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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない 024 |
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管理番号 | 1058605 |
審判番号 | 審判1998-3779 |
総通号数 | 30 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2002-06-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1998-03-09 |
確定日 | 2002-04-30 |
事件の表示 | 平成 8年商標登録願第 90655号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 本願商標 本願商標は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第24類「布製身の回り品,かや,敷き布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製壁掛け,織物製ブラインド,カーテン,シャワーカーテン,テーブル掛け,どん帳,布製ラベル,のぼり及び旗(紙製のものを除く)」を指定商品として、平成8年8月13日に登録出願されたものである。 第2 原査定の拒絶の理由 原査定は、「本願商標は、その構成中に「POLO」の文字を有するところ、該文字は米国のデザイナー「ラルフ・ローレン」がデザインした商品を表すものとして世界的に著名な標章「POLO」又は「Polo」と同一又は酷似し、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品は紳士物、婦人物の被服類をはじめ日用品や雑貨等広範囲に及んでいることが認められるから、これをその指定商品に使用するときは、前記デザイナー又は前記デザイナーと何らかの関連を有する者の業務に係る商品と商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 第3 証拠調べ通知 当審において、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用される「Polo」、「POLO」、「ポロ」の文字よりなる標章、「by RALPH LAUREN」の文字よりなる標章、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形よりなる標章及びこれらを組み合わせた標章(以下、これらを一括して「POLO商標」」という。)が各種記事、新聞等に紹介されている事実について、平成13年8月20日付で請求人(出願人)に対して通知した「証拠調べ通知書」は、要旨次のとおりである。 1 雑誌・新聞関係 (1)株式会社講談社(昭和53年7月20日)発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケティング(昭和58年9月28日)発行「舶来ブランド事典『’84ザ・ブランド』」の記載によれば、アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは、1967年に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、靴、かばんなどのデザインをはじめ、紳士物全般に拡大し、1971年には婦人服の分野にも進出した。1970年と1973年には、アメリカのファッション界では最も権威のある「コティ賞」を受賞し、1974年に、映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことからアメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。 ラルフ・ローレンのデザインに係る一群の商品には、横長四角形中に記載された「Polo」の文字、「by RALPH LAUREN」の文字、及び「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形を組み合わせた標章(以下「ラルフ・ローレン標章」という。)が使用され、これらは単に「ポロ」と略称されて紹介されていた。 (2)株式会社洋品界(昭和55年4月15日)発行「月刊『アパレルファッション店』別冊、1980年版『海外ファッション・ブランド総覧』」、株式会社アパレルファッション(昭和57年1月10日)発行「月刊アパレルファッション2月号別冊 海外ファッション・ブランド総覧」の「ポロ/POLO」の項、及び昭和63年10月29日付日経流通新聞の記事によれば、我が国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から「Polo」の文字よりなる標章をはじめ、ラルフ・ローレン標章などの使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等の、同53年から婦人服の輸入、販売をしたことが認められる。 (3)前出「男の一流品大図鑑」(書証1)、「舶来ブランド事典『’84ザ・ブランド』」(書証2)をはじめ、株式会社講談社(昭和55年1月20日)発行「男の一流品大図鑑’81」、同社(昭和55年11月15日)発行「世界の一流品大図鑑’80年版」、同社(昭和56年6月20日)発行「世界の一流品大図鑑’81年版」、株式会社チャネラー(昭和53年9月20日)発行「別冊チャネラー ファッション・ブランド年鑑’80年版」、株式会社講談社(昭和60年5月25日)発行「FASHION SHOPPING BIBLE’85流行ブランド図鑑」によれば、ラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士用品について、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題のもとに紹介されていることが認めらる。 (4)ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用される標章を模倣した、偽物ブランド商品が市場に出回っている事実も少なくない。例えば、1989年5月19日付朝日新聞には、「昨年二月ごろから、米国の『ザ・ローレン・カンパニー』社の・・・『Polo』の商標と、乗馬の人がポロ競技をしているマークをつけたポロシャツを・・・売っていた疑い。」なる記事が掲載された。また、1992年9月23日付読売新聞(東京版、朝刊)、1993年10月13日付読売新聞(大阪版、朝刊)、1999年9月9日付日本経済新聞等にも同様の記事が掲載され、昭和63年には既に、我が国において「Polo」ないし「POLO」の文字、馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形などを使用した偽物ブランド商品が出回っていた事実が存在していた。 2 判決関係 判決においても、「我が国において、遅くとも昭和59年までには既に、引用標章(Polo)がラルフ・ローレンのデザインに係る被服等及び眼鏡製品を表す標章であるとの認識が広く需要者及び取引関係者の間に確立していたものということができる。」旨認定している(東京高等裁判所 平成2年(行ケ)第183号 平成3年7月11日判決言渡)。 そのほか、東京地方裁判所 平成8年特(わ)第1519号(平成9年3月24日判決言渡)、東京高等裁判所 平成11年(行ケ)第250号、同第251号、同第252号、同第267号、同第290号(以上平成11年12月16日判決言渡)、平成11年(行ケ)第268号、同第289号(以上平成11年12月21日判決言渡)、平成12年(行ケ)第5号(平成12年9月28日判決言渡)、平成12年(行ケ)第453号(平成13年4月19日判決言渡)、最高裁判所 平成12年(行ヒ)第172号(平成13年7月6日判決言渡)等々、ラルフ・ローレンの「Polo」、「POLO」、「ポロ」標章の著名性を認定した一連の判決が存在する。 第4 当審の判断 1 「POLO」商標の著名性について 請求人(出願人)に示した、上記のラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用される「POLO商標」についてした証拠調べ、(1)ないし(4)の事実及び2の判決を併せ考慮すると、該商標は我が国においては、遅くとも本願商標の出願の時までにはラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして、被服類をはじめとするいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者の間において広く認識され、かつ著名となっていたものであり、その状態は現在においてもなお継続しているものと認めることができる。 なお、前記の「証拠調べ通知書」に対し、相当の期間を指定して応答する機会を与えたが、請求人からは何らの意見、応答もない。 2 商品の出所の混同について 本願商標は、別掲に示すとおり、図形とその下部の巻紙状と思しき形状をした黒色図形内に「ELDORADO POLO CLUB」の文字を白抜きしてなるものであるところ、かかる構成において、該文字部分と図形部分とを常に一体不可分のものとして把握しなければならない特段の事由があるとは認められないものであり、また、該構成中の「ELDORADO」、「POLO」及び「CLUB」の各文字はそれぞれ既成の意味を有する語であって、これらの語を結合してなるものであることは明らかであるとしても、全体として不可分一体の既成の観念を示すもの、或いは、現存する団体名を指称するものとして我が国世人一般に認識されているものとは認め難いものである。 さらに、本願商標の構成中には、前記1において、その著名性を認定した「POLO商標」の基幹商標ともいうべき「POLO」の文字を有してなるものであるから、これに接する取引者、需要者は、前記事情よりして、「POLO」の文字部分に着目し、該文字部分をもって強く印象づけられると同時に、ラルフ・ローレンに係る事業と関連付けて把握する場合が少なからずあるとみるのが相当である。 そして、本願商標の指定商品には、布製身の回り品、敷き布、布団カバー、まくらカバー等が含まれ、これらの商品と「POLO商標」が使用されている被服類とは、共にファッションに関連した商品であって、統一ブランドの下にファッションをまとめようとする昨今にあっては少なからぬ関係を有するものといえる。 してみると、本願商標をその指定商品に使用した場合、米国の著名なデザイナーであるラルフ・ローレンに係る商品を表示するものとして広く知られている「POLO商標」を連想・想起し、同人又は同人の事業と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならないものであり、その混同を生ずるおそれは、本願出願時から現在においても継続しているものと認められる。 3 請求人の主張について 請求人は、本願商標は、米国の名門ポロクラブを表すもので、全体に一体となってまとまりよく認識されるものであり、また、「POLO」はスポーツ名であること等を指摘するとともに、各種資料を提出し、商品の出所の混同を生ずるおそれはない旨主張している。そしてさらに請求人の主張と同趣旨の判断を示しているとして、東京高等裁判所平成11年(行ケ)第253号の判決を提出しているが、本願商標が全体として不可分一体の既成の観念を示すものとして一般に広く認識されているとはいい難い一方で、ラルフ・ローレンの「POLO商標」が我が国で周知著名となっていること上記認定のとおりであり、さらに、請求人提出の判決を破棄した最高裁判所平成12年(行ヒ)第172号を初めとした上記「第3の2」に記載の判決や、その後に言い渡しのあった東京高等裁判所平成12年(行ケ)第279号、同第278号、同第277号、同第276号、同平成13年(行ケ)第15号(以上平成13年8月9日言渡)の判決等においても、一貫して出所の混同を生ずるおそれがあることを認めていることを踏まえるならば、請求人の主張はいずれも採用できない。 4 結び 以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものといわざるを得ないから、その理由をもって本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
本願商標 |
審理終結日 | 2002-02-19 |
結審通知日 | 2002-03-01 |
審決日 | 2002-03-12 |
出願番号 | 商願平8-90655 |
審決分類 |
T
1
8・
271-
Z
(024)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 佐藤 正雄、豊田 純一 |
特許庁審判長 |
為谷 博 |
特許庁審判官 |
野口 美代子 高野 義三 |
商標の称呼 | エルドラドポロクラブ |