• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 119
管理番号 1053669 
審判番号 取消2000-30028 
総通号数 27 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2002-03-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2000-01-07 
確定日 2001-12-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第1969358号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第1969358号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に表示した構成よりなり、昭和58年6月22日登録出願、第19類「台所用品、日用品」を指定商品として、同62年7月23日に設定登録され、その後、平成9年8月5日に商標権の存続期間の更新の登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べた。
(1)本件商標は、継続して3年以上、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、その指定商品について使用していないものであるから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)被請求人は、品番が「PHOO15」として取り扱われている商品包装箱の写真及び商品包装箱のカラーコピー、またその包装箱の中に入っている商品の写真を提出し、包装箱の正面、「カップ」底面のシール、「カップ」側面にそれぞれ登録商標と社会通念上同一と認められる商標が使用されていると主張する。
そして、かかる商品(品番「PHOO15」)が被請求人のエクセル事業部店舗である「エクセルショップ」和歌山店、塚新店、知立店の各店舗において1998年11月に販売されていたと主張し、その販売伝票を提出している。そして、かかる販売伝票として提出されているのは、各店舗における「売上日報」及びいわゆる「日付精算取引別レポート」である。
(3)しかしながら、被請求人が提出する各証拠は、使用事実の証明としては客観性に欠けるものである。すなわち、被請求人が審判請求登録日前3年以内の販売事実を証明するものとして提出する証拠は、請求人の直営店における1998年11月の「売上日報」及び旧付精算取引別レポート」にすぎず、これらはいわゆる内部資料にすぎない。そして、いわゆる内部資料のみでは、誰に対して取引されたかどうかの事実を第三者に確認することができず、本件商標が付された商品が実際に取引され、販売されたかを示す証拠としては極めて客観性に欠けるものであると言わざるを得ない。
また、実際に商品を販売しているのであれば、通常、販売先・取引先等の第三者との関係で発行された取引書類、すなわち請求書、納品書、領収書等が存在するはずであるが、このような書類は一切提出されておらず、請求人の直営店における「売上日報」及び「日付精算取引別レポート」といった内部資料のみをもってしては、1998年11月時点の商品の販売事実を客観的に証明する証拠とすることはできない。
(4)また、商品メーカーとして商品を製造・販売しているのであれば、直営店のみでなく、他の卸売店、販売店等に商品を卸しているのが取引の実情でもあるにもかかわらず、そのような取引が行われている形跡が被請求人の提出する証拠をもっては認められない。第三者を介した客観的な取引書類もなく、また「売上日報」及び「日付精算取引別レポート」に見られる販売実績においても「着数」の欄から明らかなように、各店舗につき、それぞれわずかに1個のみにすぎない。本件審判の予告登録日である平成12年2月8日前3年間の販売実績が直営店におけるたったの3個のみというのは、取引の実情を考慮すると、極めて不自然であると言わざるを得ない。
(5)以上のように、被請求人が提出した証拠は、第三者との取引の事実を示す証拠として客観性に欠け、その販売事実を客観的に認めることができないものであるから、かかる証拠のみをもって、本件商標が本件審判の予告登録日である平成12年2月8日前3年以内に使用されていると認められないものである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、請求の理由及び弁駁に対する答弁を次のように述べ、証拠方法として、登録商標の使用説明書、店舗間移動チェックリスト及び売上日報を提出した。
(1)本件登録商標の使用事実
(ア)本件登録商標は、その指定商品中「カップ」について、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者であるロンシャン株式会社により使用されている。
本件登録商標の使用事実は、「登録商標の使用説明書」に示すとおりであり、以下、説明する。
(イ)本件商標の使用に係る商品の一例は、「カップ」であり、「登録商標の使用説明書」の商品写真(a)及び商品包装箱のカラーコピーに示すとおり、品番「PHOO15」として取り扱われているものである。
当該商品が、本件審判の請求に係る指定商品に含まれることは明らかである。
(ウ)本件商標は、商品写真(d)(e)のとおり、カップ底面に(シールの実物を別添)使用されている他、商品写真(a)〜(d)のとおり、包装箱の正面に使用されている。
(エ)そして、本件商標の使用に係る前記商品の販売事実の一例は、「登録商標の使用説明書」に添付した販売伝票に示すとおりである。
当該商品は、ロンシャン株式会社のエクセル事業部店舗である「エクセルショップ」で販売されている。
例えば、1998年11月4日に、エクセルショップ和歌山店(和歌山県和歌山市友田町5-18ターミナルビル「ジョワ」2F)において、また1998年11月11日に、エクセルショップ塚新店(兵庫県尼崎市塚口本町4-8-1「ヤングライブ館」IF)、1998年11月13日に、エクセルショップ知立店(愛知県知立市長篠町大山18-1「ギャラリエ・アピ夕知立」IF)において、前記写真の商品(品番「PHOO15」)が販売されている。
(2)以上の通り、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者により、本件審判請求に係る指定商品中「カップ」について使用されているものである。
(3)本件商標の使用に係る商品「カップ」(品番:PHOO15)が、販売された事実を証する証拠として、次の証拠を補強提出する。
(ア)先に提出の写真に示す商品が出願人のエクセル本部より各小売店舗へ出荷された事実を証する書類として、1999(平成11)年4月1日付け「店舗間移動チェックリスト」を提出する。これにより、当該商品が、宝塚店、塚新店、神戸店、加古川店、アン姫路店、倉敷店へ各6 0個、およびモール姫路店へ10 0個出荷されたことを立証する。
(イ)1999(平成11)年4月5日宝塚店の売上日報により、前記出荷商品が販売されたことを立証する。
(4)本件商標の使用に係る商品は、商標権者の直営に係る小売店エクセルショップで販売されるものであって、どの客が買い上げたかの立証は不可能であり、また、その立証は要しない。

4 当審の判断
被請求人の提出した登録商標の使用説明書中の「カップの包装箱」及び「カップ」の写真よりすれば、傘をかざした貴婦人が馬の左側に立っている図形と「Longchamp」の欧文字が表示されているシールが貼付されていることが認められる。
そして、この「シール」に表示された商標は、本件商標とほとんど同一のものと認められる。
また、被請求人の提出した「会社案内パンフレット」および「エクセルショップ一覧表」よりすれば、販売店として「和歌山店」、「宝塚店」等が掲載されていること、さらに、この「和歌山店」の1998(平成10)年11月4日付け「売上日報」」にて品番「PH0015」の商品が販売されたことが認められ、同じく補強提出された1999(平成11)年4月1日付け「店舗間移動チェックリスト」にて「宝塚店」が出荷先であること、そして、この宝塚店の同年4月5日付け「売上日報」で品番「PH0015」の商品が販売されたことが認められる。
以上の各証拠を総合勘案すれば、本件商標は、被請求人によって、本件審判請求の登録(平成12年2月16日)前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一の商標を指定商品中の「カップ」について使用していたものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法50条の規定によりその登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
本件商標


審理終結日 2001-10-17 
結審通知日 2001-10-22 
審決日 2001-11-14 
出願番号 商願昭58-58582 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (119)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 栗原 清一 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 米重 洋和
宮下 行雄
登録日 1987-07-23 
登録番号 商標登録第1969358号(T1969358) 
商標の称呼 ロンシャン 
代理人 武石 靖彦 
代理人 吉崎 修司 
代理人 村田 紀子 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ