、同60年9月27日に設定登録されたものであり、同じく登録第3326557号商標は、平成6年8月26日登録出願、同9年6月27日に設定登録されたものであり、それぞれ別掲(3)に示すとおりの構成よりなり、それらの指定商品は商標登録原簿に記載のとおりである。
同じく登録第1811253号商標は、昭和57年10月13日登録出願、同60年9月27日に設定登録されたものであり、同じく登録第1932457号商標は、昭和57年10月13日登録出願、同62年2月25日に設定登録されたものであり、それぞれ別掲(4)に示すとおりの構成よりなり、それらの指定商品は商標登録原簿に記載のとおりである。
同じく登録第2051383号商標は、昭和58年6月3日登録出願、同63年6月24日に設定登録されたものであり、別掲(5)に示すとおりの構成よりなり、その指定商品は商標登録原簿に記載のとおりである。

3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第49号証を提出し、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第19号に該当するものであるから、その登録は同法第46条第1項の規定によって無効にすべきものであると主張している。
(1)請求人の使用する各引用商標の世界的な著名性について
請求人は、著名なデザイナーである「Gabrielle coco CHANEL」により創設され、香水等の化粧品の他、高級婦人服、ハンドバッグ、ベルト、靴、時計、アクセサリー等の宝飾品などのデザイン・企画並びにこれらの商品の製造販売を業とするトータル・ファッション・メーカーである。請求人の業務に係る商品は、いずれも「シャネルの5番」「シャネルスーツ」「シャネルバッグ」等のように称されるほどに極めて高い知名度を有しており、いずれも洗練された高品質の商品であり、請求人の長年の継続的な努力によって、世界の超-流品としての極めて高い信用が日本においても形成されているものである。
各引用商標は、請求人の創業者であるデザイナー「Gamelie coco CHANEL」のイニシャルを図案化したものであり、「シャネルマーク」と称され、上記の各商品等に使用され、請求人の商品であることを表示するものとして広く知られている。
また、「シャネルマーク」が付された請求人の商品は、日本を含め世界中で超-流品としての信用が形成されており、数々の刊行物によって紹介されているものである(甲第16号証乃至甲第19号証)。
そして、「シャネルマーク」の実際の使用態様については、その使用商品や付される部分の相違(例えばバッグの金具のように商品そのものに付している場合や、広告記事の一部に付している場合等)によって、そのマークの線の太さに若干の差異はあるものの(甲第43号証)、C字状の文字を左右対称に背中合わせに一部を重ね合わせた構成からなる図形は極めて特徴的であり、請求人の長年にわたる継続的な努力により、取引者・需要者をして「シャネルマーク」として世界的に広く認識されるに至ったものであることに何ら疑いの余地はないものである。
また、請求人が引用する別掲(2)の商標(甲第2号証乃至甲第7号証)は、その周りが1つの円で囲まれている構成であるが、前述のように、当該外側の円の有無に拘わらず、いずれも「シャネルマーク」として著名であり、請求人を表示するマークとして認識されているものである。
以上のことから、本件商標の出願時である1998(平成10)年3月5日にはもちろんのこと、査定時である1999(平成11)年7月30日においても、請求人の各引用商標である「シャネルマーク」は、極めて広く知られるに至っていた商標というべきである。
(2)本件商標と各引用商標との類否について
本件商標は、アルファベットの「C」と思しき文字とその文字を左向きにして一部変更した文字とを左右対称に背中合わせに一部重ね合わせて描いた図形と「GUEX CHANGE」の文字とを組み合わせた構成からなる商標である。
以上のような構成からなる本件商標中、図形部分は、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであるといえる部分であり、また全体の大きさの大半を占める部分であるから、本件商標における要部であると言える。
一方、各引用商標である「シャネルマーク」は、同じくC字状の文字を左右対称に背中合わせに一部を重ね合わせた図形のみの構成からなる商標である。
以上のことから、本件商標の要部である図形部分と各引用商標である「シャネルマーク」とを比較すると、異なる点は、左側のC字状の文字の切れ込み部分の上部と右側のC字状の文字とが結合した構成になっているという点のみであり、あとは各引用商標の「シャネルマーク」と全く同一の構成である。
すなわち、特定の事物を表現したものとは直ちに認識されない点、C字状の文字がバランス良く交差している点、同一半径のC字状の文字から構成されている点など、本件商標と各引用商標とは共通した点が多く、全体として観察した場合、共に「背中合わせにしたC字状の図形」の印象を与えるものである。言い換えれば、本件商標は、著名な各引用商標である「シャネルマーク」の左側のC字状の文字部分に多少の変更を加えただけの構成にすぎないものと言うべきである。
なお、請求人が引用する別掲(2)の商標は、その構成の周りを1つの円で囲んでいるものの、前述のように、当該外側の円の有無に拘わらず、いずれも「シャネルマーク」として著名であり、請求人を表示するマークとして認識されているものである。
したがって、これらを時と所を異にして隔離的に観察するときは、上記のような差異の有無はほとんど印象されず、本件商標と各引用商標は、外観において相紛れるおそれのある互いに類似する商標と言うべきである。
(3)出所混同について
上述のように、請求人は、今日の経営の多角化現象における、世界的なトータル・ファッション・メーカーとして著名である。
従って、各引用商標である「シャネルマーク」の世界的な著名性を考慮に入れると、上述のように、著名な「シャネルマーク」とその構成及び態様が極めて類似する図形を含み、著名な「シャネルマーク」を容易に連想できる本件商標が例えば「化粧用具」や「シューツリー」等のファッションに関係する商品を含むその指定商品に使用された場合、これに接する取引者・需要者は、トータル・ファッション・メーカーとして著名な請求人の業務に係る商品、またはそのシリーズ商品であるかの如く認識し、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあると言える。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、無効にすべきものである。
(4)不正の目的について
上述したように、本件商標は、請求人が使用する商標として著名な各引用商標「シャネルマーク」と、「背中合わせにしたC字状の図形」の印象を共通にする類似する商標である。
そして、請求人の引用する各引用商標「シャネルマーク」は、前述のように本件商標の出願当時1998(平成10)年には、すでにファッション関係の取引界において極めて広く知られていたものであり、ファッションに関係する「化粧用具」や「シューツリー」等のファッションに関係する商品を指定している本件商標権者が、その出願時に、著名な「シャネルマーク」の存在を知らなかったとは到底言い難い。
したがって、本件商標権者が著名な「シャネルマーク」の存在を知らずに、著名な「シャネルマーク」と「背中合わせにしたC字状の図形」の印象を共通にする本件商標を出願したとは考えられず、また本件商標構成全体としても他の特定の意味観念を生ずるものではないから、本件商標は、著名な「シャネルマーク」を偶然に含むものとして出願したとは到底考えられないものである。
然るところ、本件商標は、著名な「シャネルマーク」と「背中合わせにしたC字状の図形」の印象を共通にするものとして、偶然に使用・採択されたとみることは到底できないものであり、「シャネルマーク」の持つ高い名声と信用にフリーライドする目的を持って使用されるものという他はない商標であると言うべきである。
すなわち、本件商標は、「シャネルマーク」の持つ名声と信用を毀損させる目的をもって出願したものとしか考えられないものであり、またその出所について混同や、その出所表示機能の希釈化させるおそれのあるものであり、このような出願は、信義則に反する不正の目的で出願されたものであると言うべきである。
このような商標の登録を認めることは、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護するという商標法の目的に合致しないことが明らかである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当し、無効にすべきものである。

4 被請求人の答弁
被請求人は、請求人の主張に対して何ら答弁していない。

5 当審の判断
本件商標は、別掲(1)のとおり、モノグラム風の図形を肉太に描き、その下部に「GUEX CHANGE」の欧文字を書してなるものであるところ、該図形部分と文字部分とは、視覚上分離して看取されるばかりでなく、両者が常に一体不可分のものとしてみなければならない特段の理由も見当たらないものであるから、それぞれの部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものと判断するのが相当である。
そこで、請求人の主張について判断するに、請求人の提出に係る甲各号証によれば、請求人(シャネル エス アー エール エル)の引用するシャネルマークは、別掲(2)ないし(5)に表示したとおり、ローマ字の「C」を背中合わせに交差させた如き図形を基本とする構成からなるものであるところ、化粧品、高級婦人服、ハンドバッグ、ベルト、靴、時計、アクセサリー等のファッション関連の商品に永年継続的に使用された結果、本件商標の登録出願時には既に世界的に広く認識されていたことが認められる。
これらの実情からすれば、権利者(出願人)は前記の各引用商標の存在について本件商標の出願時には認識していたものと推認される。
しかして、本件商標中のモノグラム風の図形部分は、シャネルマークと対比すると、ローマ字の「C」を背中合わせに交差させた図形を基本とする点において構成の軌を一にし、左側のC字状部分の上端より右側のC字状部分に横線を引いた点において相違するにすぎず、全体としてシャネルマークと極めて近似した印象を与えるものであるから、両者は外観上類似するものというべきである。
してみれば、本件商標は、請求人のシャネルマークを若干変更した図形を含むものといわざるを得ず、請求人が永年に亘る営業努力により獲得した商標の信用、名声を不正に利用するものであり、これをその指定商品について使用することは、請求人の商標の出所表示機能を希釈化させ、また、その名声を毀損させるものであって、不正の目的をもって出願されたというべきである。
したがって、本件商標は、その余の無効事由について判断するまでもなく、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、その登録は同法第46条第1項の規定により、無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 <別掲>

(1)本件商標



(2)引用商標(登録第1263242号商標、外5件)



(3)引用商標(登録第1531366号商標、外4件)



(4)引用商標(登録第1811253号商標、外1件)


(なお、色彩については、原本を参照されたい。)

(5)引用商標(登録第2051383号商標)


審理終結日 2002-01-29 
結審通知日 2002-02-01 
審決日 2002-02-21 
出願番号 商願平10-18840 
審決分類 T 1 11・ 222- Z (Z21)
最終処分 成立  
前審関与審査官 西田 芳子 
特許庁審判長 滝沢 智夫
特許庁審判官 田口 善久
酒井 福造
登録日 1999-07-30 
登録番号 商標登録第4299484号(T4299484) 
商標の称呼 ゲーチェンジ、グーチェンジ、ゲクスチェンジ 
代理人 田中 克郎 
代理人 稲葉 良幸 

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