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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 001 |
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管理番号 | 1053661 |
審判番号 | 審判1999-30698 |
総通号数 | 27 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2002-03-29 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 1999-06-03 |
確定日 | 2002-01-04 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第3152801号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第3152801号商標(以下「本件商標」という。)は、「北日本ユーキVcS」の文字を横書きしてなり、第1類「肥料」を指定商品として、平成5年9月27日 に登録出願、同8年5月31日に設定登録されたものである。 2 請求人の主張 請求人は、「本件商標の登録を取り消す」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次の通り述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第5号証を提出している。 (1)利害関係 請求人は、本件商標登録出願前から、本件商標と同一の商標を使用しており、被請求人から、請求人に対して、本件商標権に基づく商標使用差止請求訴訟が提起されている(新潟地方裁判所平成8年(ワ)454号) (2)請求人の商標の使用及び被請求人の不使用状態 請求人は、本件登録の出願の前から現在に至るまで、「吹付用浄菌化バーク」(堆肥のー種である。)に本件商標と同一の「北日本ユーキVcS」を使用している(甲第2、3、4号証)。 一方、被請求人は、第4号証に示すとおり、前記と同種商品については、「北日本ソイル1号」という商標を使用している。本件商標登録後、商標権者及び設定登録されていない通常使用権者が本件商標を使用した事実は確認できないので、商標権者らは、本件商標を使用してしていないと認められる。なお、書証として提示した「積算資料」は、財団法人経済調査会発行の刊行物で、建設関連の価格情報の提供を行っており、発行部数は12万部におよび、国や地方公共団体が発注する公共事業の設計見積もりには、本刊行物が広く利用されていることは周知の事実である。 (3)答弁に対する第一弁駁 被請求人は、乙第1号証及び甲第2号証をもって、本件商標を使用した事実の立証としている。しかし提出された乙号証では、本件商標の指定商品への使用は不明である。 乙第1号証のいずれの箇所にも、使用商標と、その商標が使用された商品の関係が全く明示されていない。従って、使用商品との関係が記載されていない乙第1号証では、本件商標の指定商品への使用の事実は立証されない。また、乙第2号証の2においては、本件商標と認められる「北日本ユーキVcS」と、「バーク堆肥」の語句が上下に並列して記載されている。しかし、乙第2号証の2は、被請求人自身の「得意先元帳」である。即ち「得意先元帳」は、被請求人の内部資料であり、商標法第2条第3項第7号に規定する「商品に関する取引書類」とは言えない。 従って、被請求人の提出した乙第1、2号証では、本件商標の指定商品への使用は立証されていない。 仮に、被請求人が、乙第2号証の2記載の「バーク堆肥」に本件商標を使用しているとするならば、「バーク堆肥」は肥料取締法(昭和25年法律第127号)第22条1項の規定により、特殊肥料として取り扱われなければならないから、生産者又は輸入業者が「肥料の名称J等を都道府県知事に届ける義務が課せられている。 従って、商標となる「肥料の名称」は、被請求人が生産者であれば被請求人自身が、被請求人が生産者ではなく取扱業者であれば、その購入先である生産者が、本件商標を「肥料の名称」として届けているはずである。また、本件商標を少なくとも肥料の名称として使用しているならば、前記の届出書類が存在するはずであり、商品「肥料」への本件商標の使用立証には、当然その提示があってしかるべきである。 (4)答弁に対する第二弁駁 (イ)乙3、4号証について 被請求人は、乙第1号証及び甲第2号証では、本件商標の使用事実が立証されていないとした請求人の弁駁に対して、新たに乙第3、4号証を提出した。しかし、第ーに証明力に客観性がない。更に証明した内容及びカタログの商品写真は、本件商標の文字と「植生用材」と会社名が表示されているに過ぎない。すなわち、商品が「肥料」であることは明確ではない。確かにカタログには「緑化基盤材(バーク堆肥)」と記載されているが、カタログの存在が客観的に裏付けられていない。 (ロ)乙5号証について 肥料の生産者又は輸入業者は、肥料取締法(昭和25年法律第127号)第22条1項の規定により、「肥料の名称」等を都道府県知事に届ける義務が課せられているとの請求人の主張に対して、被請求人は、「外部の肥料生産業者に全てを委託し、完成商品を仕入れて緑化基盤材として販売しており、被請求人には届け出の義務がない」と述べ、単に肥料の販売業務開始届出書(乙第5号証)を提出している。しかし、被請求人の使用商品が「肥料」であるならば、当然委託生産業者が「肥料の名前」の届け出をしていなければならない。 請求人は、被請求人自身の届け出でのみを求めているものではなく、使用商品が商品「肥料」として流通しているとするならば、当然に「肥料」として生産されていなければならない。そして、肥料の生産に際しては、法律に基づいて「肥料の名称」が生産者において届け出られているはずである。 従って、商品「肥料」として成立する前提として、「肥料の名称」の根拠となる届け出でなされているはずであり、単にその根拠を求めたものである。しかし、被請求人は、単に乙第5号証を提出したにすぎなく、これによって本件商標の指定商品への使用が裏付けられるものではない。 なお、請求人による「肥料の名称」を付した届出書の写しを参考のために提出する 3 被請求人の主張 被請求人は、「結論同旨の審決を求める。」と答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証を提出している。 (1)請求人は甲第2号証及び甲第3号証を提示して、請求人が本件商標の出願前から「北日本ユーキVcS」を「吹付用浄菌化バーク」の商品名として使用していること、及び被請求人が商標「北日本ユーキVcS」の登録日(平8.5.31日)から現在までこの商標について使用しているとは認められない、として後段の不使用について商標法第50条第1項の規定を適用して、この商標権は取り消されるべきである、と主張している。そして、不使用の理由として、請求人は1999年2月(平成11年2月)号の「積算資料」(甲第4号証)を提示し、被請求人はこの甲第4号証に記載されているように、現在は微生物入緑化基盤材に「北日本ソイル1号」という商品名を使用している点からも明らかであるとしている。 そこで、甲第2、第3、第4号証としてあげられている「積算資料」(財団法人・経済調査会・発行)についてみると、この刊行物は月刊誌であって全国都道府県の役所等に配布して、ー般の閲覧に供している刊行物であるが、しかし、この「積算資料」に掲載されているものがすべての商品を掲載しているものではなく、調査によるとメーカーからの掲載の希望があったもの、或いは経済調査会が広く使用されていると思われるものの中から独自で選んで掲載するものであるから、この刊行物(積算資料)に掲載されているものは商品のー部に限られている。 したがって、請求人は、単に甲第4号証のみを提示して商標の不使用を論ずることは早計であるといわざるを得ない。 なお、前記の先使用の件については反論するところも多々あるが、本件請求とは関係のない事由であるから差し控える。 (2)商標「北日本ユーキVcS」使用の事実 被請求人が植生用材について商標「北日本ユーキVcS」を付した商品を販売している事実について、乙第1号証及び乙第2号証を提示して立証する。 (イ)乙第1号証 この第1号証は、北日本産業株式会社が商品「北日本ユーキVcs」をホームセンターヤマケンに販売した納品書・請求書および領収書の写である。 乙第1号証の1は、平成9年11月18日発行のもの、乙第1号証の2は、平成10年1月13日発行のものである。 (ロ)乙第2号証 この乙第2号証は、北日本産業株式会社が武田和子に商品名「北日本ユーキVcS」を販売した納品書・請求書および領収書の写である。乙第2号証の1は、平成8年6月18日発行のもの、乙第2号証の2は平成9年10月14日発行のものである。 (3)結論 乙第1,2号証に示すように被請求人「北日本産業株式会社」は、商標「北日本ユーキVcS」について登録後も継続して使用しているものであるから請求人の主張は当を得ないものでる。 なお、乙第1号証のホームセンターヤマケンの領収書については、親会社の株式会社ヤマケンの購入した桂砂の代金と一緒に入金されているので、この分の金額を差引計算をすると入金の事実が判明する。 (4)弁駁に対する第二答弁 (イ)使用商品について 乙第3号証及び乙第4号証として提出する取引先からの証明書にあるように、乙第1号証及び第2号証に示された本件商標の使用にかかる商品は、上記証明書に添付された力タログ(写)にある「緑化基盤材(バ-ク堆肥)」である。 乙第1号証ないし乙第4号証により、本件審判請求の設定登録日前3年以内に、被請求人は、本件商標「北日本ユーキVcS」を指定商品中「堆肥」について使用していたことが明らかである。 (ロ)肥料取締法に基づく知事への届出について 請求人が特殊肥料を監督する山形県行政所轄官に問い合わせて確認したところによれば、肥料取締法にいう「肥料」は植物の栄養に供すること又は植物の栽培に資するため土壌に化学的変化をもたらすことを目的として土地に施される物及び植物の栄養に供することを目的として植物に施される物をいうのであるから、特殊肥料に該当する「バーク堆肥」を生産するもの又は販売するものは所轄の知事への届出が義務付けられている。 上記届出が必要なもののうち生産に関するものとしては、バーク堆肥などを配合したり実際に袋詰の梱包などを行う製造工場をいい、その事業所は、所轄の知事へ「特殊肥料生産業者届出書」の届出義務がある。 上記届出が必要なもののうち販売に関して「肥料販売業務開始届出書」の届出義務が課せられるものは、あくまでも肥料を農業用資材として取り扱い農業生産者などを対象として販売し、その肥料が農地(耕作地)に還元されることを目的として販売している業者をいう。 以上より、緑化工事のために用いられる緑化基盤材としてのバーク堆肥を販売する業者には、肥料取締法に定める届出義務までは課せられないこととなる。 被請求人が本件商標を使用する商品は、緑化基盤材であるバーク堆肥であり、その製造は外部の肥料生産業者すべて委託し、完成した商品を仕入れて緑化基盤材として販売しているのであるから、上記の解釈に照らせば、被請求人に上記届出義務はないと考えられる。 しかし、被請求人はこの届けでの必要がないことを知りながら万一業務内容を変更することも考慮に入れてこの届出書を山形県知事に対して申請している。この届出書の写を乙第5号証として添付する。 (5)弁駁に対する第三答弁 商標の使用の状態 (イ)乙第4号証のとおり、本件商標の使用商品は「北日本ユーキVcS」であることが明らかである。 (ロ)乙第3号証及び乙第4号証は、本件商標の設定登録日から3年以内の取引のものであるから、本条の規定に該当しない。 (ハ)乙各号証は記名捺印しているものであるから、これを証明力がないとすることはできない。 4 当審の判断 (1)被請求人は本件商標を使用している証拠として乙第1号証ないし乙第5号証(枝番を含む)を提出している。 そこで被請求人が提出している各証拠をみるに、(イ)乙第1号証の1及び2は、被請求人が山形県の「株式会社ヤマケン」の子会社である「ホームセンターヤマケン」に対して、平成9年11月18日及び平成10年1月13日に、商標「北日本ユーキVcS」の付した商品20個を販売した納品書(控)、得意先元帳、銀行の預金通帳のコピーである。(ロ)乙第2号証の1及び2は、被請求人が武田和子に対し、平成8年6月18日に、商標「北日本ユーキVcS」を付した「バーク堆肥」40個を販売した納品書(控)、得意先元帳、銀行の預金通帳のコピーである。(ハ)乙第3号証ないし乙第4号証は、株式会社ヤマケン及び武田和子が被請求人より上記年月に商標「北日本ユーキVcS」が付された商品を購入し、それが同時に添付したカタログのコピーと相違ないことの証明書である。(ニ)乙第5号証は、被請求人の「肥料販売業務開始届出書」である。 (2)「緑化基盤材(バーク堆肥)」は、木材の皮 おがくず等をたい積・発酵させたもので土作り(土壌改良)を進めるために使用される特殊堆肥に属するものと認められるものである。そして、上記「バーク堆肥」は、植生用材としての用途と肥料として用途の二面性を有する商品であるが、請求人の提出している甲第2号証ないし甲第4号証(積算資料)によれば、樹木・植生用材等を取り扱う業界において、「埴生用材」の「土壌基盤整備材」に属させ取引が行われている事実が認められる。 (3)被請求人は、該「バーク堆肥」の製造業者ではなく販売業者であるから、「バーク肥料」を製造している請求人のように、県に対する「特殊肥料生産業者届出書」が必要とされるものではない。なお、被請求人は、肥料を販売するにあたって必要とされる「肥料販売業務開始届出書」を乙第5号証として提出している。 (4)本件商標と被請求人が「緑化基盤材(バーク堆肥)」のカタログ及び納品書(控)等で使用している「北日本ユーキVcS」の文字よりなる商標とは、社会通念上同一と認められる商標である。 (5)上記(1)の(イ)ないし(ニ)の証拠、及び「バーク堆肥」が「植生用材」及び「肥料」として用途の二面性を持つ特殊な肥料であること等を総合勘案すれば、本件商標は、被請求人によって、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、取消請求に係る指定商品である肥料に属する「バーク肥料」に使用されていたものと判断するのが相当である。 したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべき限りでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2001-10-11 |
結審通知日 | 2001-10-16 |
審決日 | 2001-11-19 |
出願番号 | 商願平5-98373 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(001)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 涌井 幸一、高橋 厚子 |
特許庁審判長 |
寺島 義則 |
特許庁審判官 |
山下 孝子 上村 勉 |
登録日 | 1996-05-31 |
登録番号 | 商標登録第3152801号(T3152801) |
商標の称呼 | キタニホンユーキブイシイエス、ブイシイエス、キタニホンユーキ、ユーキブイシイエス |
代理人 | 近藤 彰 |
代理人 | 中村 幹男 |