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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 126
管理番号 1058688 
審判番号 取消2000-30625 
総通号数 30 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-06-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2000-06-02 
確定日 2002-03-18 
事件の表示 上記当事者間の登録第0615703号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第615703号商標(以下「本件商標」という。)は、「SDI」の文字を書してなり、昭和36年4月28日に登録出願、第26類「主として市場調査報告に関する印刷物、パンフレット、その他の印刷物、写真、スライドフィルム」を指定商品として、同38年6月4日に設定登録され、その後3回に亘り商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める、と申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第4号証を提出した。
(1)請求人の調査したところによると、本件商標は、その指定商品中「主として市場調査報告に関する印刷物、パンフレット、その他の印刷物、写真、スライドフィルム」について、本件商標の商標権者である株式会社社会調査研究所によって継続して3年以上日本国内において使用されておらず、現在も使用されている事実は見い出せない。加えて、商標登録原簿上において、通常使用権および専用使用権等の設定の登録がなされておらず、使用権者が使用していることも考えられない。
(2)平成12年12月6日付け被請求人の答弁に対する弁駁。
乙第1号証及び同第2号証は、本件商標の使用事実を立証する証拠にはなり得ない。乙第1号証及び同第2号証によると「店頭向医薬品の当該年度の販売動向」、「生活関連基礎調査」に関する市場調査報告書の表紙および裏表紙に本件商標が表されている事実が窺えるが、かかる事実から、本審判の取消に係る指定商品「市場調査報告に関する印刷物」について本件商標が使用されているとはいうことはできない。その理由は以下の通りである。
被請求人提出の乙第1号証及び同第2号証の調査報告書に表された「SDI」の文字は、被請求人が行っている「市場調査」(第35類の役務)の名称として使用されているものであって、「市場調査報告に関する印刷物」についての商標の使用には該当しない。乙第1号証及び同第2号証の調査報告書は、被請求人自らが行った市場調査の結果に関する報告書であり、該報告書に記載された「SDI」の文字は、「市場調査」に関する出所識別標識として機能する。したがって、該報告書に「SDI」の文字が表されていたとしても、「市場調査報告に関する印刷物」について本件商標が使用されたことにはならない。
なお、被請求人である株式会社社会調査調査研究所は、学術研究調査、市場調査、世論調査等を行う会社であり、書籍の出版、販売を手がけている会社ではない。このことは、甲第3号証にて提出する被請求人の登記簿抄本からも明らかである。
乙第1号証及び同第2号証の調査報告書は、流通性がないものであり、商標法上の「商品」に該当しない。商標法上の「商品」とは、商取引の目的物であって、その商取引における商品としての交換価値を有するものをいうが、乙第1号証の調査報告書は、市場調査の依頼があった会社に対して市場調査の報告書として納品されるものであり、「商品」としての流通価値を有さないものである。被請求人は、乙第1号証として、株式会社資生堂に、同第2号証として、武田薬品株式会社に該報告書を販売した際の請求書控および受領書を提出しているが、かかる請求書、受領書からも分かるように、該報告書は、注文に応じて一社ごとに納品されるものであり、流通性がないことは明らかである。そのため、該報告書に「SDI」の文字が記載されているからといって、本件商標が使用されたことにはならない。
なお、商標法上の「商品」と認められるためには流通性が不可欠であることは裁判例からも窺われる(甲第4号証)。
乙第3号証は、本件商標の使用事実を立証する証拠にはなり得ない。乙第3号証によると、「品目便覧 店頭向医薬品主要銘柄2000年3月度改訂版」と題する印刷物の裏表紙に「SDI品目便覧」の文字が記載されている事実が窺えるが、かかる事実から、本審判の取消に係る指定商品「市場調査報告に関する印刷物」について本件商標が使用されているとはいうことはできない。
乙第3号証の印刷物の表紙には、本件商標がまったく記載されていない。また、該印刷物の裏表紙には「SDI品目便覧」との文字が記載されているが、かかる記載は本件商標の使用に該当しない。裏表紙における「SDI品目便覧」との文字は、同書、同大、等間隔で表されており、全体として一連一体の商標として認識されるものであり、本件商標「SDI」と社会通念上同一の商標とは認められないからである。また、該印刷物の表紙には、「品目便覧 店頭向医薬品主要銘柄」としか記載されておらず、「SDI」の文字がまったく表されていないことから考えると、裏表紙に小さく記載されている「SDI品目便覧」の文字が該印刷物の出所を表示しているとはいえない。したがって、該文字の使用は、本件商標の使用に該当せず、乙第3号証は、本件商標の使用を立証する証拠にはなり得ない。
以上、被請求人の提出する証拠は全て日本国において本件審判の請求の登録日前3年以内に本件商標が使用されていた事実を証明するものではない。
3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第3号証を提出した。
(1)請求人は、請求人の調査によると、本件商標は、その指定商品のいずれについても、被請求人(商標権者)によって継続して3年以上日本国内において使用されていない旨が述べられている。
しかし、以下の証拠及び説明より明らかなように、被請求人は本件商標を請求にかかる指定商品について本件審判請求日前3年以内に日本国内において使用しているため、本件審判請求は理由なしとされるべきである。
(2)被請求人は、本件商標の使用を立証するため、乙第1号証ないし同第3号証を提出し、以下に各証拠について説明する。
乙第1号証として提出するのは、出願人が1999年8月16日付で発行した「店頭向医薬品市場の販売動向1998年度 SDI アニユアルレポート」及びその販売実績を証明する請求書控及び受領書の写しである。「店頭向医薬品市場の販売動向1998年度 SDI アニユアルレポート」は、店頭向医薬品の当該年度の販売動向をまとめた印刷物であって、その表紙及び裏表紙に本件商標が使用されていることが明らかである。
また、請求書控及び受領書の写しから明らかなように、平成11年3月30日付で上記印刷物を株式会社資生堂に販売している。
乙第2号証として提出するのは、出願人が1999年8月16日付で発行した「第9回生活健康基礎調査1999年版」及びその販売実績を証明する請求書控及び受領書の写しである。「第9回生活健康基礎調査1999年版」は、生活者の健康状態・健康意識、胃腸薬・ドリンク剤・総合感冒薬・目薬などの使用実態を捉え、生活者とこれらの医薬品等との関係をまとめた印刷物であって、その裏表紙に本件商標が使用されていることが明らかである。
また、請求書控及び受領書の写しから明らかなように、平成11年9月3日付で上記印刷物を武田薬品工業株式会社に販売している。
乙第3号証として提出するのは、出願人が2000年3月15日付で発行した「品目便覧店頭向医薬品主要銘柄2000年3月度改訂版」及びその販売実績を証明する払込取扱票(2種)の写しである。「品目便覧店頭向医薬品主要銘柄2000年3月度改訂版」は、店頭向医薬品主要銘柄をまとめた印刷物であって、その裏表紙に本件商標が使用されていることが明らかである。
また、払込取扱票(2種)の写しから明らかなように、有限会社鈴幸スズキ堂薬店に1部販売し、平成11年9月9日付でその代金の払込みがなされ、伊東薬局に1部販売し、平成11年9月9日付でその代金の払込みがなされている。
(3)以上より、本件審判請求日前3年以内に、被請求人が本件審判請求にかかる指定商品中「市場調査報告に関する印刷物」について本件商標を使用していたこと明らかである。
4 当審の判断
被請求人提出の乙第1号証及び同第2号証によれば、本件商標と同一と認められる「SDI」の文字を被請求人の調査に係る報告書において、乙第1号証においては、その報告書のタイトルとして、さらに、報告書の裏表紙に使用されている事実が認められる。また、同第2号証においても、報告書の裏表紙に使用されている事実が認められる。
乙第1号証及び同第2号証は、被請求人の調査結果を報告書としてまとめ、印刷物にしたものであって、乙第1号証は、そのタイトルより、1998年度の年報であること、同第2号証は、1999年度の報告が第9回目であることがそれぞれ認められる。
また、「SDI」の文字は、同報告書との関係よりみて、その内容を表示するものではなく、印刷物に関する自他商品識別標識として機能するものである。
そして、これらの報告書は、乙第1号証については、株式会社資生堂に、同第2号証については、武田薬品工業株式会社にそれぞれ販売された事実が認められる。
なお、請求人は、これら報告書は、それぞれの購入者用に行われた調査であり、商標法上の商品とは認められない旨主張しているが、これら報告書が特定の企業向けに製作されたものである旨の表示は認められず、その内容からして、不特定多数の者が購入可能な商品であるとみるのが相当である。
以上の事情を総合すれば、本件商標は、本件審判の請求前3年以内に日本国内において被請求人がその請求に係る指定商品中の「主として市場調査に関する印刷物」について使用をしていたものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、取消請求に係る指定商品について取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2002-01-17 
結審通知日 2002-01-22 
審決日 2002-02-06 
出願番号 商願昭36-12517 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (126)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 三浦 芳夫
特許庁審判官 中嶋 容伸
滝沢 智夫
登録日 1963-06-04 
登録番号 商標登録第615703号(T615703) 
商標の称呼 1=エスデイアイ 
代理人 中村 仁 

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