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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Z18
管理番号 1060146 
異議申立番号 異議2001-90377 
総通号数 31 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2002-07-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-05-14 
確定日 2002-05-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第4452841号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4452841号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4452841号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成12年2月9日に登録出願され、「REACT」の欧文字を横書きしてなり、第18類の商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成13年2月9日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立の理由
(1)申立の根拠
本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものである。
(2)具体的理由
異議申立人(以下、「申立人」という。)は、その所有に係る「KENNETH COLE REACTION」の文字を書してなり、商品の区分第18類の商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品としてなる登録第4160736号商標(以下、「引用商標」という。)を引用する。
(a)申立人は、創始者のケネス・コール(KENNETH COLE)により、1982年に米国ニューヨークで設立された会社であり、引用商標は創立以来、申立人の主力サブブランドの一つとして世界的に商標登録され、使用されてきたものである(甲第3号証ないし甲第35号証)。
申立人は設立当初、女性向けの靴会社として知られていたが、その後、メンズウェア・レディスウェアのみならず、バッグ・ベルトやアクセサリー類にまでその業務範囲を拡大し、トータルファッションコーディネイトを提案することで大きく発展した。そして、現在では世界4大コレクションの一つであるニューヨークコレクションにも出展しており、引用商標は申立人のメインブランドとして、申立人の母国である米国のみならず、世界中の多数の国において、著名なブランドとして認識されるに至っている。
(b)かかる事実は、業界新聞やファッション雑誌などにより積極的に紹介されており、引用商標の周知・著名性は、わが国の需要者・取引者においても広く認識されている(甲第36号証ないし甲第43号証)。なお、かかる甲第36号証ないし甲第43号証の大部分は米国において発行された英語により記載されたものではあるが、特にファッション関連の雑誌などはビジュアル的な要素が大であるため、例え英語により記載されたものであってもわが国に直輸入され、多くの者の目に触れるものであり、これらの引用商標の周知・著名性を推測させるのに十分なものであると考えられる。なお、インターネット上においても「ケネス コール」「KENNETH COLE」または「KENNETH COLE REACTION」をキーワードとして検索を行った結果、極めて多数のホームペ-ジがヒットする。
(c)また、我が国において、申立人は、西武百貨店株式会社等を通じて、引用商標を商品「かばん、ニット、スカート、シャツ等の被服類、履物等」に1980年代より長期の間、継続して盛大に使用してきた(甲第44号証ないし甲第45号証)。そして、これらの商品は、全国の有名各衣料店において、専門コーナーを設けて販売されており、折からのブランド品ブームや申立人の活発な宣伝活動も相まって、本物志向の高級ブランド品として、わが国の需要者に根強い支持を得ている。
(d)上記事実より、本件商標の出願日である平成12年2月9日においては勿論のこと、それ以前より、引用商標は、我が国において、申立人の業務を表す標章として、極めて広く認識されていたことは明白である。
(e)また、本件商標は、「REACT」のローマ文字より「反応する」なる観念が生ずる。その一方、引用商標「KENNETH COLE REACTION」中「KENNETH COLE」の文字は引用商標の指定商品のデザイナーの氏名であることが、前記のように周知されていることから、需要者・取引者は引用商標中「REACTION」の文字を要部のひとつとして認識するものである。しかして、かかる「REACTION」からは「反応」なる観念が生ずる。本件商標より生じる「反応する」の観念と「反応」の観念を比較するに、両者は僅かに動詞形と名詞形という差異があるのみであり、観念上は明らかに混同を生じさせやすいものである。さらに、本件商標の構成文字「REACT」は、引用商標の要部の一つである「REACTION」により完全に包含されている。すなわち、本件商標の構成文字「REACT」と引用商標の要部の一つである「REACTION」の構成文字を比較するに、看者にとって外観の特定上もっとも重要な語頭の部分が完全に一致するものである。よって、両者は外観上も明らかに混同を生じさせやすいものである。
(f)その上、指定商品に関していえば、特に本件商標の指定商品「皮革、かばん金具、がま口口金」は、引用商標の指定商品中「ハンドバッグ、トートバッグ、書類入れかばん、トランク、スーツケース、その他のかばん類、財布(貴金属製のものを除く。)、がま口(貴金属製のものを除く。)キーケース、パス入れ、名刺入れ、その他の袋物」と、生産部門、販売部門、原材料、用途、需要者の範囲が一致し、両者は完成品と部品の関係にあるために、密接な関連性を有するものである。
(g)してみれば、申立人のブランド商標と類似する本件商標が、申立人の業務にかかる商品と密接な関連性を有するその指定商品について使用された場合には、申立人の業務に係る商品と混同を生じるおそれがあるものと言わざるを得ない。申立人の商標の周知性および両商品の密接な関連性に鑑みれば、少なくとも、申立人と一定の経済的関係のある者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生じるおそれがある。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものである。

3 当審の判断
(1)本件商標と引用商標とは、上記したとおりの構成よりなるものであるから、両者は外観上明らかに相違するものである。
次に、これを称呼上よりみると、本件商標は、英語で「答える、反応する」等の意味合いを有する「REACT」の欧文字を表してなるものと認められるものであるから、これよりは「リアクト」の称呼を生ずるものというのが相当である。
他方、引用商標は、「KENNETH COLE REACTION」の欧文字を表してなるものである。そして、本件商標は、これを常に一連に称呼するにはやや冗長でもあり、かつ「KENNETH COLE」の文字部分が、申立人の取り扱う商品のデザイナー名及び商号の一部でもあるところから、需要者が構成中の「KENNETH COLE」若しくは「REACTION」の文字部分のみを捉え、これより生ずる「ケネスコール」及び「リアクション」の称呼をもって取引にあたる場合が少なくないものとみるのが相当である。
したがって、引用商標よりは、その構成文字全体に相応して「ケネスコールリアクション」の称呼を生ずるほか、「ケネスコール」及び「リアクション」の称呼をも生ずるものである。
そこで、本件商標より生ずる「リアクト」の称呼と引用商標より生ずる「ケネスコールリアクション」及び「ケネスコール」の称呼とを比較するに、両称呼は構成音の差異により称呼上明らかに相違するものである。さらに、本件商標より生ずる「リアクト」と引用商標より生ずる「リアクション」の称呼とは、前半部の「リアク」の音を同じくするものの、その後に続く音が前者は「ト」、後者は「ション」と著しく相違するものであるから、それぞれ一連に称呼するも、全体の語調・語感が相違し、称呼上十分に聴別し得るものである。
また、二つの商標の観念が類似するか否かは、それら二つの商標の観念が共通していることを考慮し判断されるべきものと考えられるところ、本件商標「REACT」と引用商標中「REACTION」とは、英語の動詞と名詞の関係にあるというだけであるから、その理由のみをもってして、観念上類似するものであるいうことはできない。
したがって、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれについても相紛れるおそれのない非類似の商標と認められる。
そして、両商標はまったく異なる印象を与えるものであるから 引用商標が申立人の商標として、需要者の間に広く認識されているとしても、本件商標をその指定商品に使用した場合、需要者が引用商標を想起したり、その商品が申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるが如く、その商品の出所について混同するおそれはないものと認められる。
(3)してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものということはできない。
よって、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、結論のとおり決定する。
異議決定日 2002-05-09 
出願番号 商願2000-10205(T2000-10205) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (Z18)
最終処分 維持  
前審関与審査官 加園 英明 
特許庁審判長 宮下 正之
特許庁審判官 高野 義三
山口 烈
登録日 2001-02-09 
登録番号 商標登録第4452841号(T4452841) 
権利者 伊藤忠商事株式会社
商標の称呼 リアクト 
代理人 吉武 賢次 
代理人 菊地 栄 
代理人 神谷 巖 
代理人 上原 空也 
代理人 塩谷 信 

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