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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 130
管理番号 1053755 
審判番号 取消2001-30142 
総通号数 27 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-03-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2001-02-05 
確定日 2002-01-18 
事件の表示 上記当事者間の登録第1908581号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第1908581号商標(以下、「本件商標」という。)は、「スタイリッシュ」の片仮名文字と「STYLISH」の欧文字とを上下二段に横書きした構成よりなり、第30類「菓子、パン」を指定商品として、昭和59年7月24日に登録出願、同61年11月27日に設定登録され、その後、平成9年3月11日に存続期間の更新登録がされている。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第2号証(枝番を含む。)を提出している。
1.請求の理由
本件登録第1908581号商標は、その指定商品「菓子、パン」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2.弁駁の理由
被請求人は、答弁書において、本件商標はその指定商品中「キャンディー」について本件審判請求の登録前に使用された事実がある旨主張し、証拠として乙第1号証ないし第7号証を提出しているが、これらの証拠はいずれも信憑性に乏しいものであるといわざるを得ず、本件商標が本件審判請求登録前3年以内に使用された事実は未だ認められないから、本件商標はその登録を取り消されるべきものである。
(1)請求人提出に係る甲第2号証の1は、被請求人である株式会社ロッテのインターネット上のホームページ「新製品紹介」ページの打ち出しであり、甲第2号証の2は同ホームページの作成日(2001年1月10日)を示すものである。
甲第2号証の1には2000年12月5日発売(首都圏、中部)の「シナモンキャンディ」と「スタイリッシュ シナモンキャンディ」が掲載されている。このことは、ほぼ同時期に同一規格、同一価格であって、品名に「STYLISH」が入るか入らないかと、箱の地色は異なるものの箱に表示された文字の配置、図形等が同一若しくは酷似している、極めて類似した2つの商品が同時に存在したことを示している。
このような形での販売は、流通段階や消費者に混同を生ずる可能性が高く、極めて不自然な販売方法と考えられる。
また、「スタイリッシュ シナモンキャンディ」は地区限定、テスト発売とされているが、一般商慣習からすれば、「シナモンキャンディ」と同様に発売地区、発売日を明確にすることは必須の要件と考えられるところ、甲第2号証の2からこのホームページは2001年1月10日に作成されたものと推測され、にもかかわらず既に発売済みである同商品の発売地区、発売日等の情報が一切記載されていないことにも疑問が残る。
さらにいえば、本件において「テスト発売」する商品への商標の使用が果たして商標法第50条にいう商標の「使用」といえるかどうかについても大きな疑問が残る。
このような状況をふまえ、提出された証拠について以下に検討する。
(2)乙第1号証の売上伝票は「L10スタイリッシュ シナモン」という商品が、ロッテ商事株式会社より株式会社北海道観光物産興社に販売されたことを示すものであるが、伝票起伝者であるロッテ商事株式会社は株式会社ロッテがその販売部門を分離し、100%出資して設立した会社であり、両社の代表者も同一人である。したがって、ロッテ商事株式会社は被請求人である株式会社ロッテと実質的に同一の会社であり、この売上伝票は十分な客観性を備えていない。
(3)乙第2号証ないし乙第4号証中の写真の右下にある「00.12.25」の数字は撮影年月日を表示するものと認められるが、この日付は容易に設定・変更できるものであるから客観性に乏しいものといわざるを得ない。
(4)乙第5号証ないし乙第7号証は、乙第2号証ないし乙第4号証の写真にある本件商標を使用した商品の売上伝票として提出されている。
しかし、乙第5号証ないし乙第7号証の3葉の伝票に記載されている品名はいずれも「シナモンキャンディー」であり、「スタイリッシュ」の文字は発見できず、また、「スタイリッシュ シナモンキャンディー」あるいは乙第1号証に記載された「L10スタイリッシュ シナモン」でもない。
(5)乙第1号証ないし乙第7号証は、互いに関連性を持たなければならないところ、次の通りそれぞれの関連性は全く認められない。
(ア)乙第1号証の売上伝票に記載された商品(品名「L10スタイリッシュ シナモン」)と、乙第5号証ないし乙第7号証の売上伝票に記載された商品(品名「シナモンキャンディー」)とは同一のものとはいえない。
なお、「スタイリッシュ シナモン(キャンディ)」と「シナモンキャンディ」とが別個の商品であることは、甲第2号証の1のホームページで明らかなところである。
(イ)乙第2号証ないし乙第4号証の写真の商品(STYLISH/CINNAMON CANDY/スタイリッシュシナモンキャンディ)は乙第5号証ないし乙第7号証の売上伝票に記載された商品(品名「シナモンキャンディー」)とは同一のものとはいえない。
(ウ)よって、乙第1号証の伝票の商品は乙第2号証ないし乙第4号証の写真の商品と同一のものとは認められない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証を提出している。
1.答弁の理由
本件商標は、平成12年12月より製造販売された商品キャンディーに使用されている事実があるから、登録を取消される理由はない。
(1)本件商標の使用事実
(ア)本件商標の権利者の商品販売会社(本件商標の通常使用権者)であるロッテ商事株式会社より株式会社北海道観光物産興社に本件商標を使用した商品スタイリッシュシナモンキャンディーを販売した事実を売上伝票(乙第1号証)により立証する。
(イ)株式会社北海道観光物産興社より本件商標を使用した商品キャンディーが販売店札幌駅パセオりら店、京王プラザホテル札幌ゆ一から店並びにセンチュリーホテルセンチュリー店に販売され、店舗販売されている状態をそれぞれ写真1ないし写真3(乙第2号証ないし乙第4号証)により開示し、加えて各店舗に対する同商品の売上伝票を乙第5号証ないし乙第7号証として提出する。
(2)以上、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が本件取消審判請求の登録前に指定商品に使用された事実があり、したがって、取消請求は理由がない。

第4 当審の判断
1.本件商標は、前記のとおり「スタイリッシュ」と「STYLISH」の文字よりなり、指定商品は「菓子、パン」とするものである。そして、本件審判請求は、本件商標について、商標法50条第1項の規定によりその登録の取り消を求めるものであって、その予告登録は平成13年2月28日にされているものである。
2.被請求人が、本件商標を本件審判の取消対象商品中「キャンディー」について所定の時期において使用していた事実を証明するものとして提出した乙第1号証ないし乙第7号証をみるに、
(1)乙第1号証は、ロッテ商事株式会社より株式会社北海道観光物産興社に、商品を販売したことを示す売上伝票とするものであって、各項目欄に表示の「商品コード 05454」、「品名 L10スタイリッシュ シナモン」及び伝票の日付「年月日 00.12.20」の各記載が認められる。そして、ロッテ商事株式会社は、請求人の述べるところによれば、被請求人(株式会社ロッテ)がその販売部門を分離し、100%出資して設立した会社であるから、該会社は被請求人の製品を販売する会社であって、被請求人と実質的に同一の会社とみて差し支えないものである。
(2)乙第2号証ないし乙第4号証は、「札幌駅パセオ りら店」、「京王プラザホテル札幌 ゆーから店」及び「センチュリーホテル センチュリー店」の札幌市所在の各小売り店舗における商品キャンディーを展示販売している事実とする写真であって、それぞれの写真には他の商品と共に本件審判の取消対象商品中の商品「キャンディー」の展示が認められ、これには被請求人である株式会社ロッテの欧文字表記による商号の略称ないしはその取り扱いに係る商品、ガム、チョコレート、キャンディー等について使用される、いわゆるハウスマークとしての「LOTTE」の文字があり、被請求人(株式会社ロッテ)の製造に係る商品といえるものである。また、本件商標の各構成文字と同じくする「STYLISH」、「スタイリッシュ」及び商品名といえる「CINNAMON CANDY/スタイリッシュシナモンキャンディ」の文字の表示があること、さらに、これら商品の価格表にはそれぞれ「TR 17/シナモンキャンディ/¥100」、「TR 5454/シナモンキャンディー/¥100」及び「TR /スタイリッシュ/シナモンキャンディー/¥100」の表示が認められるものである。そして、これら写真の右下にある「00.12.25」の数字は撮影年月日を表示するものと認められる。
(3)乙第5号証ないし乙第7号証は、乙第2号証ないし乙第4号証の写真にある本件商標を使用した商品の売上伝票として提出されているものであって、この伝票からは、株式会社北海道観光物産興社と札幌市所在の各小売り店「札幌駅パセオ りら店」、「京王プラザホテル札幌 ゆーから店」及び「センチュリーホテル センチュリー店」との間において、伝票の各項目欄に表示の「商品コード 5454」及び「品名 シナモンキャンディー/10個入 12」の商品が取引されたことが認められる。そして、この売上伝票の日付(平成12年12月21日)は、本件審判請求の登録前3年以内に発行されたものと認められるものである。
(4)乙第1号証ないし乙第7号証を総合してみるに、被請求人(株式会社ロッテ)の製造に係る商品キャンディーが販売部門を担うロッテ商事株式会社を介し株式会社北海道観光物産興社に売上げられ、さらに、札幌市所在の各小売り店に売上げられて順次、取引されたことは、乙各号証に表示の「商品コード 05454」(乙第1号証)、「TR 5454」(乙第3号証)及び「商品コード TR 5454」(乙第5号証ないし乙第7号証)の各数字4桁を同じくする点からみて同一の商品が流通したものといえるものである。
そして、札幌市所在の各小売り店舗において展示販売している商品キャンディーには、「LOTTE」の文字、本件商標と社会通念上同一といえる「STYLISH」、「スタイリッシュ」の各文字が個包装ないしケース箱に表示されていて、これら商品の取引は売上伝票価からみて本件審判請求の登録前3年以内にされたものと十分に推認される。
そうすると、被請求人(商標権者)は、審判請求の登録前3年以内に日本国内において本件の請求に係る指定商品中の商品「キャンディー」について、本件商標の使用を証明し得たものといわなければならない。
(5)なお、請求人は、被請求人である株式会社ロッテのインターネット上のホームページ「新製品紹介」ページの打ち出し(甲第2号証)を提出し、これに「シナモンキャンディ」と「スタイリッシュ シナモンキャンディ」とする類似する2つの商品キャンディーが同時に存在することをもって、販売方法の不自然さ、また、「スタイリッシュ シナモンキャンディ」は地区限定、テスト発売とされているほか、既に発売済みである同商品の発売地区、発売日等の情報が一切記載されていないこと及び「テスト発売」する商品への商標の使用が果たして商標法第50条にいう商標の「使用」といえるかどうかについて疑問が残る旨述べているが、甲第2号証の1に掲げてある「スタイリッシュ シナモンキャンディ」と札幌市所在の各小売り店舗において展示販売された該商品とは、その包装箱からみて同一の商品と認められ、これら商品がたとい、販売方法、地区限定ないしテスト発売とする点に疑問を残すものであるとしても、前記認定のとおり販売の事実は認められるものであり、このインターネット上のホームページの情報及び請求人の主張をもって、使用の事実を覆すものとするのは困難であるから、これら請求人の主張は採用できない。
(6)したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-11-06 
結審通知日 2001-11-12 
審決日 2001-12-07 
出願番号 商願昭59-79313 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (130)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 正雄 
特許庁審判長 小松 裕
特許庁審判官 高橋 厚子
高野 義三
登録日 1986-11-27 
登録番号 商標登録第1908581号(T1908581) 
商標の称呼 スタイリッシュ 
代理人 浜田 治雄 
代理人 水野 勝文 
代理人 岸田 正行 

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