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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 101 |
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管理番号 | 1061760 |
審判番号 | 審判1999-30911 |
総通号数 | 32 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2002-08-30 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 1999-07-09 |
確定日 | 2002-07-02 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1881435号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第1881435号商標(以下「本件商標」という。)は、「エスカ」の片仮名文字を横書きしてなり、第1類「化学品、薬剤、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和59年5月19日に登録出願、同61年8月28日に登録され、その後、平成8年12月24日に商標権存続期間の更新登録がなされたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、「本件商標は、その指定商品中『薬剤』の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1及び2号証を提出している。 1.本件商標は、過去3年間日本国内において、商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても、その指定商品中の「薬剤」について使用されていない。 2.被請求人は、通常使用権者の一人である株式会社アマノ(以下「アマノ」という。店舗名は「アマノドラッグ」)が「薬剤」について広告をしているため、本件商標を使用している旨主張する。 しかしながら、乙各号証によっては、アマノが本件商標について使用許諾を受けている通常使用権者と認めることはできない。 すなわち、通常使用権は、許諾契約(使用権設定契約)に基づいて発生するものであるが、被請求人も認めるとおり使用許諾契約書は作成されていない。被請求人は、「賃貸契約書の雛形」及び「会員名簿」(「エスカ名店会々則」を含む。;乙第5及び6号証)によって、「入居店が本件商標を各小売店の商品の広告に使用できることが、上記の内容から明らかに汲み取れ」る旨主張するが、同書証のいずれにおいても、本件商標の態様はおろか、その使用方法についての文言は一切記載されていない。 わずかに乙第6号証の7頁・第2条において「エスカ名店会」の会員は「共同で宣伝活動」を行う旨の規定があるが、これらの内容からも、せいぜい、同会会員が共同で行う宣伝広告において、被請求人の経営に係る地下街の名称として「エスカ」の文字が使用される可能性を示唆するのみである。このことから直ちに、指定商品との関係が常に問題とされる登録商標についての使用許諾を「エスカ名店会」の会員に与えたということはできない。したがって、被請求人が提出するいずれの書証をもってしても、本件商標が通常使用権者によって使用されたことを立証することはできない。 3.上述したとおり、アマノが使用権を有するものとは認められないことに加えて、乙第12号証他の書証に見られるバザールの広告における「エスカ」の文字の使用は、商標法で規定する商標の「使用」には該当しないと思料する。 そもそも商標とは、「業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの」をいい、商標法第2条第3項第7号に規定する「広告」に商標の使用があるとするためには、その商品との具体的な関係において使用されていることが必要なのである。つまり、その商品について、商標の本質的な機能である識別機能、すなわち、出所表示機能、品質保証機能、広告機能を発揮するような使用でなければならないのである。 しかしながら、乙各号証には、いずれも本件商標が、その指定商品である「薬剤」との具体的な関係において使用されているとは認められない。 被請求人は、バザールに関する折り込み広告(乙第7ないし12号証)を提出しているが、これらには、「エスカ名店会」の各会員店がバザールの目玉商品として売り出す数点の商品の写真の近くにその店舗名が記載されており、その一方で肝心の本件商標は、商品の写真とはかけ離れた場所にわずかに数カ所のみ、しかも「新幹線地下街」といった説明的な文字と共に記載されているのみである。 このような広告に接する消費者は、単にバザールが行われる場所を表示するものとして「エスカ」の文字を認識するとみるのが相当であり、ましてや、「薬剤」についての本件商標「エスカ」の継続的な使用により化体された信用を頼りに、他の商標の付された「薬剤」と区別して、商品の購買の決定を行うということは到底あり得ないのである。 したがって、このような商品との具体的な関係における使用が認められない本件商標の使用については、単に不使用による取消を免れるためだけの名目的な使用の行為と言わざるをえず、よって、本件商標の使用とは認められない。 4.以上のとおり、乙各号証をもってしては、被請求人の通常使用権者が本件審判請求登録前3年以内に本件商標を使用していたとは認められるものではなく、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消されるべきものと思料する。 第3 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1ないし25号証を提出している。 1.本件商標権者と通常使用権者について (1)商標権者は、地下街を建設し、その中に「貸し店舗」を有し、店舗の賃貸を業としている(乙第3、4号証)。 (2)商標権者が所有する貸店舗(名古屋市中村区椿町6番9号(広場地下)内のうち地下1階(以下「エスカ地下街」という。))について、商標権者と入居を希望する店が賃貸契約を結ぶと、入居店は「エスカ名店会」に自動的に入会するシステムになっている(乙第5号証の11頁・第33条、乙第6号証の7頁・第2条、第3条)。 (3)「エスカ名店会」は、株式会社エスカ(商標権者)と入居店とで構成され、組織立った活動が定期的になされているところ、その中で大きなウエイトを占めているのが「共同で宣伝活動」を行うことである(乙第6号証の7頁・第4条)。 したがって、商標権者と入居店との間に明確な使用許諾契約書は作成されていないが、入居店は本件商標の使用の許諾を受けていることになる。 入居店が本件商標「エスカ」を各小売店の商品の広告に使用できることが、上記の内容から明らかであり、このような形態を採用している例は多数ある(乙第15、16号証)。 (4)その入居店の中に、本件審判の取消の対象となっている「薬剤」に関して、小売店が「薬剤」を販売している(乙第6号証)。 2.広告活動について (1)「エスカ名店会」は、毎年、半年に一度の割合で、同名店会の活動のメインといえる大規模なバザールを実施しており(乙第7ないし12号証)、テレビや新聞・広告などで宣伝をしている(乙第13号証)。このような宣伝活動は、「エスカ名店会」が宣伝委員会(乙第14号証)及び広告代理店である株式会社電通とで検討を重ねた後、宣伝活動の方法が決定され(乙第17ないし19号証)、テレビや新聞・チラシなどを通じて宣伝が行われる(乙第20、21号証)。 (2)「エスカ名店会」は、平成11年1月5日付けの中日新聞の折り込み広告(乙第12号証)で「第55回冬のバザール」についての、また、平成11年7月6日付の中日新聞の折り込み広告(乙第11号証)で「第56回夏のバザール」についての広告をしたが、その広告には、本件商標の使用権者の一人であるアマノ(店舗名はアマノドラッグ)は、「薬剤」の商品区分に属する商品である「シード コンセプトF」(コンタクトレンズ用消毒剤)、「リポビタンゴールド」(滋養強壮、総合ビタミン剤)の広告をした。 (3)よって、この広告は、商標法第2条第3項第7号、同法第2条第4項にいう「広告」にあたり、商標の「使用」といえるものであり、したがって、本件商標の通常使用権者であるアマノが、本件商標の指定商品中「コンタクトレンズ用消毒剤、滋養強壮、総合ビタミン剤」に使用していることが立証できる。 3.弁駁に対する答弁 請求人は、乙各号証によっては、アマノが本件商標について使用許諾を受けている通常使用権者と認めることはできない、また、乙第12号証他の書証に見られるバザールの広告における「エスカ」の文字の使用は、商標法で規定する商標の使用に該当しないから、被請求人の通常使用権者が本件商標につき審判請求の登録前3年以内に使用していたことを立証するものとはいえない旨主張するので以下答弁する。 (1)エスカ名店会について ア.賃貸借契約書(乙第5号証)第33条に、「乙は、甲及び全出店者で構成する『エスカ名店会』に入会し、その会則に従うものとする。」(甲「株式会社エスカ」、乙「賃借人」)と規定されており、賃貸借契約を結ぶことによって各出店者は自動的に「エスカ名店会」に属することになること定められている。本件の場合、賃借人であるアマノは賃借契約締結と同時に「エスカ名店会」に属することとなる。 そして、「エスカ名店会」は、「エスカ名店会々則」(乙第6号証)に、その組織、目的、事業等が定められている。 イ.「エスカ名店会」では、「共同で宣伝広告」活動を行うことが定められ(会則第4条)、その中心が半年に1度のバザールの実施である。 そして、このバザールのためにチラシ等を使用し(乙第7ないし13号証)、本件商標「エスカ」が使用されている。各種の販売活動において、販売者(ここでは、バザールの主宰者)の名前を使用することは当然のことであり、その商標を使用して宣伝活動をおこなうことは世の常識から考えても当然のことである。「エスカ名店会」の宣伝活動において、他の「ユニモール名店会(乙第15号証)」「セントラルパーク商店会(乙第16号証)」の商標を使用するということは考えられない。 ウ.してみると、「エスカ名店会」の宣伝活動の際に、本件商標を使用することは当然のことであるから、その商標の使用について敢えて会則中に規定を設ける必要はなく、「エスカ名店会」に属するメンバーが「共同で」宣伝を行うのですから、「エスカ名店会」の各構成員が本件商標「エスカ」を使用することは明らかなことである。 エ.したがって、商標権者と入居を希望する店が店舗の賃貸借契約を結ぶと同時に賃借人は「エスカ名店会」に属し、その「エスカ名店会」では「共同で宣伝活動をする」ことが定められているため、商標「エスカ」を共同の宣伝活動で使用することが明確な了解事項となっているから、アマノは、建物の賃貸借契約と同時に商標「エスカ」の使用許諾契約を結んでいることになる。 オ.商標の使用許諾契約は、当事者の意思の合致のみで成立し、使用許諾書の作成は義務付けられていない。そもそも契約の締結は、契約当事者の意思表示の合致によってのみ成立するものである(乙第24、25号証)。 (2)本件商標の使用について ア.バザールの広告は、新聞広告であり、その内容は、「エスカ名店会」に加盟している各出店者が販売する商品の広告である。そのため、一回の広告には、出店者が販売する商品の商品名、価格、写真等が各入居店ごとに掲載され、本件商標である「エスカ」の文字がその広告の紙面に掲載されている。したがって、この「エスカ」の文字は、各出店者の商品ごとに掲載されるのではなく、各出店者の商品全体の登録商標として広告の紙面に掲載されるのである。このことにより、本件商標は、「エスカ名店会」の各出店者に共通する商標として、自他商品識別機能、出所表示機能、品質保証機能及び宣伝広告機能を発揮しているのである。 したがって、本件商標は、バザールの広告において商標法における使用(商標法第2条第3項第7号)をされたということができる。 イ.請求人は、「本件商標は、前記バザールの広告においてアマノドラッグの商品である薬剤とはかけ離れた場所に掲載されているので、この薬剤について使用されてはいない」と主張するが、上述のように、本件商標は、「エスカ名店会」全体の商標として使用されていますので、広告紙面上のアマノドラッグの薬剤の掲載場所と本件商標の掲載場所との間隔は問題にならないと考えるべきである。 ウ.請求人は、「本件商標は『新幹線地下街』といった説明的な文字とともに記載されている」と主張するが、登録商標を、他の文字等と一緒に広告に掲載することは通常行われることであり、この点は、本件商標の使用に関して何ら問題ないと考える。 エ.請求人は、「単にバザールが行われる場所を表示するものとして「エスカ」の文字を認識するものとみるのが相当である」と主張するが、例えば、百貨店の広告においてエスカと同じように広告をすることがある。その場合各ブランドの商標を個々的に表示、掲載せず、百貨店の登録商標を掲載していることが多々ある。「エスカ」は登録商標と認識すべきである。 オ.請求人は、「バザールの広告での登録商標の使用は名目的なものである」と主張するが、このバザールの広告での本件商標の使用は、「エスカ名店会」加入店の商品の広告に使用するものであり、決して名目的なものではなく、実質的な使用である。 4.したがって、本件商標が使用権者アマノにより本件審判請求の登録前3年以内に使用されていたことは明らかである。 第4 当審の判断 本件商標について、その審判請求の予告登録前3年以内に、商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれかにより、その指定商品中の「薬剤」について使用されていたか否かについて検討する。 1.答弁書及び乙第3ないし12号証並び弁駁書によれば、以下の事実が認められる。 (1)商標権者(被請求人)は、「地下通路およびそれに附帯する店舗の賃貸業務」を業務の一つとしている。 (2)名古屋市中村区椿町6番9号(広場地下)内に商標権者が所有する建物「エスカ」のうち地下1階(以下「エスカ地下街」という。)を、貸店舗として賃貸している。 (3)エスカ地下街の出店者は、商標権者及び全出店者で構成する「エスカ名店会」に入会し、その会則に従う(乙第5号証;「賃貸契約書第33条」、乙第6号証;「エスカ名店会々則第2条」)。 (4)エスカ名店会の正会員は商標権者と出店者であり、出店者は出店と同時に正会員となり、その取消と同時に正会員の資格を失う(同会則第6条2)。 (5)エスカ名店会は、その会則によれば、「・・・共同の繁栄のために、・・・必要な共同事業を行う」ことを目的とし(同会則第3条)、その目的を達成するものの一つとして、共同して宣伝広告を行う(同会則第4条(2))。その他会員のために必要な共同事業が行われている。 (6)エスカ地下街の出店者が共同して宣伝広告した折り込み広告(乙第7ないし12号証)は概ね、表頁には、青塗り四角形状の図形内に「新幹線地下街」の文字と「エスカ」の文字を白抜きで書したもの(「新幹線地下街」の文字は上段に小さく表し、その下に「エスカ」の文字を大きく表してなる。)を、右上と左下に表示し、その他、「エスカ冬(もしくは夏)のバザール」の文字が表示され、次頁以降には、出店名及びその販売に係る商品もしくは提供に係る飲食物などの写真が掲載されている。 (7)正会員中には、アマノが存在し、アマノは、店舗名を「アマノドラッグ」とする店舗を出店しており、右店舗は、「コンタクトレンズケア用品」、「滋養強壮剤」(以下これらをまとめて「使用商品」という。)についての宣伝広告をした(乙第10ないし12号証)。 (8)そして、右店舗が取り扱う使用商品が取消に係る「薬剤」に包含される商品であること及びその広告の時期が本件審判の請求の登録前3年以内であることについては、当事者間に争いがない。 2.(1)前記1.の事実によれば、「エスカ名店会」は、商標権者とエスカ地下街の出店者とで構成され、アマノは、商標権者との間で締結した店舗の賃貸借契約に基づきエスカ地下街に「アマノドラッグ」を出店し、自動的に「エスカ名店会」の正会員となったこと、「エスカ名店会」の事業の一つである「共同して行う宣伝広告」は、半年に1度のバザールの宣伝広告が中心であり、その宣伝広告として折り込み広告等が用いられたこと、該折り込み広告には、前記1.(6)に記載した青塗り四角形状の図形内に「新幹線地下街」と「エスカ」とを白抜きで書した表示、「エスカ冬(もしくは夏)のバザール」などの表示が使用されたこと、右各表示は、色彩の点から見ても、大きさの点から見ても看者の注意を強く惹く態様のものであると同時に、いずれも「エスカ」の文字部分は、他の文字部分とは独立して看取されることから、本件商標と社会通念上同一のものと認められること、及び折り込み広告(乙第10ないし12号証)には、アマノドラッグの取り扱い商品として使用商品が掲載されていることが認められる。 (2)通常使用権者について ところで、通常使用権は、一般的には、商標権者又は専用使用権者との使用許諾契約に基づいて発生するものであるところ、右契約は、商標権者と使用者との意思表示の合意によって成立し、契約自由の原則により何らの方式も必要とせず、口頭による使用契約も認められるものと解される。 してみると、本件商標の使用許諾に関し、商標権者とアマノとの間に、書面による使用許諾契約が存在しないとしても、前記2.(1)の状況からみれば、商標権者は、アマノに対し、黙示の通常使用権を与えていたものと判断するのが相当である。 すなわち、商標権者と出店者とで構成する「エスカ名店会」は、共同して宣伝広告することにより、同名店会に属する商店群全体が一つの集合体として、その知名度を上げることを目的とし、これと同時に、エスカ名店会の個々の商店は、前記1.(6)に示した表示のもとに、自己の営業に係る商品又は役務の宣伝広告をすることになり、その結果、地下街エスカを所有する商標権者は、その所有する本件商標を、地下街エスカに根拠地を持つ「エスカ名店会」の各商店に使用させることにより、商標権者及び出店者相互の繁栄を維持することができ、このような関係にある商標権者と出店者との間には、本件商標につき通常使用権が存在していたとみるのが相当である。 したがって、本件において、アマノは、本件商標の通常使用権者ということができる。 (3)請求人の主張について ア.請求人は、商標とは、商標法第2条第3項第7号に規定する「広告」に商標の使用があるとするためには、その商品との具体的な関係において使用されていることが必要であるところ、本件商標は、「薬剤」との具体的関係において使用されているものとは認められない旨主張する。 しかしながら、前記したように、「エスカ名店会」が共同して宣伝広告する、同名店会のバザールの折り込み広告は、その会員である商店群全体が一つの集合体として、エスカ地下街の宣伝広告に当たると同時に、エスカ地下街にある個々の商店が取り扱う商品又は役務の宣伝広告をもなしているというべきである。そして、前記1.(6)に示した表示のもとに、アマノドラッグの取り扱う商品として使用商品が掲載されている事実が認められる(乙第10ないし12号証)。 イ.請求人は、前記1.(6)に示した表示には、「新幹線地下街」の文字が付されており、単にバザールを行う場所としての「エスカ」を認識するにとどまる。まして、「薬剤」についての本件商標「エスカ」の継続的な使用により化体された信用を頼りに、他の商標の付された「薬剤」と区別して、商品の購買の決定を行うということは到底あり得ない旨主張する。 しかしながら、前記2.(1)で認定したように、前記1.(6)に記載した青塗り四角形状の図形内に「新幹線地下街」と「エスカ」とを白抜きで書した表示部分は、その態様から「エスカ」の文字部分が独立して看取されるばかりでなく、全体として新幹線地下街にある「エスカ」という商店群を表したと理解されるものであり、「エスカ」という表示は、右商店群の中の個々の商店が持つ個別的な商標とは別に、折り込み広告に掲載された商品全体についての代表的な出所標識として機能しているものとみるべきである。 ウ.したがって、上記ア.及びイ.についての請求人の主張は採用できない。 3.以上のとおりであるから、本件商標の通常使用権者は、本件商標をその指定商品中の「薬剤」について、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内で使用していたものというのが相当である。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものとすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2002-02-05 |
結審通知日 | 2002-02-08 |
審決日 | 2002-02-19 |
出願番号 | 商願昭59-51322 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(101)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 飯島 袈裟夫 |
特許庁審判長 |
三浦 芳夫 |
特許庁審判官 |
茂木 静代 野本 登美男 |
登録日 | 1986-08-28 |
登録番号 | 商標登録第1881435号(T1881435) |
商標の称呼 | エスカ |
代理人 | 池田 敏行 |
代理人 | 恩田 博宣 |
代理人 | 中村 敦子 |
代理人 | 岡田 英彦 |
代理人 | 岩田 哲幸 |