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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 014 審判 全部申立て 登録を維持 014 |
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管理番号 | 1057353 |
異議申立番号 | 異議2001-90245 |
総通号数 | 29 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2002-05-31 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2001-04-06 |
確定日 | 2002-03-18 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第4443788号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第4443788号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4443788号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成4年7月22日に登録出願、第14類「貴金属製食器類、貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ・貴金属製の花瓶・水盤・宝石箱、貴金属製のがま口・靴飾り・コンパクト及び財布、貴金属製喫煙用具、身飾品、カフスボタン、宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品、時計、記念カップ、記念たて」を指定商品として、同13年1月5日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由 本件商標は、別掲(1)のとおり「POLO」、「RALPH LAUREN」の文字と図形との組み合わせからなるところ、「RALPH LAUREN」は米国の有名なデザイナーを表す固有名詞であるのに対して、「POLO」は「ポロ競技」を意味する普通名詞であり、両者の結合関係に特段の必然性もない。このような本件商標にあってはこれを「ポロラルフローレン」と称呼する他に「ラルフローレン」又は「ポロ」と略称することも少なくない。また、別掲(1)のような構成からなるラルフローレンのブランドが実際上、屡々「ポロ」とも略称されている。 一方、下記の引用商標は「ポロ」と称呼されるものであり、したがって、本件商標は引用商標と称呼上類似するものである。 よって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は取り消されるべきである。 記 引用登録第1449456号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和50年10月31日に登録出願、第23類「時計、その他本類に属する商品」を指定商品として、同55年12月25日に設定登録されたものであるが、その後、該登録に係る権利は、書換登録の申請があった結果、商品の区分及び指定商品を「第9類 眼鏡」「第14類 時計」とする書換登録が平成12年11月1日にされているものである。 (なお、引用商標の商標権は、本件商標登録異議申立て後の平成13年10月23日付けで本件商標の商標権者に移転の登録がなされている。) 3 当審の判断 (1)商標は、取引においてその商品・役務が自己の製造、販売、提供等業務に係るものであることを表彰するために使用されるものであるから、商標法第4条第1項第11号における商標の類否の判断に当たっても、取引の実情を離れて考察すべきではなく、その商品・役務の取引の実情において、取引者、需要者の間に商品・役務の出所について混同を生じるおそれがあるかどうかによって決すべきものと解するのが相当である。 そうとすれば、本件商標と引用商標との商標の類否の判断に関しても両者の商標の使用における具体的な取引の実情を考慮して、本件商標と引用商標とが出所の混同を生じるおそれがあるかどうかの観点により前記法条に該当するものであるかを検討すべきものである。 (2)本件商標は、別掲(1)に示すとおり「POLO」及び「RALPH LAUREN」の各文字部分と両文字の間に馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形部分を配してなる構成よりなるものである。 そして、本件商標を構成する各文字部分及び図形部分は、以下により、本件商標の商標権者(ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ)が、商品「被服、装身具、眼鏡」等に永年にわたり使用した結果、すでに著名な標章となっているものと認められる。 すなわち、(株)講談社昭和53年7月20日発行の「男の一流品大図鑑」及びサンケイマーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」の記載によれば、アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレン(Ralph Lauren)は、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年に「ポロ・ファッションズ」(現在の「ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ」の前身,以下、「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきたこと、1971年には婦人服デザインにも進出し、服飾業界の名誉ある賞、「コテイ賞」を1970年と1973年の2回受賞したのを始め、数々の賞を受賞しており、1974年には映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。そのころからラルフ・口ーレンの名前は、我が国服飾業界においても知られるようになり、そのデザインに係る一群の商品には、「POLO」の文字とともに「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形の各商標(以下、一括して「ポロ商標」という。)が用いられている。 また、(株)洋品界昭和55年4月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ/Polo」の項及びボイス情報(株)昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付日経流通新聞の記事によれば、我が国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等の、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。 そして、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、(株)スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」、前出「男の一流品大図鑑」、(株)講談社昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、(株)チャネラー昭和54年9月発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(昭和55年6月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行「MEN’S CLUB 1980,12」、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年6月発行)、前出「舶来ブランド事典 ’84ザ・ブランド」、(株)講談社昭和60年5月発行「流行ブランド図鑑」のそれぞれにおいて、眼鏡については、「世界の一流品大図鑑’80年版」、「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」、「世界の一流品大図鑑’81年版」のそれぞれにおいて「POLO」、「Polo」、「ポロ」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフローレン(アメリカ)」等の表題の下に紹介されていることが認められる。 そうとすれば、「ポロ商標」は、我が国においては、遅くても昭和58年頃までにはラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして、被服類、靴、かばん類、眼鏡等のいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者の間において広く認識されていたものと認められ、その状態は現在もなお継続しているというのが相当である。 してみれば、前記認定の如く本件商標の商標権者が多数の取扱商品に出所標識として付している「POLO」の文字と「RALPH LAUREN」の文字の間に馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形を表してなるものといえる本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は「ポロラルフ・ローレン」「ラルフ・ローレン」の称呼の他に「POLO」の文字を捉え、単に「ポロ」と称呼する場合があるとしても、その場合には著名なデザイナー「ラルフ・ローレン」の取扱いに係る「ポロ」であるとの認識をもって商品を識別し取引に当たっているものといわなければならない。 (3)引用商標は、別掲(2)に示すとおり「ポロ」の文字を書してなるものであるから、「ポロ」の称呼を生ずるものであること明らかである。 しかしながら、本件商標の設定登録時である平成13年1月5日時点において引用商標がその指定商品について使用されている事実は、申立人は何等主張、立証するところがなく、また、それを認めるに足る証左も見出せない。 そうとすれば、本件商標をその指定商品に使用し、「ポロ」の称呼をもって取引がなされた場合であっても、その取引者、需要者は、該商品は本件商標の商標権者の取扱いに係るものであると認識する蓋然性が極めて高いものと認められ、それが引用商標の商標権者の取扱いに係るものであるかのような印象を取引者、需要者に与え、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものとは認め難いところである。 してみれば、本件商標と引用商標とは、「ポロ」の称呼を共通にする場合があるとしても、その外観、観念を含め全体的に考察するに、両商標は、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものとはいえないから、商標において類似していないものといわなければならない。 また、申立人は、商標登録異議申立理由補充書の(1)申立の理由の要約において「2)商標法第4条第1項第15号」とも記載しているが、この理由に該当するという具体的な主張、立証は何等なされていず、また、それを認めるに足る証左も見出せない。 (4)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものとすることはできない。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別 掲 (1)本件商標 (2)引用商標 |
異議決定日 | 2002-02-27 |
出願番号 | 商願平4-142882 |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(014)
T 1 651・ 26- Y (014) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 宮川 久成、伊藤 実 |
特許庁審判長 |
三浦 芳夫 |
特許庁審判官 |
中嶋 容伸 滝沢 智夫 |
登録日 | 2001-01-05 |
登録番号 | 商標登録第4443788号(T4443788) |
権利者 | ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ |
商標の称呼 | ポロラルフローレン、ポロ、ラルフローレン |
代理人 | 山内 淳三 |
代理人 | 曾我 道照 |
代理人 | 黒岩 徹夫 |