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審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない Z24
管理番号 1055439 
審判番号 不服2000-13989 
総通号数 28 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-09-04 
確定日 2002-02-20 
事件の表示 平成11年商標登録願第 54595号拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「Polo Athletic」の欧文字を書してなり、第24類「布製身の回り品,織物(畳べり地を除く。),畳べり地,メリヤス生地,フェルト及び不織布,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバークロス,レザークロス,ろ過布,織物製テーブルナプキン,ふきん,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製いすカバー,織物製壁掛け,織物製ブラインド,カーテン,シャワーカーテン,テーブル掛け,どん帳,織物製トイレットシートカバー,遺体覆い,経かたびら,黒白幕,紅白幕,布製ラベル,ビリヤードクロス,のぼり及び旗(紙製のものを除く。)」を指定商品として、平成11年6月17日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶理由
原査定は、「本願商標は、アメリカ合衆国ニューヨーク州に所在する『ザ ポロ/ローレン カンパニー』が本願出願前より商品『被服、ネクタイ、眼鏡』等に使用して世界的に著名となっている商標『Polo』の欧文字をその構成中に有してなるものであるから、これをその指定商品に使用するときは、恰も該商品が上記会社、あるいは同会社と経済的、組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかの如く商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものである。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)「POLO」「ポロ」「Polo」の商標の周知性について
株式会社講談社昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」及びサンケイマーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典 ’84ザ・ブランド」の記載によれば、次の事実が認められる。
アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、幅広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年独立、社名を「ポロ・ファッションズ」(以下「ポロ社」という。)とし、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服のデザインにも進出、服飾業界の名誉ある「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞。1974年の映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。
我が国においても、そのころからラルフ・ローレンの名前は、服飾業界等において広く知られるようになり、そのデザインに係る商品には「Polo」の文字、「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレイヤーの図形の各商標(以下「引用商標」という。)が用いられ、これらは「POLO」「Polo」「ポロ」と略称されている。
そして、株式会社洋品界昭和55年4月15日発行「海外ファッションブランド総覧1980年版」における「ポロ/Polo」の項の記述、ボイス情報株式会社昭和59年9月25日発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略 ’85」の「ポロ・バイ・ラルフローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事によれば、我が国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。
また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、株式会社スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」を始め、前記「男の一流品大図鑑」、「世界の一流品大図鑑 ’79年版」(株式会社講談社 昭和54年5月発行)、別冊チャネラー「ファッションブランド年鑑 ’80」(株式会社チャネラー 同54年9月発行)、「男の一流品大図鑑 ’81年版」(株式会社講談社 同55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑 ’80年版」(株式会社講談社 同55年6月発行)、「MEN’S CLUB 1980.12」(婦人画報社 同55年12月発行)、「世界の一流品大図鑑 ’81年版」(株式会社講談社 同56年6月発行)、前記「舶来ブランド事典 ’84ザ・ブランド」、「流行ブランド図鑑」(株式会社講談社 同60年5月発行)のそれぞれにおいて、眼鏡については、前記の「世界の一流品大図鑑 ’80年版」、「ファッションブランド年鑑 ’80」、「男の一流品大図鑑 ’81年版」のそれぞれにおいて、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題の下に紹介されていることが認められる。
他に、これを覆すに足りる証拠はない。
なお、ラルフ・ローレンの「POLO」、「ポロ」、「Polo」の商標について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した東京高等裁判所の判決(平成2年(行ケ)183号、平成3年7月11日判決言渡)及び東京地方裁判所の判決(平成8年特(わ)1519号、平成9年3月24日言渡)があるほか、上記商標の周知性を認めた判決として、東京高等裁判所平成11年(行ケ)第250号、同第251号、同第252号、同第290号(以上、平成11年12月16日言渡)、同289号(平成11年12月21日言渡)、同288号(平成12年1月25日言渡)、同第192号(平成12年2月29日言渡)、同第315号(平成12年3月21日言渡)、同第334号(平成12年3月29日言渡)等がある。
以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、引用商標は、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服類及び眼鏡製品に使用する標章として、遅くとも本願の登録出願時までには既に我が国において取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当である。
(2)商品の出所の混同のおそれについて
本願商標は、上記1に記載のとおり、「Polo Athletic」の欧文字で書してなるものであるところ、その構成中の「Polo」の文字が上記(1)で述べたように著名商標と言えるものであり、また、これらが一連一体の熟語として特定の観念を有するものとして広く認識されているともいえないことからすれば、「Polo」の文字部分自体が着目され、本願商標は全体として「ポロ(競技プレーヤー)」の観念及び「ポロ」の称呼を生ずるものというのが相当である。
また、本願商標の指定商品は、布製身の回り品、敷き布、布団カバー、布団側、まくらカバー、カーテン、テーブル掛け等を含むものであって、全て生活に関連する商品であるところ、身につけるものはもとより、インテリア製品も含めトータルでファッション化する傾向にある昨今にあっては、これらの商品と引用商標が使用されている被服類及び眼鏡類とは少なからぬ関係を有するものといえる。
他方、上記のとおり、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして需要者間に広く認識されている引用商標は、「ポロ(競技プレーヤー)」の観念及び「ポロ」の称呼を生ずるものといえる。
そうとすると、上記認定のとおり、我が国において遅くとも本願商標の登録出願時までには引用商標が取引者、需要者の間に広く認識されていたという取引の実情を考慮すると、本願商標は、その指定商品に使用する場合には、引用商標と構成上相違する点があるとしても、時と処を別にしてこれに接する取引者、需要者は、前記した実情から「Polo」の文字部分に着目して、引用商標を連想、想起し、ラルフ・ローレン又は同人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのようにその出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
(3)請求人の主張について
ア)請求人は、現在、我が国においては、「ポロシャツ」という普通名称が「ステンカラーのついた半前開きでボタンまたはファスナーで留める汗の吸収のよい綿のメリヤスシャツ」をさすものとして、ほぼ全ての需要者が認識していること等を考慮すると、「Polo」の文字部分が自他商品役務識別力を発揮し得ないのは明らかである旨主張するが、「ポロシャツ」の語が襟付き半袖シャツの名として普通名称になっていることは当庁においても顕著な事実であるところ、たとい普通名称としての「ポロシャツ」が「ポロ」と略称される例があるとしても、商品に使用された「POLO」、「Polo」又は「ポロ」の語に接した取引者・需要者がラルフ・ローレン又は同人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者に関係する商品と識別するか否かにそのことが関係するのは、「POLO」、「Polo」又は「ポロ」の語が普通名称として用いられている可能性が認識される場合に限られ、それ以外の場合には関係しないことが明らかであるから、請求人の主張は採用できない。
イ)請求人は、本願商標は、「Polo Athletic」と一連一体に表したものであって、商標全体で識別力を発揮するものである旨主張するが、その構成中の「Polo」の文字に相応し「ポロ(競技プレーヤー)」の観念及び「ポロ」の称呼を生ずるものであること上記(2)認定のとおりであり、これを一連一体のものとして認識するとは言い難いから、請求人の主張は採用できない。
ウ)その他、請求人は、他の登録例、審査例等を掲げて種々主張するところがあるも、過去にされた審査例等は具体的、個別的な判断が示されているのであって、必ずしも確立された統一的な基準によっているものとはいえず、仮にその中に矛盾や誤りがあるとしても、具体的事案の判断にあたっては、過去の審査例等の一部の判断に拘束されることなく検討されるべきであるから、この点に関する請求人の主張も採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおりであるから、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するものとするとして本願を拒絶した原査定は妥当なものであって、これを取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-12-04 
結審通知日 2001-12-07 
審決日 2001-12-25 
出願番号 商願平11-54595 
審決分類 T 1 8・ 271- Z (Z24)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 亨子 
特許庁審判長 滝沢 智夫
特許庁審判官 田口 善久
酒井 福造
商標の称呼 ポロアスレチック、ポロアスレティック、ポロ、アスレチック、アスレティック 
代理人 福島 三雄 

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