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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 119
管理番号 1059832 
審判番号 取消2000-30007 
総通号数 31 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-07-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 1999-12-29 
確定日 2002-05-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第2649723号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2649723号商標の「綿製タオル製ふきん、綿製ふきん、綿製なべつかみ、綿製台所器具カバー、及び、これらに類似する商品」については、その登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2649723号商標(以下、「本件商標」という。)は、「LE RITZ」の欧文字を横書きしてなり、1991年3月19日にフランス国を第1国とするパリ条約に基づく優先権を主張して、平成3年9月12日に登録出願、第19類「台所用品(電気機械器具、手動利器及び手動工具に属するものを除く)日用品(他の類に属するものを除く)」を指定商品として、平成6年4月28日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び同第6号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、商標権者において、正当な理由なく、継続して3年以上、日本国において、その指定商品中「綿製タオル製ふきん、綿製ふきん、綿製なべつかみ、綿製台所器具カバー、及び、これらに類似する商品」について使用されていない。
また、本件商標の登録原簿及び商標公報の記載に徴しても、使用権が登録されている事実もなく、登録されていない使用権者が別にいて、その使用権者によって本件商標を使用しているという事実も見出し得ない。
さらに、本件商標の登録原簿及び商標公報の記載によれば、本件商標と相互に連合する登録商標は、存在しない。
したがって、本件商標の登録は、指定商品中「綿製タオル製ふきん、綿製ふきん、綿製なべつかみ、綿製台所器具カバー、及び、これらに類似する商品」について、取り消されて然るべきである。
(2)答弁に対する弁駁
(イ)被請求人が答弁書の証拠方法として主張する乙第2号証「内野株式会社作成の商品カタログ『1999年 Spring & Summer Collection 』表紙、表紙の裏、第1頁、第26頁ないし第28頁及び裏表紙」、乙第3号証「内野株式会社作成のカタログ『1999年ー2000年 Fall & Winter Collection』表紙、表紙の裏、第1頁、第26頁ないし第28頁及び裏表紙」、及び乙第5号証「日本橋三越デパート内の『RITZ』商品の売り場の写真」は、答弁書には添付されていない。
(ロ)請求人は、被請求人の答弁書に、甲第2号証、同第3号証及び同第5号証を提出していない。
(ハ)乙第1号証、1997年1月31日作成に係る「LICENCE AGREEMENT」追加事項及び訳文の「1993年2月18日付ライセンス契約への追加条項NO.1」の前提の第2条及び第3条に記載されている「RITZ」商標は、登録番号の記載もなく、特定されていないので、本件取消審判の対象となる登録商標に関するライセンス契約とは認め難い。
(ニ)登録商標の使用には、宣伝広告に供するもの、例えば、カタログ等も発行しておれば、登録商標を使用したことになるが、「LE RITZ」の登録商標を付した商品カタログは見当たらないので、登録商標の使用をしているとは認められない。
(ホ)取消対象の指定商品の綿製タオル製ふきんと被請求人が主張するタオルとは、用途が全く相違し、商品区分第17類(昭和34年法)のタオルは、商品区分第19類(昭和34年法)のふきんの類似商品に該当しない。
(ヘ)商品区分第19類(昭和34年法)「台所用品(電気機械器具、手動利器及び手動工具に属するものを除く)日用品(他の類に属するものを除く)」についての本件商標「LE RITZ」と、被請求人が主張する商標「RITZ」とは、商標法50条の法文の趣旨からみて、後者は前者の登録商標と社会通念上同一と認められる商標でないことは明らかである。
(ト)また、答弁書の第5頁、第18行目ないし第21行目の記載「以上述べたように、本件商品は、本件審判の請求に係る商品中『これらに類似する商品』について、審判の請求日前の3年以内に日本国内で通常使用権者により使用されていたものであるから本件審判の請求は理由の無いものである。」は、全く意味不明である。
(チ)被請求人の乙第5号証と思われる甲第5号証の日本橋三越デパート内の「RITZ」商品の売り場の写真は、ふきんに登録商標「LE RITZ」を使用している状態が示されておらず、証拠方法としては証拠能力を欠く。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由及び弁駁に対する答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第6号証(枝番号を含む。なお被請求人は、提出の証拠中の表示について「甲第2号証、同第3号証及び同第5号証」は「乙第2号証、同第3号証及び同第5号証」の誤記の旨の上申があったので、以下そのように扱う。)を提出した。
(1)平成11年12月29日付け提出に係る審判請求書によれば、被請求人が所有する本件商標は、正当な理由なく、継続して3年以上、日本国内において、その指定商品中「綿製タオル製ふきん、綿製ふきん、綿製なべつかみ、綿製台所器具カバー、及び、これらに類似する商品」について、商標権者、専用使用権者あるいは通常使用権者のいずれによっても使用されていない、とのことである。
しかしながら、以下に述べるように、本件商標は、「ふきん」について、通常使用権者によって、本件審判の請求前3年以内にわが国で使用されていたものである。
(2)被請求人「ザ リッツ ホテル リミテッド」は、東京都中央区日本橋堀留町1-7-15所在の内野株式会社に対し、1993年2月18日付けで、商標「RITZ」及び「RITZ及びCREST(図形)」の商標について、「バスタオル、フェースタオル、ウオッシュタオル、タオルハンカチーフ、ウオッシュグローブ、バスローブ、バスマット、トイレマット、バススリッパ、トイレットペーパーホルダー、トイレカバー、ドアノブカバー、ティッシュペーパーカバー、トイレキット、メイクアップケース、室内スリッパ」についての製造、販売を許諾し、当該契約は1997年1月31日付け追加条項で、1997年6月30日からさらに5年間延長された(乙第1号証)。
したがって、内野株式会社は本件審判請求日前3年間の間における被請求人のわが国における通常使用権者である。しかして、内野株式会社は、上記契約に基づいて、「バスタオル、フェイスタオル、ゲストタオル、バスマット、トイレマット、トイレふたカバー、スリッパ、トイレットペーパーホルダーカバー、ドアノブカバー」を製造し、わが国でこれらの商品を販売している。乙第2号証及び同第3号証は、これらの商品の宣伝広告用に内野株式会社が作成し、1999年2月から同年8月及び1999年8月から2000年1月までに使用された商品カタログ中「RITZ」の商品の頁である。 内野株式会社は当該商品を三越をはじめ全国の有名デパートで販売している。乙第4号証中の伝票番号8130号の伝票は、「RITZ」が使用された「タオル」が内野株式会社から東京都中央区日本橋所在の三越に納品されたことを示す1999年9月21日付けの納品伝票である。そして、乙第5号証は日本橋の三越デパートに陳列された「RITZ」に係る商品の写真である。
しかして、本件審判請求に係る商品は、旧商品区分の第19類の「調理用具 その他の台所用品(流し台、調理台を除く。) 清掃または洗たく用具」に属するものであり、上記「タオル」中特に「フェィスタオル」はこの「清掃または洗たく用具中のふきん」にも属する商品である。「タオル」は通常濡れた手足や身体を拭くために使用されるが、かかる目的ばかりでなく、食器や台所やテーブルが濡れた際にタオルを用いて水を拭い去ることがしばしば行われていることは周知の事実である。このように、タオルは単に身体から水を拭き去るため、即ち、「ふきん」としても一般的に使用されている。 したがって、タオルとして販売された商品は、「ふきん」としても使用されるものであるから、当該商品は「ふきん」ということもできる。したがって、乙第2号証乃至乙第4号証では「タオル」という表示がなされているが、これは「ふきん」ということも可能である。しかして、「ふきん」は本件審判請求に係る商品のうち「これらに類似する商品」に該当する。
次に、本件審判請求に係る商標は、「LE RITZ」であるが、「LE」は単なる冠詞であるからこれ自体何ら特別な意味を有するものではなく、商品との関係で自他商品識別力を有しないものである。「RITZ」は世界的にも著名なフランスに所在する「RITZ HOTEL」を示すものと容易に認識される。その結果、本件商標に接する者は本件商標中「RITZ」の部分に注意を惹かれ、「RITZ」の部分によって商品の出所を特定する。したがって、本件商標中商標としての出所表示機能を有する部分は「RITZ」の部分にあるから、上記ふきんに使用されている「RITZ」は本件商標と社会通念上同一の商標である。
以上述べたように、本件商品は、本件審判の請求に係る商品中「これらに類似する商品」について、審判の請求日前の3年以内に日本国内で通常使用権者により使用されていたものであるから本件審判の請求は理由のないものである。

第4 当審の判断
(1)被請求人が本件商標の使用について提出した乙各号証によれば、以下の事実のみが認められる。
乙第1号証は、1997年1月31日に商標権者(被請求人)と東京都中央区日本橋掘留町1-7-15所在の内野株式会社との間での商標「RITZ」の使用についての1993年2月18日付けの契約に係る追加条項の契約と認められる。その内容として同契約は追加条項で1997年7月1日から2002年6月30日まで5年間の延長がされた。そして商標と商品については追加条項(英文)の3頁に本件商標の登録番号が、また同4頁には使用に係る商品「Bath Towel、Face Towels・・・Indoor Slippers」が記載されている。
乙第2号証及び同第3号証は、「UCHINO 1999 SPring & Summer Collection」及び「UCHINO 1999ー2000 FALL & WINTER COLLECTION」のタイトルのカタログで、同カタログ中には商品タオルがカラーで明示され、そのタオルには「RITZ」の筆記体文字が織り込まれて表示されている。
したがって、このカタログは、ホテルリッツをイメージした商品「タオル」等の広告宣伝のための商品カタログである。
(2)ところで、商標法第50条の商標登録の取消審判にあっては、その登録商標の使用をしていないことについて正当な理由がある場合を除いて、その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れないとされている。
(3)そこで、被請求人の提出に係る乙各号証をみるに、該書証は、上記のとおり、商標「RITZ」をその通常使用権者であると被請求人が主張する内野株式会社が商品「タオル、等」に使用されている事実のみを認め得るところである。
しかして、本件商標は、「LE RITZ」の欧文字よりなるものであるところ、構成前半の「LE」の文字が被請求人説示の如く冠詞を表す場合があるとしても、かかる構成にあっては、「LE」の文字が本件商標の主要な構成要素でないということはできないから、使用に係る商標「RITZ」と、社会通念上同一のものであるということはできない。
また、本件商標は、旧第19類「台所用品(電気機械器具、手動利器及び手動工具に属するものを除く)日用品(他の類に属するものを除く)」を指定商品とするものであるところ、被請求人が使用しているとする商品「タオル、等」は、本件商標の指定商品中に属していないものであること明らかであるから、その請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明しているものということはできない。
(4)したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、請求に係る商品「綿製タオル製ふきん、綿製ふきん、綿製なべつかみ、綿製台所器具カバー、及び、これらに類似する商品」について、取り消すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-12-05 
結審通知日 2001-12-10 
審決日 2001-12-21 
出願番号 商願平3-95713 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (119)
最終処分 成立  
前審関与審査官 竹内 弘昌澁谷 良雄 
特許庁審判長 廣田 米男
特許庁審判官 柳原 雪身
井出 英一郎
登録日 1994-04-28 
登録番号 商標登録第2649723号(T2649723) 
商標の称呼 ルリッツ、リッツ 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 中村 稔 
代理人 松尾 和子 
代理人 渡辺 弥一 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 加藤 建二 

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