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審決分類 審判 査定不服 商4条1項10号一般周知商標 登録しない 120
管理番号 1055464 
審判番号 審判1998-10503 
総通号数 28 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-07-09 
確定日 2002-02-12 
事件の表示 昭和63年商標登録願第136739号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「Baker」と「FURNITURE」の各欧文字を上下二段に横書きしてなり、昭和63年12月6日に登録出願、指定商品については、願書記載の指定商品を、平成2年7月4日付け提出の手続補正書をもって、第20類「家具」に減縮補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由
原査定は、登録異議の申立てがあった結果、「本願商標は、『Baker』の文字を筆記体で大書し、その下に『FURNITURE』の文字を横書きして、第20類『家具』を指定商品とするものである。これに対して、登録異議申立人は、本願商標は商標法第4条第1項第7号、同第10号又は同法第15条第4号に該当すると申し立て、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第26号証を提出した。よって、申立人の提出に係る甲各号証によれば、申立人は、米国において『BAKER』の商標を『事務所用家具、家庭用家具』等の商品について使用する登録権利者であり、少なくとも70年にわたり製造販売を行っており、本願商標登録出願日前に、中東、アジア地域等にその『家具』が輸出された結果、『BAKER』、『Baker』(筆記体)が、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、輸出国内の需要者間に広く認識されていたものであることが認められるものである。しかして、本願商標は、前記の構成よりなるところ、下段に表示されてなる『FURNITURE』の文字部分は、『家具』を意味する英語として広く理解認識されているものであるから、本願商標の自他商品識別標識たり得るは、上段の『Baker』の文字部分にあるが、これは申立人の取扱にかかる家具を表示するものとして需要者間に認識されている『BAKER』と同一の文字よりなり、外観、称呼において類似することは明らかであるから、本願商標を指定商品『家具』について使用するときは、申立人の業務に係る商品と商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。 したがって、他の申立理由について論ずるまでもなく、本願商標が商標法第4条第1項第10号に該当する」と述べて、本願を拒絶したものである。

第3 請求人の主張
1 請求の趣旨
原査定を取り消す、本願は登録べきものであるとの審決を求める。
2 請求の理由
(1)平成10年3月5日付登録異議の申立についての決定謄本において、商標法第4条第1項第10号に該当する商標であるとの結論に対し、以下のように反論する。
平成9年2月17日付商標登録異議申立理由補充書3頁15行目に記載されているように、「本願出願前におけるBAKERブランドの家具の日本への輸出額の統計がない」ほどのものであると言える。甲第26号証は米国所在のラダス、アンド、パリー法律事務所のダーモット、ホーガン氏が中東およびアジア地域への輸出額がこれこれであると書簡にしたためただけのものであって、なんら日本における実績を立証するものではない。甲第1号証乃至甲第12号証を以て各国の登録証を提出し外国において広く周知、認識された著名な商標であるといっているが、外国でいくら登録されていても、それをもって、日本において広く周知、認識された著名な商標とは到底言い難い。特に出願時においては、尚更、国内の家具業者及び需要者の間でも知っている者は珍しい状態であるのが実情である。なんら、国内における著名な商標であることを証拠づけるものがない。
(2)前記(1)以外の平成9年2月17日付商標登録異議申立理由補充書記載の申立の理由についての反論は以下のとおりである。
(イ)前記理由補充書の申立の理由(8)において、商標法第15条第4号に該当する商標であると主張することに対し、以下のように反論する。
前記理由補充書5頁8-9行目に「出願人は本願出願当時異議申立人の製造にかかる家具を輸入する代理店の代表者であった。」と記載しているが、本願出願人は代理店の代表者でなく、並行輸入や広告デザイン等を業務としている一個人である。商標法第15条第4号に規定する本願の商標登録出願の日前一年以内の期間である昭和62(1987)年12月6日から今日に至るまで出願人は「代理人または代表者」ではない。従って、商標法第15条第4号の適用は有り得ない。これを立証するものとして添付された株式会社泉水荘の閉鎖登記簿謄本で証明しているように、同社の会社設立は平成元(1989)年12月5日であり、本願の出願日以降である。異議申立人の日本における代理人は、株式会社コスガである。出願人を「代理人または代表者」と記載しているのに、それを示す代理店契約書或いは代理人契約書等の証拠が全くない。証拠として提出されているのは、甲第14号証乃至甲第25号証のインボイスであって、それらインボイスの宛名はすべて、クラシック ギャラリー ユーエスエー インコポレテッドであり、その日付もすべて本願出願以降のものである。
(ロ)前記理由補充書の申立の理由(8)において、商標法第4条第1項第7号に該当する商標であると主張することに対し、以下のように反論する。
出願人は、業務上、本願の使用をカタログ、パンフレット等に印刷等をするにあたり、商標出願をして、登録をするのが賢明であると判断し、出願に及んだものである。これを立証するものとしては、添付書類の平成元年会社設立時に作成した商品カタログで、当時より現在に至るまで使用しているものである。カタログに使用するにあたり、第三者よりの侵害の訴えに対処する目的で商標登録申請を早急にすることを認識してなされた出願であり、前記理由補充書5頁17-20行目に記載されているようなものではなく、当該規定に該当するとはいえない。

第4 当審の判断
1 本願に関しては以下の事実が認められる。
(イ)原査定における異議申立人「ベイカー ナップ アンド タブズ インコーポレーテッド」(以下、「ベイカー社」という。)は、登録異議申立理由補充時(平成9年2月17日)前より、活字体の「BAKER」を70年に亘り、また、筆記体の「Baker」を55年間に亘り、米国その他世界各国で商品「家具」について使用し、米国以外でも、カナダ、ドイツ、フランス、イタリア、オーストリア、スイス、ベネルックス、デンマーク、ギリシャ及びメキシコにおいて商標登録され、我が国へも、「BAKER」については、商願平1-20101号を、また、「Baker」については、商願平1-3704号を出願していること。
(ロ)請求人(出願人)は、出願当時は並行輸入や広告デザイン等を業務としている個人であって、業務上、本願の使用をカタログ、パンフレット等に印刷等をするにあたり、商標出願をして、登録をするのが賢明であると判断し、出願に及んだこと、及び、個人であったが、その後、家具の輸入販売等を行う「株式会社泉水荘」の役員となった後、出願後の平成3(1991)年6月26日付の請求人(出願人)発ベイカー社副社長ドナルド、ミラー、アート宛書簡をもって、「貴殿の商標を取得するという私の意図は、私の商売上の利益を保護することであり、他の特定の個人や法人(の商売)を妨害することではありません。」「私は他社の製品とは比較にならないほど優れたBakerの製品を取り扱うことに誇りをもっているという私の基本的姿勢を、確信しています。」そして、取引上、有利な条件(例えば、全商品を60%まで値下げした価格で供給すること、等。)を提示したうえで「もし、貴殿に上記の条件を受理していただければ、私は喜んで貴殿に私の商標をお返しします。」(訳文)とする内容の申し入れをしたこと。
(ハ)一般に普及しているインターネットの「IDC大塚家具ホームページ」によれば、「Baker」について、「米国を代表するブランド、ベーカーは、18〜19世紀に貴族が愛用した優美な家具を、当時のままに再現する技術と、そのたぐいまれな品質の高さにより世界中から称賛を浴びる国際的ブランドとして知られています。」「1890年に、アメリカ・ミシガン州で創立されたベーカーは、『その価値のわかる人のために』家具を製造してきました。そして、ベーカーは、価値ある家具を提供するために必要な、ありとあらゆる面に配慮して、100年以上にわたり良質な家具を生産し続けていることで知られています。」等として、ベーカーの家具の成り立ち、歴史、グレードの高さ、品質が優良なものであることが紹介されていること。そして、このことは、当庁における顕著な事実といい得るものである。
2 以上の事実を総合すれば、「BAKER」「Baker」は、1890年に、アメリカ・ミシガン州で創立されたベイカー社が長年にわたり、当社の製造にかかる家具について使用し、世界的に業務上の信用を蓄積してきたものであること、我が国においても、以前より、ベイカー社の日本における代理人「株式会社コスガ」を通じて輸入、販売されていたものであること、そして、請求人(出願人)は、出願当時は並行輸入や広告デザイン等を業務としている者であって、その後、家具の輸入販売等を行う「株式会社泉水荘」の役員となった後、ベイカー社副社長ドナルド、ミラー、アート宛平成3(1991)年6月26日付の書簡を発し、Bakerの商品を賞賛しつつ、取引上、有利な条件(例えば、全商品を60%まで値下げした価格で供給すること、等。)を提示し、これと引き替えに本願商標をベイカー社に引き渡す申し入れをしたこと、そして、世界的に広く知られている米国のベイカー社が使用する「BAKER」「Baker」の存在を承知のうえで本願商標を出願したものであることが認められ、これに反する事実はない。
また、請求人(出願人)は、本件審判請求書において、本願の出願の意図は、「業務上、本願の使用をカタログ、パンフレット等に印刷等をするにあたり、商標出願をして、登録をするのが賢明であると判断し、出願に及んだものであるのである。」と述べているとおりである。
したがって、該「BAKER」「Baker」の文字は、家具のメーカーであるベイカー社が18世紀末か19世紀初頭より商品「家具」について頻繁に使用し、本願の出願日前、すでに世界的に広く知られるに至っていたものと認められ、この事実からは、グローバル化する商取引の実際に照らして、我が国においても、当業者間に、本願の出願日前、広く知られていたものと容易に推認でき、かつ、本願商標の出願自体が、該「BAKER」「Baker」の家具の著名性を前提としてなされたものであることは、請求人の自認するところである。
3 そして、本願商標は、筆記体の「Baker」の文字を大書、横書きしてなり、その下に「FURNITURE」の文字を小さな文字で横書きしてなるものであるところ、該「FURNITURE」の文字は、「家具」を意味する親しまれた英語であることから、「家具」を指定商品とする本願商標の要部(商標として機能する部分)は、大書された筆記体の「Baker」の文字にあるものと認められる。
他方、ベイカー社の使用に係る商標「BAKER」は、活字体で、「Baker」は、筆記体で横書きしてなり、本願商標の要部「Baker」とは、「BAKER」は、構成文字を同じくし、また、「Baker」は、略同一のものである。
4 してみれば、本願商標は、ベイカー社が18世紀末か19世紀初頭より「家具」について頻繁に使用し、本願の出願日前、すでに世界的に周知に至っていた「BAKER」とは、同一の称呼及び観念において類似し、「Baker」とは略同一の類似する商標であると認められ、指定商品も使用に係る商品と同一又は類似のものである。
5 したがって、本願商標が商標法第4条第1項第10号に該当するものとする原査定は、妥当であって、取り消すべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-11-26 
結審通知日 2001-12-07 
審決日 2001-12-19 
出願番号 商願昭63-136739 
審決分類 T 1 8・ 25- Z (120)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 広石 辰男鈴木 茂久三浦 芳夫 
特許庁審判長 廣田 米男
特許庁審判官 井出 英一郎
柳原 雪身
商標の称呼 ベーカーファニチュアー、ベーカー 

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