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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 269
管理番号 1058686 
審判番号 審判1999-30496 
総通号数 30 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-06-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 1999-04-26 
確定日 2002-03-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第548084号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第548084号商標(以下「本件商標」という。)は、「ハロックス」及び「HAL0X」の文字を2段に書してなり、昭和34年2月7日に登録出願され、第69類「電気機械器具及びその各部並に電気絶縁材料」を指定商品として、昭和35年2月17日に設定登録され、その後、最新商標権の存続期間の更新登録が平成11年10月19日になされたものである。
2 請求人の主張
請求人は、「本件商標は、その指定商品中『電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具、電気材料(但し電気絶縁材料及びその部分を除く)』についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第4号証を提出した。
(1)請求の理由
請求人の調査によれば、本件商標は上記指定商品中「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具、電気材料(但し電気絶縁材料及びその部分を除く)」につき継続して3年以上日本国内において使用されていないのみならず、本件商標を使用していないことについて何等正当な理由が存することも認められない。
加之、本件商標について専用使用権の設定又は通常使用権許諾の登録もないのであるから、使用権者による使用ということも問題にならないので、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に基づき上記指定商品につきその登録を取り消すべきものである。
(2)第1回答弁に対する弁駁
(イ)被請求人の提示した本件商標の使用に係る商品(以下「本件使用商品」という。)は、被請求人も自認されているように、本質的には「アルミナセラミックス」商品と認識せしめられるものであるから、被請求人の主張は、到底採用に値しないものと思料する。以下その理由を開陳する。
(ロ)いわゆる商標法上の商品であるか否かは、その商品がそれ自体交換価値を有し、独立の商取引の目的物であって、一般市場で流通に供されることを目的として生産され、又は取引される有体物であると解すべきとされている(甲第3号証 網野誠「商標(第3版)」58頁)。
然るに、被請求人の提出した乙第1号証を検討すると、乙第1号証は、被請求人の答弁書の理由(1)の第5〜7行目における「このアルミナセラミックス「『ハロックス』は、カタログ2頁・・・また、電気絶縁性、耐熱性、耐薬品性にも優れ、最もポピュラーなファインセラミックスとして、幅広い分野で使用されています。」の記載項目から明らかな如く、本件使用商品は、あくまで基礎材料としての「アルミナセラミックス」製品であり、かつ該製品が、商品として一般市場で流通に供され、かつ取引されていることを立証している以外の何物でもない。
しかして、被請求人の答弁書の理由(2)及び(3)で述べられている商品、すなわち「電気、電子、通信機器用絶縁部品」、「機械部品、絶縁部品」及び「電子管部品、SCRパッケージ」(これらが各々上位概念の商品に含まれるかどうかは別問題として)は、あくまで用途にすぎないものであり、これらが具体的に独立して一般取引の対象として販売される商品であることを立証したものではないこと明らかである。
しかも、被請求人は、前記商品を取引業者、或いは消費者に有償で販売していることを認めるに足りる証拠の提出もないのである。
(3)第2回答弁に対する弁駁
(イ)被請求人の提示した「本件使用商品」は、先に提出した弁駁書(第1回)でも主張した通り、本質的には乙第1号証(第1回目の答弁書)としての日立アルミナセラミックス「ハロツクスR(マルアール)」(「R」は、いわゆる○の中に欧文字「R」を記した記号のマルアールを表し、パソコン上表示できないので便宜上、以下このように表示する。)カタログに紹介されている商品「アルミナセラミックス」の用途例の写真掲載商品を示したにすぎないものである。
以下、被請求人の提出した乙第1号証ないし同第6号証(第2回答弁書に添付の証拠の「乙第1号証ないし同第6号証」の表示は「乙第2号証ないし同第7号証」の誤記と認められる。以下証拠番号を1づつ繰り下げて扱う。)について、具体的に反論する。
(ロ)日立電気部品、日立無線機部品及び日立サイクロトロン部品のそれぞれについて「ハロックスR(マルアール)」を付した梱包ケースの写真(乙第2号証、同第4号証及び同第6号証)3葉について
これらの写真3葉は、単に上下二段に併記された「日立電気炉部品/ハロックスR(マルアール)」、「日立無線機部品/ハロックスR(マルアール)」及び「日立サイクロトロン部品/ハロックスR(マルアール)」の文字が印刷されているそれぞれの透明シールを貼った梱包ケースの前に「アルミナセラミックス」の用途の一商品と思われる写真掲載の電気絶縁材料を置いただけのものであり、これが実際に電気炉部品、無線機部品及びサイクロトロン部品なのか確認できない。
因みに、参考までに述べれば、商品「電気炉」は、昭和34年法では第9類、平成3年法では第11類の「工業用炉」に属する商品であり、したがって「電気炉部品」は「電気炉」に含まれる商品であっても、「電気機械器具」には属しない商品と思料される(甲第5号証)。
(ハ)日立電気炉部品、日立無線機部品及び日立サイクロトロン部品「ハロックスR(マルアール)」の商品購入者の証明書(乙第3号証、同第5号証及び同第7号証)3通について
これらの証明書3通は、(a)あらかじめ証明事項を不動文字で記載した書面の下部に取引業者の記名押印を為したものにすぎないものである。(b)販売の事実を示す取引書類が皆無であることから、商標「ハロックスR(マルアール)」を付した商品、「電気炉部品」、「無線磯部品」及び「サイクロトロン部品」が、実際に市場で販売され、かつ流通しているかどうか不明である。
したがって、本件商標は、本件商標の指定商品中、取り消し請求に係る商品「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具、電気材料(但し電気絶縁材料及びその部品を除く)」につき継続して3年以上日本国内において使用されていないこと明白である。
以上の通り、被請求人の主張は、事実に反し明らかに失当である。
3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び弁駁に対する答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第7号証を提出した。
(1)請求理由に対する答弁
請求人は、請求の理由で、本件商標がその指定商品中「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具、電気材料(但し電気絶縁材料及びその部分を除く)」につき継続して3年以上日本国内において使用されていない旨、述べているが、被請求人は本件商標をその指定商品中「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具、電気材料(但し電気絶縁材料及びその部分を除く)」につき継続して、過去3年以内に日本国内において使用しており、このことを以下に述べる。
(イ)本件商標「ハロックス/HALOX」は、日立アルミナセラミックス「ハロックスR(マルアール)」として数多くの製品に使用されている。これを立証するため日立アルミナセラミックス「ハロックスR(マルアール)」カタログ(カタログNO.BB-211作成年月日1998年11月)を乙第1号証として提出する。
このアルミナセラミックス「ハロックスR(マルアール)」は、カタログ2頁の一番上の行にも記載されているとおり、優れた機械・熱・化学・電気的諸特性を有しており、多種類の用途に使用されているものである。
(ロ)カタログ2頁の下から12行目に用途が記載されおり、同2頁の下から5行目に電気、電子、通信機器用絶縁部品と記載され、実際に電気機器用絶縁部品(開閉器、電気制御器用等。前記、開閉器、電気制御器は電気機械器具に含まれる。)、電子機器用絶縁部品(産業用X線機械器具、電子計算機用等。前記、産業用X線機械器具、電子計算機は電子応用機械器具に含まれる。)、通信機器用絶縁部品(ラジオ、テレビ用等。前記、ラジオ、テレビは電気通信機械器具に含まれる。)を商品名「ハロックス」として、販売している。
(ハ)またカタログ3頁の上から1行目の「ハロックスR(マルアール)」の品番H525の用途が「機械部品、絶縁部品」であり、「機械部品、絶縁部品」は電気材料に含まれる商品である。次に、「ハロックスR(マルアール)」の品番H538の用途が「電子管部品、SCRパッケージ」であり、「電子管部品、SCRパッケージ」は「電子応用機械器具及びその部品」に含まれる商品である。
(ニ)上記に述べたとおり、商標「ハロックス」が、「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具、電気材料」に使用されているので、これは、本件商標「ハロックス/HALOX」の使用に該当する。
(2)第1回弁駁に対する答弁
(イ)請求人は、本件商標の使用に係わる商品は「アルミナセラミックス」である旨主張しているが、本件商標は当社種々商品の総合商標として、以下に述べるとおり、請求人の取り消しに係わる商品に使用されている。
(ロ)本件商標は、請求人より取り消しを請求された指定商品「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具、電気材料(但し電気絶縁材料及びその部分を除く)」のうち、「電気機械器具」について平成9年1月29日に「電気炉部品」を販売しており、その商品と梱包ケースを示す写真を乙第2号証とし、この商品購入者の購入の証明書を乙第3号証として提出する。また「電気通信機械器具」について平成9年6月18日に「無線機部品」を販売しており、その商品と梱包ケースを示す写真を乙第4号証とし、この商品購入者の購入の証明書を乙第5号証として提出する。また「電子応用機械器具」については平成9年10月3日に「サイクロトロン部品」を販売しており、その商品と梱包ケースを示す写真を乙第6号証とし、この商品購入者の購入の証明書を乙第7号証として提出する。
(3)第2回弁駁に対する答弁
被請求人は、平成12年6月5日付けで提出した第2回答弁書で、本件商標が請求人より取り消しを請求された指定商品について過去3年以内に販売していることを述べた。
尚、請求人は、商品「電気炉」は、昭和34年法では第9類である旨述べているが、本件商標権は、昭和34年法ではなく、大正10年法で第69類に登録されたものであり、大正10年法では、電気炉は強電機械(電気機械器具)に属する電熱器の中に入っている(乙第1号証)。
また、被請求人は平成11年8月2日提出の第1回答弁書で述べたとおり、被請求人の商品カタログにおいて、商標「ハロックス」は、「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具、電気材料」に使用されているので、これは、本件商標「ハロックス/HALOX」の使用に該当する。
4 当審の判断
被請求人が本件商標の使用の事実を証明するために提出した乙各号証により、以下の事実を認めることができる。
乙第1号証は、被請求人が1998年11月に作成したアルミナセラミックスのカタログであるところ、それにはアルミナセラミックス製のメカニカルシールポンプ部品、製紙機用部品、精密加工部品、アルミナ絶縁部品及びステアタイト絶縁部品の各種の成形部品を表示し、またアルミナセラミックスの機械・熱・化学・電気的諸特性の説明及びそれが多種類の用途として電気、電子、通信機器用絶縁部品等に使用されることが記載されている。さらに特性表には材質アルミナ「ハロックスR(マルアール)」の品番H525が「機械部品、絶縁部品」の用途として、品番H538が「電子管部品、SCRパッケージ」の用途として記載されている。
乙第2号証、同第4号証及び同第6号証は、段ボール製梱包ケース及び白色の部品の類を表示した写真であるところ、乙第2号証の写真は、段ボール箱の横長正面に「日立電気炉部品」と「ハロックスR(マルアール)」の文字を二段に印刷した透明シールを貼り、かつ、そのシールの文字の下、即ち同段ボール上にいわゆる日立グループに属する企業が使用しているハウスマーク図形及び「日立化成工業株式会社」の文字を印刷した段ボール製梱包ケース及び白色で曲げを有する細長部品4個を表示したものである。
乙第4号証の写真は、段ボール箱の横長正面に「日立無線機部品」と「ハロックスR(マルアール)」の文字を二段に印刷した透明シールを貼り、かつ、そのシールの文字の下、即ち同段ボール上にいわゆる日立グループに属する企業が使用しているハウスマーク図形及び「日立化成工業株式会社」の文字を印刷した段ボール製梱包ケース及び円筒形でかつ端部にフランジの如く形状の部品2個を表示したものである。
乙第6号証の写真は、段ボール箱の横長正面に「日立サイクロトン部品」と「ハロックスR(マルアール)」の文字を二段に印刷した透明シールを貼り、かつ、そのシールの文字の下、即ち同段ボール上にいわゆる日立グループに属する企業が使用しているハウスマーク図形及び「日立化成工業株式会社」の文字を印刷した段ボール製梱包ケース及び円筒中実形の白色の部品1個を表示したものである。
以上、乙第1号証、同第4号証及び同第6号証を総合すれば、写真に表示された商品は、アルミナセラミックスの成形品であって、それぞれ「電気炉部品」、「無線機部品」及び「サイクロトン部品」と認められ、また上記段ボール製梱包ケースは、予めさまざまな商品を出荷することを想定し、側面に商品及び商標名等が記入された透明シール貼用の余白を設けた商品の出荷用のための専用のものであり、該商品は、写真に示される荷姿で出荷されるものとみるのが相当である。
乙3号証、同第5号証及び同第7号証は、協立機電工業株式会社が、日立化成工業株式会社より平成9年1月29日に「ハロックス」の商標が付された商品「電気炉部品」を、同年6月18日に「無線機部品」を、及び同年10月3日に「サイクロトン部品」をそれぞれ購入したことを平成12年5月31日に証明した書面である。
そして、乙3号証の証明書には、商品の購入先の住所及び会社名である「東京都新宿区西新宿二丁目1番1号」及び「日立化成工業株式会社」の文字、また証明内容として「添付写真にある『ハロックス』の商標のついた商品『電気炉部品』は平成9年1月29日に購入したことを証明します。」の文字、証明者の住所及び会社名称である「東京都新宿区水道長三番九号」及び「協立機電工業株式会社」の文字が記載され、さらに作成者の氏名と認められる「取締役 加工事業部長 恩田東洋和」の文字が記載され及び同人の印と協立機電工業株式会社加工事業部長の部長印が押印され、その証明した日時の「平成12年5月31日」が記載されているものである。
しかして、この証明書は、これがパソコンで作成され、不動文字の書面であるとしても商品の購入日が特定して記載され、会社の事業部長の押印並びに個人の印がなされ、不自然なところはなく、「ハロックス」の商標のついた商品「電気炉部品」は、日立化成工業株式会社より協立機電工業株式会社に平成9年1月29日に販売されたものと推認できる。
同じく乙5号証及び同7号証の証明書は、同第3号証と同様の記載内容の証明書であり、「ハロックス」の商標のついた商品「無線機部品」及び「サイクロトン部品」は、日立化成工業株式会社より協立機電工業株式会社にそれぞれ平成9年6月18日及び同年10月3日に販売されたものと推認できる。また乙第1号証ないし同第7号証についての認定を覆す証拠はない。
そして、「電気炉部品」について、これが「電気機械器具」に含まれか否かはさておき、「無線機部品」は「電気通信機械器具」に含まれ、「サイクロトン部品」は「電子応用機械器具」に含まれる商品と認められる。また、同商品に使用されている商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる。
以上、乙第1号証、同第4号証、同第5号証、同第6号証及び同第7号証の証拠を総合勘案すれば、本件商標は、被請求人の主張する「電気炉部品」の使用が請求に係る指定商品の「電気機械器具」に含まれか否かについて検討するまでもなく、被請求人により、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、請求に係る指定商品中の少なくとも「電気通信機械器具、電子応用機械器具」について使用されていたものと認めることができる。
請求人は、乙第1号証、同第2号証、同第4号証、同第5号証、同第6号証の商品は、「電気炉部品」、「無線機部品」、「サイクロトン部品」なのか確認できない及び該商品は、本質的にはアルミナセラミックスの基礎材料の用途例にすぎないと、また、さらに乙第3号証、同第5号証及び同第7号証の証明書では、商品が実際に市場に流通しているかどうか不明であると主張するが、それぞれの点について前記の認定のとおりであり、請求人の主張は採用できない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中の請求に係る商品について商標法第50条の規定により取消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-10-05 
結審通知日 2001-10-11 
審決日 2001-10-23 
出願番号 商願昭34-3515 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (269)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 三浦 芳夫
特許庁審判官 中嶋 容伸
滝沢 智夫
登録日 1960-02-17 
登録番号 商標登録第548084号(T548084) 
商標の称呼 1=ハロックス 
代理人 若林 邦彦 
代理人 加藤 義明 

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