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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 111
管理番号 1061761 
審判番号 審判1999-30322 
総通号数 32 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-08-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 1999-03-16 
確定日 2002-07-01 
事件の表示 上記当事者間の登録第2695394号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2695394号商標(以下「本件商標」という。)は、「SYNFONET」の欧文字を横書きしてなり、1991年8月14日フィンランド共和国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成4年2月13日登録出願、第11類「電気通信機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成6年9月30日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張の要点
請求人は、「商標法第50条第1項の規定により本件商標の指定商品中『電子応用機械器具及びその部品』について、その登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、請求の理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証の1及び同号証の2を提出している。
(1)請求人の調査によれば、本件商標は日本国内において3年以上にわたって、その指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」について使用されていない。また、本件商標については専用使用権及び通常使用権のいずれの登録もなされていない。
したがって、本件商標はその指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」について、商標法第50条第1項の規定に該当し、その登録の取消を免れ得ないものである。
(2)被請求人が使用証拠として提出した乙第2号証の1、乙第3号証の1、乙第6号証の1、乙第7号証の1は英文パンフレット及び英文マニュアルであり、日本語で書かれたものではなく、さらにパンフレット裏表紙の会社連絡先はフィンランドになっており、本件商標の日本における使用を何ら証明するものではない。また乙第2号証の2、乙第3号証の2、乙第6号証の2、乙第7号証の2は顧客に配布されるパンフレットそのものではなく、各々の単なる和訳にすぎず、本件商標の日本における使用を何ら証明するものではない。
また、これらの和訳はワードプロセッサにより作成されたもので、日本において現実に頒布されたという事実を立証するものでもない。さらに、乙第2号証の1ないし乙第3号証の2には使用時期の記載がない。
乙第4号証ないし乙第5号証の写真も日本における使用を何ら証明するものではなく、また、乙第5号証の写真タイトルには本件商標「SYNFONET」の語も記載されていない。
(3)本件審判の請求の登録日は、答弁書にて請求人が乙第1号証を示して主張するとおり、平成11(1999)年4月7日であるが、これに対して乙第9号証は1999年4月12日、乙第10号証は1999年5月31日、乙第11号証は1999年7月9日と予告登録日より後に作成されたものであり、不使用による取消を免れるための使用証拠とは認められないものである。
(4)さらに、乙第8号証の1ないし6については、これらの資料は企画書とのことであり、被請求人は販促媒体・取引書類と主張しているが、商標法第2条第3項第7号における取引書類は注文書、納品書、送り状、出荷案内書、物品領収書、カタログ等と解釈されており、乙第8号証の1ないし6が商標法第2条第3項第7号にいうところの取引書類等に該当するかは極めて疑問であり、販促媒体として現実に需要者に頒布されたという裏付けもない。
また、乙第8号証の1ないし6はマイクロソフト社のプレゼンテーション資料作成用ソフト「PowerPoint」を使用して作成されたものと見受けられるが、このようなツールを使用した資料作成は非常に簡易であり、また作成日付も確たる裏付けをもって証明されるものではない。
また、資料作成日付に関して、乙第8号証の1ないし6にはCマーク(Cの文字を○で囲んだマーク(以下「マルC」という。))に続く日付の他に「Checked 30/5/1999 by M.Morita,NTC/Tokyo,CT/PM 」の記載があり、マルCに続く日付が日本語の企画書が作成された日か或いは英文の原案が作成された日が不明である。1999年5月30日が作成日であれば、これらの資料は本件審判の請求の登録日より後の使用となり、不使用を免れるための証拠とはなりえない。
マルCに続く日付が日本語の企画書が作成された日を考えても乙第8号証の1、乙第8号証の2、乙第8号証の6はマルCに続く日付が1999年4月6日と本件審判の請求の登録日の僅か1日前であり、使用証拠としての信憑性に欠ける。
したがって、被請求人の提出した資料は日本において本件審判の請求の登録日以前に本件商標が使用されていることを明確に証明するものではない。(5)被請求人が使用証拠として提出した乙第12号証ないし乙第15号証には本件商標「SYNFONET」の文字の記載がなく、本件商標の日本における使用を何ら証明するものではない。
乙第16号証は英文の顧客向け広報誌であり、日本語で書かれたものではなく、しかも、「SYNFONET」の語の記載があるのは、各々ドイツ、中国、エストニア、ノルウェーにおける販売活動状況を示す資料においてのみであり、本件商標の日本における使用を何ら証明するものではない。
また、被請求人は、平成12年4月3日付審判事件第二答弁書の第3頁で「被請求人が日本における商品販売業務を1989年に開始したことが明確」と述べているが、具体的にどのような商品をどのような商標で販売したかは一切記載されておらず、被請求人が日本において本件商標を本件指定商品に使用していることを何ら証明するものではない。
また、乙第17号証の1及び2は英文及び和文の事業概況報告書で、記載された各々の商標と商品との関連が明確ではないものである。また、商標法第2条第3項第7号における取引書類は注文書、納品書、送り状、出荷案内書、物品領収書、カタログ等と解釈されており、乙第17号証の1及び2が商標法第2条第3項第7号にいうところの取引書類等に該当するかは極めて疑問である。
さらに、乙第17号証の1は英文資料であり、本件商標の日本における使用を証明するものではない。
乙第17号証の2の12頁において「ノキア・シンフォネット(SYNFONT)は、フルネットワーク・レベルのマネジメント機能をもつ総合的SDH(同期デジタル多重化)ソリューションです。シンフォネットをネットワークに採用している顧客は、世界中でおよそ140社に達しています。」とあるが、本記載によれば当該名称は「総合SDHソリューション」の名称であり、ソリューションは通常、本件商標の需要者においては商品ではなく役務として認識されるのが常識であり、本記載は本件指定商品に対する商標の使用を何ら立証するものではない。また、本記載においては「SYNFONT」と標記され手書きで「E」が挿入されており、乙第17号証の2の証明力はほとんど疑問と言わざるを得ない。
さらに、同頁において「1998年のシンフォネット・シリーズの重要な展開はWDM(波長分割多重方式)技術」とあり、被請求人も「被請求人のアクセス技術の商品」と述べているが、「シンフォネット・シリーズ」が具体的にどのような商品かは一切わからず、本記載は本件指定商品に対する本件商標の使用を何ら立証するものではない。
乙第18号証は、日本におけるノキア・ジャパン株式会社とノキア・モービル・コミュニケーション株式会社の存在を窺わさせるものではあるが、被請求人との関係についてはノキア・モービル・コミュニケーション株式会社がノキア製携帯電話の販売をしていることが記載されているのみで、被請求人との資本関係も不明であり、被請求人の関連子会社であることは立証されていない。まして本件商標について当然に使用の許諾を受けているとは認められない。
また、乙第19号証は、前述のとおりそれ自体が本件商標を本件指定商品について使用したことを立証するものではない乙第16号証を「Com-Japanl998」において配布したことを陳述するのみで、当該陳述書の証明力はともかく、本件商標を日本において、本件指定商品について使用していることを証するものではない。
以上のとおり、被請求人の提出した証拠方法は日本において本件審判の請求の登録日以前に本件商標が本件指定商品に使用されていることを証明するものではない。

3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第19号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)被請求人は、本件商標を商品「電子応用機械器具およびその部品」に含まれる商品の一について使用している(以下「本件使用商品」という。)。また、本件商標は、本件審判の請求の登録日である平成11(1999)年4月7日より前3年以内に、被請求人である「ノキア テレコミュニケーション オイ」および、その日本支社である「ノキア・ジャパン株式会社」が使用している。
(ア)乙第2号証及び乙第3号証について
乙第2号証は、本件使用商品を紹介するためのパンフレットである。乙第3号証は、本件使用商品シリーズ中、特にSTM-1/4のアクセスノード用装置を紹介するパンフレットである。
このパンフレット掲載の商品は、中容量のアクセスノード及びその装置であり、インターネット・移動電話・デジタルビデオ等の伝送装置として使用されるものである。これらの商品は、本審判で取消が請求されている商品「電子応用機械器具およびその部品」であるネットワーク用のコンピュータおよびその部品に含まれる商品である。
乙第2号証及び乙第3号証により、被請求人である「ノキア テレコミュニケーション オイ」が、本件商標「SYNFONET」を商品「電子応用機械器具およびその部品」について使用していることが明らかとなる。
(イ)乙第4号証及び乙第5号証について
乙第4号証及び乙第5号証は、上記(ア)に係る1998年10月8日に撮影された本件使用商品の写真である。この事実から、1998年10月8日には既に、本件商標「SYNFONET」が使用されていることが明らかである。
(ウ)乙第6号証及び乙第7号証について
乙第6号証は、被請求人である「ノキア テレコミュニケーション オイ」が、1997年および1998年に作成したものであり、本件使用商品中「SYNFONET STM-16」の商品概要を示す英文マニュアルである。
乙第7号証は、被請求人である「ノキア テレコミュニケーション オイ」が、1998年に作成した本件使用商品の英文解説マニュアルである。かかる英文マニュアルおよび英文解説マニュアルが、本件使用商品に関する本件商標「SYNFONET」を広告するために一般に配布されるための販促物であることから、1997年頃から既に本件使用商品について本件商標が、被請求人である「ノキア テレコミュニケーション オイ」によって使用されている事実が明らかである。
(エ)乙第8号証について
乙第8号証は、「ノキア テレコミュニケーション オイ」の日本支社である「ノキア・ジャパン株式会社」が、本件使用商品の販売活動のために作成した製品紹介の企画書である。本件使用商品は、通信事業を主とするインフラ製品であり、主な顧客対象は新電電のような大手通信事業にかかるサービスを提供する法人である。よって、販売までに本号証のような企画書・仕様書により、顧客に説明を行い、その顧客向けにシステムが構築されるという特殊な販売形態がとられている。
乙第8号証は、「ノキア テレコミュニケーション オイ」の日本支社である「ノキア・ジャパン株式会社」が、第二電電株式会社へ向けての販売を促進するのために、同社に提出されたものである。
乙第8号証の5の表紙には、その企画書の作成年月日を明らかにするために、マルCに続き著作権発生年月日が1998年3月12日とある。よって、既にその時点で、本件使用商品の販売準備が行われでいたことが明らかである.
同じく、乙第8号証の3には、1998年8月18日、乙第8号証の4には、1998年10月14日と乙第8号証の1,2および6には1999年4月6日との日付が各々記載されている。
以上の乙第8号証に掲載の各々の企画書を作成した著作権発生年月日により、本審判請求登録日である1999年4月7日以前から、本件商標を、本件使用商品に関する販促媒体や取引書類に付して使用していたことが明らかである。
(オ)乙第9号証について
乙第9号証は、被請求人である「ノキア テレコミュニケーシヨン オイ」日本支社、東京都千代田区永田町2-13-5赤坂エイトワンビルに所在するノキア・ジャパン株式会社インフラ事業部プロダクト・マネージメント プロダクトマネージャーである森田雅典が、日本テレコム株式会社 技術部伝送課 相馬に向けて、1999年4月12日付けで本件使用商品「SYNFONET」を紹介するために発送したEメールの内容である。
この事実から、本件使用商品が、日本テレコム株式会社のような通信事業メールに販売され流通されるものであることが理解できる。
(力)乙第10号証及び乙第11号証について
乙第10号証は、ノキア・ジャパン株式会社インフラ事業部プロダクト・マネージメント プロダクトマネージャーである森田雅典が、第二電電株式会社技術本部ネットワーク技術部伝送担当 宮岡らに向けて、1999年5月31日に第二電電本社において、本件使用商品を紹介したことを示す資料である。
乙第11号証は、第二電電株式会社技術本部ネットワーク技術部伝送担当宮岡が、ノキア・ジャパン株式会社森田雅典に向けて発送したEメールの内容である。
これらの証拠により、本件使用商品についての受注および販売活動の実際を理解できる。
(2)以上の証拠から、本件商標が、本審判請求の登録前3年以内にその請求に係る指定商品である「電子応用機械器具およびその部品」に属する本件使用商品「アクセスノードおよびその装置」に使用されていることは明らかである。なお、被請求人が外国法人であることや、前述したように本件商標が使用される「アクセスノードおよびその装置」の販売流通経路および販売先が非常に狭く特殊であること等から、新しい証拠方法が入手され次第、更に追加の証拠として提出する予定である。
(3)被請求人は新たに乙第12号証ないし乙第17号証を提出する。これらを証拠として、本件商標を本件使用商品に本件審判の請求の登録日である平成11(1999)年4月7日より前3年以内に被請求人である「ノキア テレコミュニケーション オイ」およびその日本支社である「ノキア・ジャパン株式会社」が使用していることが立証できる。
(ア)乙第12号証ないし乙第15号証について
乙第12号証は、株式会社アスキー発行「週刊アスキー 1998年12月3日号」掲載の記事である。本号証の記事によれば、総合展示会(見本市)「COM JAPAN1998」が、1998年11月10日から同月13日までの4日間、東京都江東区有明に在る東京ビッグサイトにおいて開催された事実が明らかである。また、同号証掲載の写真では、被請求人の日本支社である「ノキア・ジャパン株式会社」の展示ブースが撮影されており、同社が商品を出展している模様が明らかである。
乙第13号証は、上記総合展示会(見本市)「COM JAPAN1998」の模様を掲載したYahoo ! Japan掲載紙月刊「ヤフー・インターネット・ガイド1999年1月号(12月29日発売号)」の記事である。
乙第14号証は、上記総合展示会(見本市)「COM JAPAN1998」の模様を掲載したコンピューター雑誌「I/0(アイオー)1999年1月号」の記事である。
乙第15号証は、株式会社アスキー発行「月刊アスキーASCII 1999年1月号」の記事である。
これら乙第12号証ないし乙第15号証により、総合展示会(見本市)「COM JAPAN1998」の開催事実・開催日時及び請求人の日本支社である「ノキア・ジャパン株式会社」が商品出展ブースを設けて参加していることが明らかである。
(イ)乙第16号証について
本号証は、乙第16号証に示す総合展示会「COM JAPAN1998」で、被請求人の日本支社である「ノキア・ジャパン株式会社」が配布した被請求人の顧客用広報誌「DISCOVERY Volume47 1998」である。本号証の99ページには本件商標を付された商品がドイツや中国をはじめ各国で販売を開始した事実が広告として掲載されており(乙第16号証訳文添付)、本号証を販促媒体として被請求人の日本支社である「ノキア・ジャパン株式会社」が1998年11月10日から同月13日に配布したことが明らかである。
また、本号証の14ページでは被請求人が日本における商品販売業務を日本法人「ノキア・ジャパン株式会社」を介して1989年に開始したことが明確となる。
(ウ)乙第17号証について
本号証は、1998年の事業概況報告書である。本号証中には、被請求人の事業の報告及びその世界的な販売促進活動の一として、本件商標に係る被請求人のアクセス技術の商品説明がなされている。なお、本号証は、1999年3月17日(水)の定時株主総会にて配布されたものであり、同時にこの内容はhttp://www.nokla.com/investor/annual/index.htmlにおいて配信されたものである。
(4)以上、被請求人の提出する証拠は、全て日本国において本件審判の請求の登録日である平成11(1999)年4月7日以前に本件商標が使用されていた事実を証明するものである。
(5)被請求人は新たに乙第18号証及び同第19号証を、第二答弁書の補充の証拠方法として提出する。
(ア)乙第18号証について
乙第18号証は、被請求人とその日本支社である「ノキア・ジャパン株式会社」「ノキア・モービル・コミュニケーション株式会社」との関係を明らかにするものである。「ノキア・ジャパン株式会社」「ノキア・モービル・コミュニケーション株式会社」は被請求人の関連子会社であり、被請求人が所有する登録商標については、被請求人から当然にその使用について許諾をうけている者である。
(イ)乙第19号証について
本号証は、乙第16号証として提出している被請求人の顧客用広報誌「DISCOVERY Volume47 1998」が、被請求人の日本支社である「ノキア・モービル・コミュニケーション株式会社」により1998年11月10日から同月13日に配布された事実を証明するものである。本号証により、「ノキア・モービル・コミュニケーション株式会社」が、本件登録を使用した商品の販売促進記事を含む乙第16号証を、1998年11月10日から同月13日までの4日間、東京都江東区有明に在る東京ビッグサイトで開催された総合展示会(見本市)「COM JAPAN1998」において配布した事実が明らかである。

4 当審の判断
そこで、本件商標の使用の有無について、被請求人提出に係る乙各号証をによれば、以下の事実を認めることができる。
(1)乙第2号証及び同第3号証は、英文版の商品カタログ、及びその訳文と認められるところ、該カタログの表紙に「SYNFONET」の商標のもと、「Access Node(SAN)」及び「STN-1/4 NODE」に関する商品の内容が写真入りで記載、収録されていることが認められる。また、該カタログの裏表紙には、被請求人の名称、住所が記載されている。
(2)乙第6号証及び同第7号証は、英文版の商品概要書及びその訳文と認められるところ、該商品概要書の表紙に「SYNFONET」の商標のもと、「STM-16」及び「Acces NODE」に関する商品の内容が図入りで説明している。また、表紙の次のページに「1997,1998」及び「1998」が被請求人の名称とともに記載されている。
請求人は、上記(1)及び(2)に関し、会社の連絡先が外国(フィンランド)であり、カタログが日本語で書かれていないので、日本での使用とは認められないこと、和訳は顧客に配布されるパンフレットではなくワードプロセッサで作成されているから現実に頒布されたといえないし、使用時期の記載もない旨主張している。
しかしながら、本件使用商品は、その需要者を一般の消費者とするものではないことを考慮すると、日本語の商品カタログでなければ、日本での使用とは認められないものではない。そして、該商品カタログは被請求人の作成に係るものであり、そこには本件商標と社会通念上同一と認められる商標が記載され、商品もアクセスノードについて紹介し、かつ、その商品カタログの邦文(日本語訳)も該商品カタログと符合するものであるから、前記商品に関し、そのマニュアルを邦文で詳細に解説してなる仕様説明書と認められ、該商品カタログに基づき取引きが行われた状況を十分窺わせるものである。また、日本語の和訳がワードプロセッサで作成したものが認められないということもできない。
(3)乙第4号証は、商品の写真と認められるところ、該写真の上部に 「SYNFONET」の商標のもと下部に記載された「NOKIA SANpics.ppt/1/08.10.98/MCa」は、該写真の作成者及び作成日と認められる。
請求人は、日本における使用を示すものではなく、乙第5号証には本件商標すら記載されていない旨主張している。
しかしながら、該写真には本件商標と社会通念上同一と認められる商標が記載され、該写真掲載の商品が「SYNFONET」の商標のもと使用されていた事実を窺うことができる。
(4)乙第8号証は、被請求人から顧客である第二電電株式会社への商品企画書と認められるところ、該企画書の表紙に「SYNFONET」の商標のもと、「製品ファミリーの紹介」「伝送装置の紹介」「SDHの概要」「Access Node(SAN)」「STM-16 Node」「伝送装置」に関する商品の内容が図入りで説明されている。また、該企画書(乙第8号証の1ないし6の表紙)の下部に「NOKIA Synfonet.ppt/1/06.04.1999/TST」「NOKIA SYNFGEN.PPT/06.04.1999/Hwe/TST」「NOKIA SynfonetOverview.ppt/1/18.08.1998/TST」「NOKIA SANnode.ppt/1/14.10.1998/MCa」「NOKIA s16node1.ppt/1/12.03.1998/TST」「open_top.PPT/06.04.1999/Hwe/TST」 の記載があり、「06.04.1999」等の数字は、該企画書の作成日と認められる。(本件審判請求の登録日前の日付である。)
請求人は、被請求人が提出した該企画書は、商標法第2条第3項第7号における取引書類に該当しないし、現実に頒布された裏付けもないこと、マルCに続く日付と別の日付があり、この日付が作成日であれば、本件審判の請求日より後の日付であり、また、マルCに続く日付であっても、本件審判の予告登録日の僅か1日前であり信憑性に欠ける旨主張している。
しかしながら、該企画書には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が記載され、アクセスノード及びその装置の製品が紹介され、さらにその機器の配備、設置等総合情報及び統合管理システムの構築等全体的な利用環境について細部にわたり詳細な説明が施されているものであって、製品の機能、用途特性又は利用環境について入念に解説を施した印刷物と認められ、取引書類として使用されていたものとみて差し支えないものである。そして、下部に記載された作成時期と相前後して製作されたことを十分窺わせるものであって、同時期以降「SYNFONET」商標に係る製品の取引に資されたものであろうことを十分推認させるものである。
(5)乙第9号証ないし同第11号証は、ノキア・ジャパン株式会社の担当者から、第二電電株式会社の担当者に宛てたメールと認められるところ、該メールの文書 「SYNFONET」の商標のもと、アクセスノードに関する紹介がされていることが認められる。(但し、日付は本件審判の予告登録日以降のものである。)
(6)乙第12号証ないし同第19号証は、展示会を紹介する雑誌等の記事、事業概要報告書等と認められるところ、該展示会にノキアの製品が展示されていること、また、「ノキア・モービル・コミュニケーション株式会社」及び「ノキア・ジャパン株式会社」等がノキアグループの関連会社であることが認められる。
請求人は、商品カタログは日本語で書かれたものではなく、外国での販売活動状況を示すものであり、日本での使用を証明するものではないこと、被請求人との資本関係が不明であるから関連会社であることは立証されていない旨主張している。
しかしながら、該展示会は、日本で開催されたものであり、そこに、「ノキア・モービル・コミュニケーション株式会社」及び「ノキア・ジャパン株式会社」が出展していること、また、事業報告書から世界的に事業展開していること、日本においては「ノキア・モービル・コミュニケーション株式会社」及び「ノキア・ジャパン株式会社」等が関連会社、販売会社であることは、商活動の実情を考慮すればあながち不自然ともいえないから、実質的に本件商標の通常使用権者とみて差し支えないものと認められる。
(7)以上の乙各号証を総合勘案すれば、本件商標は、被請求人若しくは通常使用権者により、本件審判の請求前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を取消請求に係る商品「電子応用機械器具及びその部品」中の「アクセスノード及びその装置」について使用されていたものとみるのが相当であって、被請求人は、本件商標の取消対象の商品についての使用を主張、立証し得たというべきである。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中の請求に係る商品について、商標法第50条により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-04-24 
結審通知日 2002-04-30 
審決日 2002-05-21 
出願番号 商願平4-14059 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (111)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 斎三浦 芳夫 
特許庁審判長 茂木 静代
特許庁審判官 佐藤 久美枝
小林 和男
登録日 1994-09-30 
登録番号 商標登録第2695394号(T2695394) 
商標の称呼 シンフォネット、シンフォ 
代理人 中川 博司 
代理人 三枝 英二 
代理人 井桁 貞一 
代理人 掛樋 悠路 

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